願いが叶った私は心のままに飛び続けたい。   作:如月雪見

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黒い鳥になった私、出会った仲間とスカウトされた

 

 

同窓会の帰りだった。

 

中学を卒業してから10年振りの友人達との再会と、おしゃべりはとても楽しかった。

また明日から仕事だと思うとかなり憂鬱だが仕方ないと、都市バスに揺られながらスケジュールを確認していたところで凄まじい衝撃が私を含めた同乗者全員を襲った。

急カーブを曲がり切れなかった対向車(大型トラック)との接触事故。

場所は峠の下り始め、対向車に車道から押し出される形で崖へと転落。

私の死因は、棚から勢い良く落ちてきた誰かのアタッシュケースが直撃、その反動で落下の際に割れた窓ガラスが首に深く刺さった事によるものだった。

 

 

 

 

遠くなる意識の中、変な事を聞かれた気がした。

 

 

 

 

 

   生まれ変わるなら、何になりたいですか?

 

 

 

 

 

私の答えは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意識を取り戻した私が最初に見たのは、真っ黒な柱みたいなのに奇妙な仮面をつけた何かが、前後左右に揺れながら思い思いの方向へと進む変な群れ?だった。

 

…何なのコイツら?

…もしかして、私も同じモノになってる?

 

自分の身体があるだろう足元を見れば、周囲にいる連中と同じ黒い身体があった。

 

…状況が全く解らないけど、お腹空いてきたなぁ

…何でだろう?コイツらがゴハンに見えて来た

…いっぱいいるし、ちょっとくらい良いよね

…イタダキマ〜ス

 

その場にいた変な仮面の群れを、空腹を感じなくなる程度に食べた。

 

 

 

…こんなモンかな?

…あ、良く見たら此処って、森だったんだ

…ふ〜ん

 

興味本意で適当に森の中を動き回った。

やっぱり途中でお腹は空いて来るから、適当に目に入った仮面達を食べながら探検をしていたら、目線がどんどん低くなっている事に気付いた。

 

…この変な群れが大きくなったと思ったけど、違うみたい

…何か、私に怯えてる?

 

近寄ると、何体かの仮面が後退りする。

仕方ないから、動きがより鈍いのに重点を絞って食べる事にした。

 

 

 

 

 

 

気の向くままに食事と森の探索を繰り返していたが、そろそろ森に飽きてきた頃には、すっかり私の姿は変わっていた。

 

…黒いのは変わりないけど、鳥の足だよねコレ

…って事は私、あの変な仮面から鳥になったって事?

…飛べるかな?飛べない類の鳥だったらちょっと嫌だな

 

背面にある筈の翼を動かしてみる。

すると、足が地面から離れ、かつて見ていた森と仮面の連中の顔が近付いて来た。

 

…この森って、どのくらいの広さなんだろう?

…空から確かめられないかな?

…木が高過ぎて空が見えないけど

 

何処まで飛べるかの検証もかねて、空へと向かう。

しかし…

 

 

…遠っ!滅茶苦茶遠い!

…こんな高い木ってあるんだ

…お腹空いてきたし、今回は此処までにしておこう

…この木で良いや、私が初めて飛べた高さを記録して、と

…良し、適当に食べながら下に戻ろう

 

 

 

 

 

 

自由気ままに飛んでは食べに戻ってを繰り返すうちに、森の広さが漸く解る高さまで来れた。

 

…うーわ、広っ!

…端っこが解らないくらい広いんだ此処って

…それにしても、此処って地下なの?

…せっかく、此処まで飛んで来たのになぁ

…空が見れたら今が何時くらいなのか解ったのに

 

記録用にした木のてっぺんに来たのに、それよりも高い木が天井らしきモノに突き刺さっている。

森が物凄く広い事が解ったけど、空を見れない事実にガッカリした私は、この地下を出る方法を探す事にした。

 

 

 

 

 

 

…色々考えてみたけど、この天井を突っ切るのが確実っぽいんだよね

 

森の端っこまで飛んでみようとしたが、体感的に数日飛んでも鬱蒼とした木々が見えるだけで、端っこに到達出来る気がしない。

仮に森を突破出来たとしても、その先に何があるのか解らない以上、肝心の空は見られないだろう。

 

 

…う〜ん、この辺は薄い気がする

…此処らへんの木の幹の太さから先端までの距離は

…多分だけどイケる

…しっかり食べて満腹にして来たし

…問題は、この木の先端が天井の途中で終わってて、その先も天井の中である可能性がある事だけど

…その時は潔く引き返そう

…いざ、勝負!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果、私は賭けに勝った。

目印にした木の先端は、しっかり天井の向こうへと貫通していて迷う事なく飛び続けられた。

無事、天井を突き抜けられた私は安堵と同時にお腹が空いたのを自覚した。

 

…どっかに食べ物は無いかな

…お、食べがいのある大きな豚っぽいの発見!

