願いが叶った私は心のままに飛び続けたい。   作:如月雪見

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ハウラ、お供を連れて再び現世へ。

相変わらずのマイペース。

振り回される方はたまったものじゃない。



現世/グリムジョー達の受難

 

 

「やっほ~、迎えに来たよ~」

「「「「「…」」」」」

「…おい、来るの早くねぇか?現世時間じゃまだ昼前だろうが」

 

現世時間を表示された時計を見ながら眉間のシワを増やしたグリムジョーの当然の疑問に、ハウラは胸を張ってドヤ顔で答えた。

 

「ふっ…ザエルアポロに現世の食べ物が食べられる装置を作って貰ったからね。早速使わなきゃじゃん?それに、早く行けばその分空を飛べるじゃん!」

 

そして、ウインクとサムズアップ。

 

ゴンッ!!

 

イラついたグリムジョーによる、怒りの拳骨が綺麗に落ちた。

 

「ったぁ~!何すんのさ!?」

「テメェの欲望にこれ以上俺達を巻き込むんじゃねぇよこの迷惑女!」

「何をぅ!?このムガッ」

「ごめんなさい!私が余計な事を言った所為で本当にごめんなさい!」

「あぁ?どういう事だ?」

「実は…」

 

前回の現世に行った時に、お詫びとして渡したマシュマロはハウラお手製のモノ。

人間である井上織姫に渡して大丈夫だったのか、メノリがふと口にしたのをしっかり聞いたハウラは、逆に私達が現世の食べ物を食べられるのか興味が湧いたらしく、ザエルアポロのラボへ突入、このままでは無理だと知ってどうにかしろと頼み(凄み)、交渉の結果丸ごとバナナケーキとマンゴータルトを作るのを条件に、ひと晩で飲食可能になる装置を人数分作らせたらしい。

 

…俺達の知らねぇところで何してくれてんだ、あの変態狂科学者

 

「ホラホラ早く行こう!」

 

デザインが少しずつ違うネックレス或いはチョーカーを無理矢理手渡された。

 

「これで良し…さぁlet's go!!」

「ちょ、待ってハウラ!」

「勝手に行くんじゃねぇ!!」

 

黒腔を開いて走って行くハウラを、慌てて追いかけるメノリとグリムジョー達。

行く前から振り回される面々だった。

 

 

 

「…はぁ~、お腹いっぱい」

「…そうかよ」

 

黒腔から出た先には定食屋。

しかも昼限定のデカ盛りカツ丼のチャレンジ真っ只中。

ハウラは迷いなく店へ突入。

チャレンジを宣言して、制限時間を5分以上残してクリア、ご褒美のスイーツ一品無料券をゲット。

ドデカい金魚鉢パフェを完食して漸く大人しくなった。

 

のも束の間、店から出てものの数分で本屋の店頭に並ぶガチャをやりたがり、この手のモノが好きなナキームも一緒になって回し始めて30分経過、それぞれ欲しいモノをゲットした。

 

「シリーズコンプリートイェーイ!」

「イ、イェーイ…」

 

嬉々としてハイタッチの2人に頭を抱える5名。

ハウラの浮かれた声に気付いて、本屋から出て来たメノリは買った雑誌を手に移動を促した。

 

「終わった?なら行くよ」

「は~い!」

「イェーイ!じゃねぇ。テメェもコイツ放って雑誌の物色に行きやがって」

「…あ、終わったら声かけて来るのは解りきってるからつい…」

「何かイイのあった?」

「まぁそこそこ?」

「帰ったら見せて~」

「私が見終わったらね」

 

そして歩いて数分毎に目に着いた店に入りたがるハウラと、それを制御するメノリは見事だった。

 

「あ、手芸店だ」

「縫い物や編み物は苦手なんじゃなかったっけ?」

「うぐぅ…」

「市民プールだって!」

「水着が無いから無理よ。レンタルしていないみたいだし、買う予算も無いし、大体、ハウラ泳げるの?」

「え、えぅ~…」

「クレーンゲーム専門店だぁ!ねえメノリ!」

「…そうね(腕時計を見ながら)、今日の予定が全部終わって、余裕があれば行っても良いわよ」

「良し、冷蔵庫受け取りに行こう!」

 

