【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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お市の又兵衛領での生活 2

 栗畑と呼ばれる場所に到着すると、栗の木がそこら中に植えられており、イガ栗が地面にいっぱい落ちていた。

 

「栗がいっぱい落ちてますね……あれ? 栗ってこの季節でしたっけ?」

 

 栗の季節はもう1、2ヶ月早い感じがしていたが……。

 

「ここの栗はなぜか知らないけど、年に3度実るのよね。春と夏の終わり、そして今年最後が今ごろなのよ」

 

「へぇ……」

 

 火ばさみ(トング)を雫さんより借りて、栗を次々に拾っていって、あっという間に籠がいっぱいになる。

 

「これでよし」

 

「まだ多く転がっていますよ」

 

「村の人達の取り分も残しておかないと。領地は又兵衛管轄だけど、村の人達の貴重な食材でもあるからね。まぁ食べきれない事が殆どだけど」

 

「そうなのですね」

 

 栗拾いなんてしたことが無かったが、やってみると案外楽しい。

 

 茶々や初も大きくなったら体験してみてほしい。

 

「悪いわねお市様。付き合わせてしまって」

 

「市でいいわよ。今は同じ旦那の嫁でしょ。しかも正室は雫の方じゃない」

 

「じゃあお市って言うわよ……良いわね」

 

「ええ、よろしくね雫」

 

 栗の入った籠を馬に乗せて、私達は屋敷に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 屋敷に戻った私の前には昼食が並んでいた。

 

「ちゅ、昼食!?」

 

 普通二食が基本なのに、又兵衛の家では三食も出るのか……そりゃ子供達が大きく育つわけだ。

 

 お昼は家臣の皆さん達とも食べるみたいで、屋敷には人が溢れかえっていた。

 

 調理場では家臣の皆さんが忙しそうに料理を作っている。

 

「はい、山菜の天ぷらそばだよ」

 

 はじめさんが私の分も持ってきてくれた。

 

 茶々がテチテチと私に歩み寄って

 

「ハハ様! 楽しかった!」

 

 と午前中は他の子供達と遊んでいたらしく、満面の笑みを浮かべていた。

 

 小谷城では姫として大切に育てられていたのと人質として部屋の中から出してもらえず、毎日つまらなそうにしていたので、こうして同じくらいの年の子と遊ぶのは新鮮なのだろう。

 

 初は私が居ない時も鈴さんと屋敷で雇われているおばさん達に面倒をみてもらっていて、私は自由に動くことが出来た。

 

 午後は初の事を見ないと……。

 

「はい、あーん」

 

「あーん!」

 

 茶々にそばを食べさせるが、茶々もチュルチュルと温かいそばを食べていく。

 

「美味しい?」

 

「うん!」

 

 私もそばと言う麺料理を食べてみるが、確かに美味しい。

 

 それに麺の上に乗っている天ぷらなる料理もサクサクしていてとても美味しい。

 

 あっという間に食べ終わり、茶々はまた子供達と遊びに出かけてしまい、屋敷は小さな子供達とその面倒を見るおばさん達ばかりになってしまった。

 

 雫は拾ってきた栗をイガから出して、虫食い等を選別し、熱湯に浸けて、皮を剥き、中身を取り出してから水でアク抜きをする。

 

 こうすると甘みがより引き立って美味しいらしい。

 

 私は小さい子供達の面倒を見る事になったが、子供達は寝台(ベビーベッド)の中に入れられて、出ないようにさせられている。

 

 昼食で乳をあげたばっかりなので、殆どの子供が昼寝をしている。

 

 2歳くらいの大きい子は寝台では無く布団という温かい寝具の中で眠っている。

 

「今が一番子供達が寝静まっている時間なのよ。可愛いですよね」

 

「鈴さん、初に乳を与えてくださってありがとうございます」

 

「いえいえ、お市様のお子さんに私の乳を与えられて……名誉な事です」

 

「名誉だなんて……でも不思議ですね。又兵衛の奥方の皆さんは仲良さそうで」

 

「まぁ……夜で分かると思いますが全員で挑んでも負ける性豪なので」

 

「凄かったです。腰がガクガクしてしまって」

 

「で、朝起きると綺麗さっぱり無くなりますよね」

 

「そうそう! ビックリしました! あれって又兵衛が上手だからってことですか?」

 

「そうそう。又兵衛様の手腕が上手いからかと。私も忍びとして色々学びましたが……又兵衛様より技術のある人居ませんし」

 

「そうなのですね。前の旦那と比べると又兵衛が上手で」

 

「前の旦那のことは忘れてしまいましょう! 今は又兵衛の妻なのですから」

 

「はい!」

 

 妻の皆さんも年齢が私と同じくらいなのもあり、すんなり受け入れてくださった。

 

 侍女を付けるか又兵衛から言われたが、この調子であれば侍女は必要無いかな。

 

 私も初めて自由に動けるから。

 

 

 

 

 

 

 

