前回、冷蔵庫の受け取りして買い出ししたら、井上織姫と死神達にエンカウント。
さて、どうやって帰ろうか?
今回の目的は全て終わって、さっさと帰ってお礼のケーキを作りたいハウラは、この状態を打破すべく死神達に話しかけた。
「…ん~と、取り敢えず自己紹介しとくね。私はハウラ=リベラシオン。他の人達は…自己紹介する?」
「「「「「「いい(遠慮しておく)(誰がするか)」」」」」」
「そぅ?んじゃ、話を続けるよ。って言っても私達の目的はもう終わってるんだよね。井上織姫…長いな、姫でイイや。は見たよね?私達が買い出ししてるの」
「え、あ、はい」
「証言への肯定ありがとう。で、私達の目的は買い出しで、それももう終わったから後は帰るだけなんだよね。だからお宅らがわざわざ足運んで来なくても良かったんだよね。じゃ、バイバイ」
そう言って、イールフォルトが開けた黒腔に入る為に彼等に背を向けた。
「逃がすか!」
ら、まぁ納得する訳が無い死神達の中で最年少の唯一白い羽織を着ている少年が斬り掛かって来た。
「はぁ…」
パシッ
少年の後ろに回り込み、首根っこを掴んだ。
「なっ!?」
驚く少年をそのまま明後日の方向に‘軽く’投げた。
ギュォンッ!!………キラッ
「隊長っ!?」
「あれ?」
つもりだったが、予想以上に飛んで行った。
「…まぁイイや」
ガシィッ
「なっ…」
時間差で突っ込んで来たハゲの腕を掴んで、少年とは別の方向に投げる寸前である事に気付いた。
「あ、君ハゲじゃなかったんだね。随分キレイに剃ってるね~。離れてたから解らなかったよ。凄い凄い」
彼の頭を軽く撫でながら褒めた。
※ちっとも褒めてない。寧ろ馬鹿にしてるとしか思えない。
「はぁ!?」
「あ、どうでもイイ事だったね。忘れてイイよ。んじゃね」
ポイッ…ヒュンッ!!
「ぬぉわあぁぁぁぁ………」
キラ~ン
剃髪の男は少年と同じ末路を辿った。
「一角ぅ「ウルサイ」あぁぁぁーー……」
変な飾りを付けたオカッパを剃髪と全く同じ方向に更に勢いを付けて投げた。
「このっ…っ痛!…え!?」
「乱菊さ…え?」
「ホイホイホ~イっと」
「きゃぁっ!?」
「織姫!?…なっ!?」
ドシャッ
4人中3人の男死神が全員お空のお星様になり、残った女死神が斬り掛かろうとしたのを、彼女の手首を押さえて抜きかかった刀を無理矢理鞘に戻させ、そのまま織姫の真後ろに響転で移動。
井上織姫と背中合わせになるように引っ張り合わせ、2人の腕を器用に組ませてから死神の肩に掛けてるピンクの布で拘束、動揺している死神の方に足払いをかけて転ばせて終了。
両手を軽く叩きながら、メノリ達が待つ黒腔へと向かった。
「さて、帰ろうか」
「…あれで良いのか?」
「今のうちに1匹くらい始末しても良いのでは無いか?」
「え~?今日の目的は冷蔵庫の受け取りと買い出しだよ?死神との戦闘じゃないんだからコレでイイの!」
「…まぁ、確かにな」
「早く帰らないとチョコ溶けちゃうよ~!」
「解ったから喚くな…チッ」
「…あちゃ~、投げた方向間違ったかぁ」
「「「「「「ん(え)?」」」」」」
「余計なのと一緒に戻って来ちゃったよ」
ハウラの言葉通り、少年と赤毛の男死神が向かって来ているのが見えた。
「…あーもぅ、悪いんだけど、グリムジョーは残ってくんない?他のみんなは虚夜宮に戻ってメノリの手伝いヨロシクね」
「「「「「はぁ!?」」」」」
「ちょ、ハウラ!?」
「我々に命令して良いのは…」
「癪だろうが今はコイツの言う通りにしろ。ソイツに何かあったらそれこそ面倒だろうが。さっさと帰れ」
「…了解した、行くぞ」
「「あ、あぁ…」」
「「わ、解った」」
「ハウラ、ちゃんと帰って来てよね」
「心配ありがとぉ~、愛しのマイハニー!」
「ふざけないの!全くもう…!」
荷物を担いで走り去るみんなを見送り、どっちを相手したいか聞いた。
「…ガキの方をくれてやる」
「オッケー」
背中に氷の翼と龍の尾を生やして戻って来た少年の懐に響転で入り込み、腹パン…は流石に気が引けるから止めてデコピンにした。
パチッ、ゴキャッ!