寄り道を止めて、意気揚々と電気屋へと向かうハウラ。

 

…やっぱり、コイツをコントロール出来るのはメノリしかいないな

 

そう改めて確信したグリムジョー達だった。

 

 

 

 

 

 

ガタガタッ…ゴドンッ

 

「…此処で良いんだな?」

「OKOK!で、コンセント挿して…先に野菜だけでも入れとく?」

「え…冷蔵庫が冷えるまでそれなりに時間がかかるし、アイスボックスに入れておこうよ」

「は~い…って、ちょっと!何帰ろうとしてんのさ!?」

「「「「「…はぁ?」」」」」

「…目的の冷蔵庫を運んだのだから、もう我等に用は無いだろう?」

「え?何言ってるのさ。この後買い出しに行くんだよ?今いる物メモってるからも~ちょい待ってて」

「「「「「なっ…」」」」」

「このアマ…!」

「…ごめんなさい。私達だけじゃ多分、持ち帰れないと思うから…あと、スーパーの場所が今いち解らなくて…シャウロンだけでも残って貰いたいんですが…」

「「「「「………」」」」」

「…チッ」

 

持ち帰った冷蔵庫を部屋に運んで貰うだけでなく、買い出し要員としてもちゃっかり頭数に入れていたハウラと、買い出しの量の多さと道案内を頼みたいからと、凄く申し訳なさそうな表情のメノリ。

メノリがこの調子である以上、自分達の言葉なんぞ聞く訳が無いハウラから解放されるのは何時間後なのか、戦慄を覚えるグリムジョー達だった。

 

 

 

 

 

 

再び現世へ。

 

シャウロンの案内で、スーパーに向かう途中、焼き立てのパンの匂いが何処からか漂って来た。

 

「…こっちから美味しそうなパンの匂いが…」

「ちょっ、ハウラ!ダメだってばあぁぁぁぁ…!」

 

案の定、ハウラが匂いの発生源へとしっかりメノリを連れて行ってしまった。

 

「「「「ちょっ…」」」」

「テメッ、待て!」

「私に案内をさせておいて…!」

 

追いかけた先には、[本日最後の焼き立て!オススメはバケットです!]と扉にデカデカと書かれたプレートがぶら下がったパン屋があった。

中に入れば、商品を乗せるパレットを引っ張り合っているハウラとメノリが目の前で喚いていた。

 

「あの3個だけ!3個だけでイイから!オススメのバケットとクロワッサンにこしあんパン欲しい!」

「絶対ダメ!スーパーで買い物する分しかお金持って来てないんだから!」

「こしあんパンがダメならクリームパンでもイイから!」

「そう言う問題じゃないの!そもそも予定に無い買い物はしないって言ってるでしょうが!」

 

ギャーギャーワーワー!!

 

グリムジョー達の心情は間違いなく

〈このまま2人を放っぽって帰りたい〉

これに尽きるだろう。

しかし、放置して帰れば間違いなく藍染に連れ戻すよう嫌味付きで命令され、東仙からは憐れまれるだろう。

他の客や店員(つい最近見たような気かする女)も明らかに困惑しているようだし。

 

「…クソッ!」

 

グリムジョーが止めに入ろうとした瞬間、ハウラが思わぬ発言をした。

 

「お金無いって言うけど、あるもん!」

「え!?」

 

引っ張り合っていたパレットから手を離して、グリムジョー達が思いっきり見覚えのある黒いセカンドバッグ(柴犬のキーホルダー付き)を何処からともなく取り出して頭上に掲げた。

 

「ジャジャーン!東仙のバッグ~!」

「巫山戯んなこの馬鹿!!」

 

ゴッ!!(容赦なく脳天に拳を落とした)

 

