【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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調味料と変態の魚 カツオを添えて

 冬の期間は様々な調味料の仕込みが捗る時期。

 

 寒さによって腐敗する菌の活動を抑制しつつ、適切に処理すれば発酵を助けてくれる。

 

「まずは柿酢だね」

 

 普通の酢は米を使って作るのに対して、柿酢は汚れを落とした柿のヘタを切り落として、潰し、壺に詰める。

 

 時々混ぜながら待っていると、柿から水分が溢れて、炭酸の様にブクブクしてくる。

 

 これが発酵が進んでいる合図で、1カ月程度寝かせてから、ザルで濾せば柿酢の完成である。

 

 米酢より色が薄いのが特徴で、柿から作るので、やや甘みが強くなる。

 

 酢を使う料理には勿論、甘さが出るので酢飯と相性が良く、混ぜ寿司や押し寿司なんかに使うのが良い。

 

 水で薄めて飲むのでも健康促進に役立つので、鈴なんかは柿酢を薄めたのを良く飲んでいる。

 

 他にはウスターソースを少量ながら作ることができたり……。

 

 昨年ルイス・フロイスから譲ってもらったトマトとセロリ、玉ねぎが生きてくる。

 

 蜂蜜を火にかけて、キャラメル状に焦がしたら、水を入れる。

 

 細かく刻んだ玉ねぎを炒めていく。

 

 次にセロリ、トマト、生姜、ニンニク、観賞用として栽培されていた和りんごを細かく刻んで炒めた玉ねぎと野菜達を焦がした蜂蜜を水で薄めた鍋に全部投入。

 

 唐辛子と胡椒を入れて煮込んでいく。

 

 1時間煮込んだら濾して、醤油と塩で味をつけ、更に煮込んでいき、最後に米酢を加えて5分間かき混ぜながら煮込んだら完成である。

 

 現代のウスターソースに比べるとスパイス類が入っていないので味にパンチが乏しいが、現代の味覚と戦国時代の人の味覚はだいぶズレがあるので、正確にはウスターソース擬きであるが、十分美味しいソースに仕上がった。

 

 このウスターソースをそれぞれの用途に分けて使っていく。

 

 例えばお好み焼きソースの場合はトマトと玉ねぎ、ニンニクを使ったトマトソースを加えると、現代のお好み焼きソースに近くなり、そこに醤油、蜂蜜を加えて水で少し薄めるととんかつソース。

 

 ウスターソースにトマトソース、水とバターを加えて煮詰めればデミグラスソース風に早変わり。

 

 焼きそばソースも似た要領で作れるので、料理の幅が広がった。

 

 トマトソースが作れるということはベーコンを加えたトマトソースパスタも出来、トマトソースに柑橘系の汁、蜂蜜、塩、胡椒を加えるとケチャップ風にすることも出来る。

 

 ケチャップとくればマヨネーズも作れる。

 

 前にも少量作っていたが、卵黄、米酢、塩、油、胡椒を混ぜ合わせると自家製マヨネーズの完成である。

 

 酢の分量を多めにすると殺菌作用が効いて比較的長く保つが、2カ月以内に消化した方が良いな。

 

 ここにそら豆があれば、そら豆を細かく潰して、米麹、塩、細かく刻んだ唐辛子を混ぜ合わせて壺に入れて寝かせ、半年経過すると麻婆豆腐でお馴染みの豆板醤が完成する。

 

 これで中華料理の幅も広がるし、揚げ物に掛けても美味い。

 

 あと作れる調味料はワインビネガー。

 

 赤ワインが湧き出る壺からワインを拝借し、柿の皮をワインに入れて壺に漬ける。

 

 これは温かいところに置いておくと良いので、鶏の孵化器近くに置いておき、アルコールが飛んで少し酸っぱくなっていれば、濾して完成である。

 

 ビーフシチュー、ハヤシライス、ローストビーフ、煮込めばステーキソースと相性抜群。

 

 和洋中の調味料が揃って俺は大満足。

 

 これらの調味料を使った1週間の料理は豪華だった。

 

 初日は豪華にポークステーキから始まり、ソーセージを使ったナポリタン、腹を整えるために鰻を使ったちらし寿司、マヨネーズを付けて食べる唐揚げに、麻婆豆腐、最後の日はとんかつで締めた。

 

 家臣達も子供達もこの1週間は毎日大興奮で、おかわりが相次いで、あっという間に調味料を使ってしまった。

 