「がっ!?」
「へ?」
ヒュルルルルル…ドサッ
「隊長ぉぉぉーーー!!」
「日番谷君!?」
「あ、あれ?」
ただのデコピン1発で少年の首からイヤな音が聞こえたと思いきや、勢い良く後ろに反り返り、白目を剥いて地面に落ちてそのまま動かなくなった。
それと同時に氷を纏っていない元の状態に戻った。
「ウソでしょ!?ただのデコピンだよ!?何で!?」
慌てて少年の所に下りて肩を軽く揺すったが、うんともすんとも言わない。
口元に手を添えて生きてはいるが、完全に気絶しているのが確認出来た。
「白い羽織を着ているのは隊長の証だって聞いてたから、ちょっと強めにはしたけど…えぇ~?」
「…遅いわよもう!許可出たわよ!」
「マジで遅かったな!」
「「あぁ?(ほぇ?)」」
「「限定解除!」」
当然ながら、始終有利で無傷なまま適当に赤毛をボコボコにしていたグリムジョーの訝る声と、無力化させるつもりではあったものの、デコピン1発で気絶させる気では無かったハウラのマヌケな声が重なった。
何らかのパスワードと思われる言葉と共に、彼等の霊圧が一気に跳ね上がった。
「…あ、そういう事」
「…連中、何らかの理由で〈枷〉を付けてた…ってところか?」
「みたいだね。道理で変だと思った。羽織は隊長の証、腕章は副官の証って聞いてた割に、揃いも揃って弱いなぁって」
「…まぁ、後はコイツ等をどうにかすりゃ良いのには変わりねぇだろ」
「そだね」
必殺技と思われる蛇みたいな生き物に変化した刀からの一撃をグリムジョーはアッサリと躱して、赤毛の腹部を容赦なく殴った。
因みにグリムジョーが躱した一撃は、ハウラの虚閃で相殺された。
「がはっ…!?」
「…さっきよりも硬ぇな。だが、それだけか」
赤毛は身体をくの字に曲げたまま吹っ飛んで行った。
そして…
「コレで漸く帰れる~」
「…おい、何か近付いて来てんぞ」
「え~…もぉイイよぉ。キリ無いしぃ~、もぅ相手するの飽きた!それにお腹鳴りそう!もぅ帰りたい~!ってか帰るの!!」
「…そうかよ」
グリムジョーは呆れながらも、これで本当に解放されると安堵の息を吐き、ハウラは膨れっ面で黒腔を開けた。
と、同時に到着した黒髪の女死神とターゲットの黒崎一護、佐渡泰虎の制止の声を無視して去って行った。
ハウラの自宮に戻ると、買った物を全て冷蔵庫に入れ終えて2人の帰りを待っていたメノリとシャウロン達、そして、何故か東仙が居た。
「…遅かったな」
「…何で居るのさ?」
「…話は全てヤミーから聞いているし、メノリにも確認した」
「…あ~…ハイハイ」
渋々セカンドバッグを返した。
東仙はその場で中身の状態を調べ、何ともなってないのをしっかりと確認して漸く安堵した。
「…今回は元凶を庇おうとした行為だと理解しているから何も言わない…が、次に何か問題を起こしたら相応の罰を覚悟しておけ。それと、彼等を自身の我が儘に付き合わせるのは控えろ」
「…は~い」(苦い顔)
東仙は釘を刺す為に待っていたらしい。
言いたい事を言い終えたらさっさと去って行った。
「…はぁ~ぁ…ふ~…よし、メノリ~!ただいま~!お腹空いたぁ~!」
「ハイハイ、お帰りなさい。取り敢えずご飯は仕込んでおいたけど…おかずは何作るか解らないから何もやってないよ?」
「う~ん…取り敢えずパン食べてから考えよう!」
「アンタねぇ…」
