願いが叶った私は心のままに飛び続けたい。   作:如月雪見

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前回、十刃落ち達と茶渡、雨竜、恋次が接触。
本来なら有り得ない、ほのぼのとした遣り取りをして、絶対に守って欲しい事をこれでもかと頼み込む十刃落ち達。


今回、漸く迷路を抜けた一護。
対峙するのは…?



VSハウラ?NO…

 

 

 

ハウラ発案の(底意地の悪い)立体迷路に強制参加させられた黒崎一護は、漸くゴールに辿り着いた。

 

「ぜぇ~…はぁ~…ぜぇ~…はぁ~…ぜぇ~…」

『お疲れ様~!因みに君が最後だよ』

「くそっ!…まぁいい…井上は本当に無事なんだな?」

『君もしつこいなぁ~。そんなに心配ならもう1回、姫の寝顔見る?』

「…いい。で、チャド達は何処だ?」

『とっくの昔に先に移動したよ』

「なっ!?」

『う~ん、みんなイイ感じで進んでるね~』

「おい!」

『君の行く先は、残ったコレしか無いから選択権は無いよ。んじゃ、頑張ってね~』

「ふざけんなてめぇぇぇぇ!」

 

フッ…

 

とても元気な黒崎一護を、予定通りの場所に転送させた。

 

『…全員、立体迷路をクリア。〈本体〉にデータ転送っと…よし。じゃあ、〈次の役目〉まで仮眠でも取ろうっと。目覚ましどこ置いたっけなぁ~』

 

 

 

 

 

その頃、ハウラの自宮にて。

 

「…い…お~い、姫~」

「…んん?…ハウラ…ちゃん?」

「黒崎達立体迷路クリアしたよ」

「え…みんな無事!?ケガは!?」

「ん~…多分、大丈夫じゃないかな?みんな元気な反応だったし」

※送られて来た情報(主に黒崎と赤毛の怒鳴り声)からそう判断した。

 

因みにメノリは、ハウラの後ろで額に手を当てて溜息を吐いている。

 

「そ、そう…?」

「んで、藍染からの許可が出たから、ちょっと出掛けない?」

「え?」

 

 

 

 

 

パッ…ドサッ!

 

「いっ…てて…此処は何処だ?」

「はい、いらっしゃ~い。もう待ちくたびれたよ~」

「ハウラ!テメェよくも俺達にふざけたマネ…を?」

「ふざけてなんかいないよ~。みんなそれなりに強くなったみたいだし~。そうそう、赤毛なんて下級大虚を1人で倒せるようになってたよ?」

「あ、そぅ…なの…か…って、何やってんだよ!?」

「ん?見て解らない?プロレス、格闘技だよ?」

「…っ~っ~~っ!!」

「1,2,3,…」

 

飛ばされた先ではハウラが長身痩躯な黒髪の男をうつ伏せ状態にさせて、4の地固めを極めていた。

その傍らで見覚えのある緑髪の女性がレフェリーを努めている。

 

「…10!」

カンカンカーン!!

「ノイトラ=ジルガ、12連敗…と」

 

顔のデカい男がゴングを鳴らし、隣の中肉中背の男がボードに勝敗を書き加えた。

 

「…っ、おいコラテメェ!来るのが遅ぇんだよ!何チンタラしてんだよあんな迷路如きで!」

「なっ…」

「何言ってるのよノイトラ。貴方がハウラに喧嘩を売ったからこうなったんじゃない。自業自得でしょ。八つ当たりはみっともないわよ。大体、そう言う貴方だってゴールに丸1日かかったじゃない」

「うるせぇ!おいテスラ!テメェも嬉々として罰ゲームBoxに手ぇ突っ込んでんじゃねぇ!」

「き、嬉々とはしていませんよ!そういう約束ですから仕方なくですよ!」

「ウソ吐けや!」

「本当ですって!…あ、〈縦ロールにゴスロリ姿でウルキオラにカーテシーでご挨拶。台詞は『ご機嫌ようウルキオラ様。本日は良いお天気ですわね』〉です」

「はいはい」(罰ゲーム帳にメモってる)

