【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

98 / 202
室町幕府滅亡

「相変わらず馬は面白い事をするのぉ」

 

 信長は上機嫌であった。

 

 武田に勝利することはできなかったが、又兵衛が粘った結果、武田信玄は病死で甲斐に撤退。

 

 武田信玄の右腕であった馬場信春も戦死してしまい、武田の戦力は大幅に低下。

 

 武田の外交状況も上杉とは上杉謙信が健在の間は武田と関係が改善することは無いだろうし、北条とは一応同盟関係を結んでいるが北条は中央を抑えている織田との関係構築を考えているため、外交でなんとか出来る相手である。

 

「武田を退けたのは大きいぞ」

 

 ただ又兵衛自身も配下を多く失う大打撃を受けているため、大軍を率いらせるのは酷だろう。

 

 調略関係で動かすのが良いだろう。

 

 話し相手になっているのは堀秀政であり、信長様に話を合わせる。

 

「又兵衛殿のお陰で武田の脅威が取り除かれ、お市様は懐妊しましたからね。次に産まれる子は男の子だと良いですね」

 

「そうじゃな。男子であれば津田家の家督も安泰じゃ。北陸の抑えとしても馬を使いたいからな」

 

 北陸……特に朝倉家では又兵衛と戦闘した金ヶ崎撤退戦がトラウマになったらしく、又兵衛出没の話を忍びに流布しただけで浅井に援軍に来たのに撤退していった時があり、朝倉家に取って又兵衛は恐怖の象徴であった。

 

 そこに又兵衛を置くことにより旧朝倉家臣は織田家に逆らうことは無くなるだろう。

 

「馬の与力に犬(前田利家)を付けるか……犬も将来的には国1つを任せたいが……馬も家臣が減って苦労しているから犬に補佐させるか」

 

 話題は移り、又兵衛が武田のくノ一の里を陥落させた事に移る。

 

「馬は相変わらず突拍子のないことをするのぉ……馬の息子の高貞だったか……アヤツがくノ一の殆どを嫁にするらしいな」

 

「50人近く嫁にするとは性豪ですね」

 

「馬の息子もまた性豪なのじゃな。馬の血をちゃんと受け継いでいるようで何より……そうか……馬の子供が元服する頃なのじゃな」

 

「時が経つのは早いですね……又兵衛殿は若々しいですがね」

 

「馬は妖怪みたいな者じゃからな。人を逸脱し始めているからな」

 

「確かにそうですね」

 

 堀自身も又兵衛は全然老けないなぁと思っていた。

 

 最初に会った時から姿はほぼ変わってない。

 

「又兵衛殿って今26歳でしたっけ」

 

「確かそうじゃな。そうか……馬ってまだ26か」

 

「信長様は40ですよね」

 

「もう余は40になったからな……人生後10年か……それまでに日ノ本を統一しなければ」

 

「微力ながら支えます」

 

「うむ、堀にはこれからも色々活躍してもらうぞ……ところで森の子はどうじゃ?」

 

「次男の森長可は良い若武者ですね。父であった森可成の家臣達も付いておりますので森家は信忠様を支えてくれるのではないでしょうか」

 

「うむ……森可成が生きていれば美濃の纏め役として峰丸の面倒を見続けて欲しかったが……今となっては信忠の家臣として振る舞うがよかろう。峰丸には悪いが美濃から引き剥がす。帰蝶の子であるが、派閥が割れるのは好ましくないからのぉ。馬に預けて北陸の纏め役になってもらえれば助かるが」

 

 信長様は別のことで悩み始めてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 信長様は琵琶湖付近で巨大な船を建造していた。

 

 船の建造理由は兵を素早く運搬して京の治安を守るためという理由であったが、明らかに浅井、朝倉及び足利義昭への牽制であることは目に見えていた。

 

 武田の上洛が失敗した今、足利義昭が直近で頼れる勢力は存在せず、それでいて信長様が巨大な船を作っていると噂が広がれば、次こそ足利幕府を終わらせに来るのではないかと疑心暗鬼に陥ってしまっていた。

