【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「のぉ、馬……お前何かしたろ」
「えっと……その……」
夏になり、田んぼも青々と今年もよく育ち、豊作の気配がしている中、信長様が温泉に入りにやって来ていたのだが、川を通りかかった際に異様な光景を目にしていた。
ビチビチビチ……
川……というより農業用のため池であるが、巨大ウナギ達が狭い生簀に入れられたかのようにビチビチと音を立てて泳ぎ回っていた。
「ウナギ……であるな?」
「ウナギですね……はい」
黒くテカっているウナギがもうね、うねうねとね……。
信長様は何を思ったのか褌姿に服を脱ぐと、ため池に向かってダイブ……え? 何してるんですか!
お付だった小姓の堀と俺は信長様のいきなりの奇行にあわあわしていたが、信長様はウナギを掴むと
「うむ! 取ったぞー!」
と叫び始めた。
ウナギをこちらに投げるまではよかったが、ウナギが信長様にまとわりついて泳ぐものだから……信長様がウナギのヌメリでテカリ、それが触手プレイにしか見えない。
織田信長様の触手プレイとか前世でも聞いたこと無いパワーワード過ぎる……。
最初は勢いの良かった信長様であったが、ウナギの群れに飲み込まれて沈みつつある。
「の、信長様!」
俺は服を脱いで慌ててため池に飛び込み、ぬめぬめしている信長様を救出。
「あ、穴という穴にウナギが……」
口からウナギを吐き出させて、事なきを得たが、見てはいけない物を俺と堀は見てしまった。
「馬! 今日の昼はウナギが食べたい!」
「信長様……ウナギに襲われたのに食うのですか!」
「だから喰らうのだ! 負けっぱなしでは終われん!」
ウナギに負けるってなんだよ……というあまりに頭の悪い会話をしながら、俺は事前に後日食べようとして泥抜きしていたウナギがあると説明し、今信長様が確保したウナギは村人に分け与えられるのであるが……川に行けばうじゃうじゃ捕れるウナギを渡されても正直ありがたみが少なく、渡された村人も顔を引きつらせていた。
そのまま温泉に直行し、俺と堀が信長様の全身をくまなく洗っていく。
「しかし……馬、更に良い体になってきたな。背も6尺3寸(約190センチ)あるんじゃないか?」
信長様に言われた様に、俺の身長は約190センチとなり、体重も100キロを超えていた。
信長様の身長が約170センチなので頭1つ分ほど大きかった。
ペチペチと信長様は俺のお腹を擦る。
「肉厚だが脂身では無く筋肉が詰まっているな。触るだけで馬がどれだけ鍛えているかよく分かるぞ」
種付けおじさんという能力なので太るのは覚悟していたが、これほどまでに巨漢になるとは思わなかった。
これだけ大きいと普通の馬に乗れないので少し不便であり、家で育てている馬は某北斗に出てくる黒◯号の様な馬なので、普段遣いすると周りから浮いてしまうのである。
まぁ平均身長160センチ程度の戦国時代だと、約190センチの俺は文字通り巨人であり、それが種付けで覆いかぶされば逃れることは出来ない。
なおチン長は約40センチでようやく成長が止まった。
「馬のイチモツは本当馬並みで、余の腕と同じくらいあるな……余の尻が裂けないのが不思議で仕方がないぞ」
「硬さを調節していますので……ゆっくり慣らしていけば案外なんとかなりますよ」
「まぁ正直馬のイチモツが絶品過ぎて、他の者を夜に呼んでも燃え上がらないのだよな。室の者を抱くほうが気持ちが良いし……」
「利家とかは呼んでないのですか?」
「最近呼ぶのは河尻だな……あやつもイチモツが大きいからな、良いところを突いてくるのだ」
酷い会話である。
信長様のヌメリを洗い落とし、温泉に入る。
「で、ウナギもそうであるが……川の魚が巨大化しているし……大きなカニ……海にいる奴が何で川にいる」
