ある日、インゲニウム事務所にて、飯田天哉は兄に対し、自分もヒーローを目指すことを伝えていた。
「天哉もヒーローに?」
「うん!兄さん、カッコいい!」
「ロボかよ」
天哉のカクカクとした動作に、微笑みながらツッコミを入れる天晴。
すると、天哉は天晴が何を重んじて、ヒーローを行っているのか質問をした。
「後学のために教えてくれないか?兄さんはどういう思いでヒーロー活動を続けているのか!」
「うん、確かに祖父両親がヒーローで、世間じゃ、俺がヒーローをやってるのは当たり前って思われてるからな。ま、単純なもんだけどさ、迷子を見かけたら、迷子センターに手を引いてやれる。そういう人間が一番カッコいいと思うんだ」
「ではなぜ迷子センターに勤めなかったのだ?」
「組め組め話を!ロボかよ」
コスチュームを片付けながら、天哉の質問に答える。しかし、相手はまだ小さい子供、深いことを言っているが、どうやら天哉はその意味を組めなかったようだ。
「遊びがないというかなんというか、天哉は頭も運動神経も当時の俺より上なんだから、と待てよ?天哉が憧れるっつうことは、俺、スッゲェヒーローなのかもな!ハハハ!」
(僕は、インゲニウムに、兄さんに憧れた。いつも笑顔で、困ってる人を見かけたら必ず手を差しのべる、そんな兄さんに憧れてヒーローになろうとしたんだ!
でも、今の僕は、兄さんに遠く及ばない。未熟者だ。怒りに身を任せ、人を殺そうとした。兄さんの名を使って、殺そうとしたんだ!!そんなのヒーローではない。ヒーロー殺しと同じだ。兄さんは、そんなことをさせるために、インゲニウムの名前を僕に託してくれた訳じゃないだろう!!)
「僕は、ヒーロー失格だ」
「そうだな」
涙声で弱音を吐く天哉に、厳しい言葉を浴びせるバッファ。
「だが、やり直すことはできる」
「っ!?」
「お前、名前もらったんだよな?アイツに」
「あぁ、託してくれた」
「そんだけ、お前を信頼してくれてたんだろ。なら、成るしかないだろ。お前が、アイツを越えて、インゲニウムに」
バッファはそう言うと、天哉から離れる。無防備だ。このままでは、ステインの攻撃の餌食となる。
しかし。
「あぁ!!」
「フッ!どんな言葉を並べようとも、お前はヒーローに相応しくない!!」
天哉のエンジンが動き出す。拳を握りしめ、血が流れてもゆっくりと、しかし着実に体に力が漲る。エンジンは火を吹き始め、回転が早くなる。マフラー内部の炎が、赤からゆっくりと青色へと変化していく。
「レシプロ、バースト!!」
刀を突き立てようとしていたステインに、立ち上がった天哉が物凄いスピードで近づいていき、刀をへし折りながら、回転蹴りをお見舞いする。
(速い!!)
ステインは吹き飛ばされ、体制を保ちながらも距離が離れる。
「やれば出来んじゃねぇか」
バッファが声をかけると、目に光が戻った天哉は深々とお辞儀をする。
「ありがとうございました!バッファ!」
「そんなことより、時間稼げるか?五秒でいい」
「五秒くらい稼げねば、インゲニウムの名が廃りますから。して、何をするのですか?」
「アイツのスピードに対応する」
バッファはそう言うと、懐からニンジャバックルを取り出す。
「了解した!!」
それを見た天哉はまたレシプロバーストで飛び出していき、前蹴りでステインをさらに引き離した。
その隙に、ゾンビバックルを外し、そこへニンジャバックルをセットする。
『SET!』
ニンジャバックルのクナイの塚状の取っ手を引っ張り、フィーバースロットのスロットを回す。
『NINJA!!NINJA!!』
『HIT!!FEVER!!NINJA!!
Lady? Fight!』
仮面ライダーバッファフィーバーニンジャフォームジャマ神へとフォームチェンジしたバッファ。ニンジャデュアラーがくるくると回転しながら手に収まる。
機動力確保のため、ゴッズウォールが形状を変化させ、ゴッズウォールバンテージとして二の腕に装着し直された。
「こいつはいいな」
それを見たバッファは少し邪魔だったマントがかなり小さくなったのがお気に召したのか、そう言うと、今にも切り裂かれそうなインゲニウムの元へと一気に詰める。
ガキンッ!!
