Dr.オクトパスin緑谷出久   作:サクラモッチー

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【前回のあらすじ】
上鳴電気、濡れ衣を着せられて逮捕される。
そして逃亡して耳郎の元に逃げ込むも裏切られ、彼女を衝動的に殺してしまう。


憧れの終焉、絶望の始まり②

さて、電気の脱走・殺人事件は世間に衝撃を与えていた。

というのも、何せ彼はヒーロー育成学校である雄英高校の生徒だったため、その事件が人々に強いインパクトを残したのは言うまでもない。

人々は電気のことを最悪なヴィランだと罵り、ありもしない憶測をし始めたが......当の電気本人はクラスメイトである耳郎を殺したことにより、再び留置所に入れられたためなのか既に希望を見出すことを諦めていた。

そして、自身を信じてくれなかった周囲や社会に対する怒り・失望・絶望等の感情を日に日に強めていった。

 

何故、こんなことになったのか。

電気はそう自問自答しながら留置所の一室で爪を噛んでいて、それを見た警察官達は電気のことを精神が不安定なヴィランだと認識したようで、この様子だと重刑は間違いないだろうなと口々に言っていた。

 

うるさい、黙れ。

電気は警察官がそんな会話をするたびにそう言わんばりの視線で威嚇し、彼らの口を閉じさせた。

今の彼にとって、警察官は憎悪の対象でしかなく.....それを察知した警察関係者は彼を近々タルタロスに送るべきではないか?と議論していた。

 

そんな彼らを尻目に、電気はこの日も部屋の片隅で爪を噛んでいたのだが.....ちょうどその時、彼の入れられている牢の近くでこんな会話が聞こえてきた。

 

「え!?あのガキの事件って冤罪なのかよ!?」

「正確に言えば、お偉いさんの息子の尻拭いだけどな」

 

電気はその言葉を聞いた瞬間、ピクリと反応した後.......その会話を盗み聞きしていた。

 

「お偉いさんの息子の尻拭い......てことは、上鳴夫婦を殺したのはそいつなのか?」

「あぁ、だから上の連中はバカ息子をやらかしたことを隠すために夫婦の息子に罪を被せたんだとよ」

 

警察官の口から出た言葉。

それは警察の身内のやらかしが原因で電気に濡れ衣を着せられたと言う事実で、それを知った電気はどうりで警察官達は俺を犯人に仕立て上げたかったわけだと思った後、こうも思った。

そんなことのために俺の人生を、夢を奪ったのか?と。

 

電気が警察官達に対してそう思っているうちにいつしか彼の憎悪の感情は膨らんでいき......やがて、フラフラと電気は立ち上がったかと思えば

 

「おい......つまりはアレか?俺はお前らの都合の良い人柱だったのか?」

 

留置場の檻を掴むと、話をしていた警察官達に向けてそう言った。

その電気の様子を見た警察官達は何かおかしいと思った後、彼がやらかす前に何とかしようと思ったのか、これでもかと電気に暴力を振るっていた。

しかし、電気はその暴力に耐えると.....彼らをギロッと睨んだ。

警察官達はその睨みに一瞬戸惑ったがそれが電気が攻撃する隙を作ってしまい、電気はこう吐き捨てると警察官達に向けて電気を放った。

 

「死ねよ.....クズ共が」

 

その言葉と共に放たれた電気を浴びたことにより、警察官達はあの時と同じように感電死したのか.....そのままバタンと床に倒れ込んだ。

警察官達が倒れたのを見た電気は、もう自分はヒーローには戻れないなという自嘲的な感情になった後、そのまま留置所内で殺戮を開始した。

 

電気は自身の体質上雷撃を放ち続ければアホになるからか、留置所内で警察関係者を殺す時は最低限の雷撃で人々を殺していった。

一方の警察関係者達は電気に命乞いをしていたが.....それは憎悪に染まっている電気にとって逆効果になってしまい、結局彼らもまた殺されたのだった。

 

「殺す、殺す、殺す.......」

 

そう呟きながら留置所内で人々を殺していった電気は、警察関係者をある程度殺した後.....素足のまま外に出たのだが、その外には前世の頃のヴィラン仲間であるドクターオクトパスとヴァルチャーが、出久・ギュンター・オクタヴィアスと禿鷲瑛人が立っており、電気は彼らが迎えに来たことを察するのだった。

 

「お久しぶりですね、エレクトロ」

「あぁ......久しぶりだな、ドック」

 

