片田舎の剣聖の一番弟子 作:剣術太郎
唐突だが、この世界のモンスターについて語ろう。
アセムがこの世界に転生して少ししてからのこと
ここがよく聞く“剣と魔法の世界”という事を知ってから、ベリルたちの会話より、モンスターも実在する事も判明した。
ドラゴンやグリフォン、ゴブリンはもちろんのこと。2種の動物の特徴を合わせたモンスターも実在する。
その事を知ってから、アセムは剣の修行の合間に、ガーデナント宅にあった古いモンスターの書物を読んでいた(ついでに文字の勉強も)。
書物を読みながら、前世で見たアニメや漫画のように、強いモンスターを打ち倒し、
「ま、ここはアニメの世界じゃないし、そんなこと無いよな(笑)」
なんて幼い頃言っていたが―――――
「現実は更に厳しすぎるだろ………(汗)」
そう言うアセムの前には、大量のモンスターの群れが迫って来ていた。
この発端は1週間前
レベリオ王国に緊急の知らせが入った。
「北部の山脈より、『ザンアント』の群れが2つ、南下している」と。
ー ー ー ー
『ザンアント』とは、簡単に言うと、アリとカマキリを合体させて、人ぐらいのサイズをしたモンスターだ。
パット見は人間サイズのデカいアリだが、前足にはカマキリの鎌と、鋭利な顎を持っている。
しかしその生態はアリそのもの。群れに一匹だけ
そして彼らの主食は、肉。
自分たちより小さなモンスターはもちろん、時には自分より2倍以上の大きさのモンスターに襲いかかる事もある。もちろん、人間も美味しくいただく。
古い記録には、ザンアントだと侮り群れを放置した結果、都市の1つがザンアントの巣になった事があるらしい。
アリらしく、集団の力。数の暴力を持って。
ごく偶に、群れの中にメスが2匹産まれる事がある。その場合、群れを2つに分け、それぞれに巣を作る。
ー ー ー ー
2つの群れのうち1つの数は万を超え、もう1つはその1/3以下と報告された。
何故こう数に差があるのか。おそらく数の少ない方の女王アリの力が弱いため、群れの数も少ないのだろうと推測された。
国王は騎士団と冒険者ギルドに、討伐を指示(依頼)。それぞれの合同討伐となった。
2つの群れに対し、こちらも2グループに分かれ、それぞれで迎撃することになった。
もちろん、アセムもこれに参加した。
ただし、アセムはシルバーランクなので、群れの数が少ない方へとまわされた。いくら見込みがあるからと言っても、ランクの低い冒険者はあまり過酷な方には行かせないとのことだろう。
アセムの他にもランクの低い冒険者や、若手騎士団員がいた。もちろんベテラン冒険者・騎士団員も多少はいるし、そのグループを指揮するのはレベリオ騎士団副団長が務める。
ランドリドは群れの数が多い方を迎え撃つ方のグループに。
「お互いに頑張って、生きて戻ろうな」
「はい。ご武運を」
数の多い群れ(今後A群れ)は途中の森の中を進行しながら、その森で餌を探していると斥候から報告があり、それを迎え撃つためAグループは森の出入り口で待ち伏せることになった。
「あれ?もしかしてアリューシアか?」
その待ち伏せの騎士団の中に、よく知る顔を見つけたランドリド。向こうもこちらに気付いたようで
「ランドリドさん!やはりあなたも参加していたんですね。ところでアセムくんは?一緒のグループでは?」
「あぁ、アイツはもう1つの群れの方だ。まぁアイツなら大丈夫だろうな」
一方その頃
もう1つのグループは平原で待機していた。もう1つの群れ(B群れ)はこの平原を通ると推測。待ち伏せ、先手を仕掛ける作戦に。
しかしその間、参加している若手冒険者はそれぞれ愚痴っていた。
「向こうに参加したかった」や、「弱いヤツより、強い方と戦って活躍したかった」など。
だが、アセムだけはそんなこと口にはしなかった。
例え弱い相手でも、『窮鼠猫を噛む』かと如く、何をしてくるか分からない。故に気を引き締めていた。
「うるせーぞ、若いの!俺たちだって付き合ってんだ!文句言う暇があるなら、そこの眼帯野郎みたいに集中しろ!」
1人のベテラン冒険者の一喝で、愚痴っていた若手たちは黙った。
そこに
「副団長っ!群れが見えてきました!」
「よし!総員、迎撃準備だ!!」
立派な口ひげを生やし、威厳を感じさせるレベリオ騎士団副団長が指示を出す。
それにより、騎士団や冒険者たち皆により一層緊張が走った。
確かに、まだ遠くだが何か大量に進行してくるのが見えた。
「みんな分かってるな!群れの規模は小さいが、ザンアントは数と持ち前の鎌で攻めてくる!群れを分断させて、確実に1体1体倒せ!」
「「はっ!!」」
「「おう!!」」
そして徐々に見えてきたB群れに対し、攻撃を開始した。
A群れよりも数は劣っているし、女王も弱い。
この平原での勝負は決まった。
誰もがそう思っていた。
この時までは―――――
「キシャァーーー!!」
ザシュッ!