ニンジャデュアラーでステインのナイフを受け止めると、火遁の術を発動し、ステインを後退させた。
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「時間稼ぎご苦労」
「バッファ!!」
姿が変化したバッファの姿に、驚きながらも、すぐにステインを警戒するインゲニウム。
「っ!?エンジンが!」
しかし、負傷しながらのレシプロバースト連続発動により、エンストを引き起こしてしまったインゲニウム。悔しそうな表情を浮かべながらステインを見る。
「っ!バッファ」
そんな彼の肩に手をおいたバッファ。
「後は任せろ」
「はい!お願いします!!」
「蹴りつけんぞ」
そう言うと、バッファは走り出す。ニンジャデュアラーを振りかぶり、ステインとすれ違いざまに斬りつける。
「ぐっ!?」
なんとか致命傷は避けたステイン。しかし、ニンジャの素早い動きに対応できなかったのか、肩口に傷を負った。
だが、すぐにナイフを取り出し、バッファのいる方向へ投擲。しかし、そこにはもうバッファの姿はなく、ステインの頭上で風遁の術を発動していた。
「ハァッ!!」
真上から暴風が襲い、地面へと叩きつけられるステイン。すぐに立ち上がるが、分身の術を発動し、四人に分身したバッファがステインを取り囲んでいた。
「なっ!?」
火遁、水遁、風遁、雷遁の術を発動した分身バッファは、ニンジャデュアラーにまとわせ、上空へと打ち上げる。
「グハァアアッ!?!?」
打ち上げられた先には、複眼を光らせ、待ち受ける本体のバッファ。
「ぐっ!!!」
最後の抵抗とばかりにナイフを投げつけるステイン。しかし、ゴッズウォールがそれを阻む。
「終わりだステイン」
『ROUND・1・2・3 FEVER!TACTICAL FINISH!!』
『NINJA STRIKE!!GOLDEN FEVER VICTORY !!』
火、水、風、雷、そして緑色のエネルギーを纏ったニンジャデュアラーがステインに振り下ろされ、そのまま地面へと叩きつけられた。
ズガァアアアンッ!!
『Mission Clear』
土煙と突風が巻き起こり、インゲニウムは腕で顔を覆う。突風が収まると、引きずるような音ともに、バッファが土煙の中から現れる。
「バッファ!ステインは?」
「ほらよ」
目が裏返り、完全に気絶したステインをバッファは引きずっていた。
「よかった、拘束しておかないといけませんね。いつ目を覚ますかわかりませんからね。ぐっ!?」
ゴミ箱の中からステインを拘束できそうなものを探し始めるしかし、肩に負った傷が痛み始めたのかその場でうずくまる。
「じっとしとけ、拘束なら俺がやる」
フィーバーニンジャフォームからゾンビニンジャフォームへとフォームチェンジし、バーサクロー型エネルギーでステインをガッチリと握り、身動きを取れないようにする。
「そんなこともできるんですね」
「さて、おい、ヒーロー、大丈夫か?」
「あ、あぁ、間近で見るとすごいな君」
「いいから路地裏から出るぞ」
ネイティブを立ち上がらせると、インゲニウムとネイティブはお互い支え合いながら歩き出す。バッファはステインを一瞥し、目を覚まさないか確認し、二人の後に続いて路地裏から離れた。
「飯田くん!!」
路地裏から出ると緑色のボサボサ髪の少年、緑谷出久が現れた。
「って、バッファ!?」
「緑谷君!なぜここに?」
「飯田くんが心配で、それに、乗ってた新幹線に脳無が現れてグラントリノが飛んで行っちゃったり色々あって・・・。そんなことよりも腕が、大丈夫なの?」
「あぁ、致命傷ではない。バッファのお陰で」
バッファの方を見てインゲニウムはそう言った。
「そうなんだ、また助けられたね」
「そうだな」
緑谷と飯田はお互いに笑い合いながらそう言っていると、その後ろからドタドタと数名が走る音が聞こえてくる。
「あ?」
「君たち!!こっちの方面に逃げてきたヴィランは見なかったかい?って、君、その怪我!それにネイティブも!」
女性のヒーローがそう聞いてくる。どうやら、バッファ達がいる方面にヴィランが一人逃げてきたらしい。
「って、バッファ!?ここにいたのか!?」
「お前ら、あのヴィラン逃がしたのか?」
「あぁ、あの後拘束したんだがまた暴れだして、空を飛ぶ方をね。いま捜索中だよ」
女性ヒーローの背後にいたヒーローがそう答える。バッファは頼りないと思いながら、拘束したステインをヒーロー達に見せる。
「お前らが逃がしたのじゃないが捕まえといたぞ」
「ヒーロー殺し!?」
「なんだって!?」
驚きの声を上げながら続々とバッファの回りに集まるヒーロー達。鬱陶しそうにしながらステインをヒーローの一人に押し付けると、帰る準備を始めた。
「あと任せたぞ、俺は帰る」
そう言ってブーストバックルを取り出したその時。
バサァッ!!
「緑谷君!?」
ヒーローが取り逃がしたヴィランが緑谷出久を拐っていった。