この後、ハウラが作る事にした料理がシャウロンのそれと一部被り、どうせならと一緒に作ってそのまま夕食も一緒に食べた。
翌日、お礼のケーキを渡しに行ったら直接グリムジョーが出て来て受け取ると同時にこう言って来た。
「東仙が気に入らねぇのは知ってるが、アイツにもこの菓子くれてやれ」
「え~?」(滅茶苦茶イヤそう)
「マジで空を飛べなくなっても知らねぇぞ」
「うぐっ…う~…あ~…うぅ~…仕方ない…藍染と市丸のついでで渡そう」(物凄い渋面)
「おぅ、そうしとけ」
当然渋るハウラだが、グリムジョーの的確な指摘に渋々ながら従う事にした。
執務室に寄ってグリムジョーの忠告通り、東仙にも渡したら物凄く驚かれ、挙げ句警戒された。
※普段のやらかしを考慮すれば当然の反応。
「…やっぱり返せ!」
「断る!」
「逃げんなDJ!」
「誰だそれは!」
「アンタだよ!イイから返せ!!」
「ハウラ、落ち着いて!もう用は済んだんだから宮に戻ろう!?私もエクレア食べたいし!ね!?」
「…う~…メノリがそう言うなら…」
「うん、じゃ戻ろうか!では、失礼しました!」
東仙からケーキを取り戻そうと虚閃の構えを取ったハウラを慌てて止めて説得、彼女の気が再び東仙に向かわぬよう細心の注意を払いながら執務室を出て行くメノリにお疲れ様の意味も込めて手を振る市丸だった。
「…ふぅ」
「相変わらずやねあの子。それにいちいち反応する東仙隊長もやけど」
「…奴がもっと己の立場に見合った行動をすれば私だってこんな目くじらを立てる事は無い」
「かと言って、あの子が大人しゅうなったら、それはそれで落ち着かないんじゃあらしまへんの?」
「…藍染様、これ等の菓子には珈琲の方が合いますが…ストレートで宜しいでしょうか?」
「任せるよ」
「ではストレートでお持ちします」
スタスタスタ…
「…逃げはりましたな」
「…さて、珈琲が来るまでにこの報告書を読んでおこうか」
「…って、あの子ほんまに変なとこで器用発揮しますなぁ…これまた東仙隊長怒りますよってからに…」
「…ふっ」
この後、珈琲を淹れて戻って来た東仙は、ケーキを入れて来た箱全てが昨日の報告書である事を知り、当然激怒したのであった。
結果、シャウロンを始めとするグリムジョーの従属官達は全員生存。
そして、ハウラの怪力で明後日の方向へと飛ばされる男死神達。
折角戻って来ても、日番谷隊長はデコピン1発で気絶させられてしまいましたし。
参戦した赤毛もグリムジョーの相手にすらなりませんでした。
井上織姫は藍染が気にしている存在で、女死神はその護衛と推測した為、敢えて簡単には抜け出せないように拘束して放置に留めました。
兎に角ハウラはさっさと帰ってご飯とケーキを作る事しか頭に無いので、絡んで来る死神達とイザコザを起こす事無く帰れなかった事に少しイラついてます。
因みにハウラ達が去った後、拘束された織姫と乱菊はルキアが解放し、気絶させられた日番谷と何とか戻って来た阿散井、斑目、綾瀬川は織姫に治して貰いました。
限定解除しても尚、歯が立たなかった2人の底知れない力にみんな強い危機感を持ちました。
彼等が他に得た情報は、水色の髪の男はグリムジョーと呼ばれていた事、彼の右腰に6の数字が刻まれていた事、ハウラの背面、ちょうど心臓の裏側辺りに7の数字が刻まれていた事くらいである。