【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
玉と紅が丸々元気な赤ん坊に授乳している。
俺の子供達であるが、見るからにデカい。
普通3キロ前後の赤ん坊が普通であるが、産まれた時から俺の子供達は5キロ近くあった。
それを3時間程度の安産で産まれるのだからこのチートがいかに優れているか分かる。
というか戦国時代だと子供が幼いうちに亡くなってしまうこともあるので、頑丈かつ大きな赤ん坊が産まれるのはそれだけでアドである。
「しっかしデカいな又兵衛の子供は」
「利家殿の子供と比べると大きいですが……利家殿の子は女の子じゃないですか、女の子は大きいと醜女扱いされますから……」
「それは確かに……」
この時代160センチを超える女性は大女扱いで醜女とされてしまうのである。
180センチを超える女性は山女等の妖怪扱いされることもある。
まぁ現代感覚がある俺は大きい女性も20を超えて生き遅れ扱いされている女性もばっちこいであるが。
「しかし、牛の乳を使った料理って色々あるのだな」
「乾酪(チーズの和名)や発酵乳(ヨーグルトの和名)は気に入りましたか?」
「ああ、気に入った! 信長様が牛の乳を好んで飲んでいたが、この料理は更に気に入りそうだな!」
そう言って利家が食べていたのは塩ヨーグルトケーキである。
砂糖を使わないで、塩で味付けすることで菓子というより主食として食べられる。
クッキーも同時に作り、クッキーを砕いて底に敷き、土台とすることでより現代のヨーグルトケーキらしくなる。
「んん、ちょっとしょっぱいけど柚子の汁が効いていて美味しい!」
「はっはっは! 雫も気に入ったか」
「べ、別にそんなんじゃないし」
「正直になりなよ〜」
「そうですよ雫さん」
「わぁ! 玉、紅! それは私のだぞ! 食べちゃ駄目だ!」
「オヤジ殿、お土産持ってきました!」
ある日、俺と利家は柴田のオヤジ殿の家を訪ねていた。
「おお、よく来た。お土産とは何だ?」
「これですよこれ!」
俺はカゴを開けるとウナギが入っていた。
「ほう、立派なウナギじゃないか……でもウナギって泥臭いんだよな」
「今日のウナギは泥臭くないと思いますよ」
俺はそのままオヤジ殿に教えられて鍛錬を行い、昼時になる。
俺は食堂を借りて、ウナギを使った料理を作っていく。
このウナギは数日間冷水で泥抜きをしたウナギ達であり、泥臭さは抜けていた。
まずウナギを捌いていく。
皆がイメージする蒲焼のウナギの形を作り、身は串に刺して焼いていくのだが、捌いていく時に取り除いた骨をまず焼いていく。
カラッカラに焼いたら、ひょうたんに入れてきた、たまり味噌をベースに作ったタレを鍋に入れて骨と一緒に煮込んでいく。
骨の旨味がでたら骨を濾して、綺麗なタレになる。
そしたら串刺しにしたウナギの身をタレを付けながら焼いていけば完成である。
「いい匂いだな」
「美味しそう!」
いつの間にか集まっていたオヤジ殿と坊丸、それに利家が台所に集まって料理を見学していた。
最後に茶碗に飯をよそい、上に蒲焼を乗せて、たっぷりタレをかけたら完成である。
「「「「いただきます」」」」
俺達は食べ始めるが、自然と黙食になってしまう。
美味すぎで言葉が出なかった。
あっという間に食べ終わると、俺は味変としてもう一杯。
飯に細かく刻んだ瓜とウナギをまぶし、ウナギの骨と昆布で出汁を作り、それをかけていく。
それにわさびを少し乗せてお茶漬けの完成である。
「これも美味い! 飯が幾らでも進む!」
「瓜苦手なのですが又兵衛兄の作る料理の瓜だったら幾らでも食べられそうです!」
「又兵衛おかわり!」
「残念、米がもうありません……オヤジ殿、台所と米使わせてもらいありがとうございます」
「いやいや、泥臭いウナギがあんなに美味くなった理由とかあるのか?」
「泥抜きという作業をしました。井戸の水にウナギを入れて、泥を吐き出させて、それを何度か繰り返すのです。その間ウナギには何も食べさせないことで身が引き締まり、泥臭さも取れて味も良くなるのですよ。やり方は女中の方に教えてあります」
「ウナギであれば川で幾らでも捕れるからな。坊丸様、美味しいウナギがこれでたらふく食べられますな」
「権六(柴田勝家のあだ名)嬉しいです!」
「そうそう、これも渡しておかないと」
俺は木箱から木像を取り出した。
俺が掘った美少女の木像である。
