前回、十刃招集。
ハウラ、藍染から虚夜宮の空を貰った。
それでいて、空を守る為の準備を人知れずやっていた事も判明。
今回、タイトル通り。
織姫のリクエストを含めた夕食を食べた直後、ハウラとメノリは再び台所に立って、大量のお弁当作りを始めた。
ハウラ曰く、
「私ってさ、すぐお腹空くんだよね。でもって、戦いが終わるまでどれくらいかかるか解らないし、ならいっそ食材全部使い切っちゃおうって」
との事。
勿論、織姫用のお弁当とおやつも用意した。
「…これで良し!さてと、ちょっと連絡してみるか」
「…連絡?」
口元に人差し指を充てて「シーッ」のポーズを取りながら、誰かに通信を始めた。
「…あ、ザエルアポロ?彼等は今何処にいるの?」
…ザエルアポロ?って誰だろう
「…ふんふん、そっかそっか。上手くいってるみたいだね。因みに、1番ゴールに近いのは?」
…ゴール?何をさせているんだろう?
「…ふ~ん、〈アレ〉も出したんだ?OKOK、ならそのデータ転送ヨロシク~」
…アレって何?さっきから凄く気になるんだけど
「…ふ~、殆ど私達の予定通りだね」
通信は終わったらしい。
目の前の装置(多分、FAXみたいなもの)から出て来た紙を読み始めた。
「あ、あの…」
「んぁ?どしたの?」
「黒崎君達に何をさせているのかな?ゴールとかアレとか聞こえたんだけど…」
「ん~、大した事はさせてないよ?ただの立体迷路に挑戦して貰ってるだけだからさ」
「め、迷路…?」
「うん。まぁ〈ちょっと〉ハードな鬼ごっこ要素ありのね」
「それ絶っっっ対、〈ちょっと〉ハードな鬼ごっこじゃないでしょ!?〈かなり〉底意地の悪い罠とか〈理不尽な〉仕掛けとか詰め込みまくってるでしょ!?」
「え~、心外だなぁ~。それに、私のアイデアだけじゃないもん。ザエルアポロが考えたのもいっぱい混ざってるもん!」
「益々凶悪なモノに仕上がってるじゃないの!」
メノリの剣幕からして、かなりヤバイ迷路らしい。
「黒崎君達、大丈夫なのかな…」
当の黒崎達はというと…
漸く辿り着いた虚夜宮の壁を破壊しようとしたら、まるで化け物の口の様に扉が上下に開いたと思いきや、カメレオンの舌の様なモノが全員を一網打尽にして内部へと引き入れた。
「「「「「なっ!?」」」」」
引き込まれたのは、扉が5つあるちょっとした広場だった。
ピー、ガガッ…
『やぁやぁ、侵入者の皆さん。ようこそ、ハウラ特製立体迷路へ!歓迎するよ~!』
「「「なっ…!?」」」
「この声は…!」
「一体何処から…!?」
『ドコからでもイーじゃんそんなの。聞こえてるんならさ。細かい事は気にしない気にしない』
「いや、ちっとも細かくないと思うが…」
『取り敢えず、君達が居る場所は虚夜宮の端っこに建てた立体迷路のスタート地点だよ』
「「立体…迷路?」」
『そ。まぁ、ただの迷路じゃつまんないからさ、鬼ごっこしながら途中途中で課題をこなして貰う仕様にしてあるんだよね。で、鬼に捕まるのは勿論、課題を失敗しても失格、ついでに鬼に危害を加えても失格だから。課題ごとに注意事項も違うからそこんとこも気を付けてね。あ、因みに失格になったら、今居るそのスタート地点に戻されるからね。中々スリリングな脱出ゲームにしたつもりだから、それなりのヒリヒリ感を味わえるよきっと。じゃ、ゴールまで頑張ってね~!』
ブツン………
一方的に言うだけ言って放送は切れた。
「…ふざけんなぁぁぁぁぁ!!」
決死の覚悟で来て早々、ハウラのお遊びに付き合わされるのだ、キレても仕方ないだろう。
しかし、どんなに怒鳴っても返答は一切無く、実力行使に出ようとしたが、この広場には何かしらの細工がされているらしく、誰も霊圧を操作する事が出来ない。
「…不本意だけど、説明にあった立体迷路とやらをクリアしないと先に進めないみたいだね」
「クソッ、やりゃ良いんだろやりゃぁ!」
再会の約束をしてからそれぞれが決めた入り口へと入って行った。
黒崎一護の場合…
『ツッコミ禁止の2択問題だよ。5問連続で正解してね』
「いきなり某クイズ番組のラストかよ!?」
『ツッコミ禁止だってば!ホラ行くよ~!正しいのは?』
左右反転している更木剣八に綾瀬川弓親、ホクロの位置が違う松本乱菊、眼鏡の形状がおかしい石田雨竜と、若干ツッコミたいモノがあったものの順調に正解して行った。
が、最後の2択で彼はツッコまずにはいられなかった。
『いよいよラスト!井上織姫は?』
お風呂上がりと思われるパジャマ姿の井上織姫と、同じパジャマ姿だけど全く知らない緑髪の女性に思わず
「いや誰だよ!?」
と叫んでしまった。
ブッブーーー!!