 

「いったっだっきまーす!」

 

猛スピードで目標に突っ込んで行った。

 

 

 

 

 

 

???視点

 

…本当についてない

…何で次から次へと追いかけて来るのよ

 

死神から逃げて漸く此処に辿り着いたのに、間髪入れずに捕食者達に追いかけ回され、どうにか隠れられそうな場所を見つけたと思ったら先住の虚とバッタリ会ってしまった。

涎を垂らして迫って来る虚への恐怖で、身動きが取れなくなった私は、これから来る死に目を瞑ったその瞬間だった。

 

「いったっだっきまーす!」

 

ズドム!!

 

「ゲブァッ!?」

「え!?」

 

恐る恐る目を開けた私に背中を向けたまま、ガツガツと勢い良く私を食べようとした虚を、食べている黒い大きな鳥がいた。

 

???視点終了

 

 

 

 

 

 

「っぷはぁー!ご馳走さまー!」

 

…やっぱり運動後の食事は美味しいー!

 

上機嫌で身繕いをし始めた私の背後に誰かがいる事に気付いた。

 

「…ん?…誰?」

 

振り返った私に驚いている同じ鳥型で白と黄色の体毛?の子が座り込んでいた。

 

…あれ?もしかして私、他人の食事の邪魔しちゃった?

 

「ねぇ、コレ…アナタのゴハンだったの?」

「え?」

「うわぁ、どうしよう…えっと…あ、ちょっと待ってて、近くにゴハンの気配がするから取ってくるね!」

「え、ちょ、ま…」

 

慌てて飛び出した私は、相手の返事も聞かずにゴハンまで一直線に突き進んだ。

 

 

 

程なくして、横取りしちゃったゴハンの代わりを持って行った。

幸いにも、あの子はまだ同じ場所にいた。

 

「ゴメンね、さっきのよりもちょっと小さいけど取って来たよ!」

「あ、あの…」

「ん?」

 

何か言いたそうだったけど、やっぱり空腹だったらしく大人しく食べ始めた。

 

…よしよし、無事お詫びが出来て良かった〜

 

食べ終わり、怖ず怖ずと私に話しかけてきた。

たどたどしい説明から、さっき私が食べたのは彼女のゴハンじゃなくて彼女がゴハンにされそうだった事、私はゴハンの横取りじゃなくて命を救った恩人?に当たる事が判明した。

 

「う〜わ、早とちり恥ずかしい〜!」

「わ、私はそのおかげで助かったからそんなバタバタしなくても…」

「えぅ〜…」

 

 

 

一頻り悶えた後、漸く落ち着いた私は助けた彼女と自己紹介をした。

 

「メノリ=マリアね。私はハウラ、ハウラ=リベラシオン。好きに呼んでくれて良いよ」

「じゃ、じゃあハウラで。私もメノリで構わないから」

「OKOK!さて、ゴハンの気配はもう無いから…またお腹が空く前に探しに行こうか!」

「え!?ちょ、ま…」

「ココに居たって、ゴハンが来てくれるとは限らないでしょう?だったら行かなきゃ!ね?」

「…う、うん」

 

こうして、ちょっと人見知りっぽいメノリと、食欲旺盛な私のウェ…虚圏?って言うらしいこの場所でゴハン探しの旅に出た。

 

後日、折角あの森を出たのに、ココが常に月が浮かぶ夜の世界だと知った時は流石にショックを受けた。

私の願いが叶わない事が解ったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一緒に行動して、どれくらい経ったのか解らないくらいの長い間、あっちへこっちへとゴハンを探しては食べて、また探しては食べるを続けていくうちに私は更に姿を変えた。

私よりも少食なメノリは出会った時よりも2回りくらい小さくなっただけで余り変わらない。

 

「やっぱりハウラは選ばれた存在なんだよ!」

 

黒い鳥の姿から、黒い翼を持つ翼人に変わった私に興奮するメノリには悪いけど、私はあのままでいたかった。

また願いがひとつ遠ざかってしまったから。

 

「…ふんっ、バカみたい」

 

はしゃぐメノリとは対照的に、面白くなさそうにそっぽを向いている巨大ムカデはロリ=アイヴァーン。

ゴハンを探している途中、凄い悲鳴と共に派手に空中に飛んで来たのを、偶々私がキャッチしたのがキッカケで、そこから一緒に行動している。

身体中がキズだらけだったけど、幸いにも食べられてはいなかったから、無事成長して少しだけ小さくなって、代わりに全身のトゲ?が増えた。

 

「まぁまぁ…で、そこでずっとこっちを覗き見してるオッサン達は何の用?」

 

私の言葉に驚く2人を背に、3人の黒装束の男達と向き合った。

 

 

 

