妹に兄と呼ばれたい。   作:any

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”ここからは君の舞台”


妹は谿コ縺たい

 

 

目の前の敵を見る。

 

 

 

 

先ほど、大きな槍を用いた攻撃をしたことで少しは消耗したかと思ったがすでに回復してきている。

反撃で捥いでやった羽もすでに修復され、まだまだ元気な様子。しかし、その表情は先ほどの余裕たっぷり、こちらを見下す笑みではなく。

鋭くこちらを睨み、表情を消し去っている。

 

 

「驚いたわ。博麗とはいえ、人間が私のグングニールを耐えるどころか消したうえで、まさか私の羽を捥ぐとは……………信じられないわね、正直。」

 

 

「アンタ等は私たちとは違う、羽の一本で喚くんじゃないわよ。……次はその首を飛ばしてあげる」

 

 

「博麗のくせに、弾幕ごっこを知らない野蛮人なのね。…人間風情が、あまり調子に乗るなよ」

 

 

吸血鬼が瞳に怒りを宿し、さらにこちらを鋭く睨む。

放つ威圧感、プレッシャーはこれまでに感じたものの中でも最上級で、この相手がただの大妖怪ではない、自らの力を把握し、種族に胡坐を書かず、研鑽を怠らずいる上澄みであることは容易にわかる。

手に作り出した槍はこれまでよりもはるかに高密度な妖力で作られていて、本気で殺しに来ていることがわかる。

 

 

しかし、それだけ。

 

 

「妖怪はいくらでも生えてくるでしょ?いいじゃないの、一本くらい。人間を侮るからそうなったんじゃない?」

 

 

「侮っていたのは確かね。ええ、そうよ…………だから、今からは本気で殺すわ。貴女に構ってばかりいられないの」

 

 

そう言いながら、吸血鬼は兄さんと戦うもう一人の吸血鬼を見やる。

 

 

あちらでは魔法が空を彩り、炎の剣が紅い霧を裂いて兄さんに迫る。その攻撃を紙一重にかわしながら、対応する兄さん。

兄さんは既に傷が所々見える。

 

 

時間が無い。

 

 

「今更、また『本気』?それと、安心して。アンタの心配してるアレは私がルールに則って()()するから」

 

 

 

「それと………アンタじゃ私に攻撃できないわ」

 

 

 

 

私がそう言い放つと同時に、レミリアと私が動き出す。

人間の視覚では捉えきれないような速度で空を飛ぶ吸血鬼。妖力の位置を感知することでその場所をとらえ、攻撃に備える。

さっきの大きな槍は別の方法によるカウンターを放ったが、今度の近接攻撃に合わせるのはこの速度で飛び回る相手では厳しい。

 

 

流石に上澄みの大妖怪、同じ手にはかからない。

 

 

 

 

 

紫の言葉が脳裏に蘇る。

 

 

 

 

 

『いい、霊夢。戦いに必要なのは”知”と”力”。この二つはいわばコインの表と裏ーーーーどちらかが欠けてはいけないもの。』

 

 

『大抵の妖怪は知恵を持たないか、自分の力に酔いしれてる愚かな雑魚よ。アナタどころか、伊織ですら問題とならないでしょうね。』

 

 

『けれど、霊夢。私のように狡賢くて、用意周到で、それでいて力を持つ俗に言う”大妖怪”。それらに力の差は大きくあれど、誰もが一筋縄ではいかない。』

 

 

『今のあなたでは絶対に殺される。力は言わずもがな、知恵においても経験も日も浅いあなたでは話にならないわ。…………なら、どうすればいいかわかるかしら?』

 

 

 

知恵と力で及ばないときにとる手段。

私が教えてもらったのは二つ。

一つは、技などでいなして攻撃を無効化し、相手を消耗させる。

 

 

もう一つは、一点集中によって瞬間的に力で上回る。

 

 

 

結界用の札を取り出し、霊力を込めてから空にまく。

 

 

次に、目の前にある陰陽球に手をかざし、意識を集中する。そして、陰陽球を能力によって操作し、高速で回転させる。

そしてその陰陽球に霊力を込めていく。すると、陰陽球の回転は次第に高速化し、帯びた霊力の光をまとって青白い球となった。

 

飛び回って速度を増した吸血鬼がこちらを窺う視線を感じる。

 

 

「かかってきなさい」

 

 

空に向かって挑発をすると、笑い声とともに返事が来る。

 

 

「望むところ」

 

 

