パチモン催眠アプリを使ったら、幼馴染がスカートをたくし上げた。   作:荒井竜馬

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第23話 形勢逆転?!

「啓介くん、啓介くん」

 

「ん? おぉ?」

 

「朝だよ、支度しないと遅刻するよ」

 

 眠り眼で目をこすると、目の前には制服姿の恵理の姿があった。

 

 いつもなら、その姿を見てもしばらくボーとしているのだが、今日はなんだか少し違っていた。

 

 いつもよりも意識がはっきりするのが早い。なんというか、恵理の顔を見た瞬間に微かに心臓の動き方が変わった気がした。

 

 ……いや、そもそも最近は恵理を見ると、催眠アプリをかけないとと思って目覚めがいいのか。

 

 朝起きるなりそんなことを考えるのは一体、どうなのだろうか?

 

 いや、もう習慣と化してしまったし、これも仕方がないことだ。

 

 俺は最近の習慣となった恵理の朝のおパンツチェックをするために、枕元にあるスマホを手にして催眠アプリを立ち上げようとした。

 

「啓介くん、催眠アプリって知ってる?」

 

「……え?」

 

 俺が催眠アプリのアイコンをタップしようとした瞬間、恵理はそんな言葉を口にした。

 

 突然過ぎたので、驚きのあまり喉の奥が締まって、絞り出したような声を出してしまった。

 

 まさか、どこかでバレていたのか?

 

 でも、大丈夫なはずだ。俺は常に紳士的なお願いしかしてないわけだし、バレても何も問題はーーあるよな。

 

 毎日スカートをたくし上げさせたり、ブラジャーを見せるように言ったり、水着姿を凝視したりと、色んなことをしてしまった。

 

 さすがに、問題ないというには無理がある。

 

 そんなことを考えて、恐る恐る顔を上げると、そこには見慣れた画面をスマホに表示させている恵理の姿があった。

 

 怒っているような感じてはなく、なぜかその表情にはドヤ顔のような笑みが浮かべられていた。

 

 いつの間にか俺の目の前まで来ていた恵理は、俺が使っているのと同じ催眠アプリを起動していて、紫と桃色の渦がぐるぐると回っている画面を俺に向けていた。

 

 突然過ぎる事態についていけないでいると、恵理は俺を見下ろしながら言葉を続けた。

 

「クラスの子から聞いたんだけど、考えていることが分かるくらい親密な人だと、このアプリの催眠にかかるんだって。例えば、幼馴染とか」

 

 恵理はそんなことを言うと、ずいっと俺にそのスマホの画面を見せつけてきた。

 

 ……催眠アプリが本当に効くって思っているって、俺の幼馴染は思った以上に頭が弱いのだろうか?

 

 いや、そんな憐れんでいる場合ではない。というか、現に恵理だけには効くアプリなのだから、その話もあながち間違いではないのか。

 

 ということは、俺もこのアプリを向けられたら、恵理に催眠にかけられてしまうということだろうか?

 

 もしも、本当に催眠にかけられたら、一体どうなるのか。

 

『啓介くん、隠してることあったら全部白状して』

 

『はい。恵理にスカートをたくし上げさせたり、ワイシャツ脱がせたり、犬の恰好をさせたりして、下着を凝視してました。それを見て、私は非常に興奮していました。いや、今もパンツを見たくてウズウズしています』

 

 催眠にかけられてでもしたら、そんなことをつらつらと白状させられてしまう気がする。

 

 それだけは避けなければならない!

 

 そう思った俺は、咄嗟に焦点をスマホとは別の所に向けることにした。視線を逸らし過ぎず、あくまで催眠の画面は見ているような感じで焦点だけをずらす。

 

徐々にスマホの画面がぼやけていき、渦を巻いている画面の映像からピントをずらすことに成功した。

 

 よっし! これで、催眠から逃れることができた!

 

 あとは、俺には効果がなかったみたいだと告げれば、それでミッションコンプリートだ!

 

 ……いや、はたして、本当にそうだろうか?

 

 もしも、俺が催眠に掛かっていないと言った場合、毎日恵理に掛けている催眠も効果が薄まったりしないか?

 

 催眠は効果がないのだと思ってしまったら、恵理はもう催眠に掛からなくなってしまうかもしれない。

 

 そうなると、毎日のおパンツチェックができなくなる?

 

 まてまて、それだけはダメだっ! 

 

最近は恵理のパンツを思い出してソロプレイに励むことが多いのに、急にその供給を止められるのは困る!

