願いが叶った私は心のままに飛び続けたい。   作:如月雪見

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黒崎一護の強化タイム終了。

姫を藍染達の所へ。




藍染達、空座町(レプリカ)へ

 

 

 

「連れて来たよ~」

「ご苦労」

「んじゃ、私達も用意するね~」

「あぁ」

「…の前に、と」

 

織姫にご飯とおやつ、何かあった時の着替えと救急箱の入ったバスケットを渡した。

 

「あと一応、私達を置いてくから、何かあったらこの子達が出来る範囲で対応するから。よろしくね、私達」

「「「任された!本体」」」

 

ハウラと一緒に来たコピーに加えて、色違い(赤、緑、黄のカラーリングを前髪だけにしている)のが3人の合計5人が談笑しているのを見た市丸も流石に口元が引き攣り、東仙に至ってはこの世の終わりといった雰囲気を醸し出し、胃の辺りを抑えている。

 

「…あと何体用意したんだ本当に」

「さぁ?ザエルアポロにでも聞けば?じゃ、今度こそ用意しよっか。行こう私とメノリ」

「は~い」

「あ、うん。し、失礼します」

 

今度こそハウラはコピー(カラーリング無し)とメノリを連れて、‘何かの用意’をしに立ち去った。

 

「…はぁ~」

「大丈夫だよ、要。ハウラは絶対に約束を違えない。一先ず井上織姫の事はあの子のコピー達に任せるとして、我々は目的を果たそう。天挺空羅を」

「は…」

 

地の底を突き抜けるような溜息を吐き出す東仙に、藍染は彼にとって気休めにもならないだろうフォローをしつつ指示を出した。

 

「縛道の七十七、天挺空羅…どうぞ、藍染様」

「うん…聞こえるかい?侵入者諸君」

 

虚夜宮内部に侵入した黒崎達は勿論、死神達に語りかけた。

 

「ハウラ特製立体迷路を攻略或いは攻略中の皆に伝えよう。これより我々は現世へと侵攻を開始する」

「な、何だと!?」

「馬鹿な…井上さんの能力で崩玉を覚醒させるまで、侵攻は無い筈じゃ…!?」

「…っ、井上は今何処に!?」

「井上織姫は第五の塔に置いて行く。助けたければ奪い返しに来るが良い…彼女にもう用は無い」

「「「何…!?」」」

「用は無い…だと!?」

 

動揺する彼等を余所に藍染は語り続ける。

 

「確かに彼女の能力は素晴らしい…人間に許された能力の領域を遙かに凌駕する力だ」

「ならば何故…!?」

「尸魂界上層部はその能力の重要性を理解していた…だからこそ、彼女の拉致は尸魂界に危機感を抱かせ、現世ではなく尸魂界の守りを堅めさせる手段たり得た」

「…っ!」

「そして彼女の存在は尸魂界の新たな戦力となるであろう〈死神代行〉を含む〈旅禍〉を虚圏へと誘き寄せる〈餌〉となり、更にはそれに加勢した四人もの隊長をこの虚圏に幽閉する事にも成功した」

「「なっ!?」」

「…くそっ」

 

藍染の言葉通り、彼等が通って来た黒腔は一瞬で封鎖された。

最も、この強制参加中のハウラ特製立体迷路をクリアしない限り、どうする事も出来ないのだが。

 

「護廷十三隊隊長のうち三人は既に離反、四人は幽閉…尸魂界の戦力は文字通り半減したと言って良い」

「…ちっ」

「くっ…」

「我々は空座町を消し去り、王鍵を創生し尸魂界を攻め落とす…君達は、全てが終わった後でゆっくりとお相手しよう」

「でもさぁ、そう簡単には行かないんじゃない?」

「「「なっ…」」」

「この声は…」

「ハウラだ!」

「貴様!」

「構わないよハウラ。君の見解を言ってご覧?」

「んじゃ遠慮なく。あっちには藍染とタメ張れる頭脳持ちが居るんでしょ?あの下駄帽子の…何だっけ?名前忘れたけど…がさ。だからこっちに涅マユリ?が来てるんだろうし」

「「涅隊長が!?」」

「…フン!」

「多分、何かしらの対策立てられてると思うけど?」

「ふ…それはそれで一興。何の問題にもならないさ。寧ろ、そのくらいの抵抗も無いのは味気が無さ過ぎる」

「あ、そ」

「貴様はさっさと下がれ!」

「ハイハ~イ、んじゃ、行ってらっしゃ~い」

「あぁ、行って来るよ。その間の留守は君達に任せるよ。ウルキオラ、ネリエル…そして皆」

「「はっ!」」

「お土産ヨロシク~!」

「きーさーまぁー!」

「ちょ、落ち着いてぇな東仙隊ちょ」

 

