【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
この日は島や稲葉重通、菊八達家臣達と害獣狩りをしていた。
というのも川が生命力に満ち溢れている影響で、その水を飲んだ者達にも影響を及ぼしていた。
人間には肉付きが良くなったり、イチモツが大きくなったりする程度であるが、野生動物は繁殖力と生命力が凄くなったのか、鹿や猪が大繁殖していたのである。
もちろんそれを襲う熊や狼なども増えていた。
バスン
プギィ
今も俺の放った矢が猪の眉間を貫き絶命させた。
「お前らどうだ?」
そう聞くと、島は鹿の後ろ足を掴んでズルズルと引きずり
「雌鹿でした。所詮獣かと」
と自慢げに語り、稲葉重通は
「狸しか捕まえられませんでした」
と丸々太った狸を持ってきた。
「菊八達は大丈夫か?」
と大声で聞くと大丈夫ですと返答があり、草むらからにゅっと大きな猪を背負った菊八達が出てきた。
なお熊部は大きな熊を背負っている。
「なんで、俺だけ毎回狩りに出ると熊に見つかるんだよ……」
熊には刀で胸を切りつけられた跡があり、失血死しているっぽい。
他の面子も丸々太った大きな猪を4頭ほど……場所が場所なら山神とか呼ばれてそうな猪達である。
山から降りて、村に凱旋し、広場で狩った獲物の解体をしていく。
「オラー、村人達肉だ肉!」
「流石領主様!」
「すげぇだ!」
解体した肉は村人達にお裾分けする。
例えば180キロ近くの猪、これを解体して食べられる肉の量は約108キロ程度。
残りの食べられない部分も皮は毛皮に加工し、骨は釣り針や罠、狩りの矢じりに使われることもある。
で、本当に使い道のない内臓の一部は肥料の一部として使われる。
どの動物も使い道が無いってことはあり得ない。
「この毛皮は職人に回そう。骨は釣具で使えるな」
「川が魚で凄いことになってるから釣りも捗るってもんよ!」
「領主様、肉分けてくださりありがとうございます!」
「おう、いっぱい食べて強靭な肉体作って合戦で活躍してくれよ!」
「はい!」
村人達全員に分けても猪丸々1頭分残ったので、こいつを使って燻製肉とソーセージに加工する。
猪のブロック肉はベーコンに、細かいのはひき肉にしてソーセージにしていく。
作り方としてベーコンは、まず塩漬け。
塩漬けする際に胡椒等の香辛料を練り込んでいく。
今回は胡椒が手に入らなかったので、旬は少し過ぎていたが、量を調達出来たわさびを使っていく。
別名わさび肉……わさびを肉に塗りたくって熟成させて水分を取り除き、旨味を濃縮させる方法である。
わさびの風味が肉に移るので、焼いて醤油で食べると和風ソースをかけたステーキみたいな味わいになる。
これを猪のブロック肉に塗って2週間熟成。
これはなるべく低い温度で管理したいので、蔵の地下の暗室に布で包んでから熟成させる。
そして次はソーセージ作り。
細かい肉を包丁で叩いてミンチにし、玉ねぎ……はこの時代無いので長ネギ、塩、ニンニク、小麦粉に殺菌、腐敗防止の為に大葉を細かく刻んだのも入れて混ぜる。
よく混ざったら、綺麗に洗った猪の腸の中に布製の絞り袋を使い、肉を詰めていく。
これで皆のよく知るソーセージの形になるので、それを保存できるように加工していく。
まず乾燥して水分を飛ばし、燻製にする。
そうすると水分がほぼ飛んだ状態になるので、食べる時は茹でて熱殺菌すればある程度長く持つのである。
ちなみに今の夏の終わり頃に作っても冬で食べられるくらいにはこのやり方であれば保存出来る。
冬場前にヨーロッパ人がソーセージを作って、冬を凌いだのは有名な話。
まぁ今は食に彩りをつけるために食べるのであるが……。
これで80キロ近くの肉は処理出来たので、残りはハンバーグにして食べる。