同時に、吸血鬼が私の後ろ側、上空から速度を保ったまま槍とともに突っ込んでくる。

あまりにも速いため、体の反応では到底追いつかない。おそらく振り返る瞬間には保持している威力によって私の体を砕くであろう。

 

しかし、その程度で倒せるほど”博麗”は甘くも、優しくもない。

 

 

 

少なくとも、私の知っている……見たことのある博麗はそうだ。

 

 

 

 

吸血鬼が刹那の思考の合間にも迫りくる。走馬灯のように引き延ばされていく思考と時間。

吸血鬼が笑みを浮かべているのを見たわけでもなく、感じる。

 

 

槍が迫る。

 

 

その切っ先が触れようとする、その瞬間。

 

 

 

 

 

「展開」

 

 

 

 

私の声が静寂に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

呟く暇もないはずの一撃。

しかし、現に私に、吸血鬼の一撃は届かず、私は祝詞を唱えている。

 

 

 

「あら、残念ーーー『八方鬼縛陣』」

 

 

 

後ろを振り向けば、先ほど撒いた札が光を放ち、札同士を光の線が結び吸血鬼を縛り付けている。

その吸血鬼は怒りを表情に出し、こちらを見ている。

 

 

「どういうこと?」

 

 

「何がよ。アンタの攻撃は私に届かない、言ったでしょ」

 

 

「人間では到底反応できないはずよ。妖力の探知で位置がわかるとしても、人間には結界の発動は不可能のはずよ」

 

 

「人間人間煩いわよ、蝙蝠風情が。単純よ、札に触れたら縛られる。そういう術として作られているだけ。妖怪はどいつも最後は自分のポテンシャルだより、力一辺倒だからやりやすくていいわ。」

 

 

 

そう言い放ち、右手を悔しそうな顔をする吸血鬼に向かってかざす。

 

 

「じゃあ、終わりにしましょうか」

 

 

「残念」

 

 

 

吸血鬼が目の前から霧となって消える。

散っていった霧はまた私の視線の先に集まり、吸血鬼としての形をかたどる。

 

 

 

「私は吸血鬼よ?あまり見くびらないことね。……蝙蝠風情、その言葉を後悔させてあげる」

 

 

 

何かのたまう吸血鬼を無視して伊織を見やる。

いつの間にか大きく消耗し、ボロボロになっている。

 

片手はボロボロで血にまみれ、衣服も肌もずたずたになっている。

 

 

その姿を見ると同時に、私の中から何とも言えないナニカがこみあげてくる。

 

 

 

 

 

悲しい。

 

 

苦しい。

 

 

悲しい。

 

 

淋しい。

 

 

嫌だ。

 

 

嫌だ。

 

嫌だ。

嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ。

 

 

伊織を。

ただ一人の家族を、大好きな兄を。

 

いつも私と一緒にいてくれる私のすべて(生きる意味)を。

 

 

 

 

 

 

失って、なるものかーーーーーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「雰囲気が変わったわね。もう疲れたのかしら?」

 

 

 

「もういいわ」

 

 

 

言葉を返す。

吐き捨てるように口から出る言葉。どこまでも無機質で、無感情。

 

 

……それでいい。

 

 

兄さんに危害を加えるものは、皆殺しで構わない。

 

 

 

 

表情を変え、焦りだした妖怪が槍を生み出し、投げてくる。

その槍を避けず、受け入れるように留まる。

 

 

「もう喋らなくていいわ」

 

 

 

ーーー夢想天生ーーー

 

 

 

私の体を、光が包み込む。

 

 

 

そして、飛来する槍が私の体を貫く。

 

 

 

()()()()()()()()

 

 

 

「………ッ何を、した?!」

 

 

「くだらない」

 

 

 

狼狽える妖怪にふわりと迫る。

驚いて反射的に手を振りぬき、私の体を切り裂こうとするが、私の体を紙の如く切り裂けるはずの鋭い爪は、私の体に触れることは無い。

驚きつつも逆の手で槍を作り、私の体を貫くが、空を切る。

 

驚いている妖怪を見下ろし、拳を振りかざす。

 

 

「何ーーーー」

 

 

即座に打ち抜く。

打ち抜かれた妖怪は吹っ飛ばずにその場にとどまる。

まるで理解できない様子の妖怪。

 

 

「私の能力。私はありとあらゆる事象から”浮いている”。今の私に触れたら、アンタにかかる法則は私が選べる」

 

 

 

