拡大Ⅴ:雄英高校
「それじゃあ、取り調べを始めます」
拘束された道長は、塚内、オールマイト、グラントリノがバッファを囲み取り調べを始めた。
「名前、年齢、所属、職業を」
「吾妻道長、17、所属ってなんだよどこにも所属してねぇよ。職業はまぁ、フリーター」
「17歳!?若いね」
「わかりました。では、個性名を」
「んなもん持ってねぇよ」
「そんなわけがない。あの絶対防御。あれは個性だろ?」
「それがちげぇんだよ。あれは個性じゃない。個性とは違う別種の力だ」
「本当かい?」
道長の発言に驚きながらも顔を見合わせる三人。
「イレイザーヘッドを呼んできます」
塚内がそう言い数分後、抹消ヒーローイレイザーヘッドが取調室へ現れる。
「また会ったな、バッファ」
「よう、地味ヒーロー」
「イレイザーヘッド、個性を使用して、道長君の個性を消してください」
「わかりました」
イレイザーヘッドの目が赤く光る。個性を発動し、道長の個性を消しているようだ。だが。
「っ!?」
「本当に個性じゃないのか!?」
「変身してなくても発動すんのか」
グラントリノが足元を小突こうとするが、ゴッズウォールが発動し、グラントリノの拳を阻む。
「え、わかってなかったのかい?」
「知らなかった」
「ま、マジか・・・」
自分の力の全容を理解してない道長に呆れながら取り調べは進んでいく。
「さて、色々わかったところで、聞きたいことがある」
イレイザーヘッドが退室後、塚内、グラントリノ、オールマイトが本当に聞きたいことを話し始める。
「道長君、オールフォーワンという人物を知っているかい?」
「誰だソイツ」
ノータイムの解答に、三人はほっと胸を撫で下ろした。
「なんだよ、ソイツがなんかヤバイのか?」
「まぁね」
「俊典、コイツには言っておいた方がいいんじゃないか?」
「し、しかし、ワンフォーオールとオールフォーワンのことは」
「いや、オールマイト、グラントリノの案は切り札になるかもしれない」
「というと?」
「もし、彼の絶対防御が、ヤツにも通用するとしたら?」
「っ!?」
「そういうことだ俊典。ここまで取り調べしてわかったが、コイツは悪さをするようなヤツではなさそうだしな」
そう言うと、オールマイトは考え始める。そして、なにかに決断したのか、口を開いた。
「道長君、オールフォーワンとは、超常黎明期、個性が初めて現れ始めた時期、法が無意味と化し、世界各地で混乱が起きた。そんな状況の世界をとある男が統一した。ソイツが」
「オールフォーワンってことか」
「その通り、彼は、個性を奪い譲渡する個性を持って産まれた。彼はそれを使い、個性を持つ者達を従えたんだ」
「何でもアリのヤツが現れたのか。んでソイツ、奪った個性は使えんのか?」
「もちろんだ鋭いね」
「ほーん、んで、ソイツの話をなんで俺にした?」
「とある少年がヤツと戦うとき、君が助けてほしいんだ」
「なんで俺が」
「その絶対防御だよ。個性でないなら、やつに使われることはおろか、奪うこと事態が不可能だ。切り札になる」
「最強の矛と最強の盾ってわけじゃよ」
「なるほどな」
理には叶った作戦だ。だがしかし。
「俺がするメリットがないな」
「うっ、た、確かに」
「そう言うと思ったよ」
「そこは追い追い考えていくしかあるまい。とりあえず小僧、考えておいてくれ」
「考えておくだけな」
道長はそう言うと、立ち上がる。
「終わりっぽそうだが、どうなんだ?」
「ああ、あとひとつだけ。君をこれから私やヒーロー達の監視下に置く。そこで」
「雄英高校に入学してもらうのさ!!」
突然別人の声が後ろから聞こえ、振り向く。しかし、声の主が見えない。