ひき肉にし、小麦粉や卵、長芋をつなぎとして入れ、形を作ったら鉄板で焼いていく。
「よっと!」
「「「わぁ!」」」
子供達は視覚で楽しませるとよく食べるので、鉄板で料理するところを見せると、好き嫌いせずに食べてくれる。
まぁハンバーグが嫌いな子は家にはいないのでありがたいが……。
「オラーガキどもー飯だ飯!」
ワーキャー騒ぎながらも飯の準備をして、皿にご飯とハンバーグ、それに卵焼きを乗っけて醤油ベースのソースをかける。
「出来た順番に食べろー」
そう言うと、思い思いの場所に座って子供達がご飯を食べ始める。
小さい子は年上の子に食べるのを補助してもらいながら食べることもある。
母親はそれより小さい赤ん坊の世話をしなければならないので、兄や姉が自然と弟、妹の面倒を見る体制になる。
まぁ現代でもよく見る光景だ。
人数がべらぼうに多いのを除けば……。
「うっま! これがひき肉の固め焼き」
「島、稲葉食ってるか」
「はい! 又兵衛様!」
「肉も調理方法次第でこれほどまでに美味しくなるのですね」
「だろ?」
「でも主が調理して飯を振る舞うのはなかなか無い光景ですな」
「確かにそうですね! 俺も又兵衛様の家臣になるまで武人の雰囲気を感じていましたが、家族愛溢れる方だとは思いませんでした」
「家族の為に出世する……他の武士達と同じだと思うけどな」
「なかなか家事、育児までする夫は居ないかと……」
この時代育児をするのは立場が下の者がやるのが普通である。
普通の家でも家長をトップとして、奥さんや兄弟が子供の面倒を見て、家長は家全体のこと……田んぼのことだったり家畜の世話、村の事、時に戦みたいに他に任せられないことをやるのが家長のやるべきことと見られる場合が強かった。
家格が上の人……武将クラスになってくると部下が武将の子供を面倒見ることも多く、そういう人物は教育係だったり爺と呼ばれたりする。
俺の家でも元孤児連中はそれぞれ家庭を持って独立してもなお俺の家で子供達の面倒をみてくれていたりする。
まぁ家事手伝ってくれれば俺の美味い飯を食べられるという俗っぽい理由でもあるが……。
ただ同じ釜の飯を食う仲間というのは団結に繋がるもので、霧丸等の忍び連中を含めて、仲間達との絆は深く結ばれている……気がする。
まぁこれが団結(意味深)や穴兄弟とかそういうのだと更に力を増すこともあるらしいが……流石にね。
ちなみに上記の事を率先してやっていたのが武田信玄率いる武田家なのだとか。
俺も熱田の町で話を聞いて驚いたが、信長様みたいに家臣が信長様の意向に絶対従う戦国大名としての指揮系統が確立していない大名……国人衆の連合体みたいに先祖代々その土地に土着した者がそれぞれの領地で力を振るう体制の守護大名と呼ばれる人達は団結(意味深)をやることで個人的な絆で家臣を引き止めるというのをしていたのである。
そりゃ戦国時代の武士の間で衆道が流行るわけである。
ちなみにこの衆道を個人的な快楽で楽しんでいたのは寺の坊さん達である。
え? 信長様はどうかって?
信長様はそんなことしなくてもカリスマがあるし、俺が開発してから見て楽しむ派になったらしい……。
まぁだからってイケメンコレクション(ガチムチ)の趣味はどうかと思うが……。
「島も稲葉も子供の面倒見てもらって悪いな」
「いえ、子供は好きなので構いませんよ」
「可愛いですよねー」
2人共、苦に思っていなくて良かった。
40人近くの子供とか子供が嫌いな人は苦痛でしょうがないからな。
「この子達にも将来信長様の手足となって活躍してもらいたいな」
「我々がその時はしっかりご子息を鍛えますからご安心を」
「島には合戦で頼りにするからなー、多分年老いて引退した忍び連中をこの子達には付けると思うけど」
「なるほど……」
子供達を見ながらハンバーグを食べるのであった。
「あ、チーズ乗っければ良かった……」