 

 そうなると、俺がすべき行動はーー

 

「催眠、かかったかな?」

 

「……」

 

「確認は大事だよね。啓介くん、催眠に掛かってるなら、私の頭撫でて」

 

 俺は恵理の命令に従うべく、俺のすぐ近くに座ってきた恵理の頭にそっと手を置いて優しく撫でることにした。

 

 そう、俺は催眠にかかったフリをすることにしたのだ。

 

 催眠にかかったフリをすることで、俺は意識を保ったままいられるから何かをやらかすことはなく、恵理は今後も催眠に問題なくかかるはず。

 

 完璧すぎる計算だ。多分、俺以外の人間にはこの回答は導き出せないだろう。

 

 少し恥ずかしいが、頭を撫でるくらいどうってこともない。

 

 柔らかくさらりとしている髪は、不思議と撫でているこちらが心地よいと感じるほど触り心地が良かった。

 

 撫でられている恵理もまんざらではないようで、心地よさそうに目を閉じて俺に撫でられている。

 

 なんだろうか、急に甘い空気が出てきた気がする。

 

「本当に効いてるんだぁ。……じゃあ、『可愛いよ』って言いながら、なでなでして」

 

「……ん?」

 

「だから、『可愛いよ』って言いながら、頭撫でて。あっ、もちろん、目を見ながら言ってね」

 

 ん? んんん?! 今、何て言った? 

 

 何かの聞き間違いかと思って恵理の方に視線を向けると、恵理はこちらに体を向けてじぃっと熱っぽいような視線を向けていた。

 

 本気で俺に可愛いと言われながら、頭を撫でられることを期待するかのような視線。

 

 え? 俺に可愛いって言われるだけのことに、期待し過ぎじゃないか?

 

 さすがに恥ずかし過ぎるので断ろうとしたが、俺は今自分が催眠に掛かっている設定であることを思い出した。

 

 催眠にかけられているのに、『それはちょっと……』と断れるはずがない。

 

 大丈夫だ。ただ言葉を言いながら頭を撫でるだけ。

 

 それくらい、変に意識しなければできるはずだ。

 

 俺は髪を撫でていた手をそのままに、意を決して口を開いた。

 

「か、可愛いよ。恵理」

 

「はわっ……」

 

 一気に押し寄せてきた恥ずかしさから体の奥までもが熱くなる。そんな熱を押さえながら、俺は恵理の頭を撫でてそんな直球過ぎる言葉を口にしていた。

 

 頭を撫でられた恵理はというと、俺に本気で口説かれているかのように乙女の顔をして、耳の先まで赤くしていた。

 

 いや、なんで幼馴染の俺に言われたくらいで、そんな本気で照れてるんだよっ!

 

「啓介くん、顔真っ赤」

 

 いや、おまえもだよ!

 

 そんなツッコミをすることもできず、俺はただただ恵理の頭を撫でることしかできずにいた。

 

 何だこの恥ずかしさはっ! これなら、本当に催眠にかかったほうがよかったかもしれない。

 

 いや、だめか、かかったら今まで恵理にしていたことがバレちゃうしな。

 

「啓介くん、もっと言って」

 

「可愛い、可愛いよ」

 

「もっと心を込めて」

 

「……可愛いよ、恵理」

 

「えへへっ、そうかな? 啓介くんから見ても可愛い?」

 

「……可愛いんじゃ、ないか?」

 

「啓介くん。ほら、ちゃんと目を見て言って」

 

「か、可愛いよ」

 

「本当? えへへっ、そっかぁ」

 

恵理はそれから十分ほど、俺にただ頭を撫でさせながらそんなことを言わせていた。

 

催眠中って、こんなに普通の会話しちゃっていいのかな?

 

 いや、普通のエロマンガとかでも催眠中に会話とかしているし、問題ないのか?

 

 そんなことを考えながら頭を撫でていると、不意に恵理が何かに気づいたように体をぴくんとさせた。

 

「あっ、もう朝ご飯の支度しないと」

 

「え?」

 

 恵理は俺の部屋にある時計を確認すると、そんな言葉を口にしてベッドから立ち上がった。

 

 え、もう俺の部屋を出ようとしているのか? まだ朝のおパンツチェックもしていないというのに?

 

 こちらに背中を見せて部屋の扉の所まで行った恵理は、俺の視線に気づいたのか不意に振り返った。

 

「……お礼は、しないとだよね?」

 

 顔を赤くしたままの恵理は、羞恥の感情に染まった瞳をこちらから逸らして、そんな言葉を口にした。

 

 そして、そっとスカートの裾を掴むと、ゆっくりとスカートをたくし上げていった。

 

 露になっていく普段見えない太もも。蠱惑的な内ももをこちらに見せつけながら、恵理はそのままスカートをたくし上げていった。

 

 そして、白色のパンツを少しだけちらりと露にさせた。

 

 控えめに見せているというのに、自らの意思でスカートをたくし上げてパンツを見せるという行為を前に、俺は目を見開いて魅入っていた。

 

 恵理は羞恥心を抱きながら、自発的にパンツを見せつけた後、言葉を続けた。

 

「なんて、啓介くんは私のパンツを見てもなんとも思わないんだったよね?」

 

 自信なさげな言葉なのに、どこか煽るような色をしている瞳を向けられ、俺はそのギャップにひどく興奮してしまっていた。

 

 幼馴染が見せた笑みに妖艶さを感じてしまったのは、俺の心の方に問題があるのかもしれない。

 

 それから数分もしないうちに、恵理はスカートを下ろして俺の部屋を後にしたのだった。

 

 

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