「…ったぁ~~~~!!何すんのグリムジョー!?」

「アイツに迷惑かけるのは止めろっつってんだろうが!!」

「だって!ここのパン美味しいんだもん!グリムジョーも試食したらここのパン買いたくなるもん!!」

「…あークソッ!バケットとクロワッサン、こしあんパンっつったか!?」

「クリームパンとバターロールも」

「増えてんじゃねぇか!マジで巫山戯んなよテメェ!」

 

このままでは埒が明かないと判断したグリムジョーは、メノリが持っているパレットを引ったくってハウラが欲しいと主張したパンを全て乗せて会計へ直行、ジャンパーの内ポケットから自分の財布を取り出してお金を払い、買った物をメノリに押しつけた。

 

「コレで満足したな!?さっさと目的果たして帰んぞ!」

「あ、うん」

 

グリムジョーの剣幕に押されて大人しく付いて来たハウラと物凄く気まずい表情をしているメノリの2人がこれ以上勝手な事をしないよう、囲んで歩くイールフォルト達だった。

 

 

 

微妙な空気の中、本来の目的地であるスーパーに辿り着いた。

 

「え~っと…あ、シャウロン、それよりもこっちの方がイイよ。あ、コレもこっちの方がイイと思う」

「む…」

「あ、そうだ。エクレアとベルギーワッフルにブランデーケーキ作るんだけど…グリムジョー達食べられないのある?」

「…無いが、それが何だ?」

「ん~?いやぁ、ちょっとはしゃぎ過ぎてやっちゃったからさ~…これでも一応反省してるんだよ?見えないだろうけど」

「………」

「沈黙は肯定っと。まぁ、そういう訳でお詫びと付き合ってくれてありがとうの意味を込めて作ろうと思ったからさ。出来上がり次第持ってくね」

 

それだけ言って、いつの間にか彼が買う予定の野菜を全て選別してカートに入れて去って行った。

 

「…だ、そうだ」

「…はぁ~…本当に面倒くせぇ女」

 

それぞれ目当ての物を手に立ち聞きしていたグリムジョー達は、深い溜め息を吐いた。

 

 

 

「メノリ!製菓用の板チョコ追加してイイ?」

「え~?何作る気?」

「ちょっとエクレア作りたくなったの!」

「…もう!それ1個だけだよ?」

「わ~い!…あれ?」

「どうしたの?」

「あの子…井上織姫だよね?隣の巨乳何だろう?」

 

スパーン!!(メノリのハリセン一閃)

 

「何で「隣の女性は誰?」って聞けないの!?」

「言葉が出て来なかったんだもん!」

「もう、会計行くわよ!」

「ま、待ってよー!」

 

ガラガラガラ…

 

「…あ、あの2人は…」

「どうしたの?織姫」

「えっと、あの…」

 

 

 

 

 

「ありがとうございました~!」

 

量が量だからと、箱詰めしまくった買い物をグリムジョー達に持って貰い、黒腔を開く為の場所、誰も居ないちょっとした広場に向かった。

 

「…ここら辺でイイかな?」

「…の前に呼んでもいねぇ客が来たぜ」

「…あ~、うん…本当にゴメン」

 

スーパーで見かけた井上織姫の隣に居た巨乳さんは多分、尸魂界から派遣された死神だったのだろう。

偽装を解いて本来の姿でお仲間と共に私達を囲んで来た。

 

「…で、どうすんだよこの状況を?」

「…ん~…まぁ、とりあえず…こっちの目的を素直に話すところからかな?」

 

 

「「「「「「…はぁ?」」」」」」

 

 






ハウラの気紛れショッピングに付き合わされた彼等の受難を書いてみました。

前回の現世行きは、ウルキオラの任務のついでで冷蔵庫を買いに行ったので、あっちこっちと目移りしながらも一応我慢していたので、今回はその反動もあってはしゃいだ行動を取りました。

おかげでグリムジョー達のストレスは、一気に限界値へと到達しました。

取り敢えず、死神達と接触したところまで。
ハウラはどうやってこの状況を切り抜けるのでしょうか?
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