ドクター・オクトパス、死柄木弔の装備のためにナノマシン強奪を決意。
そして、この世界に転生している可能性が高いとあるヴィランに協力を仰ぐごとに。
果たして、そのヴィランとは一体!?
禿鷲工業。
それはナノマシン製造の面において、第一線を走っていた企業として知られており......日本国内だけではなく海外からも注目されていた。
最も、それはライバル社にその技術を盗まれるまでの話だがな。
その結果、禿鷲工業はあっという間に倒産。
当時の社長夫妻は心中を試みるものの、生き残ったのは息子だけ。
義爛によれば、その息子本人はライバル社が技術を盗んだのだと主張していたが.....社会的地位が少しだけ高めなライバル社によって、無個性の彼のその主張はただの戯言だと片付けられたようだ。
全く.....前にも思ったがこの世界は腐っているな。
だからこそ、彼の力が必要なのだがな。
「初めまして.....というよりかはお久しぶりです。
そう思いながら、目の前にいる青年.....ヴァルチャーの転生体こと
ヴァルチャーは前世の私が生きた世界のヴィランの一人で、その名の通り禿鷲のように羽を使って空を飛び、そして私と同じシニスターシックスの一員として共に戦った仲だ。
そんな彼の転生した姿である
そして、すぐさまナノマシン強奪のために協力を仰いだワケなのだ。
「......ヴァルチャー、だと?アンタ、何を言ってるんだ?」
だが、当の本人はまだヴァルチャーとしての記憶が蘇っていないのか......警戒しながらそう言った。
やれやれ、どうやら彼は私のように記憶が起こったまま転生しているパターンではなさそうだな。
「というか、そういうアンタは自分の名前を名乗ってないじゃねぇか」
「あぁ、そういえばそうでしたね」
私としたことが.....名前を名乗らずに話しかけるとは、彼には失礼なことをしてしまったな。
そう思いながら、こう自己紹介をする私。
「私の名は出久・ギュンター・オクタヴィアス。ヒドラカンパニー日本支店科学ラボの責任者をしています」
私がそう言うとヴァルチャー、いえ、禿鷲くんは驚いた顔をしていた。
あぁ、そういえばヒドラカンパニーは大企業の部類に入る会社だったな。
なんてことを思いながら、私は禿鷲くんの顔を見ていた。
当の禿鷲くんは私の正体を知った瞬間、ますます警戒心を強めているようで......何でそんな奴がここに?という表情になっていた。
「......言っておくが、ナノマシンのことはアイツらに全部奪われたんだぞ?」
「えぇ、それは知っています。ですから.....私とともにそのナノマシンを奪い返しませんか?」
私がそう言うと禿鷲くんはビックリとした様子な顔になった後
「.....は?」
呆然とした様子でそう呟いた。
まぁ、何せ胡散臭いガキからそんなことを言われたら誰だってそうなるよな。
「.......お前に何が分かる」
「分かりますとも、何故なら.......私とあなたは同じシニスターシックスとしての仲間なのですから」
私がそう言うと彼はシニスターシックス?と呟いた後、突然頭を抱えて地面に膝をついた。
その瞬間、禿鷲くんは激しく悶え苦しみ始めた。
私はオカルト的なモノは信じない。
だが......恐らく、これは彼の中でヴァルチャーとしての前世の記憶が甦りつつあるという事実の証明。
つまり、彼自身が忘れかけていた記憶の蓋を無意識のうちに開けようとしていることを意味していた。
「前世でのあなたの本名はエイドリアン・トゥームス、そしてヴィラン名はヴァルチャー。あなたは私と同じくスパイダーマンの敵として戦い、そしてその命を散らしました」
「ぁ......ぐっ!!」
「あなたに対してここでこんな言い方を言うのもアレですが.....いい加減に目覚めろ、そして自分が何者なのかを思い出せ。ヴァルチャー」