「ぐあっ!」
「セルドっ!」
「キシャァーーー!」
「うっ、うわぁーー!?」
1人、また1人とBグループのものが、ザンアントの鎌で斬られる。
「このっ!!」
1人の騎士がザンアントに剣を振り下ろすが
カンッ!
「か、硬いっ!?」
「プシューーー!」
「ぐわっ!あ、熱い!熱いぃーー!?」
斬りかかった騎士にザンアントが口から液体を吹きかける。すると被液した騎士の剣と鎧が徐々に溶けていき、肌も火傷したかのように爛れた。
「おい!そこの騎士と冒険者を下がらせろ!」
「はっ!」
副団長の命令で、斬られる冒険者と被液した騎士は、他の騎士たちにより後方に下げられた。
そして副団長はそのザンアントに斬りかかるが、鎌で受け止められる。
「くそっ!」
咄嗟に腹を蹴飛ばし、ザンアントが倒れたので、今のうちに距離をあけ、ハァ…ハァと息を整える
これで負傷者は一体何人目だろうか。
既にBグループの半数はやられたはずだ。
対してB群れの方は大して減っていない。
「斥候の奴ら、報告をサボっていたのか!
モンスターには通常のとは違う能力を持って産まれる“特異個体”というのが、
通常とは体格や色が違ったり、他とは違う能力を持っていたりなど。
そう言ったモンスター相手は、能力が未知数なので、対処には十二分な情報の準備が必要になる。
「その特異個体が、
このB群れが数が少ない理由。それは全てが特異個体だったからだ。
サイズは通常通りだが、その身体は硬い殻で覆われ、剣が効かない。
さらに口から酸性の高い液を吐き出す。
おかげでBグループは予想以上の苦戦を強いられていた。
「副団長、マズイです!これ以上損害を受けると、この戦線は崩壊します!」
部下の1人が悲鳴のように報告をする。
そんな事は副団長も分かっている。彼自身も体力の限界が近い。
だがここで退却すれば、この特異個体のB群れはすぐに近辺の町を襲い、特異個体の巣を作ってしまう。
そうなれば、更に特異個体の数が増えるはず。
「(そんな最悪な事態だけは避けなければ……!)」
「副団長っ!」
つい目の前で対峙しているザンアントに集中し過ぎて、背後から迫るザンアントに気付くのが遅れた。
「しまっ――――」
ザシュ!!