『ハイやり直し~!じゃあね~』
パカッ
床が開いた。
「ちょ、おい!ふざけんなぁぁぁぁぁ!!」
石田雨竜の場合…
『フラッシュ暗算だよ。解答権は1問につき1回だけ。5問連続正解で次に進めるよ。じゃあ、スタート!』
「…暗算なら得意分野だ。よし」
後ろで扉を叩いたり、引っ掻いたりしている鬼を気にしながら問題を解いて行く。
「156!」
『正解!』
「310!」
『正解!』
「613!」
『正解!』
「22411!」
『正解!』
「桁数の幅が一気に広がるとは…だがこの程度なら」
『じゃあ最後!頑張って解いてね~』
壱陌参拾漆
「…は!?」
弐拾捌
「ちょ」
参阡五陌拾陸
「まっ」
壱万弐陌弐拾伍
「…っ」
肆阡壱陌玖
『答えは?』
「…18005!」
ブッブーーー!
『ハイやり直し~!バイバ~イ!』
「いきなり漢数字、しかも大字は卑怯だろう!?」
答えも教えて貰えないまま彼は黒崎同様、床下へとボッシュートされた。
茶渡康虎の場合…
『この道では絶対、走っちゃダメだよ』
「む…」
『でもって、次の扉に辿り着くまで振り返ってもダメ。解ったかな?』
「…早歩きは良いのか?」
『…あ~…イイけどさ、走ってるって判断したらスタート地点に戻すからね?』
「…解った」
『んじゃ、スタート!』
スタスタスタ…
ヒタヒタヒタ…
「…(これは)」
スタスタスタ…
ヒタヒタヒタ…
スタスタスタ…
ヒタヒタヒタ…
「…(絶妙な距離を保っているな)」
スタスタスタ…
ビチャビチャビチャ…
「…っ(ずぶ濡れの靴音に変わった)」
スタスタスタ…
ビチャビチャビチャ…
スタスタスタ…
ビチャビチャビチャ…
「…(確かにこれは気になる)」
スタスタスタ…
プギュプギュプギュ…
「…(今度は子どもの靴音か?)」
スタスタスタ…
プギュプギュプギュ…
スタスタスタ…
プギュプギュプギュ…
「…(後どのくらいで辿り着くのだろうか)」
スタスタスタ…
ペッタンペッタンペッタン…
コッコッコッ…
「…(足音が変わっただけでなく増えた?)」
スタスタスタ…
ペッタンペッタンペッタン…
コッコッコッ…
ークスクスクスー
「……っ(笑い声!?しかも近い!)」
スタスタスタ…
ヒタヒタヒタ…
ビチャビチャビチャ…
プギュプギュプギュ…
ペッタンペッタンペッタン…
コッコッコッ…
ークスクスクスー
「…(全員集合!?)」
スタスタスタ…
ーアハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハー
「…っ!(流石にこれはキツいが…我慢、我慢)」
スタスタスタ…
ーミィ~ミィ~…ミュ~ミュ~ー
「…っ!(子猫!?)」
(振り向きそうになるのをグッと堪えた)
スタスタスタ…
「…っ!」
遂に待ち望んだ扉が見えた。
思わず走りそうになった足を咄嗟に叩き、踏み留まった。
ー…チッ(強烈な野太い舌打ち)ー
ガチャッ
『おめでとうございま~す!』
「…ふぅ~」
『ココは休憩ブースだよ。一発クリアのご褒美にそこのお菓子とお茶をどうぞ!飲食物には一切細工してないから、安心して食べてね』
「…サクッ」
(恐る恐るクッキーを囓った)
「…美味い」
『でしょ~?』
「…井上は無事なのか?」
『姫?大丈夫だよ。ケガはさせてないし、お腹空いたら一緒にご飯やおやつ食べてるし、お風呂も一緒に入ったよ』
「そ、そうか…」
今のところ無事らしいが、やはり一刻も早くこの迷路をクリアする為に、次の課題に続く道へと歩き出した。
阿散井恋次の場合…
『この部屋では探し物をして貰うよ。あるモノを全て探し出してそこの白いテーブルに置いてね。制限時間は5分!お題は〈なめ猫〉だよ』