「テスラ―――!!」

「五月蝿い」

ゴッ!!(容赦ない回し蹴りを繰り出した)

「グハッ」

ドサッ…(後頭部、小脳を的確に蹴られて昏倒)

「ノイトラ様ぁー!」

 

正にカオスな状況に黒崎は一言、

「…何なんだコレ」

と呟いた。

 

気絶したノイトラを無視してハウラは

グゥ~キュルルルグゥ~

と腹を鳴らして

「…小腹も空いて来たし、お茶にしようよ!」

とか宣ったかと思いきや、いそいそとお茶とお菓子を取り出してお茶会を始めた。

 

「黒崎一護…だったかしら。ごめんなさいね、ハウラがお茶会を始めたら、もう付き合う以外の選択肢は無いのよ」

「は、はぁ…あ、美味い」

「でしょ~?このチーズケーキは姫にも好評だったんだから!」

 

緑髪の女性ことネリエル=トゥ=オーデルシュヴァングに頭を下げられ、お茶会に参加する事になった。

みんなして美味しそうに頬張るのを見ていると、流石に手を付けないのは気が引けたのか、目の前のチーズケーキを食べて率直な感想が自然と口に出た。

 

「…アンタ、本当にハウラなのか?」

「んぁ?何さ突然」

「あの立体迷路のアナウンスは間違いなくアンタの声だった。んで、俺を此処に飛ばして直ぐにお前も此処に来たんだと最初は思ったけど…」

「けど?」

「俺を見て言ったよな?待ちくたびれたって。それとそこで気絶してるえっと…」

「カマキリでい~よ」

「ノイトラ様だ」

「ノイトラ?も言ってただろ。俺が来るのが遅い所為でずっとアンタの相手してたって…どういう事だ?」

「ん~…ま、いっか。その質問に答えてあげよう!ズバリ!〈私〉は複数体いるよ!」

「やっぱり…って複数!?」

「本体がどうしても成し遂げたい目的の為に作られた劣化コピーの1体が私の正体さ!尤も、劣化コピーとは言っても、帰刃出来ないだけでそれ以外は本体と遜色ないけどね!」

「それ、言っちゃって良いの?」

「い~のい~の。どうせ他の子達に連絡する手段持って無いんだから」

「なっ…」

「まずあのルキアって子以外、マトモに鬼道使えないでしょ?死神なら持ってる地獄蝶も無い。でもって、ココじゃ現世の通信機器は使えない。大事な事はね、私達常に情報共有してるから知ってるよ。ちなみに、他の子達は私達以外の破面が相手してるから、私みたいなコピーがいる事は知らないよ。だから、気付くまでもうちょいかかるだろうね」

「…そのどうしても成し遂げたい目的ってのは何だ?」

「此処、虚夜宮の空を守り抜く事」

「は?」

「この空が大好きな本体は、毎日飛びたい時に好きなだけ飛ぶの。勿論、本体の邪魔にならないよう注意すれば私達が飛んでも怒られないよ。でもさ、今回の戦いでこの空が壊れるとか絶対にあっちゃいけないからさぁ…姫奪還の為に戦うのは良いけど、空を壊さないでね?本体もだけど、私達どんな報復するか解らないからさぁ…ね?」

「あ、あぁ…」

 

ハウラ(コピー)の口調は今まで聞いたのと変わらないのに、その‘目’が何よりも本心を語っていた。

 

「…う…ってぇ…」

「あ、起きた」

「ノイトラ様!」

「っテメェ、テスラ!!ご主人様が倒れてるってぇ時に、何呑気に敵と菓子食ってんだ!!」

「す、すいません!」

(口元の菓子クズを拭きながら)