前世のフィギュア作りで学んだ造形を活かしたエロ木像であるが、オヤジ殿はこれを凄く気に入っていた。
「おお……これまた見事な一品……」
「美しいですね……」
性的な目で見ているオヤジ殿とは対照的に、坊丸様は綺麗としか思ってなさそうである。
「ほい、小遣いだ」
「ありがとうございます」
オヤジ殿が女体木像を他の織田家臣達に見せ、それで興味を持った人がオヤジ殿経由で注文が入る。
それで俺が稼がせてもらっていた。
どうしても5石の畑だけでは利家一家や子供を含めて、10人を養うには収入が足りないのである。
なので米より安い小麦を買ってきて、小麦粉に挽いてパンを焼いたり、パスタやピザ、パイやタルトを作って食べていた。
でもやっぱり米を毎日食べたいので、早く戦にならないかと思っていた所で、趣味の女体木像が売れ始めて、1日1食は米が出せるようになったのだ。
あとは女性陣にも悪いが内職をしてもらっている。
草履や籠、お守りなどを作ってもらい、店に卸していた。
「やはり生活は苦しいか又兵衛」
「ええ、オヤジ殿の家臣になるのは無理ですかね」
「そうしたい気持ちもあるが、毛受宗家を儂としては優遇せねばならんからな……」
俺が地侍になれたのも毛受家に雫を嫁に出してくれたからであり、出世するにしても合戦で手柄を立てた場合を除けば、順序がある。
まずは毛受宗家から……これが普通だし、毛受の家の者はオヤジ殿の古参の家臣も多く、新参の俺が割って入るのは肩身が狭いだろうというオヤジ殿の考えもあった。
「なに、出世の期は必ず来る。それまで力を蓄えるのだ。焦るな又兵衛!」
「はい!」
年が明けて1561年の永禄4年……俺は数え年で13歳となり、ますます武芸に励んでいた。
他にも熊と相変わらずバトったり、鹿や猪を弓矢で射止めるのも上手くなっていた。
どうやら気配を消すことも俺は出来るらしく、鹿に気配を消しながら近づけば、触れるまで気づかれず、そのまま殺傷することが幾度も出来た。
熊や猪、兎や雉でも同じ事が出来たので、人間でも出来るか試し、利家に試しに気配を消して近づいてみたが、気づかれなかった。
「これは上手く使えば武器になる」
そう思った俺は気配を消すことを鍛錬に組み込み、冬の間忍者の様な修行もするのだった。
冬が明けて春先、田植えの準備を始める。
田植えの経験は前世で子供の頃に祖父母の実家で手伝わされた経験があったが、都心に住むようになってからはしていなかった。
しかし、某アイドルが農業をやる番組と農林水産省が推薦していた田植えゲーをやっていたおかげでやるべきことはわかっている。
まずは田んぼ作り。
小川に面した土地なので、水を張りやすい。
水路は冬の間に整備し、牛糞や馬糞で作った肥料で土の栄養分を整えていく。
確か米ぬかを使った肥料もよく効くらしいので、今年米がよく穫れたらやってみよう。
そしたら次は米の選別。
種籾を塩水(生卵がギリギリ浮かぶ程度の濃度)に浸けて、沈んだのを田植えに使う。
次に冷水で浸して発芽を促し、木箱に土を敷き詰めて、その上に種籾を撒いていく。
結構びっしり敷き詰めても大丈夫で、木箱に敷き詰めたら、陽の光が少し当たる納屋に空気の通り道を作りながら段々で置いていく。
あとは適度に水を撒いてやり、発芽を待つ。
約1ヶ月程度で緑の絨毯になっているので、苗を木箱から出して、水でひたひたにした田んぼに植えていく。
「ちょっと! こんな辛い作業をしなきゃいけないの! 種籾撒いて終わりで良いじゃない!」
「米の収穫量が段違いになるの! 良いから植えてくれ!」
俺の家族だけでなく、利家一家にも手伝ってもらい、正条植えと呼ばれる田植えの方法で苗を植えていく。
俺もこの時代に来て知ったが、種籾を撒いて、育つのを待つというやり方が普通に行われており、苗を植える地域もあったらしいが、俺達みたいに正条植えでは無く、乱雑に植えるやり方をしていたらしい。
農法が進歩したのは江戸時代から明治になってからと聞いたことがあるが、戦国時代は農法がまだ未成熟だとまざまざと見せつけられていた。
ただ苦労しながらも俺の田んぼに田植えは終了し、あとは水量を調整しながら育つのを待つ。
そうこうしていると、信長様が兵を集めているという情報を掴み、俺と利家は合戦の支度をして参陣するのであった。
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