【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
北畠氏を屈服させた信長様は軍を解散させ、自身は岐阜城に戻っていた。
ただ将軍も出陣していた北畠氏との戦いで、俺や明智光秀殿は既に足利義昭様の将軍としての器の無さを本圀寺の戦いで知っていて、信長様にも報告していたが、信長様も今回の戦で、鉄砲の音にいちいちビビる足利義昭様の姿に大器は無いと判断。
今は利用価値があるので使うが、神輿としての器すら疑問を持たれる結果となるのだった。
将軍に対して不満を持った信長様は俺の村の温泉に来て、戦の疲れを癒す。
「ふう、葡萄酒風呂は酒気は凄いが、疲れがみるみる抜けていくのぉ」
護衛役として一緒に来ている堀は
「意味合いは違いますが酒池そのものですね……ただ赤いので地獄の血の池にも見えますが」
「ハッハッハッ! 血の池か! 悪くない。地獄の中の極楽か?」
そんな事を普通に言う信長様に地獄に行くことは怖くないのかと俺は聞いてみると
「なんだ、馬も坊主共と同じ様に地獄が怖いか? 怖がって生きていちゃ駄目だぞ。人生50年……長いようで短い生きている時間を楽しまねば! 死後の事は死んだ後に考えれば良い」
「なるほど……確かにそうですね」
まぁ俺は死後に地獄に行くことなく転生したので、本当に地獄行き、天国行きがあるか疑ってはいるが……。
「まぁ死んだら最終的に何かに転生するでしょう。多分来世でも信長様の家臣やってそうですが」
「わ、私も死後も信長様に忠節を尽くしますよ!」
「嬉しいこと言うではないか! まぁ死んだら死んだで、余はまだまだ長生きするつもりではあるがな」
そんな話をした後に、食事としてざる蕎麦を信長様に出すと、チュルチュル蕎麦を啜りながら
「馬、堺に行き、南蛮人との伝手を作ってこい」
「はい……わかりました」
信長様は貿易を重視しており、金の力というのを良くわかっている。
熱田や津島といった貿易拠点を押さえていた恩恵だろう。
そんな信長様は今後大きな利益が出ると思われる南蛮貿易を重視していきたいのだろう。
あとは根腐れしている高僧達へのカウンターか……。
ザビエルによるキリスト教伝来は、前世の記憶が確かならもう終わってるはずであり、京に行った時に南蛮寺の跡地と紹介された場所もあったので、キリスト教は伝来しているはずである。
そもそもキリスト教は一夫一妻制の教えなので、俺のやっていることや俺の能力は邪教として扱われそうであるが……まぁヨーロッパが本拠地のキリスト教の宣教師達が俺を直接害する事は無いだろうが……。
信長様はたまに短い言葉に凄い意味を圧縮して命令してくることがあるから困る。
ただこの圧縮された命令をいかにクリアするかに出世がかかっているのでね。
とりあえず千宗易殿に連絡を取り、堺にて南蛮商人との伝手を教えてもらうところからになりそうだな。
頑張ってみることにするか。
信長様が温泉に入って数日後……俺は堺の町に居た。
千宗易殿に突然の来訪を謝罪しつつ、主命として南蛮人との繋がりを持てと言われた事を説明し、南蛮人を紹介出来ないか求めた。
千宗易殿は茶人仲間の伝手を使い、貿易を取り仕切っている男を紹介してもらい、信長様の命令ということで南蛮商人が滞在する商館を紹介してもらった。
中に入ると、異国風の作りで、外装は木造の建築であったが、内装は絨毯が敷かれていたり、ガラスの商品や香辛料なんかが色々並べられていた。
「コンニチハ、ナニカオサガシデスカ?」
片言の日本語で喋られる南蛮商人さんに商館で扱っている物を聞く。
商品としては明との密貿易で手に入れる絹製品や薬草、明の工芸品などや、東南アジアとの貿易で入手する香辛料や作物、そしてヨーロッパから持ち込んだ時計やガラス製品なんかを高値で販売していた。
で、どれも高いので品を購入していたらあっという間に金がなくなってしまう為に、南蛮商人からは地球儀と銀時計、聖書を購入し、少し世間話をしただけで、親密になるには至らなかった。
「うーむ、商人と親密になるきっかけ……となるとやっぱりキリスト教か?」
商館で聖書を購入したのは、キリスト教を知るために必要であると判断したからであるが、ポルトガル語で書かれたそれは俺には全く読めない。
なので堺の町にある南蛮寺を訪ねることにするのであった。
「アナタハ神ヲ信ジマスカ」
俺の相手をしてくれたのはルイス・フロイスという宣教師の方で、ポルトガル王宮にも仕えたことのある凄い人物である。
そんな人が何故日本にいらっしゃったのか疑問に思うが、通訳を担当してくれたロレンソ了斎という日本人修道士の方曰く、ルイス・フロイスの所属しているイエズス会は凄まじいエリート集団であり、異国で布教するために深い知見と教養を持つ人物しか布教活動はできないらしく、その能力をザビエルから認められたのが自分であると説明された。
ちなみにザビエルさんは10年以上前に中華の地で亡くなっているらしい。
『京を支配する足利様はキリスト教の事を良く思っておらず、布教活動をすることができません。なんとか将軍様に意見できる信長様に謁見することは出来ないでしょうか』
とルイス・フロイスさんに言われたので、信長様との面会をセッティングする代わりに聖書の和訳を教えてもらったり、海外情勢を教えて欲しいと願い出た。
ルイス・フロイスさんはそれを了承し、なんなら改宗しないかと言われたが、嫁が複数人いることを伝えたら複雑な表情を浮かべ、好色は罪だと言われたが、俺が種付けおじさんである以上譲れない点である。
流石に無理強いはしてこなかったが、そこだけルイス・フロイスさん的には気に食わなかったらしいが、逆にそれ以外は凄い評価された。
例えば種付けおじさんのチートで異国の女性でも落とせるトーク力から来ているのか、ポルトガル語を1ヶ月で日常会話ができる程度には習得。
現代日本の知識があるので、地動説の考えや地球が球体であることにも理解しており、この時代の日本より細かい時間の捉え方もすぐに順応。
で、ある程度仲良くなった時に水をローションオイルに変える奇跡や実年齢が20歳を超えてよりおじさんに近づいたからか、米を手で掴み力を込めると、おっぱい饅頭に、小麦粉を手で掴み力を込めるとおっぱいパンに、卵を手に持ち力を込めるとおっぱいプリンが現れる奇跡を見せた。
ルイス・フロイスはキリストが行った奇跡とは別の奇跡であるが、奇跡は奇跡として大興奮。
他の宣教師達からは奇跡で生み出される物が性を感じられる物として悪魔呼ばわりされたが、代表者であるルイス・フロイスさんはおっぱいや油は母なる物を意味するとして、新たなるマリアの誕生は彼の血筋から産まれる、と確信してしまったらしく、俺の半生を事細かく教えろと言われたので、正直に話す事にした。
これが戦国時代後に残る毛受又兵衛の一級史料となるとは俺は思わなかったが、起こしてきた奇跡とマリアを生み出す者……受胎告知をする者から転用されて、何故かガブリエルの転生者扱いされることがルイス・フロイス経由で広がり、それが八百万の神の日本的な価値観と結びつき、色々カオスなキリスト教的には邪教が生み出されることになるのだが……俺はまだ知らないのであった。