 今年は俺も田畑の管理ができるので、収穫量を増やし、調味料の増産ができるようになるだろう。

 

 ちなみに、この1週間信長様に毎日美味しい物が出ますと前々から言っていたら、毎日温泉に入ってから飯をたかっていた。

 

 政務の方は大丈夫か心配だったが、先に仕事を終わらせてから来たと自慢げに語っていたので大丈夫だろう……。最終日だけ来た堀がゲッソリしていたので堀が酷使されたのは顔を見てわかり、お土産にウスターソースの壺をあげるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「海だ!」

 

 ある日、俺は海に菊八達元孤児連中を連れて釣りに来ていた。

 

「鍛錬ばっかりも大変だろうからな。たまには息抜きをしないと」

 

「それで釣りですか?」

 

「正直海の幸が食べたくなった……大量に釣って、家族に魚をたらふく食わせるぞ」

 

「「「おー!」」」

 

 川釣りは結構するが、海釣りは今世では熱田に居た頃に少しやった程度で、数年ぶり。

 

 孤児連中は初体験らしい。

 

 現地の猟師にお金を払って釣りのやり方を教わり、釣りを開始。

 

 今回使用する餌は大量のミミズ。

 

 前日に俺が種付けおじさんの能力を使って大量に捕獲しておいた。

 

 釣り針にミミズを突き刺し、海に垂らして魚がかかるのを待つ。

 

 ちなみに釣っている場所は岩礁で、色々な魚が住んでいる場所である。

 

「おっ! さっそく引いた!」

 

 俺の竿に当たりが来たので引いてみると、大きな黒鯛が釣れてしまった。

 

「いきなり大物かよ」

 

「流石又兵衛様!」

 

 海水を入れた桶に黒鯛を入れて再び糸を垂らす。

 

 するとまた黒鯛が釣れた。

 

 これが2度なら偶然だが、10分かからずに5匹釣れると絶対種付けおじさんの能力が悪さしている。

 

「黒鯛……黒鯛……あ、変態するからか……」

 

 黒鯛は性転換する魚で、大きくなるとオスからメスに変わるのである。

 

 俺が釣った黒鯛は皆大きく、メスに変態したやつだろう。

 

「種付けおじさんのチートやろなぁ……」

 

 黒鯛は煮付けに昆布締め、塩焼きでも美味しい魚なので、釣れる分にはありがたい。

 

 菊八達は黒鯛ではなく、メバルやカサゴなどが釣れていた。

 

「そろそろ別なのも釣りたいが……」

 

 そう思って釣り糸を垂らすと、またヒット。

 

 今度釣れたのはタコであった。

 

「これまたわかりやすい……」

 

 触手系の怪人としてエロ同人に登場することも多いタコがここで登場。

 

 無事に食卓送りである。

 

「うお! これは大きいねぇ」

 

 猿飛が大物に引っかかったらしく、一気に竿を引き上げると、巨大な魚影が見えた。

 

 網で掬うと、1メートル超えのスズキが釣れた。

 

 岩礁で釣れることは滅多に無いが、海釣りをしていたら引っかかる事のある巨大魚スズキ……出世魚としても有名で、体の大きさでセイゴ、フッコ、スズキと名前が変わっていく。

 

 白身魚で刺身も美味しいが、フライにすると淡白な味わいで滅茶苦茶美味くなる魚である。

 

 釣りを続けること半刻(1時間)……俺は黒鯛20匹、タコ5匹。

 

 他の連中もスズキ2匹、ヒラメ、カレイ、エイ、カサゴ、メバル等が釣れていた。

 

 大量に釣れたし、そろそろ帰るかと思った時に大物がヒット。

 

 ふんぬと竿を引き上げると釣れたのはカツオ……なんでこんな所に居る。

 

「カツオ……絶対イタリア語の陰茎からだよなぁ」

 

 イタリア人にカツオと発音すると陰茎と聞こえるという話を何処かで聞いていたが、まさかカツオが本当に釣れてしまうなんて……。

 

 何が起こるかわからんな。

 

 とりあえず釣れてしまった物はしょうがない。

 

 全部の魚を脳締めを行い、樽に詰めたら、荷台に乗せて運んでいく。

 

「大漁でしたね」

 

「ああ、これだけ釣れれば色々料理が作れるだろうよ」

 

 そう言うのは毒針の尻尾ごと切断した巨大エイを背負った熊部であり、俺がそう返す。

 

 道中エイを背負った熊部を奇妙なものを見る目で周囲から見られながら、美濃に帰るのだった。

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