 

 しかも信長様は京に足利義昭の悪口を流布し、民意が離れる工作を続けており、京の住民達は足利義昭が京にいる限り他所の勢力を京に引き寄せて戦を誘発させかねないと、京の町民達は織田家による直接統治を求めるようになる。

 

 その噂は足利義昭にも耳に入り、より疑心暗鬼になる悪循環。

 

 幕臣達も一部は足利義昭を見限り、織田家に寝返っている者も多く、信長様はトドメを刺すべき時が来たと判断した。

 

 内通している幕臣を動かし、足利義昭を焚き付けて、正常な判断ができないうちに挙兵を促した。

 

 すると、足利義昭は自らが挙兵すれば織田家臣にも裏切り者が出ると希望を持ち、織田家家臣に裏切るように手紙を送る。

 

 勿論織田家家臣の皆さんは信長様に将軍から届いた手紙を提出する。

 

 ちなみに俺にも手紙が届いたが、開くこともなく信長様に提出し、信長様が手紙を開くと怒り出した。

 

「なんて書いてあったのですか?」

 

「馬は余の重臣じゃぞ! なのにあの馬鹿将軍は馬を加茂郡の地頭に任ずると書いてあったぞ! 馬鹿にし過ぎじゃろ!」

 

「それ……つまり今と何が変わるのです?」

 

「何も変わらん。役職が付くだけじゃな」

 

 足利義昭は俺が貴族達から人気で婚姻と血統を改竄するのを幕府を通さないで行ったことにより、怒った過去があり、信長様が自身の部下を幕府が罰する権限は無いと揉めた結果、足利義昭はこの事を根に持っており、今回の裏切りを誘う手紙にも利を全く提示しなかったらしい。

 

「こんなんで将軍は本当に俺が信長様を裏切ると思っているのですかね?」

 

「わからん……馬鹿がすることじゃ。正常な判断ができておらぬのじゃろ……そうでなければ余が馬鹿にされていると同意義じゃぞ!」

 

 信長様の外縁とは言え俺は一門だぞ……。

 

 それこそ数国の守護でようやく釣り合うと思うのだが……。

 

 信長様はブチギレた結果、俺への裏切りの手紙を京の民に暴露。

 

 忠臣であり京で絶大な人気のある俺がこの程度の領土しか裏切りを誘うのに用意できない幕府の力の無さを露呈させ、京の民衆は幕府を見限った。

 

 足利義昭が兵を募ろうとしても、全く兵が集まらず、ごろつき等を集めてようやく500の兵が集まるに留まった。

 

 一方で京に向かった信長様は6万の兵を集め、足利義昭は勝負にならないと京の二条御所を捨てて逃走。

 

 京付近の山城に逃げ込んだが、兵達の逃走が相次ぎ、織田家が城を包囲する頃には幕臣の100名だけになってしまっていた。

 

 これでは勝負にならないのと、死にたくなかった足利義昭は信長に降伏し、信長様は足利義昭の京からの追放を行い、幕臣達の殆ども足利義昭を見限って織田家に吸収されたために政務執行能力を失った室町幕府は事実上の滅亡。

 

 足利義昭が征夷大将軍の地位の保持は続けていたが、朝廷の匙加減1つで別の人物に征夷大将軍の地位を贈ることができるようになっていた。

 

 信長様は朝廷と協議した結果、織田家が政権を握った事を証明するために改元を行うことを取り決め、7月18日に足利義昭降伏から10日で改元が決まるスピード改元であり、信長様がいかに権力を握っていたか、足利義昭が朝廷から嫌われていたかがよくわかる結果であった。

 

 俺の仕事は京の貴族達の警護役を行い、時に茶会を開いて貴族の皆さんを持て成したり、祈祷を行って子宝の祈願や性力を分け与える事や、病気の診断などを行い、相変わらず京の住民達からの人気を獲得するのだった。

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