「副団長さん、大丈夫ですか?」
ザンアントの鎌は副団長に振り下ろされる事は無かった。
その前にその頸は斬り落とされていた。
「きみは……」
斬り落としたのは、若い冒険者。彼も特異個体相手に苦戦したのだろう。ところどころから血が滲み出ていた。だが、自分たちと比べたら、まだ余裕あるように見えた。
首から下げてる冒険者プレートはシルバー。歳はおそらく副団長の息子と同じくらいの。
持っているのは片刃の細い剣。
そして特長なのは、片目に眼帯をしてある。
言うまでもなく、アセムである。
「あ、ありがと―――」
「キシャァーーー!!」
「おりゃっ!」
副団長と対峙していたザンアントが襲いかかる。だが、その鎌を斬り返す。
そしてその勢いのままに、片腕を斬り落とし、バランスが崩れたところに顔面に刃を突き刺した。
「硬い殻には刃は通りません。けど関節部と頭部まで殻には覆われてません。狙うなら殻に覆われてないところです」
「わ、分かった………」
「俺が前に出て奴らを引きつけます。その間に立て直しを!」
「な!?きみ1人では―――――」
副団長が止める間もなく、アセムは群れに向かって走る。その片手には先ほど倒したザンアントの死体を持って。
「キシャァーーー!」
「プシューーー!」
迫って来るアセムに対し、ザンアントは酸性の液を吐き出す。
しかしアセムは持っていたザンアントの死体を盾に、液を受け止めた。
ジュウゥゥーー……
死体の表面が液で溶ける音がするが、アセムには一滴もかからなかった。
「硬い殻が仇になったな!」
液で溶け、もう使えない死体を投げ捨て、吹きかけたザンアントを蹴り倒し、その頭部を串刺しにする。
そこに2体のザンアントが襲いかかるが、アセムは腰にさしてる
「せっかくだ。二刀流の練習に付き合ってもらうぞ!!」
「副団長、なんなんですか、あの冒険者は?」
副団長の命令で、まだ戦えるBグループの面々は態勢を立て直し、再びB群れと対峙しようとしたが、既にB群れは徐々に崩れつつあった。
その中心には、1人の冒険者がザンアントの死体を量産していた。
あれだけ自分たちが苦戦を強いられた特異個体たちは、次々と斬られていく。
「関節部を確実に狙っている……だけじゃない。あの硬い殻ごと斬り裂いてる。なんてヤツだ……」
アレで本当にシルバーランクなのか。実力だけで言えば、ゴールド、いやプラチナムに達しているのではないか
「いいか!狙うのは関節部と頭だ!1体相手に確実に2人以上で戦え!これ以上彼にばかり負担を強いるな!」
「「はっ!」」
「「おぅ!」」
副団長の号令で、立て直した騎士たちと冒険者が再びB群れに突っ込む。
アセムからの助言通りに、殻で覆われてない部分を狙うことで、なんとか特異個体と渡り合えるようになった。
酸性の液を吹きかけられそうになったら、ザンアントの死体を盾にするか、盾持ちの騎士が受け止める。
それにより、B群れの数はかなり減っていった。
立て直したBグループの奮戦により、アセムに余裕が出来、少し息を整える。
そこに副団長が近付く。
「きみのおかげでなんとかなりそうだ。ありがとう」
「お礼を言うのはまだ早いですよ副団長さん。これだけ数を減らしたのに、
その通りである。これだけ数を減らしたのだ。そろそろ女王の姿が見えるはずなのに、未だに
「確かに……まさか女王だけ逃げ出したとか言わないよな?」
「だとしたら面倒です。女王が生き残ったらまた兵隊を産みます。そしたらまた最初っからやり直しだ」
「それだけは勘弁して欲しいな。急ぎ探さないと」
「ギュオォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ーーー!!」
突如響き渡る遠吠え。それにより、Bグループの者たちの身体が震える。
声だけで分かる。確実にデカいのが来る。
ズシン…ズシンと、巨大な何かの足音が近付く。
そして
「ギュオォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ーーー!!」
「良かった。どうやら女王陛下は兵隊たちを見捨てなかったようですね」
「我々からしたら、なに1つ良くなかったけどな」
姿を現した
下手したらそこらの民家など丸呑み出来るのではないかと。
通常の女王は、兵隊アリよりデカいが、それでも2mぐらいのもの。
要するに、この女王も特異個体。
だからこそ、特異個体の兵隊アリもこんなにいたのだ。
「ギュルル……」
女王は足元に倒れる兵隊アリを見渡す。すると
「ギュオォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ーーー!!」
兵隊アリを殺された恨みか、Bグループに吼え、襲いかかる。
「副団長さん!」
「そっ、総員逃げろっ!!」
予想以上のデカさに、恐怖で意識が止まっていた副団長にアセムが声をかけた。
それにより意識を取り戻した副団長の号令で、騎士や冒険者は慌てて逃げる。
「ギュオォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ーーー!!」
「「うわぁ~〜〜!?」」
だが、何人かの者たちは女王により踏み潰されるか、蹴り飛ばされ、巨大な鎌で斬り裂かれた。
「みんなを下がらせろ!」
「な!?きみ、待て―――!」
副団長がまた止める間もなく、アセムは女王へ向かって走り出す。
女王もアセムに気付いたのか、巨大な鎌を振り下ろした。
ドオォ゙ーーーン!!
