適正があるそうなので旧友のスタスクと制空権取りに行きます    作:D-4466

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お久しぶりです。やっぱりブラックアウト&スタスクが暴れるのはもう少し先になりそうです。


地雷はどこに埋まってるか分からない

「ふわぁ〜……眠い」

瞼が重く、思考の大半が真っ暗な泥濘に沈みかけている。

授業? 確かに覚えることは多い、この前渡された参考書は分厚すぎてもはや鈍器だった。だが要点さえ押さえれば問題ない。

士官学校では主席や次席にはなれなかったがこれでも上位の部類には入っていのだ、何のこれしき屁でもない、鎧袖一触だ。

ただ七面倒だ、気を抜けばすぐに睡魔が俺の瞼を撫でてくる。おかげであの鬼教官に叩かれた回数は片手じゃ足りない。頭にクレーターでもできているんじゃないか?夢の中で榴弾砲を撃たれたかと思ったぞ…

 

「はい! 私はファルクナー君を推薦します!」

 

……ん?

 

「では候補者はフリッツ・ファルクナー一人か? 自薦他薦問わないぞ」

 

「じゃあ私はウェストバーグ君を!」

 

「私は織斑君を推薦します!」

 

「やっぱり男の子がやった方がいいよねー!」

 

何事だ? 沈んでいた思考を急浮上させハルバートの方を見れば奴は苦笑いを浮かべていた。

一体俺は何に推薦された? 問いかけるとどうやら再来週のクラス対抗戦の代表者を決めているらしい。

……ならいいか、スタースクリームやブラックアウトのお披露目に丁度いいだろう。決まったら教えてくれ…そう言って再び意識を沈めかけた、その時だった。

 

「待ってください! そのような選出は認められません!」

 

眠りを再び遮られた。俺の睡眠を邪魔する愚か者はさらに続ける。

 

「大体、男がクラス代表だなんて恥晒しですわ! ここは動物園ではありませんのよ? 物珍しさで極東の猿やフン族の猿を担ぎ上げられるなんてとんだ迷惑ですわ!」

 

「……人間で動物園やってた奴がよく言うぜ。いや、だから俺らが猿に見えるのか?」

 

「な、な、なんですってぇ!?」

 

しまった。眠気で思考が鈍っていたせいか心の声がそのまま口から漏れてしまったらしい。奴は一瞬戸惑ったものの、すぐに顔を真っ赤にして怒鳴り返してきた。

 

「おいおい、トミーにしては随分と沸点低いんじゃねえのか?ライムが足りてねえんじゃないの? ここまで船で来たのかなぁ? ラ〜イ〜ミ〜ちゃ〜ん♪」

 

……おやおや、口が勝手に悪態をつく。口角が上がりきっているのを感じる、どうやら俺は今どんな顔をしているのだろうか?とんでもない顔をしているのだろう。横目に映ったハルバートが、若干引いていた。

 

「ふ、ふんッ! 随分と古臭い言い回しですわね! 大戦で二回も我が国に負けた癖に偉そうに!文字通りみんな犬死にでしたわね!負・け・犬さん?」

 

「…………は?」

 

「ひっ……!?」

 

セシリアは知らなかった。何気なく放ったその言葉が、フリッツにとって最大級の地雷であることを。

瞬間、教室の空気が凍りつく。彼の顔から笑顔は消え、ドス黒い殺気が場を覆い、光の消えた真紅の双眸がセシリアを射抜いた。彼女は小鹿のように震え、後ずさる。

 

「今すぐ第三次を始めてやるぞ、このアバズレがァッ!」

 

「ひぃぃぃッ!」

 

「テメェだけは絶対に殺す!」

 

彼は発射された砲弾のようだった、机など存在しないも同然。フリッツの拳が振り上げられ、あと一歩でセシリアに届く――。

 

「死ねえええッ!」

 

ゴンッ!

 

鈍い音が響いた。

倒れていたのはセシリアではなく、フリッツだった。ハルバートが足首を掴んだおかげでフリッツは盛大に転び頭を打ったのだった。

 

「お、おーい? 大丈夫? 結構ヤバい音しちゃったけど……」

 

返事がない、ただの屍のようだ。

ありゃりゃ、完全に伸びちゃったとハルバートはフリッツを止める際に机やらに打ち付けた体をさすりつつ

座り込んで未だ震えるセシリアを見下ろした。

 

「君がどこの誰かは知らないけど……次からは態度を改めた方がいい。人の地雷はどこに埋まってるか分からないからね。」

 

――今の七割くらいはフリッツが悪いけどね、と苦笑して付け加える。

 

「やっぱり…覚えてませんのね……裏切り者」

 

少女の小さな呟きは、ハルバートの耳には届かなかった。

 

「よくやったぞ、ウェストバーグ。本来これは私がやるべき仕事だった。礼を言う」

 

「いいですよ。先生からじゃぁちょっと遠かったですから。」

 

頭をかきながら、どこか照れた様子のハルバート。綺麗な女性に褒められて照れない男子はいない。それが世界最強ともなれば尚更だろう。

結局ハルバートも同年代よりは大人びているが根はただの高校生だったようだ。

 

死んだように静まり返った教室、無理もないだろう。豹変したフリッツは、並のヤクザなんかが可愛く見えるほど恐ろしかったのだから。

 

そんな沈黙を破る声が響く。

 

「決闘ですわ!」

 

 

IS学園・食堂

 

「……ちょっと待て。話の流れがさっぱり分からん」

 

「だろうね。僕にも分からない」

 

ラッキーとハルバートは食堂で向かい合い、今日の出来事を話していた。どうやらフリッツの絶叫は整備科の教室まで響いたらしく、気になったラッキーが尋ねてきたのだ。

しかしラッキーはセシリアの決闘宣言のあまりの脈絡の無さに困惑していた。

こればっかりは彼が馬鹿だから分からないわけではなく、決闘を申し込まれたハルバートも知らないと肩をすくめるしかなかった。

 

「とりあえず、フリッツがブチギレたのは分かった。で、当の本人は今どこに?」

 

「ちょっと勢いよく転けすぎたらしい、まだ保健室で寝てるよ。頭がパックリ割れちゃってて数針縫ったらしいけど…」

 

「まぁあのフリッツなら大丈夫だろ」

 

「違いない」

 

二人は思わず笑い合った。普通なら笑い事じゃないが、ハルバートに足を取られてフリッツが盛大にすっ転び頭を強打して気絶し、保健室のベッドで寝ているという状況が彼らにとってどうしても心配より面白さが勝ってしまったのだ。

やんちゃな男子高校生のあるあるである。

 

 

「本当に相手に心当たりはないのか?」

 

「いや全く。大方、僕の言い方にムカついた逆ギレじゃないかな。こっちは命の恩人なのにね。恩を仇で返すとはこのことだよ」

 

もう一度念を押すラッキーに、ハルバートは首を横に振り不服そうに答えた。

 

「そうか……まぁ頑張れよ。飯も終わったしフリッツの野郎の間抜けな寝顔でも拝みに行こうぜ」

 

「いいねそれ。賛成」

 

「ネームペンあるか?」

 

「あるよ、何を書こう?」

 

「考え中〜」

 

二人は食器を返却し、保健室へと向かう。

その背中を、金髪の少女が鋭く睨みつけていることに気付かない

ハルバート・ウェストバーグ…彼もまた、彼女の地雷を踏んでしまったことに気づかなかったのだ。

 

 

 

《small》《/small》




キャラとかの設定集とか作ったほうがいいですかね?
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