同じくスパイダーマンと戦った仲である彼が目の前にいるからか、つい昔の口調で喋る私。
すると、それが効果的だったのか
「ドクター.....オクトパス、か?」
彼は頭を押さえながらフラフラと立ち上がると、私の正体や自身の前世のことを思い出したのか.....さっきのイラついた表情とは裏腹な前世の頃の狩人のような目でそう呟いていた。
全く、ようやく目覚めたか。
「そうだ。やっと思い出したか」
「あぁ......おかげさまでヒデェ痛みはするがな」
私の言葉に対し、嫌味を言いながらこちらを向く禿鷲くん。
前世の記憶を思い出したからか、彼の顔は爽やかな顔からどことなく獲物を狩るハゲワシのような鋭い顔になっていて、瞳の中にはあの頃と同じように闘志がキラキラメラメラと燃えていた。
前世の頃の彼は会社絡みのことでヴァルチャーというヴィランへと変貌し、私と同じようにスパイダーマンの宿敵として何度も戦った。
だからこそ、私はスパイダーマンと戦ったヴィラン仲間として彼の力を必要としたのだ。
だが、転生してもなお会社絡みのことで面倒なことに巻き込まれるとは.....彼は会社のことで不幸な目に遭う運命なのか?
私がそう思っていると、彼はイライラとした様子でこう言った。
「クソッ!!何で二度目の人生でも会社絡みでこんな目に!!」
「そこはお前も思っていたのか」
どうやら、禿鷲くんもそう思っていたようだ。
「......つーか、そういうお前は結構出世しているんだな」
「まぁ、就職先が無個性に対して理解のある会社だったからな」
私がそう言うと禿鷲くんは再びビックリしたような顔になると
「お前、俺と同じ無個性なのかよ!?」
思わずそう叫んでいた。
「それがどうかしたのか?」
「ぐっ......そういうところは本当にお前らしいよな」
禿鷲くんはそう言った後、ため息を吐くとやれやれという様子で私の方を見ていた。
その顔にはお前に付き合ってやるよという意思が出ていて、禿鷲くんは再びヴィランとなる覚悟を決めたようだ。
.....彼の中で眠っていたヴァルチャーの記憶が蘇ったとすれば、他の連中もこの世界に転生している可能性が高い。
ただ、その場合だと彼らが今どこにいるのかを調べるという面倒な作業が待っているがな。
「で?お前のことだから、どうせ俺の装備は既に作っているんだろ?」
ニッと笑いながらそう尋ねる禿鷲くんに対し、私もまた彼のように悪い笑顔を浮かべるとこう答えた。
「流石はヴァルチャー、勘が冴えてるな」
「そりゃそうさ、何せ俺はハゲワシだからな」
ハゲワシ......か。
やはりお前にはその名が似合うな。
そう思いながら、缶コーヒーを飲む私。
「安心しろ、お前の装備は特別製の装備に仕上げてある」
「.....それ、合法的なやつだよな?」
「うちの会社にヒドラの名が付いている時点で合法的だと思うか?」
「確かに」
私の言葉に対し、そう呟く禿鷲くん。
......確かにヒドラカンパニー側からスカウトされた際、私自身はとても驚いた記憶がある。
だが、だからこそピッタリの装備を作れたから結果オーライだな。
「それからもう一つ、社長から伝言を頼まれているから伝えるが.....今回の事が終わり次第、ヒドラカンパニーでナノマシンの製造を専門に行う会社を設立するからお前にその社長をやって欲しい、とのことらしいぞ」
私がそう言うと禿鷲くんは大きく目を見開いたかと思えば、それは良い話を聞いたなという具合に笑うと......俺に対して手を差し出すとこう言った。
「んじゃ、この再会に感謝しないといけねぇな」
「あぁ、シニスターシックスとしての仲間との再会を祝わなくては」
そんなわけで、ヴァルチャーという仲間を手に入れた私なのだった。
▼ヴァルチャーが仲間になった!!