 夕方になると、子供達を連れて温泉に向かう。

 

 信長兄様より又兵衛の温泉の事は聞いていたが、こうして入るのは実は初めてだ。

 

 浅井でも風呂に入ることは無く、濡れた手ぬぐいで侍女達に体を拭かれるだけだったし。

 

「おお! 広い!」

 

 私が思っていたより温泉は広く、200人近くの人数が浸かっても何も問題ないくらいの広さがあった。

 

「前にご主人様が湯源の拡張をして、更に温泉が広がったんですよ。前まではもう少し狭かったんですがね」

 

 そう言うのは文さん。

 

 私と同じく武家の姫だったらしいが、今では普通に又兵衛の家族に溶け込んでいる。

 

 長い髪は1人で洗うのは大変なので、温泉に控えている女性に髪を洗うのを手伝ってもらう。

 

「これは……油?」

 

「はい、又兵衛様がお作りになった濯ぎ剤です。洗った髪にコレを付けると髪に光沢ができ、艷やかな肌触りになるのですよ」

 

「へぇ……」

 

 髪と背中を洗ってもらい、手ぬぐいで体を洗っていく。

 

 石鹸が普通に置かれていたが、油を作る時の廃油で石鹸を作っているので、他より安く手に入れられるらしい。

 

 それでも毎日石鹸で体を洗うことができるのは凄い贅沢だと思うが……。

 

 なるほど、信長兄様が又兵衛の温泉に行きたいと言っていた理由がよくわかりました。

 

「洗い終わりましたよ」

 

 髪をお湯で流すと、確かに髪が輝いて見える気がする。

 

「温泉では髪を湯船に浸けては行けないという決まりがありますので、髪を結ばせてもらいますね」

 

 そう言われて紐で髪を結ばれてしまった。

 

 茶々の手を繋いで湯船に浸かってみると、ぬるま湯で、気持ちが良いが、もう少し温度があっても良いように思える。

 

 茶々には丁度良いらしく、手をバタつかせて遊んでいる。

 

「ここはぬるいでしょ、私が見ておきますのでお市様はもう少し湯源に近いお湯に浸かってくればどうです?」

 

 白さんにそう言われ、お言葉に甘え、私はもう少し高温の湯に浸かる。

 

「おお!」

 

 他の奥方達が浸かっている温泉に入ると、体の内側から邪気がでていくような感覚がした。

 

 乳白色の湯に浸かった肌は餅の様に滑らかになり、浸かっている奥方達の肌も美しく見える。

 

「葡萄酒風呂もあるわよ? 入ってみる?」

 

 雫さんに言われて、案内されると真っ赤に染まった湯船があった。

 

 入ってみると葡萄の香りがし、体の芯が温まっていく感じがする。

 

 十分に堪能した後に湯から上がり、掛け湯というお湯で体を流し、体を拭いて外に出る。

 

「茶々、気持ちよかった?」

 

「うん! 凄い気持ち良かった! ハハ様!」

 

「よかった」

 

 茶々も満足しているらしい。

 

 すると夕食時になり、又兵衛が調理場で部下を指揮して料理をしている。

 

 出された食事はひき肉の固め焼き(ハンバーグ)に午前中に見たちーずと卵を焼いた物(目玉焼き)を乗せたのにわさび醤油をかけた物、鶏の肉にネギの緑の部分、生姜を加えた鶏ガラ汁、オクラと昆布の和え物、芋から作ったよくわからない食べ物(ポテトサラダ)にご飯、麦茶が出された。

 

 食べてみるとちーずのまろやかな味と卵の黄身がとろっとしていて、肉の臭みを消している。

 

 なので肉に苦手意識がある茶々も私が食べると、真似て箸の代わりに持たされた小さなお玉(スプーン)と槍(フォーク)を使ってひき肉の硬め焼きを食べていた。

 

 食べさせてもらうじゃなくて、自分で食べるという経験は茶々にとって新鮮で、美味しそうにパクパク食べていく。

 

 私もご飯と一緒に食べてしまった。

 

 そして白いよくわからない食べ物(ポテトサラダ)が気になり、一口……これがひき肉の硬め焼きと絶妙に合う。

 

 一緒に食べることでわさび醤油が白いのに絡み合って味に深みを持たせてくれる。

 

 和え物も口の中の油っぽさを洗い流してくれるし、鶏ガラ汁は薬の様にお腹の中を整えてくれる。

 

「ふぅ……ご馳走様でした」

 

「ごちしょうさまでした!」

 

 茶々が私の真似をする。

 

 初に乳を与え、茶々が他の子達を真似して、食べたお盆を洗い場に運んでいくのを見て、ああ、浅井よりこっちに来て良かったと心の底から思うのであった。

 

 そして夜は又兵衛が嫁全員を集めて性行為に励むが、雫さんが言うように底なしの性豪で、私達全身精液と汗でドロドロにされてしまったが、又兵衛は涼しい顔をして夕食で残った麦茶を飲んで、月見をしていたのだった。

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