「あれ……サワガニですよ信長様……」
「さ、サワガニだと!? 拳よりも小さなカニが何であんな巨大なカニになっておるのだ!」
どう考えても俺が精液を川に放流したからであるが、それを言っても信長様は納得しないだろう。
「この温泉が霊泉であるからかと」
「この湯がか?」
「はい、この湯の廃湯は川に流れるようになっており、地中から湧き出る力が川に強大な力を授けているのかと……この地より下流の地域では米や作物がここ数年豊作になっていますし」
「ふむ……確かにそれは考えられる話だ。この湯には傷を癒す力が確かあったよな?」
「はい、私の傷もこの湯に浸かっていたおかげで膿むこともなかったので」
「馬、お主の傷は湯に浸かる前から治っていたろ……」
「まぁかさぶたにはなっていましたが、膿まなかったのはこの湯のおかげかと……」
「……ふむ、まぁそういう事にしてやる」
あんまり信長様的には納得いかないらしい。
「馬の神通力かと思っていたのだがな」
信長様、正解です……。
温泉に入って、そのまま信長様はうな重を召し上がる。
肉厚のウナギが特製のタレにひたひたに染み込んでいて、それが米に味をつける。
一口入れた信長様は小刻みに震えながら、口を尖らせてくうぅーと旨さが声で漏れ出ていた。
堀はあまりの旨さに泣きながら食べているし……。
そこから信長様は食べるペースを上げてガツガツと食べていき、半分ほど食べたところで秘密兵器のだし汁を重箱に流し込んでいく。
「茶漬けか!」
「はい、タレが染み込んだ米とウナギにさっぱりとしただし汁がこれまた合うのですよ」
米がふやける前に信長様は勢いよく飯をかき込むとうむうむと唸っている。
「ウナギの料理は他にはないのか?」
と言うので俺は酢飯を用意して、ウナギの蒲焼を一口大に切り、卵、キュウリで色合いを整える。
最後にごまを振ってウナギのちらし寿司の完成である。
信長様に綺麗になった重箱の中によそうと、信長様は目をかっぴらいてちらし寿司を食べる。
「うむ! これも美味い!」
はい、美味い頂きました。
「ウナギも良いが米が実に良い。馬の領地の村の米は他の地域と比べて美味いのであるが、何か他と違うことをしているな……田に植わっている青々とした米の苗が均一に並んでいたが……」
「正条植え……京の一部地域で行われている田植えの方法です。他に米の質、病気に強い稲にするために塩選別という種籾の選別もしています。あとは田に水を入れている間に鯉を放流しています。そうすると鯉が泳ぎ、稲に空気を送り込んでくれるのです」
「ふむ……新しい農法のお陰と?」
「それに温泉の霊泉による効能も含めてかと」
俺は信長様に農法を纏めた農書を提出する。
「農書を作っておったか」
「今年の収穫を見てから提出しようと思っておりましたが、信長様が必要と思うのであれば納めます」
ペラペラと信長様は農書を眺め、流し読みを終えると
「米の収穫量は国力に直結する。米の収穫量を上げられるのであればそれに越したことはない。大義である」
「ははぁ……」
俺は頭を下げる。
「堀、この農書を小姓達で写本し、家臣達に配れ」
「わかりました」
「うむ、しかし馬は本当内政に優れておるな。兵の統率も家臣を使うことで補えるのであれば……城主にさせても良いと思っておる」
「ほ、本当ですか!?」
「余が嘘をついてどうする。まぁ馬は活躍しているが、身分がまだ足りんからな、直に城主をやらせるが、まずは武将を目指せ」
「は!」
信長様は飯を食い終わると、俺の飼育している馬達や開発した農具を観察したり、嫁達と談笑してから帰るのであった。
「馬、来年上洛だ。準備を怠るなよ」
「はい! 上洛戦を邪魔する者は私が討ち果たします! 先陣はお任せください!」
「うむ!」
祝50話