地面を揺るがすほどの音と土煙。誰もが彼もやられたと思った。だが―――――
「デカければ勝てると思ったら大間違いですよ、女王陛下」
「ギュルッ!?」
振り下ろされた鎌はアセムを取られる事は出来なかった。
直前に鎌を避け、地面に突き刺さった鎌を足場にして女王の身体を駆け上がってきた。
「キシャァァァァーー!!」
前足を足場に駆け登ってくるアセムに、女王は口から酸性の液体を吐きかける。だが、それが狙いだ。
すぐさまアセムは女王の身体から飛び降りる。
すると目標を失った液は女王の前足に直接かかる。それにより、ジュウ…とその表面の殻が溶ける。
「ギュアァァァァァーーー!?」
表面の殻だけとはいえ、自分の液で苦しみ悲鳴をあげ、悶える女王。
「ふぅ〜……」
「きみ、なんて無茶を!」
「多少の無茶は覚悟の上です」
『自分の命を第一に考えてくれ』
こんなこと言った事が知られたら、たぶん師匠に叱られるだろうな。
だからと言って、ここで逃げる訳にはいかない。逃げたらもっと多くの命が失う。ならば
「副団長さん、負傷者を連れて逃げてください。女王陛下の相手は俺が務めます」
「なに!?それなら我ら騎士団が――――」
「もうボロボロなのに何言ってんですか?副団長さんだって限界でしょ?」
「うっ……!」
アセムの言う通りだった。副団長の体力はもう限界を迎えており、騎士団でまともに戦えるのはもうほとんど残っていない。それは冒険者の方も同じだ。
皆が体力の限界をとうに迎えており、武器も刃毀れしている物がほとんどだった。
「俺はまだぜんぜん余裕です。皆さんが逃げる時間ぐらいは稼げます。その代わり、援軍を連れてきてください。アレをそのままにしたら、また特異個体の群れが出来ます」
「しかし、いくらなんでも1人で残るなんて――――」
「1人じゃねぇよ」
そこに、1人のゴールドランクのベテラン冒険者が声をかけた。
「先輩……」
「若ぇのが言うじゃねぇか。なら、おっさんにもカッコつけさせろよ」
すると、他の冒険者達も声をあげる
「そうだそうだ!お前さん1人が命張るのに、オレたちベテランが逃げるなんて、冒険者の面汚しになっちまうよ!」
「若いのを置き去りにしたなんて知られたら、母ちゃんにドヤされちまうぜ!(笑)」
他のゴールドランクの冒険者たちが、アセムと残ると言わんばかりに武器を構える。
それを見た副団長は、部下の1人を呼び出し
「指揮権をお前に預ける。負傷者を連れて下がれ。その後に援軍を連れて来るんだ。いいな?」
「……了解しました。ご武運を」
命令を受けた騎士は、すぐさま動ける者たちを集め、負傷者たちを連れて下がっていった。
一度振り返りしたが、悔しそうになりながらも、負傷者を担ぎ引いて行った。
「……皆さん」
「国と民を護るのが、騎士の務めだ」
「モンスター討伐は、俺たち冒険者の仕事だ」
「「そして、若者を護るのが、大人の義務だ」」
「……ありがとうございます。なら俺は、あのデカブツをぶった斬ってやりますよ!!」
「キシャァァァァーー!!」
傷みが和らいだのか、再び襲いかかる女王。
「皆さんは殻が溶けた前足を狙ってください。俺は女王の頭部を狙います」
「女王陛下の顔面を狙うなんて、不敬にもほどがあるぜ若いの(笑)」