「そんな怒んなくても、ちゃんと残してあるよ。ホラ、キュウリ(多分もぎたてだけど洗っていない、丸まんま)のハチミツかけ(明らかにかかってる量が少ない)山盛りだよ!」

「ふざけんじゃねぇぇぇぇぇ!!」

 

手の込んだお菓子の中で明らかに異彩を放つその皿は、どうやらノイトラ用だったらしい。

 

「大声出さないでよ、五月蝿いなぁ~」

「だ~れ~の~せ~だと思ってんだ!!」

「いつも言ってるけどさぁ、んなに喚いたらまたノド痛めるし、血管もキレるよ?」

「…殺す!!」

「ふぅ…その調子だともう忘れたみたいだね。コレ3つめの罰ゲームだよ?ホラ」

(罰ゲーム帳をヒラヒラさせながら)

「…糞ぉぉぉっ!」 

(キュウリのヤケ食いを始めた)

「うんうん、聞き分けのイイ子は嫌いじゃないよ」

 

ハウラのノイトラを煽るだけ煽って嘲笑う姿に、ドン引きする黒崎の肩を叩くペッシェと名乗った男は、首を横に振った。

 

「ハウラは嫌いな相手、特にノイトラにはいつもあぁなのだ。君が気にする事は無い」

「そ、そうなのか…あ~、あのさ、そろそろ俺チャド達と合流したいんだけど?」

「んぁ?何言ってるのさ?本番はコレからだよ?」

「…は!?」

「私は本体の劣化コピーだから戦っても意味ないでしょ?だから今回はコイツ、カマキリと戦ってみない?」

「「はぁ!?」」

 

ハウラと戦う気でいたのに出鼻を挫かれっ放しの黒崎と、ずっと玩具にされてストレスMAXのノイトラはとてもイイ笑顔のハウラの提案によって、戦わされる事になった。

 

 

 

「…さっき言った事は絶対だろうな?」

「勿論!私はどんなに嫌いなヤツが相手でも、約束は絶対守るからね。彼を殺さずに戦闘不能にしたらさっきの罰ゲーム全部帳消し&ハニーカステラ食べ放題ね!で、黒崎はカマキリ倒したら姫に会わせてあげる!」

「…良いのかよ、そんな約束しちまって」

「んぁ?うん、問題ないよ?本体にも確認取ったし。じゃあ…始め!」

 

 

 

ガキッ!キンッ!カッ!ガチチッ…チンッ!

 

「…どうやら長物は初めてじゃねぇようだな」

「…まぁな。お前で4人目だ」

「そうかよ!」

 

ブォンッ…ガキィィィン!

 

先ずは様子見だろう、黒崎は仮面を出していないし、ノイトラは帰刃していない。

そうやって互いの得物を鍔迫り合いしている間に、見届け役のネリエルは、何か違和感を覚え始めた。

そして、傍らに居るハウラの独り言をしっかり耳にした。

 

「…やっぱあの迷路造って正解だったね。Targetがこんな短時間でLevelUpするなんてさ。コレで本体も楽出来るし、藍染も喜ぶだろうね」

「…ハウラ?…っ!貴女もしかして」

「ん?」

 

ニンマリ笑顔で小首を傾げるハウラにネリエルは確信した。

あの立体迷路の目的が単なる嫌がらせと時間稼ぎでは無く、今回の侵入者達、特に黒崎一護を短時間で鍛え上げる為の外部からは手出し不可能な絶好の鍛錬所である事。

それだけじゃない。

十刃召集での事故(階段からの突き落とし)を絶対に根に持っているだろう、ノイトラの行動パターンも計算に入れた上で、彼の戦闘パターンを教えている可能性が非常に高い事も。

 

「はぁぁぁ!!」

 

ゴァッ!!ザシュッ…ビシャッ!

