【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
冬の間に信長様は俺の織田一門入りとお市を俺に嫁がせることを大々的に発表。
岐阜城にて、盛大な婚姻の儀が執り行われた。
「市、なんだか肌艶がよくなっては居ないか?」
「又兵衛に毎日体を揉んでもらっていますし、温泉に浸かっているからではないですかね! 信長兄様、酷いですよ。又兵衛の料理滅茶苦茶美味しいじゃないですか! それを黙っているなんて」
「悪い悪い、でも婚姻が近かった市に馬の料理を食べさせたら、浅井との結婚生活が退屈な物になると思ってな」
「十分退屈でしたよ。その分、これからは自由にやらせてもらいますが」
「馬は1年は市から離さんと約束しよう。馬! 来年は市と子作りに励め、それが任務だ」
「はい!」
織田家家臣達はお市が織田家に帰ってきたことを喜ぶ反面、俺に嫁ぐことに嫉妬する者も多かった。
ただ、昔からお市の事を好きだと公言していた柴田のオヤジ殿が、若い2人を見守ってやらんかと一喝。
それに武功を立てれば自身の息子にお市の娘を娶らせて、お市と親族関係になれるかもしれないではないかと言うと、若い男達は単純だからやる気を漲らせていた。
お市との婚姻の儀も無事に終わると、本格的な冬が到来してくるのであった。
雪が降り積もる中、子供達は元気に雪合戦で遊び、家臣の男達は雪が降る中鍛錬を続ける。
冬と言えばほうれん草が美味しい時期。
ほうれん草も前までは薬草扱いであったが、熱田の薬草園から取り寄せて、増やした結果、近年だと冬から春にかけてはよく食べる野菜になっていた。
俺は増えた豚の間引きを行い、大量の豚バラ肉を確保し、しゃぶしゃぶを決行。
大きな鍋に薄切り豚バラ肉をしゃぶしゃぶして、自家製ポン酢と自家製胡麻ダレを選んで付けて食べていく。
これがご飯を進ませる。
ポン酢は鰹節、どぶろくを濾した酒、酢、醤油を混ぜて、酒気を熱で飛ばして濾せば出来上がり。
もっと果汁を効かせたかったら、ゆずの果汁に醤油、昆布と鰹節を入れた壺を1週間寝かせてから濾せば、より現代のポン酢に近い味わいになる。
まぁ下のは柚子ポン酢と言われるのに近いが……。
胡麻ダレは卵からマヨネーズを作り、マヨネーズ、醤油、蜂蜜、胡麻油、白すり胡麻、酢を混ぜると胡麻ダレの完成である。
昆布のだし汁で湯がいて、タレに付けて食べる……ご飯にバウンドさせれば、タレがご飯に染み付いて進む進む。
家臣達も我先にと肉を食いまくっている。
「菊八、美味いか?」
「はい! 又兵衛様美味しいです!」
初陣から4年……そろそろ5年か。
菊八達は何戦もの戦を経験して、立派な若武者に成長し、最初の頃は女になりたいなどと言っていた菊八も、今では身長180センチ近くの巨漢に成長し、馬上で大槍をぶん回すほどになっていた。
「藍とは上手くやっているか?」
「あ、はい!」
菊八と結婚した元孤児の藍であるが、彼女は現在第二子をお腹の中で育てていた。
菊八が戦で居ない時は家で侍女みたいな働きをしてくれて、家を守ってくれていた。
「又兵衛様に拾ってもらえたおかげで、俺も今では足軽大将にまで出世できました! これからもどうかよろしくお願いします」
「おいおい、菊八。足軽大将程度で満足しないでくれよ。将来は数万石を管理してくれるくらいの武将になってほしいんだから」
「その頃には又兵衛様は国持ちですかね……」
「そうなりたいな。国持ち大名ほどにな」
菊八、熊部、猿飛、栗犬、高雉の5名はよくやってくれている。
最古参の家臣だから贔屓目に見ている気もするが、身分は全員足軽大将として百名近くを統率する部隊長。
