ドクターオクトパス、ラボを案内するついでにかっちゃんをディスる。
雄英生がラボに見学に来てから数時間後、ある程度の見学を終えた私達は食堂にて共に食事していたのだが
「え!?それじゃあオクタヴィアスさんは中学を卒業間近でヒドラカンパニーに就職したんですか!?」
今現在の私は雄英生達から質問攻めにあっていた。
うん、まぁ、私が爆豪くんの幼馴染である上にここのラボの責任者ならそうなるのも無理はないな。
そう思いながら、ベーグルサンドを食べる私。
ちなみに....あの時質問してきた生徒は八百万百という生徒らしく、実家が裕福なためにクラスでのポジションはお嬢様らしい。
ということは、シュミット社長には既に会っているのだろうか?
「あぁ、どうやら元々暇つぶしで始めた研究がシュミット社長の目に留まったらしくてね、その結果が今というわけなのさ」
私がそう言うと、雄英生達は既に中学生の段階で天才だったのか.....!?とめちゃくちゃ驚いていた。
何だったら、爆豪くんどころかさっきから興味なさげな紅白頭くんでさえこちらを向いていた。
そこまで驚かなくても良いと思うが、これが世間一般的な反応として受け入れるとしよう。
私自身、自分で言うのも何だが......そもそも前世から科学者として活動していたからそういうのには慣れていうというか、何というか。
しかし、こうやって何も知らないガキ達に色々教えるのは意外と楽しいものだな。
それに....イラつく爆豪くんの顔を見るだけでも、私はこの見学を許可した甲斐があったと思うがな。
「ひ、暇つぶしで始めた研究って.....?」
「リアクターの原型とも言える研究、と言えば分かるかな?」
私がそう言った瞬間、その言葉の意味を理解したのか騒つく生徒達。
教師陣に至ってはコイツ本当に10代か?という反応になっていた。
失礼だな。
今の私は正真正銘の16歳。
前世での経験からそう思われても仕方ないが......後々雄英高校を襲撃する時のために態度は覚えておくとしよう。
と、そう思いながらベーグルサンドを食べている私に対し、カエルに似た女子生徒はとある疑問を持ったのか.....私に対してこう質問した。
「でも、何でそういう研究を始めたんですか?」
どうして研究を始めた.....か。
その理由は色々とあるが
「私自身の心の穴を埋めるため、と言った方が良いのかもしれない」
やはり、これが大きな理由かもしれないな。
私がそう言うと食堂内に居る雄英生の空気が一気に変わったが、私はそんなことを気にすることなく、私はコーヒーを飲んだ。
だが、平然としている私を見た雄英生はザワザワとしていて
「あ、あの、それってどういう.....?」
ブドウのような頭の生徒がそう尋ねてきたので、私はこう答えた。
「この場でこういう話をするのはアレだけども....私自身、幼い頃に交通事故で両親を亡くしているんだ。このオクタヴィアスと言う名は私を引き取ってくれた父の仕事仲間の苗字だから、正確な本名とは言えないけどね」
その言葉を聞いた瞬間、その事実に対して目を見開く生徒達。
この様子だと彼ら・彼女らは私が両親のサポートがあって研究をしていたと思っていたようだが......それは違う。
私がリアクターの研究を始めたのは、何の罪の無い家族がヒーローの戦いに巻き込まれたという理由だけで命を落としだという事実と、やるせない怒りを研究という名の名目でぶつけただけ。
ただそれだけだ。
だが、その研究でヒーローに一矢報いるのなら.....私にとっては万々歳だがな。
「だからかっちゃんとは挨拶も交わすことなく別れちゃってね、こうして再会できたことが嬉しいんだよ」
ニコッと笑いながら放った私の言葉に対し、雄英生達は良い話だ.....!!と感動していたが、当の爆豪くんは俺を泣ける話のネタにするんじゃねぇよ!!と主張するような顔になっていた。
やはり、彼はヒーローよりかはヴィランに向いているな。
内心ほくそ笑みつつ、視線を紅白頭くんに向けてずらす私。
そういえば、紅白頭くんの父親はあのフレイムヒーローだったはず。
フレイムヒーロー、エンデヴァー.....あぁ、思い出した。
確か、奴とヴィランとの戦闘が原因で緑谷出久という少年とその家族が死ぬ原因となったはず。
......これは使えるかもな。
「それじゃあ、爆豪くんとはどんな風に仲が良かったんですか?」
「どんな風......かぁ。どっちかって言ったら私はイジられ側だったからなぁ」
私がそう言うと、へぇ〜と声を漏らす生徒達。
ただ、爆豪くんは俺とのことをバラすな!!と言う顔になっていたが、私は別にバラすつもりはない。
