【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
美濃攻略という大一番が終わったこともあり、家臣の皆さんは少し息抜きモード。
俺も嫁さん達に種付けを行い、今年も子供を仕込み中。
特に去年の冬に仕込んだ奈々さんはちょうど今が臨月。
暇さえあればマッサージして沢山食わせているが
「こ、こんなにも多くの食事を頂いて良いんですか!」
と恐縮気味であったが、今では雫とオカズの奪い合いをするぐらい食べるようになっていた。
おかげである程度は肉付きも良くなっていたが、胸にも太ももにも肉があまり付かない体質で、全身に肉が付いて行っている。
あばら骨が浮き出ていることはなくなったが、まだ痩せ型体型であった。
まぁぺったんこの胸にボテッとしたお腹はそれはそれで味わい深く、毎晩ボテ腹を愛でながら他の嫁達の種付けに励んだ。
そんなある日、信長様より岐阜城に来いと言われたので、岐阜城に向かうと、お市様がいよいよ浅井長政様に輿入れが行われることが発表された。
信長様より小牧山城に居るお市様に挨拶してこいと言われ、直ぐに小牧山城に移動すると、お市様は俺に会うなり
「ねぇ、又兵衛……色々な物語を知っていて教養のある貴方は本当に農民出身なの? 私も兄様も帰蝶様もそうは思ってないのだけど……もし良かったら本当の身分を教えてくださらない?」
そう聞いてきた。
俺は何の変哲もない農民出の男でございますとしか言えない。
流石に転生したことは妻達にも言っていない秘密なので、言ったとしたら、自分たちの未来がどうなるか聞かれることになる。
そうなった時にお市様が未来でどうなったかの知識が無い俺にはちゃんと答えられないので言うわけにはいかない。
「又兵衛が本当に何の変哲もない農民出身なら、農民の定義が覆るわよ。武芸にも教養にも優れる農民なんて普通居ないわよ」
「ですが、私は本当に農民出身なのです……」
「本当強情ね。最後に……私に言いたいことはあるんじゃないかしら」
「前にお市様が言いましたが、来世で夫婦になるのではなく、私は今世でなりとうございます。浅井に嫁ぐことになっても、私はお市様を奪う気持ちで働きまする。どうかそのことは忘れないようにお願いします」
「……本当に強情な方……ふふ、駄目ね……そんな方に私は惚れてしまっているわ……どうしましょう。浅井長政様に嫁ぐ覚悟をしたのに、揺らいでしまっているわよ」
「……本当ならば護衛もしたかったのですが、家格が足りず申し訳ありません」
「いいわ、でもね……」
お市様は一呼吸おき、俺の胸を指で押す
「多くの奥さんが居るの、私知ってるのですよ……皆にそう言ったのかしら?」
お市様……。
「又兵衛、浅井家に届くくらいに活躍してちょうだいね」
「は、はい!」
本当、信長様といい、お市様といい……この一族は……人をやる気にさせるのが上手いな。
林様の手引きがあり、浅井長政様とお市様の婚姻は成立。
これで織田家は近江の六角氏を貫通出来れば京への道を確保することが出来るようになった。
信長様は持ち前の政治力を行使し、朝倉家に保護されている足利義秋様と連絡を取り合うようになる。
足利義秋様は京に戻り、幕府再興を行うことが使命。
一方信長様は京を手中に収めることで、幕府の権限を使いながら周辺諸勢力への牽制を行うと同時に朝廷との結びつきを強め、着実に先を見越していた。
「天下布武を成し遂げる」
信長様の断固たる意志である。
「馬、武の七徳を言ってみよ」
武の七徳とは中華に伝わる言葉で、禁暴、戢兵、保大、定功、安民、和衆、豊財の7つであり、これを現代訳にすると
武力行使を禁じる。
戦いをやめさせる。
大国を保全する。
功績をなしとげる。
人民の生活を安定させる。
大衆を仲良くさせる。
経済を繁栄させる。
これが武の七徳である。
武力行使と戦を辞めさせるは似ているかもしれないが、裏での策謀を使った戦も含まれており、諸勢力の勝手な領土拡張は認めないという意味も持つ。
信長様の言う天下布武は武力によって天下を収めるではなく、この七徳を広め、太平の世を作るという意思表示であった。
「天下統一……それは畿内を示す言葉であったが、余はやるぞ皆の者……誰もが安心して暮らせる世の中を作るのだ!」
信長様の本質……それは悪童やうつけ者と言われた頃に作られたのだろう。
悪童と言われても……うつけ者と言われても……先を見ている。
先を見過ぎて居るから理解されないことが多いが、現代という太平の世を知っている身からすると……この人こそ本当に日本という国家を見ているのだと痛感する。
「美濃を取って世界が広がった。先を目指すための国力を手に入れた……これからだ。ここから始まるのだ! 皆の者天下布武だ! 心に刻め!」
「「「おぉ!!」」」
天下布武と書かれた旗を小姓達が部屋に持ってきて広げる。
これが諸将達が信長様の意図を理解することに繋がる。
武将達は信長様が京への上洛を決意したという風に捉え、準備を行うのであった。
「これで将達は理解できたと思うか? 馬よ」
「出来なければそれは馬鹿です。信長様」
今回の演出は俺が信長様に忠言したことから始まった。
美濃を攻略したことにより織田家は100万石を超える大名へと成長した。
ここで成長をストップさせて守りに入ることも普通の人であれば考えてしまう。
しかし、信長様は目標として将軍より天下を差配する役割の委託をしたいと考えていた。
信長様自身が天下を武力行使で従わせるのではなく、将軍からあくまで天下を借りるという意味合いが強い。
それが出来ると信長様は考えていたが、俺が京周辺や朝廷関係を調べた結果、朝廷は幕府を信用していないというのが浮き彫りになってしまっていた。
なので信長様は敢えて天下布武と言う言葉を使うことにした。
他から見れば天下を武で統一すると言う意味に取れる為、外敵は排除すると言う意味を強く持たせつつ、本質を配下の諸将に理解させることで、天下泰平の世を作るのだと理解させた。
で、場合によっては幕府が天下の害になるのであれば切り捨てるというのも信長様は考えていた。
「ここで止まることは余が許さん。馬、これからは更に馬車馬の如く扱うから覚悟しておけ」
「は!」
「それに馬……いや、又兵衛、お主をこれより侍大将に任ずる。これからは部隊長として部下を指揮するように」
「は!」
今までの細かい功績により、俺は侍大将に昇進。
侍大将の上はいよいよ武将と呼ばれる存在なので、今まで以上に励む必要がある。
「期待に応えられるようにより一層努力致します」
「うむ!」
で、こんないい感じの雰囲気で終われば良かったが、俺はそのまま寝室に呼ばれて信長様のケツを開発する作業をするのであった……。