願いが叶った私は心のままに飛び続けたい。   作:如月雪見

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立体迷路をクリアしたルキアの前には…?

ハウラの影響は此処にも出ました。



VSルキア

 

 

立体迷路に放り込まれてからどれだけの時間が経過したのか…時間の感覚もおかしくなり始めた頃、ルキアは漸くゴールに辿り着いた。

 

『ゴーーール!!おっめでとうございま~~~す!!』

「…はぁっ…はぁっ…はぁっ……げほっ、げほげほ…はぁ~、はぁ~…」

『大丈夫?そこの麦茶と水羊羹どうぞ?』

「…ゴクゴクゴク…ふぅ~…本当に貴殿は何なのだ?本当に虚なのか?」

『え~?お宅ら揃いも揃って何なの~?少なくとも私の種族は間違いなく虚で、藍染が手を加えてそこから破面になった者だよ』

「う…し、仕方ないだろう…貴殿は私達の知る虚とは違い過ぎるのだ」

『…む~…まぁイイや。お宅らの知ってる虚がどんなんだろうと知ったこっちゃないし。〈私〉は〈私〉に違わないもん。じゃ、気を取り直して、と。ルキアがクリアしたら連れて来いって頼まれたからね。ソイツの所まで転送しま~す!』

「て、転送?」

『ポチッとな』

 

カッ

 

ルキアが立っている床ではなく、天井が一際光り出し、彼女を照らした。

光が消えたと同時にルキアも姿を消していた。

 

『…さて、次のお仕事っと』

 

アナウンスをしていた〈声〉も何処かへと移動を始めた。

 

 

 

 

 

 

カッ

 

「…此処は?」

「…ヤットキタカ」「待ちくたびれたぞ」

「…っ!」

 

転送されたのは、微かな照明に照らされた窓の無い広場だった。

そこに居たのは無骨な岩に腰掛ける異形の虚だった。

 

「マァマテ」「我々はお前と話をする為に呼んだ」

「私と…?」

 

刀に手を添えたまま訝るルキアに、座ったままの虚は彼女の興味を引くような話題を振った。

 

「ハウラノコトヲ」「知りたくないか?」

「何だと?」

「「本人カラノ了承ハ得テイル」」

 

未だに良く解らない破面、ハウラについて情報を得られるという機会を無碍には出来ず、促されたもうひとつの岩に腰掛けた。

 

目の前の虚、アーロニーロ=アルルエリは語った。

 

ハウラは自分達破面から見ても異質な存在。

何故か虚夜宮1番料理とお菓子作りが上手い。

※あのお菓子の作り手の正体を知って、驚きつつもルキアは首肯した。

気紛れで飽き性の癖に妙なところで凝り性。

ルキア達が放り込まれたあの立体迷路だって、直ぐに飽きて放置するかと思いきや、逆にドンドンのめり込んで、それに付き合わされた破面達から大顰蹙を買っても自分の納得がいくまで突き詰めて完成させた力作だとか。

そして物凄い我が侭。

あの藍染様からの要請だって

「面倒くさい」「気が乗らない」「ヤダ」

と言って大抵の事は突っぱねる。

そのくせ、欲しいモノややりたい事があれば遠慮なく強請る。

対する藍染様も彼女が強請って来た時は、何かしらの交換条件を出したりして、一方的に搾取されないよう対応しているところを何度も目撃している。

その反面、例えどんな小さな〈約束〉でも必ず守るし、相手にも徹底的に守らせる。

破ればその相手が心底嫌がるだろう報復を完遂する(ハウラの気が済む)まで付け狙い続ける。

そして何より1番厄介なのは、此処虚夜宮に来る前からずっと行動を共にしているメノリという女破面の言う事しか聞かないという点だ。

勿論、彼女に何かあれば、ハウラの有りと有らゆる暴走を止める者は誰も居なくなる。

だから、ハウラがどうにかならない限り、メノリに手を出してはいけない。

これは虚夜宮に在籍する全ての者が共通認識している、暗黙の了解にして最重要事項である。

 

