【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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松永久秀の援軍とモザイク奇襲戦術

 ある日のこと、信長様が真面目な話で俺を岐阜城へと呼んだ。

 

「松永久秀殿ですか?」

 

「ああ、松永久秀が余に接触をしてきた」

 

 信長様はそう言って手紙を俺に放り投げた。

 

 俺は投げられた手紙を拾って読むと、畿内の内情と織田家が上洛する場合、松永家は織田家に協力するというのが書かれていた。

 

「これは」

 

「うむ、祀り上げた新しい将軍が神輿にならなかったらしいな」

 

 ちなみに畿内では松永久秀の元に敵対していた三好の当主が逃げ込むという事件が発生しており、押され気味であった松永久秀は大和の所領の防衛をすることに成功。

 

 まぁこの間に東大寺に立て籠もった際に、そのまま戦になり、東大寺の大仏殿が炎上するという罰当たりな行為を普通にしていたり、誰が敵で、誰が味方か日毎にコロコロ変わる状況となり、三好家の家臣達が祀り上げた足利義栄という将軍候補も京に入ることが出来ていなかった。

 

 それでいて将軍候補のライバルも畿内周辺に複数人居るし、その将軍候補達が独自に文書を発行して味方に引き込もうと空手形を発行しまくるからカオスに拍車がかかる。

 

 蠱毒や魔窟と言う言葉がよく似合うのが現在の畿内である。

 

 俺も奈々の親父さんに仕送りを送ったお返しで畿内状況を聞いていたが、松永久秀殿の纏めた書状による状況は深刻さが段違いであった。

 

「馬、お主松永久秀と面識があったよな」

 

「はい、一夜お世話になりましたが」

 

「余としても松永久秀の様に優秀な男が使えなくなるのは困る……兵1000を出すから援軍として向かってはくれぬか」

 

 それは良いのであるが、大和に行く道が無いように思えるが……。

 

「長島の一向宗と話はつけてある。伊勢北部を通り、伊賀を経由すれば大和にたどり着けるだろう」

 

 あぁ、なるほど。

 

 伊賀を通るのであれば伊賀衆から人気がある俺じゃないと駄目だわな。

 

「期限付きの援軍だ。派手に暴れてこい」

 

「は!」

 

 俺は松永久秀援軍の為に軍を組織するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「将が足りません!」

 

 家臣達含めて1000人の兵を纏めるのに、俺の直属の部下達50人ではとてもでは無いが纏めきれない。

 

 1人約20人面倒を見れればなんとかなると思うかもしれないが、元忍びの面々で人を指揮出来る能力があるのは10人いる程度、元孤児面々は自分のことで精一杯。

 

 俺自身も1000人の部隊指揮をしたことが無いのでテンパった。

 

 そこで俺は血縁を頼ることにした。

 

 一応毛受家の関わりがあるので毛受家本家に頼み込んで、活きのいい若武者達を派遣してもらい、あとははじめの親父さんに頼んで伊賀衆の地侍や中忍、上忍の方を派遣してもらった。

 

 忍び稼業で信長様に正規雇用してもらってちゃんと生活出来るきっかけをくれた俺に対しての恩返しという意味が強いらしい。

 

 ありがたいと感謝し、四苦八苦しながら軍を纏め、伊賀を通り抜けて大和に到着し、松永久秀の籠る筒井城に入った。

 

「おお、兄弟。よく援軍に来てくれた!」

 

「松永殿もお元気そうで何よりです」

 

「うむ、体は元気であるが、軍の方はちと不味い」

 

 状況を聞くと、松永久秀と敵対している筒井家が厄介であった。

 

 筒井家は元々大和の大半を所領していた由緒正しい家柄の大名であったが、松永久秀が大和を所領するようになると騙し討ちに近い形で居城であった筒井城から追放されてしまったのである。

 

 この時当主筒井順慶は数え年で11歳……当主としては若すぎた為に、脂の乗っていた三好重臣の松永久秀の計略に大和国人衆を買収されて追い出されたのである……が、この屈辱を機に覚醒。

 

 復讐者筒井順慶の誕生である。

 

 筒井順慶は筒井城奪還の為に松永久秀に決戦を挑む。

 

 周辺国衆が将軍殺しの悪名で松永久秀への忠義が揺れているのを感じると、あの手この手で揺さぶり、仲間に引き入れ、軍を集め、決戦に挑んだ筒井順慶は松永久秀の軍を打ち破り、守勢になった時は東大寺に立て籠もって応戦。

 

 松永久秀に大仏殿を焼かせて仏敵にすると、僧兵の力も借りて松永久秀を多方面から攻撃、いよいよ筒井城奪還目前に迫っていたのである。

 

 なんとか軍を立て直した松永久秀は筒井城と周辺の支城で防衛線を構築し、防戦の構えをしていたが、筒井順慶の勢いは止まることなく、次々に城が陥落していっていた。

 