単純だ。

私は世界から浮いているから攻撃は届かないが、物理法則から浮いていないから攻撃できる。私が触れば世界から浮かないようにもできる。物理法則から浮かせてしまえば、いくら殴ったところで吹き飛ばない。

 

いわば、事象を好きにねじ曲げられる。

事象ごとに及ぼす行動の結果が確定したら、その範囲で先の未来を捻じ曲げられる。

 

 

「さあ、終わりましょうか」

 

 

物理法則を戻したことで仰け反った妖怪に向けて、右手を再びかざす。

そして、視界から浮かせて隠していた準備していた蒼白く光る陰陽球を至近距離から打ち込む。それと同時に再び法則から浮かせて吹き飛ばないよう制御し、左手も同じようにかざす。

 

そして手と手の間に霊力の幕を作り、球体とする。

 

 

その中に夢想封印と同じ弾を封じる。

 

 

 

夢想封印 ”散”

 

 

 

 

弾を一度に爆発させ、その威力をそのまま妖怪にぶつける。

轟音とともに七色の光が溢れ出す。

 

妖怪は下に吹き飛ばされ、館を派手になぎ倒していった。

 

 

 

 

一瞥したら、兄さんのほうへ飛ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

あちらでは、妖怪が兄さんと何かを話している。

 

 

妖怪が兄さんに攻撃を行う。

 

 

 

 

「死ね」

 

 

 

 

 

兄さんにその詰めが届く寸前に一撃。

吹き飛んでいく妖怪に目もくれず、兄さんのほうに振り向く。

 

 

「伊織、もういいのよ」

 

 

心からの一言。

もう戦ってほしくない、もう傷ついてほしくない。優しい私の伊織が傷つかなければいけない世界ならば、私が壊してしまおう。

そんな決意と思いをはらんだ一言に、兄さんは身体じゅう見るに堪えない姿になりながらも笑って答える。

 

 

「ありがとう。俺の役目だから、大丈夫」

 

 

違う。

 

傷つくことが役目なはずがない。

 

優しい兄さんが苦しむ必要はない、これ以上。

 

 

「終わらせてくる」

 

 

そう兄さんに言い残して、叩き落した妖怪へと飛ぶ。

兄さんから受けた攻撃もあってか、ようやく立ち上がっている妖怪に向かって霊力による結界を張り、突っ込む。

衝突してなお減速せず、地面を抉りながら直進。

 

 

赤い壁に近づき、蹴り飛ばす。

 

 

 

外の壁を突き抜けて館の壁に突き刺さるように衝突した妖怪の妖力がまだあるのを感じ取り、宙へと浮かび上がって妖怪がいるであろう瓦礫を見下ろしつつ、札を取り出す。

霊力をこの状態を維持できるぎりぎりまで札に込める。

そして術を発動する。

 

私の後ろに七色の大きな弾幕が生み出され、妖怪のもとへと飛んでいく。

 

そのすべてが着弾した時、霊力の奔流が発生し天まで光が伸び、霧を裂いた。

 

 

 

その光の柱が収まった後、そちらに向かってゆっくりと飛んでいく。

しぶとくもまだ妖力の反応はある。

 

 

 

「出てきなさい。生きてるんでしょ。」

 

 

「アンタを殺す。(祓う)ここのルールは弾幕ごっこで、殺し合いはタブー。それを知ってか知らずか、人を……………よりによって兄さんを殺そうとした。だから、ルールにのっとって私はアンタを殺す。」

 

 

返事はない。

無言を肯定とみなし、霊力を練る。

あたりには霧が晴れて光が差し込み、壁の残骸が散っている。

天から降る日の光によって殺すまでもないと判断し、陰陽球を再び操作し、回し始める。

 

 

 

 

 

そして練った霊力を込めた陰陽球を構え。

 

 

 

 

 

 

 

止めをーーーーーーー




短め薄め雑め。


弾幕ごっこ

伊織<<<霊夢

殺し合い

伊織>霊夢


伊織これより強いの……?????


ちなみにレミリアさんは運命を覗きましたが、霊夢さんが浮いちゃったため意味なくなりました。
さらにちなみに浮いてなければレミリアさんが勝ってます。


さらにさらにちなみに、視界とかから浮かせられるのは世界全体か、霊夢だけか、触った相手(制限時間付き)のどれかです。



感想書いてくれるとホントに書く気が起きます。

お気に入り登録も書く気起こります。


お願い♡

兄上の戦う頻度は?(この先の異変でどれくらい戦うか)

  • 進み続けろ、曇らせタグに報いるために
  • 少なくして
  • お前がやりたいようにしろ
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