上鳴電気、自身の冤罪の真相を知る
上鳴電気、ドクターオクトパスと合流する
『次のニュースです。○○市で起きた上鳴夫妻殺人事件の犯人として指名手配されていた
「結構派手にやったんですね」
「まぁ、俺が味わった苦痛に比べればまだまだ殺し足りねぇけどな」
上鳴電気ことエレクトロが仲間に加わってから一週間後、ヒドラカンパニーのラボにでそんな会話をする私と電気くん。
あの日.....私が彼を回収してラボに戻った後、彼は物凄い勢いで私の使ったチリコンカーンを食べてはおかわりをするを繰り返し、結局彼は十回おかわりしていた。
そしてその後、私は彼の肉体を強化するために超人血清を投与。
結果的に言えば、上鳴くんは荼毘と同じように肉体と個性の強化や悪の精神の増幅が見られたため、対上鳴くん用の強化は成功と言えるだろう。
我々と合流して以降の上鳴くんは、留置所の前で再会した時よりも吹っ切れるようになり.....その結果、彼は我々と同じように最凶のヴィランと化した。
まぁ、彼がそうなったのは社会の歪みが原因だから我々の責任ではないがな。
それに......例え、彼が例の事件の真犯人を殺したとしてもその真犯人が救いようのないクズならば、人々はヒーローよりも上鳴くんの味方になるだろう。
それがこの世界の摂理なのだからな。
「.....おいドック」
「ん?何ですか?」
「アンタ、いつの間に雄英生をスカウトしていたのか」
ただ、この展開を死柄木弔は予想していなかったのか.....今現在の私は彼からそう追求されていた。
まぁ、この一件はヴィラン連合とは全く関係のない一件だったから仕方ないといえ、彼にこのことを説明してなかった私にも責任がある。
とりあえず、彼には後々お詫びでもするか。
「一応、ヒドラカンパニーへの見学の際にスカウトはしたのですが.........色々あって急遽迎えに行ったんですよ」
「ふぅん.......」
死柄木弔は納得したような顔になりながらそう呟いた後、ジッと上鳴くんの方を向いていた。
一応、死柄木弔や荼毘にも彼がヴィランになった理由を伝えたところ、二人はそんなのアリかよ.......という具合で警察の所業にドン引きした後、改めて世間への怒りを強めていった。
上鳴くんは上鳴くんで、両親を殺した上に自身があんな目に遭う原因となった例の犯人を殺すことが出来て満足できたのか.....ニコニコ笑顔でそのニュースを見ていた。
ちょうどその時、そのニュースでは例の犯人の父親も死体で発見されたというニュースが流れてきたため、私は思わず上鳴くんの方を見た。
一方、上鳴くんの方は何だよ?という顔になっていたのは言うまでもない。
「......まぁ、あなたのことだからそうするとは思ってましたよ」
そう呟いた後、ニュース番組を観る私。
そのニュース番組では、濡れ衣を着せられた末に自白強要を強いられた少年.....上鳴くんに関する特集が流れていて、コメンテーター達は腐敗した警察組織を非難するコメントの他、だとしても殺人を犯した上鳴くんを許して良いものなのか?というコメントも出ていて、議論は加熱していく一方であった。
SNSも同様の状況だったため、私はその状況をほくそ笑みながら眺めていた。
.......今回の一件で警察という組織の無能さがアピールされたことにより、奴らは躍起になってエレクトロを逮捕しようとするだろう。
しかし、それが自らの首を絞めることになることを彼らは知らない。
だが、それでこそ我々は行動しやすくなるがな。
「ところで.....あの男が君の両親を殺した理由は何だったのですか?」
「....一言で言えば、注意された腹いせだってよ」
例の男が上鳴くんの両親を殺した理由。
それはただ単に上鳴くんによって注意され、プライドを傷つけられたと感じた男による幼稚な八つ当たりだったのだ。
まぁ、どうせろくでもない理由ではないかと思っていたが.......予想以上にろくでもない理由だな。
その行為が原因で彼が、エレクトロが復活するとは奴自身も思ってなかったんだろうな。
「うわっ、何だそれサイテーじゃねぇか」
上鳴くんのその話を聞いた死柄木弔は思わずそんなことを言った後、指の骨をポキポキと鳴らし始めていて、上鳴くんはいいね!!とケラケラ笑っていた。
....この場に荼毘が居たら、彼もまた爆笑していたのだろうか?