俺の副官として武将に返り咲いた島、侍大将の稲葉に次いで高い位置にいる。
まぁ他にも足軽大将はいるが、彼ら5名が能力的に飛び抜けていた。
下での苦悩を知っているし、島から部隊運営のやり方も学んでいる。
なにより皆若いので、伸びしろたっぷりである。
信長様が親衛隊を率いて若手を育てていた気持ちがよく分かる。
前世では得れなかった感覚だ。
育成ゲームに近しい感覚かもしれない。
いやでも、熊を単騎で殺せる武勇、百人程度なら部下を操れる統率、政務も無難にこなすことができる。
よく育ったものだ。
「うめうめ!」
そこで飯を食っている大蔵長安も良い拾い物をした。
文官の家臣達と協力して、今年の年貢は大きな混乱もなく終えることが出来た。
ただ今年は上流で精子の放流をしなかったからか、収穫量は前年に比べて落ちている。
それでも一度品種改良された米は大量の米を実らせて、他所だと大豊作というべき収穫量を加茂村は記録したと聞いていた。
これを他の農村でも来年できれば収穫量を1.5倍……いや、2倍にはできよう。
まぁ信長様は朝倉が滅んだら朝倉領土の何処かを与えるつもりらしいので、ここで領地運営の練習をしろってことだろうか。
あとは来年は余力があるので砦程度の規模しか無い堂洞城の改築もしないといけないな。
俺の後に城主になる人が今の堂洞城を見たら相当落ち込むだろうし……。
「よし、やるべきことは見えた。大蔵、飯食べたら領内を回るから着いてこい」
「は!」
大蔵長安と的場昌長を引き連れて領地を確認していく。
「ふーん、美濃は山の中の領地だから栄えていないと思っていたけど、そういう訳ではないんだね」
的場がそう言うが、表石高二万千石だと広さ的には現代の加茂市と川辺町という町を合体した程度の広さであり、徒歩でも3時間で横断できるほどの広さである。
大蔵に周囲の山を探ってもらったら、銅鉱山があることが判明していたが、銅を採掘すれば、鉱毒が川に流れる可能性があり、採掘するのは辞めておいた。
ただ農業に適した領地は広く、ほどよく川に面していることもあり、水田にするのも適している。
忍び衆が検地した結果、水田に適した土地は約1500町、普通の畑が700町ほどであると判明している。
1町=10反=10石がこの時代の常識なので、不作でなければ1万5千石は堅いというのが分かる。
村は加茂村を合わせて12村。
人口は1村約600人の7200人ほど。
半数が女とし、更に半数が子供や老人とすると、1800人が労働人口となる。
動員する時は約千人が戦で取られることを考えると、残るは800人……800人で後方を支えられる体制を作らないといけないわけか……戦国時代だなぁ。
「的場、鉄砲鍛冶は呼べそうか?」
「えぇ、声かけたので腕利きの3家が移住してくれることになったよ。僕を褒め称えて欲しいな」
「流石だね。それで鉄砲の生産数はどれぐらいになりそう?」
「うーん、年100丁が限界じゃないかな。更に生産量を増やすとなると、追加で職人を呼ばないといけないね」
「鉄砲は将来沢山必要になるからなぁ……その職人達には鉄砲を作れる人物を育成する様に伝えて欲しい」
「わかった! 僕に任せてよ」
「大蔵は冬の間に城作りの普請を行うから、人夫を雇う金と彼らを食べさせる食料の準備に取りかかってくれ」
「普請なら無償で人夫を働かせるのが普通では?」
「それでは人夫のやる気が上がらんし、金を領地に回すにはこれが良い。知り合いの熱田や津島商人に声をかけておくから、彼らに食料調達すると良いよ」
「わかりました」
さて、始めるか!
種付けおじさん的領地改革を!
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