【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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長男の元服として熊と戦わせる

 1572年が始まり、信長様に正月の挨拶をするために岐阜城に赴いていた。

 

「お、兄弟久しぶりじゃな」

 

「(松永)久秀殿、お元気そうで何よりです」

 

「いや、年には参った。最近女と寝ても、息子の立ちが悪くてのぉ」

 

「いやいや、良ければ血流を良くする按摩(マッサージの和名)を致しましょうか?」

 

「それはそれは……是非とも受けさせてもらおう」

 

 そんな会話をしながら、信長様の元に挨拶に向かう。

 

 信長様の表情は険しかったが、俺を見た瞬間に機嫌が良くなった。

 

「おお、馬、市は元気か?」

 

「はい、手紙で伝えた様に、女の子を出産し、肥立ちも良好です」

 

「そうか、そうか。市からも惚気の手紙が度々届くからな。じゃが、余もじゃがいもを使ったぴざなる料理を食べたいぞ!」

 

「今度温泉にいらっしゃった時に食べられるように用意しておきますよ」

 

「うむ、そうか。であるならば良し!」

 

 正月の挨拶をし、食事会となり、正月のおめでたい料理を食べていく。

 

 正直味が薄い。

 

 畿内から来ている人達は尾張や美濃の濃い味付けより、薄い味付けの方を好んでいるので、彼らに馬鹿にされないために薄い味付けの料理を食べるが……物足りない。

 

 信長様の機嫌が悪かったのは今回の料理が味が薄いのを知っていたからだろう。

 

 信長様は濃い味付けが好きだし……。

 

 新参の家臣達はなぜ信長様の機嫌が悪いか分からずにビクビク震え、古参の家臣たちは何時ものことと流した。

 

 会食が終わると、俺は約束通り松永久秀殿にマッサージをしていくが、人生50年と言われる時代で、既に63歳になる久秀殿の身体は至る所がガタガタになっていた。

 

 ローションオイルを垂らしながら、全身くまなくマッサージをしていくが、コリが酷いこと酷いこと……。

 

「灸をしたりしているんだが、疲れが最近取れなくてな。体の張りも酷い」

 

「今ほぐしていますからね……」

 

「おお、活力が内側から湧いてくる」

 

「腕の良い按摩師を雇った方が良いですよ。久秀殿はこれからも織田家に必要な方なのですから」

 

「これからも必要か……眩しいな兄弟は」

 

「ん? どうかされましたか?」

 

「いや、なんでもない」

 

 松永久秀殿は何か汲むような言い方をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 正月が終わると、俺は信長様に言われて兵4千を率いて出陣し、横山城の秀吉殿と合流をした。

 

 秀吉殿が調略を行なって、浅井家臣を裏切らせていく傍ら、俺は浅井の居城である小谷城近くに附城……砦を建設して牽制する事を行った。

 

 既に浅井の支配領域は最盛期の10分の1以下に低下していたが、信長様は更に支配力を弱めるために徹底的に弱体化工作を行った。

 

 昨年秋にも田畑を焼いたが、冬場のこの時期に秀吉殿の軍が村々の家屋を放火し、復興しようとしていた人々を妨害して、浅井領内に人が集まるのを阻止していた。

 

 附城は1ヶ月で1ヶ所建築するペースで、田植え前に3ヶ所整備し、他の家臣とバトンタッチして3月過ぎに、俺は美濃に帰還し、じゃがいもの収穫と田植えの準備に取り掛かるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 じゃがいもは流石に俺の田畑より収穫量は落ちたが、それでも村人達が毎日食っても食いきれないくらいの量が収穫でき、チンゲン菜も豊作、玉ねぎは可食部の鱗茎が3つ連なった串に刺した団子みたいな姿になり、品種が変わって食べられる場所が増えてしまっていた。

 

 長ネギの食べ方は分かるが、玉ねぎの食べ方がわからない人達が多かったので、長期保存できる玉ねぎの食べ方を伝授。

 

 まず玉ねぎを食べやすい大きさに切り、最近俺の影響で栽培が広まったニンニクと唐辛子を細かく刻む。

 

 刻んだニンニクと唐辛子、水、醤油、あれば蜂蜜を鍋に入れて煮込む。

 

 それを適当な壺に切った玉ねぎと酢を一緒に入れると焼肉屋で出てくる玉ねぎの漬物の完成である。

 