そんな会話をした後、出久の方を見る電気。

その顔にはかつてヒーローを夢見て輝いていた姿とは真逆の闇に堕ちたヴィランの表情が映っており、出久と瑛人は彼が壮絶な経験をしたのだなとすぐさま理解した。

 

「お前、結構酷い顔だな」

「こちとら冤罪・自白強要・裏切りの三連単を喰らったんだぞ?そうなるのも無理はないだろ」

 

ふざけるようにそう言う瑛人の言葉に対し、頭をポリポリと掻きながらそう言う電気。

その言葉を聞いた瑛人はご愁傷様というような顔になったのを尻目に、出久はニコッと笑いながら電気の方を見つめると

 

「とりあえず.......出所祝いに何か食べたいモノはありますか?」

 

彼に向けてそう言った。

その言葉に対し、電気はしばらく考えた後.....こう呟いた。

 

「......フライドポテト」

 

それを聞いた出久はフッと微笑むと、フライドポテト入りの袋を見せながらこう言った。

 

「だと思いましたよ」

 

そんな会話をした後、出久・瑛人・電気は瑛人の運転する車に乗って移動していたのだが.....久々のフライドポテトだからか、電気は美味しそうにフライドポテトを食べていた。

その姿を見た瑛人はどんだけフライドポテトに飢えていたんだよwと茶化したが、電気はうるせぇ!!と叫ぶとそのままフライドポテトを食べ続けた。

 

「しっかし、まさかドックの他にハゲワシ野郎も転生していたとはな」

「あぁ、それは俺も思った」

 

電気に向けてそう言った後、シェイクを飲む瑛人。

と言うのも.....彼らが前世の頃に生きた世界ではヒーローorヴィランが若返るわ、ヒーローorヴィランが死から蘇るわのトンデモ状況が多々起こっていたものの、そういったアジア特有の転生という概念がなかったので、流石の彼らでも転生という現象には戸惑ったらしい。

 

「ところで防犯カメラは?」

「もう既に切ってありますよ」

「そりゃどうも」

 

電気はポテトを咥えながら出久に向けてそう言うと

 

「......この世界って、俺らが最初の人生を歩んだ世界よりも汚いよな」

 

そんなことを呟いた。

その言葉を聞き逃さなかった出久はニコッと笑うと、彼に向けてこう言った。

 

「えぇ、ですから我々というヴィランが生まれたのではないですか?」

 

出久がそう言った瞬間、電気は目を見開いたかと思えば....彼の言葉の重さとこの世界の救いのなさを理解したような顔になると、フライドポテトを食べながらこう尋ねた。

 

「で?俺は何をすれば良い?」

「そうですね.....とりあえず超人血清を使ってあなたを強化した後、ヴィラン連合と共に雄英を襲撃しようかと」

 

彼がその言葉を発した瞬間、マジで?という顔になる電気とだよなという顔になる瑛人。

そして、雄英を襲撃するという言葉を聞いたからか彼の顔はとても明るくなった.....のだが、今の電気の顔はどちらかと言えばヴィラン寄りの明るい顔になっていて、次第にその事実に対して笑い始めていた。

 

「そいつは面白そうなパーティーだなぁ!!」

 

その顔には今まで自分を信じなかった奴らをボコボコに出来る!!という表情が映っていて、彼の表情を見た出久達はヴィランらしくなったなと思ったのか、ニヤッと笑っていた。

そして、出久は彼専用の装備も作らなきゃなと思ったのか......頭の中でどんな装備を作ろうかと考え始めるのだった。

 

「あ、そうだ。ラボに着いたら私特製のチリコンカーンでも食べますか?」

「マジで!?やったぜ!!」

「良かったな、エレクトロ」

 

なお、電気の脱走は当初ヴィランの脱走として報道されるが.......後々彼の一件が濡れ衣だと判明すると警察関係者へのバッシングが開始したのと並行して、彼のクラスメイト達は電気の無実を信じなかったという事実に苛まれることになったのだが.......当の電気は彼ら・彼女らのことを気にすることなく、ヒドラカンパニーのラボにてチリコンカーンを食べていた。

かくして、最悪のヴィランことエレクトロは社会と周囲への失望と絶望の中、爆誕したのだった。




というわけで、エレクトロ爆誕!!
エレクトロって何気にめちゃくちゃ強い能力持ちだし、原作漫画ではスパイダーマンの最強の敵として扱われているし.....アレ?実はめちゃくちゃヤバいヴィランなのでは?

ちなみに、本作のエレクトロはアメージングスパイダーマン2のように愉悦展開の末に闇堕ちしています(暗黒スマイル)
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