ハウラという破面の人となりを聞いたルキアは、思わず頬を引き攣らせた。

 

「な、何というか…」

「「身近二居テ欲シクナイ性根ノ持チ主ダロウ?シカモ最上級大虚二イタッタ者ダ、楯突イテ来タ者ハ全テ問答無用、実力行使デ黙ラセル。マァ、中ニハ上手ク機嫌ヲ取ル事二成功シテ、遊ビ相手二認定シテ貰ッテ命拾イシタ者モ居ル。トリアエズ奴ニハNo.7ヲ与エラレテイルガ、実際ハソンナ下位二収マル奴デハ無イ」」

「…だろうな。でなければ隊長格の方々を無傷のまま倒せる訳が無い」

「「流石二解ルカ」」

「うむ」

「「…サテ、ハウラニツイテノ話ハ此処マデダ。今度ハ我々ノ話ヲシヨウ」」

「む…?」

 

雲行きが変わった事に警戒しつつも、彼等の話を聞く事にしたルキアは、驚愕の事実を知った。

 

彼は下級大虚でありながらNo.9の地位に着いている。

理由はその能力、〈喰虚〉によって無限大に進化し続ける破面だからだと。

 

「「ソノ証ヲ見セテヤロウ…我々ガ今マデ喰ラッテ来タ虚ヤ死神達ノ能力ノ一部ヲ…コンナ風ニナ」」

 

グニャア…

 

「な…海…燕…殿…?」

「「奴ヲ喰ラッタ虚ヲ我々ガ喰ライ、我々ノ一部トナッタ結果、コノ姿ト能力、ソシテ記憶ヲ得タ。シカシ、想定外ノ事ガ起キタ。ルキアナル死神トノ〈約束〉ヲ果タセナカッタ後悔ガコイツノ記憶ニアルノガ気ニナッテ仕方ナイ。コレモハウラノセイダ」」

「え…?」

「「何ダ?忘レタノカ?薄情ナ奴ダナ。マタ修行二付キ合ウト〈約束〉シタダロウ?」」

「…っ」

「「サァ…我々ノ中ノ〈志波海燕〉カラノ修行ガ終ワルマデ付キ合ッテ貰ウゾ!」」

 

突如予想外の人物が現れた事に激しく動揺するルキアを、容赦なく〈志波海燕〉の能力をフルに使って責め立てるアーロニーロ。

 

「「相変わらず避けるか防御ばかりか!?それじゃあ何時まで経っても終わらねぇぞ!」」

「くっ…!〈舞え、袖白雪!〉」

「「へぇ、安定した始解が出来るようになったのか!」」

 

姿だけでなく声も口調までもが〈志波海燕〉そのものになったアーロニーロの攻撃は、当時修行に付き合ってくれた彼と遜色のない、正に生き写しなだけに、ルキアは始解したものの、反撃する事を躊躇っていた。

 

「「俺はそこまで難しい事は言っていねぇぞ!終了条件は2つ!今のお前の全力を見せろ!そして、その力で俺を倒せと!それだけだ!」」

「うぅっ…!」

 

ガキィィィィン…ズザザザザァァァ

 

「「…やれやれ…嘗ての俺の遺志を預けた奴がこんな腑抜けになっていたとはな…ガッカリだ」」

「…海燕殿」

「「…確かにあの時の俺は随分と酷な事をした…それでもルキア、お前なら乗り越えて行ける強さがあると確信していたからこそ預けたんだ」」

「………」

「「だがそれも俺の買い被りだったみたいだな、そろそろ終いにするか…ん?」」

 

ザクッ…パァンッ!