「下なのさ!」
そう言われて下を見ると、白いネズミ、雄英高校校長、根津が居た。
「こんなのも居んのか」
「ふふふ、インゲニウム君の言っていた通り、かなりの曲者だね、オールマイト」
「えぇ、ですが、ヒーローになればもしかしたら、私を越えたヒーローになるやもしれません」
「鍛えがいがあるね」
「おい、俺はヒーローになる気なんかねぇぞ」
「だとしても、雄英高校には来てもらうのさ。一応監視下だしね」
「チッ!本格的にめんどくさいことになったな」
ため息をつき、めんどくさそうな顔をする。
「それじゃっ、行こうか!」
「はぁ」
根津に連れられ、雄英高校へと向かうことになった。
「それじゃあ、今日からここで暮らしたまえ」
「はいはい」
「明日は一度職員室へ寄ってから相澤くんとともに1-Aに向かってくれよ」
「へいへい」
「それじゃっ、明日から楽しんで!!」
扉が閉まり、根津が去っていく。道長は荷物を置くと、ベッドに上に座る。すると、白いゲートが開き、中から今回の報酬が現れる。
「今回はどんなもんだ?」
口座には1500万円が支給されており、脳無が倒したときよりも報酬が少なかった。
「まぁ、アイツよりもあん時の脳無の方がやばそうだしな」
そう言い、通帳を仕舞うと、次は今回の新戦力の拝見だ。
「なんかマグナム銃みてぇだな」
入っていたのはマグナムバックル。新たな遠距離装備の獲得であった。
「使えそうだな」
道長はそう言うと、デザイアドライバーを装着し、ベルト脇にある予備バックルスロットに挿す。すると、別空間へと仕舞われた。
「はぁ、あん時のやつらと会うのか。まぁ、どんなやつらか知らねぇが、あの二人を見る感じ、ザ・ヒーローの卵って感じなんだろうな」
USJで見たメンツとステインとの戦闘後に会った三人の顔を思い出しながら道長はデザイアドライバーを手で弄ぶ。
「まぁ、会ってみりゃわかるか」
道長は買ってきたご飯を食べると、明日の準備を済ませ、床についた。
翌日
「よう」
「来たか、道長」
職員室で相澤と合流すると、後に続いて1-Aを目指す。
「道長」
「あ?」
「USJの時は助かった。お前があの場に現れなければ、生徒達が死んでいた」
「別に、こっちだって事情があったらあそこに来ただけだ。感謝されるいわれはねぇ」
「だが、命を救われたのは確かだ。ヒーローになればこういうことを言われることが多くなる。慣れておけ」
「へいへい」
USJでの一件を感謝され、変な気分になる道長。すると、1-Aの教室が見えてくる。
「扉、でけぇな」
「あぁ、異形系の個性をもった生徒が入れるようにな。先に俺が入ってお前が来ることを伝える。それが終わったら入ってきてくれ」
「あいよ」
相澤はそう言うと、扉を開けて入っていく。中から相澤がある程度の今日の予定と期末試験があるらしくそれの説明をした後道長の紹介に入る。
『転校生が来た』
『『『えええええ!?』』』
『女か!?女か!?』
『どんな子だろう!!』
『静かにしろ!!』
シーンッ。
「騒がしい連中なのはわかった」
『入ってきてくれ』
扉を開けて入ると、A組生徒がキラキラした目でこちらを見ていた。
「えー、吾妻道長君です。仲良くして上げてくれ。道長、自己紹介」
「吾妻道長。よろしく」
「さて、それじゃあ、コイツについて少し、おい、ちょっと変身してくれ」
「はぁ?何でだよ」
「その方がわかりやすくて合理的だからだ」
「なんだよそれ、はぁ」
道長はため息をつきながらデザイアドライバーとゾンビバックルを取り出す。
「そのアイテム、もしかして!?」
「変身」
『GRAB!!CRASH OUT!!ZOooMBieee・・・ Lady?Fight!!』
