【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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じゃがいもによる戦略的攻撃

「又兵衛、この芋が対浅井の切り札になると……そう言っておるのか?」

 

 俺は信長様にある程度の量を供給できるようになったじゃがいもを紹介していた。

 

「これはじゃがいもと言いまして、南蛮商人から取り寄せた芋になります。芋部分以外が毒になっているという毒芋なのですが、適切調理すれば大変おいしくいただけるという性質を持っています」

 

 信長様はその説明だけでピンと来たらしい。

 

 他の家臣の方は危ない芋なのではないかとざわついているが、俺は説明を続ける。

 

「この芋が戦略的な物資になる点は米よりも収穫量が多いことと連作すると収穫量が激減する点、そして調理方法を知らないで他の芋と同じ様に調理すると毒で苦しむことになる点です」

 

 俺は信長様に現在じゃがいもを扱っている商人と、じゃがいもから作れる片栗粉を扱っている商人を纏めた書物を渡す。

 

「現状芋を活用するより、片栗粉にして活用されており、家の領での特産品となっておりますが、これを困窮している地域で栽培した場合どうなるか……」

 

「ふむ、これはいつ収穫できる」

 

 信長様の質問に、春に植えれば夏の終わりから秋頃に、秋に植えれば春に収穫となることを説明する。

 

「馬はこのじゃがいもがどこに広がっていると思う」

 

「浅井領や武田領に優先して広めています。同盟国の徳川領に広める商人にはちゃんとした調理方法を教えています」

 

「なかなかえげつない事をするのぉ」

 

 浅井領は信長様による徹底的な焼き討ちにより、支配領域から収穫できる食糧はほぼ無く、朝倉による食糧支援で食いつないでいる状態であった。

 

 そこにじゃがいもが登場すれば限られた土地でも栽培でき、かつ量が採れると言えば進んで育てるだろう。

 

 そしてそれを適切な処理方法を知らずに食べれば、食中毒で更に戦力を失うことになるだろう。

 

 忍び達も使って浅井領の領民に接触は済ませており、仕込みは済ませていた。

 

 武田領内では調理方法は徳川経由で流れるのは仕方ないと割り切り、連作障害の方で苦しめるつもりである。

 

 数年は良いが3年から5年連続で植え続けると疫病が発生しやすくなるのがじゃがいもであり、長期的な視野では苦しめることになるだろう。

 

 とまあ、こんな作戦をべらべら俺は自慢気に語っているが、作戦考案者は松永久秀ことマリアである。

 

 じゃがいもの性質に気がついたマリアは、俺が忍びで広範囲にネットワークを構築していることを知っていたので、俺に作戦を立案し、仕上げとして信長様に教えるように言ったのである。

 

 悪人の彼女らしい戦略である。

 

「猿」

 

「は!」

 

 秀吉殿が信長様に呼ばれ、作戦の進み具合を見計らって浅井を攻め滅ぼすと決定が下される。

 

「まぁその前に足利義昭には退場してもらうがな」

 

 ボソリと信長様は怖いことを言うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「武田信玄が死に、儂もこのざま。三好三人衆は崩壊し、石山は再び和議に傾いた。トドメを刺すならちょうど良いのぉ」

 

「マリア、手を動かせ手を!」

 

 マリアがブツブツ呟いているのは田植え作業の疲労を紛らわせるためであり、農民と同じ事を何故儂がと不満げに言っていた。

 

「たんぽぽ茶用意してやるから我慢しろ」

 

「ほう、たんぽぽ茶か! 苦くて美味いのよなぁ」

 

 松永久秀ことマリアはこっちに来てから、すっかり茶の湯の探求者となっていた。

 

 俺が見つけてくるカル◯スの原液が出てくる竹を綺麗に茶器に加工したり、焼き物としての茶器造りも行い、俺が力を込めると前みたいにコーヒーが湧き出て、驚愕していたが

 

「うむ、コーヒーなる黒い茶も一興。これも茶の湯の探求に必要不可欠なのじゃ」

 

 と満足しているらしい。

 

 俺の側に居れば◯ルピスの原液やコーヒー、ワインと様々な飲み物に事欠かないと楽しそうである。

 

 そんな不思議な茶器に囲まれていることが楽しいのかもしれないが……。

 