 

「ッチィッ!」

 

仮面無しで、現世で会った時とはケタ違いの威力の斬撃を繰り出し、ノイトラの腕に深い切り傷を与えて後退させた黒崎に、ハウラは満面の笑みを浮かべた。

 

そしてノイトラも流石に気付いた。

初対面だというのに、此処まで的確に自分の攻撃を捌き続け、更にはこうして反撃が出来る黒崎に、誰かが…それこそハウラが情報をリークしたのだと。

 

「っテメェ!ハウラ!!最初っから俺に勝たせる気無かったな!?」

「んぁ?何の事?」

「しらばっくれてんじゃねぇ!!」

 

怒鳴り散らすノイトラにシレッと言葉を返した。

 

「だったら何?別にイイじゃんか。だってアンタ最強なんでしょ~?このくらいハンデにもならないでしょ~?何せ、さ・い・きょ・う!なんだからさ~」

「テメェ…!!」

「あ、言っとくけどさ、もし仮に負けたらぁ…さっきの罰ゲーム全部みんなの前でやって貰うから。ガンバッ!最強だから余裕余裕~!」

「…糞がぁっ!!『祈れ!聖哭螳蜋!!』」

 

手の内がバレている以上、長期戦は時間の無駄、一気にカタを着ける事にしたらしい。

対する黒崎も仮面を付けて虚化し、刀を構え直した。

 

ノイトラの腕が2対に増え、腕の切り傷も完全に塞がった異形の姿に黒崎は驚く事無く、刀を正眼に構えた。

 

 

腕が増えたとしても、黒崎は変わらず冷静に対処している。

そして更に腕が1対増えたとしても尚、それは変わらなかった。

 

「クソッ、クソクソクソクソがぁっ!!」

「…っ!」

 

冷静さを失ったノイトラが破れかぶれの虚閃を放ち、黒崎は応戦の斬撃を放った。

虚閃は真っ二つに切り裂かれた。

そこに突っ込んで行き、黒崎を切り刻もうとしたノイトラだが、それも読まれていた。

そこに居る筈の黒崎はノイトラの後ろに回り込んでいた。

振り返りざまに大鎌を振るうも、黒崎は限界まで腰を落として回避、そのお返しと言わんばかりにノイトラの両脚を全力で切り落としにかかった。

 

「うおおぉぉぉっ…!!月牙ぁぁ…天衝ぉぉぉ!!」

「ぐっ…あぁぁぁぁぁ!!」

 

自称とは言え、相応の硬度を誇るノイトラの両脚を切り落とすのは流石に至難の業だったらしい。

 

「ぜぇ…ぜぇ…はぁ…はぁ…」

 

汗まみれになって両肩で息をしているところから、かなりの霊圧を消費したのが解る。

 

「…クソッ!俺の脚をっ…!だがなぁ…」

 

両膝関節を無理矢理切り落とされた状態ではあるものの、3対のうち、1対の腕と鎌を杖代わりにしてどうにか立ち上がった。

 

「まだ、勝負は決まっちゃいねぇぜ!」

「…くっ」

 

闘志は全く消えていないノイトラに、黒崎は刀を構え直した。

 

「…う~ん、仕方ないかぁ…じゃ、第2ラウンド開始!」

 






今回、本当に苦戦しました。

何せ、グリムジョーは誰にも興味を示していないので。
黒崎はハウラの獲物、他は…情報が一切無い雨竜は兎も角、他は雑魚と認識していそうだし。
辛うじて、恋次が「あぁ、コイツも来たのか」くらいにしか思っていないだろうし。
動かないグリムジョーを飛ばして対ノイトラ戦をどうするかで滅茶苦茶悩みました。
挙げ句、別のネタが浮かんでそっちに時間を割いてしまいまして…。
そっちを書いていたら本当にふと、ノイトラがハウラにしばかれている光景が浮かびまして。
「あ、コレだ」と。
そこから何とか書けました…。

が、長くなって来たので一旦切ります。
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