「ことここに至り、城に籠もっていても士気が保たん。筒井と決戦を挑み、打ち勝つことで逆転を目指す」

 

 援軍到着で僅かに士気が上がった松永久秀は俺の援軍含めて5000の兵で1万近くの筒井軍に決戦を挑むと断言。

 

 ここに大和決戦が幕開けようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

「義父殿、普通に戦えば士気が下がり、兵数の少ない松永軍が負けるが必定……勝つためには搦手を行うしかありませんな」

 

 俺は兵の指揮を手伝ってくれているはじめの親父さんに話しかける。

 

「搦手というと?」

 

「忍びの人々に敵の本陣の位置を探ってもらってください。敵本陣に奇襲を仕掛けますよ」

 

「しかし、少人数ならともかく、1000名もの兵を率いるとなると奇襲は難しいのでは?」

 

「兵のほとんどは松永久秀殿に預けました。手勢は100名まで減っています。100名であれば俺は彼らを手足の様に扱える……又兵衛の戦い方で大軍を打ち破りましょう」

 

「このことは松永様は?」

 

「笑いながら了承してくださった。あとは場所のみです」

 

「うむ、忍びの矜持に懸けて見つけ出そう」

 

「お願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 俺は松永久秀殿が決戦に指定した場所より高所である丘に兵を進めた。

 

「義息、忍び衆が筒井順慶の位置を特定した。鶴翼の陣の中央最後方に筒井順慶他一門衆が集まっている」

 

「流石義父殿、これで斬首戦術を行うことが出来ます!」

 

 斬首戦術……敵の首脳部を殺害することにより指揮系統を破壊する作戦行動である。

 

 信長様のやった桶狭間の戦いがこれに近い。

 

「幸い大軍に油断して背後からの奇襲を疑ってない……よし、お前ら一撃離脱だ! 敵に強烈な一撃を与えるぞ!」

 

「「「おう!」」」

 

 俺は馬を走らせて丘を駆け下りると、俺は種付けおじさんの能力を発動させる。

 

 認識阻害……モザイク。

 

 俺の全身から煙を吹き出し、周囲一帯を霧で覆ってしまう技である。

 

 気配遮断が俺単体に作用するのであれば、集団の認識を阻害させる技がモザイクである。

 

 嫁達と真っ昼間に青姦したいなーと思った時に使えないかと思い、実際に使え、軍事転用した技である。

 

 高所から見ると霧が動いているように目立つので分かり易いが、野戦だったり、城攻めでも朝方の霧が濃くなりやすい時間だと、いきなり敵兵が現れる恐ろしい技になる。

 

 しかもこのモザイクという技……マジックミラーの様に霧の内側からは敵のことは丸見えかつ、俺が指揮していれば音を消すことも可能。

 

 消音で近づき、いきなり兵が現れるので、敵兵からは恐怖である。

 

 俺は馬に跨り、自軍の先頭を突き進み、敵の騎乗している偉そうな将に向かって矢を射抜く。

 

 スパーンと強弓から放たれた矢は敵兵の体を鎧ごと突き刺し、串刺し反対側から矢が突き出た状態で止まる。

 

 血を吹き出しながら落馬し、周囲の兵達がざわつき始める。

 

「かかれや!」

 

 俺の号令でモザイクが晴れた兵達は一斉に筒井軍を襲いはじめ、背後から奇襲されると思っていなかった筒井軍は態勢を立て直す前に右往左往してしまい、それを統率するための将が俺の狙撃により次々に討たれていく。

 

「道を開けろ!」

 

 俺の愛馬が雑兵を轢き殺しながら前進し、筒井順慶を守る後方の部隊を突破。

 

 陣幕が張られた場所を見つけたので、迷わずに幕を刀で切り裂いて突入。

 

 驚愕している若武者の頭目掛けて矢を射った。

 

 バス

 

 矢は眉間に突き刺さり、軍配を持っていた若武者は絶命。

 

 周囲は殿! と叫び慌てるが、俺は周囲の将を立て続けに5発矢を放ち、ヘッドショットを決めると、陣を駆け抜けて離れていった。

 

「撤退!」

 

 陣から抜けた俺は、再び雑兵を轢き殺し、首を刎ねて道を作りながら奇襲部隊の兵と合流すると、混乱している間に兵達を引き上げさせた。

 

 100名居た兵は半数の50にまで減ってしまっていたし、直属の家臣も10名失ったが、敵は大将含めて武将が20名近く戦死。

 

 指揮するはずの大将を失った筒井軍は中央の統率が不可能になり、松永軍が中央を食い破り、鶴翼の陣を左右に分断。

 

 筒井側の多くの国人衆達もまさかの敗戦で多くが戦場から逃げる間に討ち取られ、大和の戦局は大きく変わるのであった。

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