そう思いながら、テレビを観る私。
そのテレビでは上鳴くんの一件に対する謝罪会見が行われていて、普段偉そうにしているであろう警察の幹部達が冷や汗を流しながら会見をしており、それを見た上鳴くんはニチャアと笑っていた。
....クソみたいなメディアもこういう時にしか役立たないからな。
「ところで、荼毘はどこに行ったんだ?」
「何かどっかの街に行くってさ」
「てことはまた虐殺しに行ってるってことか」
死柄木弔の言葉に対し、へぇ〜と言った様子でそう言う上鳴くん。
超人血清を投与し、悪の精神が増幅された影響なのか.....上鳴くんは、虐殺という単語を聞いても驚くことなくフツーに受け入れるようになった。
世間からしてみれば、それは異常だと言われるかもしれない。
だが、彼がその道を歩むようになった要因の一つにこの歪んだ社会が原因であるということに彼らはいつ気づくのだろうか?
そう思っていた時、どこからか携帯が鳴る音が聞こえたのでその電話に出ると
『やぁ、元気かい?』
その電話の相手は私のお得意様ことオール・フォー・ワンだったため、私は思わず口角が上がっていた。
やれやれ、こんなことで口角が上がってしまうとは....私も随分と悪役に染まったものだな。
「えぇ、私も今日も今日とても元気です」
『それなら良かったよ』
オール・フォー・ワンは邪悪な雰囲気を出しながらそう言うと、早速本題を切り出してきた。
『ところで、対オールマイト用の切り札のことで君のちょっとしたアドバイスを聞きたいと思っているんだが.....いいかい?』
「アドバイス....ですか」
オール・フォー・ワンの言葉に対し、そう呟く私。
対オールマイト用の切り札.....あぁ、確か死柄木弔からドクターと呼ばれている男によって改造された怪人、脳無だったか?
生物学は私の得意分野ではないが、とりあえずは一つぐらい意見した方がいいかもしれないな。
『いや何、ドクターが今後脳無を作る上でどんなことをすれば強くなるのかを色んな視点から聞いておきたくてね』
なるほど、つまりはどのように脳無の強化すれば良いのかの意見を求めているのか。
それならば、科学者として答える義務があるな。
そう思った私は、電話越しに彼に対してこう言った。
「もし....生物に寄生し、強力なアーマーとなる形で宿主を強化する寄生型地球外生命体がいるとしたら、あなたは信じますか?」
『....ほぅ?』
私がそう言うと、いかにも興味津々な様子でそう呟くオール・フォー・ワン。
一方、その言葉を聞いた上鳴くんはその言葉の意味を理解したのか........マジで?と言う顔になっていた。
死柄木弔はそんなものが実在すんのか?と言う表情になっていて、私は彼の方を向きながらオール・フォー・ワンに向けてこう言った。
「実のところ、そういう生命体を約一年前にヒドラカンパニー南米支店がとある場所で発見し、今現在そこのラボで研究が行われているのですが....もし、興味があればそれを送りましょうか?」
『....いいのかい?』
「えぇ、もちろんです」
オール・フォー・ワンの言葉に対し、ニヤッと笑いながらそう答える私。
そして、私はそのままの勢いで彼に向けてこう言った。
「ただ、その生命体は非常に繊細なので輸送に時間は掛かる上に雄英襲撃には間に合わない可能性もありますが....どうします?」
『あぁ、構わないよ』
私の言葉に対し、そう答えるオール・フォー・ワン。
....オール・フォー・ワンは戦力の強化のためならば、どんな手段も厭わない男だ。
だからこそ、私はヴィランとしても科学者としても頑張り甲斐があるのだがな。
そう思いながら、私は彼に向けてこう言う私。
「....契約成立、ですね」
私がそう言うとオール・フォー・ワンのフッと笑う声が聞こえたかと思えば、そのまま電話は切れるのだった。
....やれやれ
「これはまた忙しくなりそうですね」
上鳴電気、完全に闇堕ちするの巻。
そして、ドクターオクトパスがオール・フォー・ワンと不穏な会話をするの巻。
多分、雄英襲撃の時は地獄と化すんだろうなぁ。