男達は私達の永遠の敵である死神だが、ある目的の為にそう遠くない未来に離反してこの虚圏に移住する予定で、協力者を探しているらしい。

協力してくれるなら、それに見合う対価を用意するとも。

ロリは藍染の見目が好みだったらしくて快く承諾、メノリは私がどうするのか気になるのか、チラチラとこっちを見ている。そんな私はと言うと…

 

「私は鳥に戻りたいの。そして青空を自由に飛びたい。そうそう、疲れた時の止まり木も欲しいわね。でも此処じゃそれは叶わないわ。ずっと夜なんだもの。私の願い、叶えてくれるならその協力とやらをしても構わないわ。対価は先払いが絶対条件よ。それがダメならこの話は無かった事にして」

「あらまぁ、しっかりしとりますなぁ」

「あ、藍染様に何と言う…!」

「ふっ…構わないよ。君の願いを全て叶えて見せよう」

「…吐いたツバは飲めないわよ?」

 

こうして、死神を名乗る男3人組の拠点へと私達はついて行った。

因みに、メノリは私達が行くのならついて行くとだけ返答した。

破面化と言う処置をする事で、私達への対価は支払われるとは言われたけれど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果、私の願いは叶えられた。

背中の翼や手足にあった鳥の名残りは、全て刀の中に収まった状態で腰に差してある。

死覇装?とやらは何時でも帰刃出来るようにホルターネックタイプで背中丸出しのキャミソールに、ストッキングを履いた上にショートパンツ、シンプルなパンプスになった。

この身体になってから暑い寒いの感覚が希薄になったからだと思う。

いつでも食べられるようにと、お菓子やパンを詰めたショルダーバッグも用意してくれた。

完全に人の姿に戻ってしまったと嘆いたが、黒限定で他の生き物に変身出来て、その生き物の能力も使える身体になったと知った瞬間、元の黒鳥に変身、そのまま空に飛び立った。

連れて来られた虚夜宮には偽物だけど青空があり、夜もちゃんと来る。

 

…藍染だっけ?嘘は吐かなかったな

…鳥になって青空を飛べたんだから

…どんな事頼まれるか解らないけど、約束は守るよ

…約束は果たしてナンボのモノだからね

…それはさておき、次の願いは現世?の本物の空を思う存分飛び回る事に決定!

…ロリもやりたい事が見つかったみたいだし

…問題はメノリかなぁ

 

今も、鳥になって飛び回る私を見ている。

置いて行かれた雛鳥みたいに不安気な顔で。

 

…困ったなぁ

…アレコレ振り回しちゃった所為かなぁ

…もう私を気にしなくて良いのに

…あ〜ぁ、俯いちゃった

…仕方ないなぁ

 

 

 

メノリ視点

 

鳥になれると聞いて、早速変身して飛び立ってしまったハウラを咄嗟に追いかけた。

偽物とは言え、いつぶりか解らない青空を、今までに無いハイテンションで飛び回るハウラを眺める。

 

…私はどうすれば良いんだろう

 

ロリはやりたい事が見つかったと、自発的に藍染様の側近として身の回りのお世話を始めた。

 

ハウラは対価を貰った以上、協力者として此処に留まるだろう。守れない約束はしない主義だから。

 

…正直言って、私は藍染様を始めとする此処のみんなが怖い

…今の私の願いは、ハウラと一緒にいる事だって言ったらハウラ嫌がるかな

…言いたい事はちゃんと言ってっていつも言われてるけど

…それを伝えるのが怖い

…どうしよう

 

「はぁー!気持ち良かったー!」

「えっ…えぇっ!?」

 

俯いて悶々としていたら、いつの間にかハウラは鳥の姿のまま、私の肩で休憩していた。

 

「い、いつの間に!?」

「ん〜?ちょっと前。いやぁ〜、藍染様が用意した止まり木までちょっと距離あるからさ〜、そこまで運んでよ。此処でボ〜ッとしてたんだからヒマでしょ?さぁ、出発〜!」

「ヒ、ヒマって…間違ってないけど…もう…部屋に戻って良いのね?」

「そうそう、レッツゴー!」

 

…破面化してもハウラの自由気ままな性格は変わらないみたい

…それが心地良い

…今はこの関係のままでいさせて欲しい

 

メノリ視点終了

 

 

 

…今まで散々振り回しちゃったからね

…罪滅ぼしって訳じゃないけど

…メノリがやりたい事が見つかるまで傍にいよう

…いっそ、私を振り回せるくらいになって欲しいけど

…無理かなぁ

 

メノリの肩に掴まったまま、彼女のどこか嬉しそうな横顔を見てそう思った。

 

 





連載中の『何故かメノリに成り代わりました』の執筆が全く進まなくなり、自身に課した週に一度の投稿が少し危うくなっています。

そこで、一旦別物の短編を執筆する事で、気分転換が出来たら…と思って投稿しました。

結果、頭のモヤモヤは少しだけ晴れました。

何とか書き上がる事を、未来の自分に期待します。
未完成にはしたくないので。
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