(〈袖白雪〉を地面に刺して、ルキアが自分の両頬を勢い良く叩いた音)

 

彼女の目付きが明らかに変わった。

 

「…感謝します。おかげで私の心は漸く整いました」

「「…そうか」」

「はい!今の私の全力をお見せします!」

「「…来い」」

 

ルキアは〈袖白雪〉をそのままに詠唱を始めた。

 

「血肉の仮面 万象 羽ばたき 人の名を冠す者よ」

「「先ずは鬼道か…ん?」」

「 雷鳴の馬車 糸車の間隙 光もて此を六に別つ 蒼火の壁に双蓮を刻む 大火の淵を遠天にて待つ 」

「「…二重詠唱だと?」」

「縛道の六十一、六杖光牢!」

「「うぐっ!」」

「破道の七十三、双蓮蒼火墜!」

「「…っ縛道の八十一、断空!」」

 

ズドオオォォォォォン!!

 

「「…はぁ、はぁ、はぁ…まさか、二重詠唱まで修得していたとはな…相変わらず鬼道は中々のものだ…しかし!」」

 

バリンッ!ダッ!

 

六杖光牢を無効化した〈志波海燕〉が瞬歩で一気に接近して来た。

 

「「肝心の斬魄刀の方はどうだ!?」」

「くっ…〈袖白雪〉!」

「「甘い!」」

 

バキィィィン!…カランカラン

 

〈志波海燕〉は先程の剣戟でルキアの袖白雪の刃の、脆くなり始めていた部位に、捩花を容赦なく叩き付けて折った。

 

「「…勝負あったな」」

「まだです!」

「「何だと?」」

「不甲斐ない主で済まない、〈袖白雪〉…それでも、私は〈今〉目の前に居る〈志波海燕〉殿に挑みたい…だから、私のこの想いに応えてくれ〈袖白雪〉!」

 

カッ!

 

「「なっ…!?」」

「参の舞、白刀!!」

 

ルキアの折れた刃の部位が氷の刀身として蘇り、迷い無く〈志波海燕〉の右肩を貫いた。

 

ザクッ…ブシュッ

 

「「っぐああぁぁぁ!」」

 

〈志波海燕〉の姿をしていても虚の身、斬魄刀による攻撃は深刻なダメージとなる。

例に漏れず捩花を取り落とし、その場に蹲った。

 

「…はぁ…はぁ…」

「「…やっぱり、やれば出来るじゃねえか、ルキア。お前の成長、確かに見せて貰っタゼ」」

 

十刃だが所詮は下級大虚、本来の姿に戻り始めた肉体に鞭打ちながらも、アーロニーロは最後まで〈志波海燕〉としてルキアに言葉を送った。

 

「「この後も戦いは続くんだ、気を抜くんじゃねぇぞルキア」」

「…はい!」

 

告げるべき事を全て告げた彼等は、無言で左手人差し指である場所を指差した。

先程の戦いで凍った広場の一部に不自然な区切り、どうやらそこが出入り口らしい。

 

「…ありがとうございました!」

 

本来ならば、相打ち覚悟で死闘を繰り広げる筈だった敵に、最大限の感謝を告げてルキアは去って行った。

 

 

 

 

 

「「…ハァ~ア、スッキリシタ…オイ、見テルンダロ?コッチハ終ワッタンダ、早ク手当テシテクレヨ」」

『お疲れ様~!んじゃ、ロカの所に転送するね~』

「「…アァ…」」

 

元の姿に戻ったアーロニーロは、治療を受ける為に医務室へと転送された。

 

『…ココも無事に終わった…と…〈あっち〉はどうなってるかなぁ?』

 

その〈声〉は〈とある場所〉に結果報告を送りながら独りごちた。

 





改めて、戦闘描写もですがアーロニーロの言い回しは難しいです。

原作のルキアにとって、とても大切な戦いを汚したのでは無いかと戦々恐々としながら書きました。



言い訳をするならば、海燕とルキアはあの事件が無ければきっと、また一緒に修行をしていた筈だし。
ハウラの恐ろしさを骨の髄まで知っている彼等なら、
「どんな些細な〈約束〉も守らなければ!」
と強迫観念を持ってしまっても仕方ないかなと。



他のメンバーは思い浮かべば書いて、浮かばなければスキップして続きを書く事になるかと。

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