【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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上洛する織田軍、即落ちする六角軍

 越前から足利義秋様他幕臣達が美濃に足を運び、信長様と面会。

 

 その後直ぐに上洛の日時が決定し、信長様は家臣達に上洛するための下知を飛ばし、前々から準備していた俺は直ぐに部隊を編成して岐阜城に参陣するのであった。

 

 ちなみにうちの家臣達の階級はこんな感じ。

 

 俺が侍大将で島と稲葉、元孤児5人組が足軽大将。

 

 他足軽組頭、弓頭、槍頭などの役職持ちが21名ほど。

 

 その下に班長となる俺が管理している足軽達が居て、更に下に信長様から指揮するように預かった人夫達が居るという形である。

 

 これとは別に忍び衆が50名ほどおり、中忍だった霧丸、虎丸、龍丸の3人を上忍に上げて指揮を取らせていた。

 

 俺の部隊はこれで総勢500名ほど……織田軍の部隊では最少単位の人数である。

 

 比較対象として竹中半兵衛を家臣に加えた木下秀吉殿は墨俣城主として木下隊1500名を率いている。

 

 秀吉殿も俺と同じ様に急速に出世したので、手足となる家臣不足に悩んでいるらしいが……。

 

 今回の上洛に動員された兵数は4万人。

 

 いかに信長様が気合いを入れているかがよくわかる。

 

 ちなみに織田家の全力で動員した場合もう2から3万人は引っ張ってこれる。

 

 それだけ美濃と尾張は豊かであり、人口が居たのである。

 

 まぁ美濃と尾張2国だけでも100万石は超えるからね。

 

 

 

 

 

 

 

 上洛がいよいよ始まり、まず最初の敵は近江を拠点とする六角氏であるが、重臣らの一部が既に六角氏を見限り、信長様に降伏している時点で勝敗がついているようにも思えるが、それでも六角氏は抵抗の構えを解かなかった。

 

 六角はとりあえず甲賀の里に信長の足止めをするように命令したのだが……。

 

「正規雇用! 労災手当あり! 時代は信長様!」

 

 俺が先触れとして甲賀の里に入り、忍びの者達を説得。

 

 甲賀の里も六角からの命令が来る前に信長様に下る選択をし、六角氏は最後の悪あがきとして和田山城、箕作城と本拠地である観音寺城の3城による連携で織田の大軍を撃退しようと試みた。

 

 ちなみにこの六角の戦術は約100年前に足利幕府の大軍による攻撃を撃退し、ゲリラ戦にて兵糧を削り、撤退に追い込んだ由緒正しい六角の伝統戦術であった。

 

 ただ欠点はこの戦術で大勝ちしてから六角氏は防衛戦術のアップデートを数十年間してこなかった点と、後方かく乱要員である甲賀衆を既に寝返らせてしまっていた点である。

 

 しかも信長様はこの防衛網の欠点を即座に見抜き、軍を3つに分けて、同じタイミングで城を攻撃し始めたのである。

 

 連携により防衛しようと思ってたのに、同時に攻められたら兵数の少ない六角は普通に不利であるし、秀吉の部隊が箕作城に奇襲を仕掛け、数ヶ月籠城できると思っていた箕作城が1日で陥落。

 

 それを知って和田山城の兵も逃走してしまい、和田山城も翌日には陥落。

 

 六角必殺の防御陣は2日で瓦解してしまったのである。

 

 で、どうしようもなくなった六角の一族達は本拠地の観音寺城を捨てて逃走を開始。

 

 まぁこうなると読んでいた俺は甲賀の忍び衆に協力してもらい、六角一族が潜伏する地点を次々に襲撃し、一族のほとんどを捕縛することに成功する。

 

 合戦が始まって5日目のことである。

 

 信長様の前に突き出された六角一族は女は尼寺に押し込み、幼い子供は事前に降伏していた六角重臣達が引き取り、家臣達から嫌われていた当主及び先代六角当主の2名は斬首となり、1週間もかからずに名門六角氏は滅亡。

 

 北近江の浅井家との連絡路や京までの道のりが開通し、信長様は悠々と京に上洛することに成功するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「竹取のお義父さん、お久しぶりです」

 

「おお、又兵衛君か! 手紙でやり取りしていたが、織田家の皆さんが上洛してくれたか」

 

「はい!」

 

 京に到着した信長様は京の市街地を行軍し、家臣達に一銭斬りという命令を出していた。

 

 一銭でも盗んだ者はその場で斬る殺すという家来の統制をする命令であり、事実行軍中に町娘にちょっかいをかけた足軽がいたが、それを信長様は目にし、その場で足軽を真っ二つに斬り捨て、その足軽の部隊長まで罰した。

 

 厳格な姿に京の住民はようやくまともな軍隊が来たと喜び、ごろつきや野盗の類は京の拠点を捨てて逃げていったのであった。

 

 また信長様は京周辺に転がっている亡骸を清掃するように命令し、坊さんが呼ばれて念仏を唱えながら大規模な火葬が連日行われた。

 

 京全体が少し綺麗になった状態で足利義秋様は無事に上洛に成功し、朝廷より15代将軍に任じられ、そのまま足利義秋改め、足利義昭に改名。

 

 気分を良くした義昭様は信長様を副将軍に任ずると言ったが、信長様はこれを断り、堺の支配権を求め、義昭様はこれに応じた。

 