君がどんな行動を取ったとしても、私はそれを見守るだけ。
そう、君がどんな行動を取ったとしても......ね。
そう思いつつ、爆豪くんを見つめていると
「おいデク.....お前、何がしたいんだよ!!」
案の定、私の態度に不満を持っていた爆豪くんは大爆発していた。
やれやれ、想定よりも早かったがこうなったか。
彼の性格上、こうなることは予測していたが.......こうもあっさりと爆発するとはな。
流石は個性が爆破なだけはある。
だがまぁ、これは私にとって好都合。
彼が超が付くほどの短気で良かったよ。
「おい爆豪!!お前何を!!」
「うるせぇな!!なんで無個性のお前がそんな偉い奴になっているんだ!!あぁん!?それにクソナードの分際で生意気なんだよ!!」
あ〜あ、ついに言ってしまったな。
緑谷出久に対する常套句を。
君にとって、その言葉は言い慣れた言葉かもしれないが.....彼の様子から見て、この状況を理解しているとは思えない。
これぞまさしく、ヒーロー飽和社会の弊害だな。
爆豪くんを見つめつつ、そんなことを考えながらコーヒーを飲む私。
そんな私に対して爆豪くんは更にイラつきを爆発させていたが......そのことに対して最初はポカーンとしていた雄英生達は徐々に我に帰っていき、爆豪くんに対して苦言を言うかのようにこう言った。
「爆豪くん!!オクタヴィアス博士に対してそんな言い方はないだろう!!」
「そうだよ!!オクタヴィアスさんは爆豪くんの幼馴染なんでしょ!!」
「爆豪くんサイテー!!」
クラスメイト達に責められる爆豪くんの姿はまさに非難轟々と言っても過言ではない光景で、それを見た私はコーヒーを飲みながらバレないようにニヤリと笑った。
爆豪勝己.....君が単純で助かったよ。
おかげで、私は彼ら・彼女らから爆豪勝己の暴言に巻き込まれた哀れな幼馴染という肩書きと共に雄英生からの信用を得た。
彼のことだ。
どうせ世界から個性が消えない限り、自らの行いを反省しないのだろう。
.....いや、どちらかと言えば世界から個性が消えたとしても反省しないだろうな。
クラスメイト達から責められている爆豪くんを見つめながら、そう思う私。
「すみませんオクタヴィアス博士。後で爆豪はキッチリ締めておきます」
そう言った後、紐で爆豪くんを拘束する相澤先生。
雄英の教師がここまでマトモなのに、爆豪くんは変わらず.....か。
ここまで性格が変わらないのなら、もはやあっぱれだな。
恐らく、周囲の環境が彼をそうしたのだろうが....それが免罪符になるとは限らない。
せいぜい、私という存在を貶したという行為の重さを知れ。
「いえ、かっちゃんとはいつもあんな感じだったので.......」
私がそう言うと、何度目か分からない程に騒つく生徒達。
別に私は嘘は言っていない。
事実ほど残酷で殺傷力のある武器は無いからな。
そう思った後、紐に拘束されてもなお暴れまくる爆豪くんを見つめる私。
「それに、私が無個性なのは事実なので否定は出来ないんですけどね」
相澤先生に向け、そう言った後コーヒーを飲む私。
その言葉を聞いた相澤先生はギロッと爆豪くんの方を向いたかと思えば、すぐに私の方を向くと
「.....ご迷惑をおかけしてすみません」
無愛想ではあったが、言葉の節々から申し訳ないという様子で謝っていた。
......彼は教育者としては立派だ。
だからこそ、オール・フォー・ワンは彼に対して同級生をベースにした脳無を、黒霧をぶつけようとしているのかもしれないな。
そんな私に対し、爆豪くんは
「クソッ!!何で俺が.......」
と吐き捨てていた。
君、本当に往生際が悪いね。
そう内心思いつつ、私はそんな爆豪くんを呆れた様子で見ている稲妻メッシュが特徴の少年の方に近づくと.....小声でこう言った。
「エレクトロ、もしお前がお前だった頃の記憶を思い出した時は......すぐに連絡してくれ、これが私の連絡先だ」
彼に連絡先を書いたメモを渡した後、元の場所に戻る私。
けれども、私のその行為が彼の記憶を刺激したのか........彼は少しだけ頭が痛いような仕草をしたかと思えば、私の方を呆然とした顔で見つめていた。
とまぁ....そんなこんなで有意義な収穫がありつつ、雄英生のラボ見学ツアーは終わったのだった、
爆豪くんのことだから、きっとエリートになっている出久(ドクターオクトパス)のことが許せない的なガキ大将的思考になると思うなぁ。
ただ、悪巧みのレベルだとドクターオクトパスに負けるけど。
爆豪曇らせはいいぞぉ!!