「な、なめねこ…?」
『よ~い、スタート!』
「なめねこ…なめねこ…?色んなねこが置いてあるが…どのねこの事を言ってんだ…?」
彼の言う通り、様々な猫のぬいぐるみや写真が彼方此方に飾ってある。
「なめって何だよ?クソッ、一護か石田かチャドが居りゃあ何とかなりそうなのに…」
※昔の瀞霊廷通信の片隅にそっと掲載されていた、たった1枚の写真(しかもモノクロ)を流石に覚えている訳が無い。
ジリリリリリ…
(あっという間に5分経過)
『ハイ、やり直し~!』
パカッ
「なめって結局何なんだったんだ!?せめて教えろやド畜生がぁぁぁぁぁ…!」
彼もまた答えを教えて貰えずに、黒崎達と同じスタート地点に戻された。
朽木ルキアの場合…
『ココからは縄跳びをしながら次の扉まで行って貰うよ。途中で失敗したらやり直し。それと特殊ルールとして、壁を挟んだ左隣の道で鬼も縄跳びしながら付いて来るから、その鬼に追い抜かれてもやり直しね』
「な!?」
『鬼は君のスタートからきっかり30秒後にスタートするよう言ってあるから安心して。あ、鬼が近付いて来たら解りやすいように床に赤いラインが出るようにしてるから頑張ってね~。じゃ早速始めよっか』
「ちょ、まっ、せ、せめて練習をさせてくれないだろうか!?」
『ん~…1分だけならい~よ』
「す、すまない」
『じゃ、タイマースタート』
ピッ
「よっ…と」
ヒュッ…タンッ、タンッ、タンッ…
「…意外と跳べるものだな、これなら…」
ピピピピ…
『ハイそこまで~!じゃあ本番行くよ~!ヨ~イ、スタート!』
「行くぞ!」
ヒュッ…タンッタンッタンッ…
~約20分後~
『おめでとうございま~す!』
「ぜぇっ…ぜぇっ…はぁ~…はぁ~…げほっ、ごほっ…うっ…はぁ~、はぁ~」
『…大丈夫?ココは休憩ブースで鬼も休憩中だから、ゆっくりお茶でもしてってよ。何なら白玉善哉食べてく?』
「…何だと?」
『あ、嫌いだった?』
「いや、好物だが…」
『ならイイや。茶渡康虎だっけ?にも言ったけど、ココで出す飲食物には何の細工もしてないから安心して食べてね』
「…いただきます」
※敵地だと言うのに、疲労困憊している時に出て来た好物には抗えなかった。
「…御馳走様。その、とても美味しかった」
『はい、お粗末様。迷路クリア頑張ってね~』
ハウラがどんなキャラなのか全く掴めないものの、少なくとも茶渡は先に進んでいる事が解り、少し安堵するルキアだった。
当のハウラはというと…
「だから、そろそろ寝た方がイイってば~」
「黒崎君達が頑張ってるのに、そんな事出来ないよ」
「気持ちは解らなくもないけど…」
「せめて仮眠くらいは取っておこうよ。ね?黒崎達が助けに来た時、眠くてフラフラのがよっぽどマズイと思うけどな~」
(チラッ)
「…それでも」
「何かあったら絶対起こすからさ、そこのソファーに横になっときなって!ね?ね!」
「…そこまで言うなら…もし寝ちゃったら、絶対に起こしてね?絶対だよ?」
「解った、全員が迷路クリアしたら起こすから」
「…うん」
現世時間で深夜だからと、織姫を何とか寝かせる事に四苦八苦していた。
ハウラ発案、ザエルアポロ建設の傍迷惑な立体迷路(鬼ごっこ+αを追加)の被害者になった一護達。
ツッコミ禁止の選択問題に苦戦する一護。
不意打ち問題に対応仕切れない雨竜。
ストイックな性格のおかげか、今のところ順調に進んでいるチャド。
現世の知識はあるものの、時代の流行りまでは把握していない恋次。
完全体力勝負で初っ端から疲労させられたルキア。
ヒリヒリ感よりも、イライラ感を味わっている模様。
迷路クリアの後は?