 で、重臣達は幕府との取り次ぎで忙しいが、その他の家臣達はそこまで忙しくも無いので、陣で時間を潰す者も居れば、俺みたいに知り合いを訪ねる人も居たのである。

 

「いやぁ、又兵衛君から仕送りが定期的に届いたおかげで飢えなくて済んだよ。見てくれ、新しい着物まで買えてしまって!」

 

「お義父さんやお義母さんには奈々さんが不安にならないようにしっかり仕送りしますから安心してください」

 

「本当に奈々を君に預けて良かったと心の底から思うよ……でも本当に数百の兵を率いる部隊長だったんだな。行軍の様子を観させてもらったが、立派な馬に乗って実に目立っていたよ。京で又兵衛君を知らない者の方が少ないんじゃないかな?」

 

「いやいや、そうそう、俺の部隊は当分京に滞在しますので、また祈祷を行いますので、知り合いの皆さんに声をかけてもらっても良いですか?」

 

「本当かい! 又兵衛君の祈祷は貴族達からも評判が良いからねぇ、せっかくだ、茶会や和歌の会にも参加したらどうかな」

 

「となると菓子が必要ですね……信長様が堺を押さえたので堺の商人とも繋がりを持った方が良いと思うので、知り合いに堺商人とか居ますか?」

 

「うーむ、茶道仲間に知り合いが居たな……千宗易殿なら繋がりを持てるかもしれないが」

 

「茶人ですか……茶道は嗜む程度ですが、大丈夫ですかね」

 

「良ければ私が見ようか?」

 

「お義父さん良いんですか!」

 

「仕送りのおかげで余裕が出来てね。茶の湯を学ぶ事が出来たから、それを又兵衛君に教えることが出来れば良いと思っていたが……こんな早くになるとはね」

 

「是非教えてください!」

 

「わかったわかった。じゃあ教えていくよ」

 

「はい!」

 

 その日から部下の面倒を見ながらも、時間があれば京の町の住民に祈祷を施し、医者の真似事をしながら茶の湯を部下達も交えて竹取さんに教わるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、又兵衛殿は本当に貴族ではないのか?」

 

「いえいえ、本当に農民の出で」

 

 ある日、下級貴族の人達と蹴鞠をしながらお話をしていた。

 

「ほっよっと!」

 

 サッカー経験が前世ではあったので、蹴鞠は得意だ。

 

 落とさない様にしつつ、相手が蹴りやすい位置に目掛けてポーンという気持ちの良い音を鳴らして蹴り上げる。

 

「流石又兵衛殿、お上手で、見ている娘達もうっとりしていますよ」

 

 庭先でやっているので、屋敷から女性陣が蹴鞠をしている俺達の事を見ている。

 

 今蹴鞠しているのは若手貴族達で、女性陣に格好が良いところを見せようと頑張っている。

 

 俺はそんな彼らのアシストをなるべくしようとするので、若手貴族達からは綺麗にアシストしてくれる俺を重宝して、時間があれば蹴鞠に誘われることが多かったのである。

 

 他にも場所を貸してくださる中流貴族の方には無料で奥方と共に祈祷をしたり、息子の貴族の悩みの相談に乗ったりして信頼を勝ち取っていっていた。

 

「108ですな!」

 

「うむ、なかなか繋がった見事!」

 

 そんな会話をしながら、蹴鞠が終わると俺は三味線を持ち出して音楽を流す。

 

 ゆったりとした音楽を聞きながら俳句を考え、音楽の終わりと共に歌を詠むという遊びを俺が提案し、貴族の方々の受けも上々であった。

 

 お市様に色々な曲をせがまれた経験がこうして生きている。

 

「いやぁ実に楽しい経験をさせてもらいました」

 

 俳句の先生として呼ばれていた細川藤孝様も俺の音楽に喜んでくれた。

 

 この細川藤孝様は幕府と織田家の取次役をしている人物で、文武両道、貴族達からの評判も素晴らしく、口伝でしか伝わっていない古今伝授という和歌集を貴族ではないが、特例で覚えさせられており、幕府、朝廷、織田家の三役を取り纏める重要人物であった。

 

 そんな偉大な人に俺は授業料を支払いながら、朝廷関係の仕事のやり方を学んでいた。

 

 というのも、信長様より貴族と仲が良いことを知られていたので、織田家として公家との取次役の次世代に俺が抜擢されることになったのである。

 

 ちなみに現在の取次役は村井様と林様の2人で、どちらも外交に秀でた人なので、信長様的には俺も将来外交で使いたいのかもしれない。

 

「又兵衛殿は筋が良いので、このまま成長していけば大丈夫ですよ。私が保証します」

 

「細川様、ありがとうございます!」

 

「いえいえ、そう言えば千宗易殿との茶会が決まったとか」

 

「はい、1週間後にて」

 

「では私も参加しましょうかね」

 

「あ……えっと……松永久秀殿も参加するのですが……」

 

「ん……そうですか、では私は日を改めましょう」

 

 ちなみに松永久秀殿と細川藤孝様は相性が最悪で、細川藤孝様は足利義輝公にも忠節を誓っていたので、それを殺す指示を出した松永久秀のことを憎んでいた。

 

 なので顔を合わせると殺し合いに発展するので、互いに避けていたのである。

 

「すみません」

 

「いえいえ、又兵衛殿も付き合いがあるのですから気にする必要はありませんよ」

 

 ……本当によく出来たお人だ。

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