「腰にくるのじゃ……」

 

「ほら、頑張れ、頑張れ」

 

「くうう、言わせておけば……」

 

 ちなみに他の嫁達は慣れたもので、素早く苗を植えていく。

 

 新しい嫁が苦労するのは通過儀礼だな。

 

「はぁはぁ……終わったのじゃ……」

 

「はい、おつかれ~。麦茶だよ」

 

「ありがとうなのじゃ……」

 

 コキュコキュと麦茶を飲むマリア……元が松永久秀って爺さんだったことを忘れそうなくらい可愛らしい。

 

「マリアー! 温泉行くわよ! あ、又兵衛も居た!」

 

 走ってきたのは雫であり、正室として容姿が南蛮人風で違うマリアのことを気にかけていた。

 

「兄弟、雫と言う娘は良いのぉ……いや、他の嫁達も女特有の派閥みたいなのを作らずに、旦那を立てて、子供を皆で育てる。そして家事もこなして……良妻賢母の手本の様な嫁達だな」

 

「そうなるように調教したからな」

 

「なんじゃ、最初は違ったのか?」

 

「雫なんかはキャンキャン煩いガキだったぞ。最初の頃は。イチモツ突っ込んで黙らせたが」

 

「おお、相変わらずえげつないのぉ……」

 

 マリアは雫に連れられて温泉に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇマリア。貴女が家に来て1カ月になるけど……生活には慣れた?」

 

「んん? 慣れたのじゃ。いやぁ結構自由に日中はやらせてもらって楽しいのじゃ」

 

 儂は温泉に浸かりながら又兵衛の嫁達と一緒に温泉に入る。

 

 白く濁った温泉には美肌効果があるらしく、毎日浸かって汚れを落としている又兵衛の嫁達は皆若々しい。

 

 20後半や30手前の娘も多いが、見た目は20前にしか見えない。

 

 お市様も前に浅井に嫁いだ時に見ていたが、それよりも若々しくなっているように思える。

 

 何より儂含めて皆胸がデカい。

 

 あ、いや、奈々殿は貧乳であるが、それ以外の皆は巨乳の者が多かった。

 

 湯に浸かると胸が浮いてくるのである。

 

 それを眺めるだけで眼福と言えよう。

 

 儂の心のイチモツが興奮しておるが、体は女になってしまったからのぉ……ここは興奮を隠すとしようぞ。

 

「ねぇマリア」

 

「ん? なんじゃ?」

 

 雫殿が儂に近づいてきた。

 

「あんた凄い隠し事をしてるんじゃない」

 

「何を根拠に……」

 

「又兵衛に絆される娘が多いから分かるけど、あんたはそんな娘達とは違う臭いがする。又兵衛とは旧友の様な関係に思えて仕方がないのよ……それに又兵衛があんたを抱く時は他の嫁達とは時間もしくは場所を移しているから……それに南蛮人にしては言葉の使い方が上手すぎるわ」

 

 この娘……儂が思っていた以上に頭が切れる。

 

 伊達に又兵衛の正妻をしているのでは無いな。

 

「異国の娘じゃから色々違う点もあるじゃろうて。それに又兵衛とは結構前からの付き合いなのは事実じゃ。大和国でゴタゴタがあって助けてもらったのじゃよ」

 

「でもそれにしては茶道や礼法への造詣が深いわよね……奈々も褒めていたし、軍事的な指摘もしているの耳にしたわよ」

 

 又兵衛も又兵衛だが、この娘も大概だな。

 

 何処で儂と又兵衛の話を耳にしていたんじゃ? 

 

「……言えないなら言えないで仕方がないわ。でも嫁達の間でなるべく隠し事はしないようにしようって決めているの。出生とか知識とか……辻褄が合わない嘘はなるべくしないほうが良いわよ。私はマリアが良い奴って分かっているけど、他国や他家からの間者を疑わなければいけない立場だからね」

 

「……気をつけますのじゃ……」

 

 一度又兵衛と儂の身分について相談せねばならんな。

 

 大和国の南蛮商人の娘で、戦に巻き込まれたところを助けられた設定にしておったが……うむ。

 

 まぁ儂が松永久秀と言っても信じてはもらえんじゃろうからな。

 

 儂はマリア。

 

 ただのマリアじゃて……。

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