 日持ちするので、常温でも夏場でなければ1ヶ月は持つ保存食である。

 

 他にも玉ねぎは味噌汁に入れたり、炒めのもにしたり、そのまんま焼いたり、蒸し焼きにしても美味しい。

 

 特に玉ねぎは酢、じゃがいも、味噌と相性が良く、大量に取れたじゃがいもと一緒に味噌汁を飲めば消化を助ける働きをし、夏場の食欲がわかない時期でも食欲増進につながり、酢漬けにすれば、血液をサラサラにする効果があるので、生活習慣病の改善や体内の血栓をできにくくする働きがある。

 

 食肉用に育てられてないので、硬い肉質になりがちの牛肉も玉ねぎ、ニンニクと漬け込む事でシャリアピンステーキ風にすれば、玉ねぎのタンパク質分解酵素の働きにより柔らかく食べやすい肉質に早変わり。

 

 これは信長様や柴田のオヤジ殿が玉ねぎの収穫後に肉が食べたいと言ったので、シャリアピンステーキを食べさせたところ、目をカッぴらいて、美味いぞーっと叫びながらステーキ3枚とご飯5杯を平らげてしまった。

 

 そんな食べ盛りの運動部員じゃないんだからと思ったが、頑丈な胃袋を持つ彼らは胃もたれすること無く、食べた後にも元気に温泉に入っていたが……。

 

 そんな出来事がありながら田植えの時期。

 

 今年も正条植えで、多くの人の手により苗を植えていった。

 

 勿論俺も参加し、豊作を祈る。

 

 あと、田植えに前後して、うちの長男の元服を行う。

 

 一応体裁は雫の養子になり、津田家家臣かつ毛受家の分家を立ち上げるという凄くややこしい感じになったが、過去にお世話になった左近様こと下方貞清様より貞の字を頂くことと、烏帽子親(元服の際に烏帽子と言う帽子を乗せて貰う人)をやって貰い、長男は毛受高貞(たかさだ)と言う名前になった。

 

「高貞、これから一端の武士として働いてもらうからな」

 

「はい! 父上!」

 

「よしいい返事だ! ではさっそく元服を済ませた事だし、儀式を行う」

 

「儀式……ですか?」

 

 俺は高貞と一緒に森の中を進むと、熊に出くわした。

 

「何を使ってもいいから熊を倒せ」

 

「いやいやいや、無理ですって!」

 

「俺は8歳で熊を倒した。俺と違い、よく食べ、よく鍛え、10を超えている高貞ならきっと勝てるから」

 

「本気ですか!」

 

「本気も本気。倒せなかったら毛受家の男子失格だぞ」

 

 ガウっと熊が高貞めがけて、襲いかかってきたが、高貞はがっぷり四つに胸を密着させて、腰に手をかけた状態で組む。

 

 熊はそのまま高貞を食い殺さんと肩にかぶりつこうとするが、高貞は

 

「えいやぁ!」

 

 と巴投げ。

 

 熊は吹き飛ばされて木にぶつかると、高貞は熊の顔面に渾身の蹴りをお見舞いした。

 

 すると熊の首が変な方向に折れて、血の泡を吹いて動かなくなる。

 

「ふぅ、ふぅ、ふぅ……」

 

「よーし、よくやった高貞。これでお前も立派な武士だ」

 

「父上勘弁してください。死ぬかと思いましたよ」

 

「でもこれくらい出来なきゃ戦で死ぬぞ。ほれ熊に勝った祝だ」

 

 俺は高貞に特注の太刀をプレゼントする。

 

 全長160センチ、重さは7キロにもなる大太刀で、斬る力も優れているが、叩きつぶすというのも合ってるように思える。

 

「これを俺が」

 

「試し斬りしてみろ」

 

 高貞は近くの竹に狙いをつけると、えいやと斜め切り。

 

 するとスパンと綺麗に竹が斜めに斬られ、切った上の部分が地面に突き刺さる。

 

「おお……」

 

(種付けおじさんの子供もまた種付けおじさんになる素質を引き継いでいると見る。高貞のイチモツもこの年にして20センチ超えの極太サイズ……それに俺譲りの怪力に熊と戦っても勝てる戦闘能力……あとは政務を教えていけば、自分の家を盛り立てていけるだろう)

 

 息子の成長に満足する俺であった。

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