「確かにな。だが、滅多に無い機会だ。思いっきりやると良い!」
「では、遠慮なく!」
その言葉と同時に、一気に駆け出すアセム。
他のベテラン冒険者たちや副団長も、武器を持ち直し、アセムの後に続く。
女王も両足の鎌をブンブンと振り回す。
大人たちはなんとか避けるか逃げるするが、思うように近付けなかった。
振り回すたびに風圧がすごい。その圧に大抵の者は臆してしまうが、アセムは違う。
図体や鎌がデカくても、あの時の死合いに比べればなんとも無い。
そして、そんなに振り回せば
「隙が出やすい!」
ブンッ!と鎌が頭上を空振りした時、その瞬間女王の懐がガラ空きになった。
そこに目掛けて一気に距離を詰めようと―――――
「キシャァァァァーー!!」
女王が飛び込んできたアセム目掛けて酸性の液を吹き出した。
「同じ手を!」
飛び込むと見せかけ、足を止め液を避けた。
再び懐に迫ろうとしたが、足が止まった瞬間を女王は見逃さなかった。
「ギシャァァァァーー!!」
立ち止まったアセムを蹴り飛ばそうと、脚を勢いよく振るう。
逃げられるタイミングじゃない。
「くそっ!(骨折は覚悟の上で受け止め―――)」
ドンッ! ドォンッ!!
女王の脚は確かにとらえた。だが吹っ飛ばされたのはアセムではない。
「ガハッ!」
「先輩っ!!」
アセムを庇い、代わりに蹴り飛ばされたのは、最初に足止めすると言い出したゴールドランクのベテラン冒険者だった。
空中に蹴り飛ばされたベテラン冒険者に駆け寄ろうとした時
「行けっ!」
実際に聞こえた訳じゃない。
だが、アセムに向けたその目は、確かにそう言っていた。
「キシャァァァァーー!!」
「若いの!」
「逃げろっ!」
女王がまだ立ち止まるアセムに2本の鎌が襲いかかる。
ガキンッ!!
「ッ?!」
「「なっ!?」」
女王の鎌は弾かれた。アセムの二刀によって。だが
ブシュッ!
左腕から血が吹き出て、剣は落とさなかったが、ブランと腕が下がる。
利き腕とは逆の腕は、女王の鎌を一撃受け止めるだけで精一杯だったのだろう。
しかし、力勝負はアセムの負けではない。
ドシュッ!!
「ギュアァァァーーー!!??」
女王の片方の鎌が斬り落とされた。そしてアセムの刀にはポタポタと女王の血が垂れていた。
「終わりにしようか、女王陛下」
「ギシャァァァァーー!!」
「
ランドリドやアリューシアたちAグループは、戦える者を率いて平原へと急いで向かい馬を走らせていた。
先にA群れを殲滅し、帰還していたAグループは、未だに戻って来ないBグループに危機感を感じていた。
そこに早馬で戻ってきたBグループの騎士から、事の次第を聞かされた。
そこで彼らは急ぎ足止めに徹しているアセムたちの元に向かっていた。
「アセムのことだ。大丈夫だ……きっと、頃合いを見て引いてるはずだ!」
「えぇ。アセムくんならきっと大丈夫――――」
そして平原へとたどり着いた者たちは言葉を失った。
平原にはザンアントと、Bグループの死体。
その奥には、巨大な女王が真っ二つになり地面に倒れていた。
その近くには、ボロボロになったベテラン冒険者たちと副団長、そして血だらけになり物言わなくなったゴールドランクの冒険者を抱いて泣いているアセムの姿があった。