「「「ば、バッファアアアア!?!?!?」」」
「バッファが転校生ってマジ!?」
「バッファがなんで、雄英に!?」
「静かに!!」
道長が変身し、正体が判明したことで1-A生徒全員がびっくり仰天。皆口々に何でだ何でだと騒ぎ始めたところで、相澤が黙らせる。
「USJの時に見た通り、コイツはオールマイトを退けられる存在だ。だが、ヴィラン活動はしてなかったがゆえに、うちで監視することになった。一応お前らとおんなじように授業を受けるから、よろしく。それじゃあ道長、八百万の隣に行け」
「へいへい」
相澤に言われた通り、変身を解いて黒髪ポニテの美少女、八百万百の隣に席に座る。
「八百万百です。よろしくお願いいたしますわ」
「よろしく」
「それじゃあ、あとよろしく。以上」
そう言って相澤が出ていくと、数名の生徒達が道長の周りに集まってくる。
「ねぇねぇ!!あたし、芦戸三奈!よろしくね!!」
「俺、上鳴ってんだ、よろしくな!!」
「蛙吹梅雨よ、よろしく。ケロッ」
「あたし麗日お茶子」
「飯田天哉だ、ってもう知っているな」
「僕は緑谷出久、よろしく」
「いっぺんに来るなぁ」
数名を除いて、わいわいと道長のところへ集まる生徒達。騒がしいなと思いつつも、質問に答えていく。
「バッファって呼んだ方がいいのかな?それとも道長君?」
「どっちでも好きな方で呼べよ」
「わかった、じゃあ道長君で!」
「USJの時、すごかったよね!!怪人をドォーン!!オールマイトもドォーン!!って!」
「半端なかったよな!なぁ、道長の個性ってなんだ?」
「個性はねぇ。俺の力はちょっと特殊でね、個性じゃないんだよ」
「「「えええ!?そうなの!?」」」
「それじゃあ、無個性ってこと?」
「そう言ってるが?」
「すっげぇ・・・」
道長の解答に面白いくらいにリアクションを取る生徒達。そんな中、一人の生徒が睨み付けながら道長に近寄ってくる。爆豪である。
「おい」
「ん?なんだ?」
「てめぇがどういう力を使おうが知らねぇが、ゼッテェ負けねぇ」
「あっそ、興味ないなお前との勝ち負けなんざ」
「がっ!?て、デメェエエエエ!!!!」
「爆豪落ち着けよ、俺は切島鋭児郎!よろしくな!」
見事に地雷を踏み抜く道長。それを見ていると、とんとんと肩をつつかれる道長。見ると、頭に大きなぶどうを乗っけた少年が立っていた。
「お前、胸派?尻派?」
「なに言ってんだお前」
相変わらずの峰田である。
「そうですわ!!道長さん!」
そう言って、突然迫ってくる八百万。
「あ?」
「明日、勉強会があるのですが、どうでしょうか?」
「俺、期末試験受けねぇぞ?」
「そうでしょうが、仲良くなれますし、みんな道長さんと話したいことたくさんあると思うんです」
「お!いいなそれ!!」
「来てくれるの!?」
断れる雰囲気ではなくなり、とりあえず八百万の家へ行く事になった道長。
「お紅茶の好みはなんでしょうか?」
「さぁ?あんま飲んだことねぇし」
「それでは、おすすめのものを用意しておきますわ!!」
プリプリと張り切る八百万。そんな八百万の姿を見てほんわかするメンバー。
「おもしれぇ連中だな」
騒がしく面倒くさいやつらだがわかりやすくて良い連中であることを理解し、かなり好印象で雄英初日が終わった。
ヒロイン、どうします?
ヒロインどうする?
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いるに決まってんだろ!!
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ダメだ!許可しない!!