ブツンッ…

 

話は終わったらしく、天挺空羅が切れた。

 

「…空座町が…消える…いや…でも、ハウラの言う通りあの浦原さんが何もしない訳が無い…だったら俺のすべき事は…そう、井上を取り戻す!」

 

生まれ故郷の危機に動揺したものの、ハウラの横槍で少し冷静さを取り戻した黒崎は、藍染とハウラが言っていた塔に向かった。

 

 

 

その頃、立体迷路で奮闘中の隊長達の1人、卯の花烈がスピーカーに向かって話しかけた。

 

「もし、すみませんが、此方からも天挺空羅を使用しても宜しいでしょうか?」

『…何故でしょうか?』

(ボイスチェンジャー越しの声で性別は不明)

「先に此方へ来た方々にお伝えしたい事がありまして」

『…良いでしょう。手短にお願いします』

「ありがとうございます。勇音」

「は、はい。…縛道の七十七、天挺空羅!」

「お久し振りです。黒崎さん―――」

 

彼女は藍染達による空座町侵攻への対抗策として、空座町のレプリカを造り、転界結柱という装置で本物の空座町を其処に住んでいる生者達ごと流魂街の外れに転送し、その代わりにレプリカを設置、隊長達が全力で戦える環境に変えた事と、黒崎達を支援する為に此方には部下の虎徹勇音と山田花太郎、それに朽木白哉、更木剣八、草鹿やちる、涅マユリ、涅ネムが共に来た事を黒崎達に告げた。

 

「…なら尚更、俺は俺のすべき事をするだけだ!」

 

黒崎は更に速度を上げた。

 

 

 

一足先に合流を果たした茶渡、雨竜、恋次、ルキアは卯の花からの伝達を聞き、最悪の展開は一先ず回避されたと安堵したものの、転送された先でちょっとアレな事になっていた。

 

「オイゴルァテメェ!何処に何転送してくれてんだ!アァ!?」

「ホント何処に転送してんのさ、あのマヌケ。それともワザと?」

「「「全くだ」」」

「アレの性格を鑑みると…どうだろうな」

「…」(無言で首を傾げている)

 

何せ、茶渡達が転送された先はNo.6グリムジョーの自宮で、そこの住人達は思い思いに寛いでいる真っ只中だった。

予定に無い客を飛ばした犯人にインカム越しに怒鳴り散らすグリムジョーだが、相手は更に怒らせる何かを言ったらしく、目の前の壁を殴って更に何かを言い返している。

 

「クソッ…ハウラの奴…」

「何だって?」

「…ゴメ~ン、間違えちゃったぁ。ネリエルがそっち行くまで預かってて?…だとよ…あのクソアマァ!!」

 

コピーとは言えハウラの、しかも複数体が其処彼処にうろついている以上、彼女の何時始まるか解らない無茶振りやその巻き添えが嫌で、彼等は下手に動かず自宮待機をしていたというのに、間違えたとは言え余計なモノを飛ばしたハウラへの怒りはかなりのモノだろう。

 

「…取り敢えず、貴様等がこの宮と空を害さぬ限り、我々は傍観に徹するつもりだ。直に迎えが来る。それまで其処のソファーにでも座って待機していてくれ」

「「「「「…」」」」」

 

…侵入者達に対して、良いのかそれで?

 

そんな彼等の視線をスルーして、客用と思われるソファーに座るよう促すシャウロンだった。

 

数分後、ネリエルが彼等を迎えに来た。

 

「何もしていないようで安心したわ」

「雑魚に用はねぇ。…まぁ、あの迷路に居る隊長格ってのがどんなのかには興味あるがな」

「…相変わらずね」

「フン、テメェと話す事はもうねぇ。ソイツ等連れてサッサと帰れ」

「全くもう…ごめんなさい、此方の不手際で面倒かけさせちゃって。行きましょう」

「「「「「あ、はい」」」」」

 

…彼等の考えている事が良く解らないな

…と言うか、戦ってもいないのに、雑魚呼ばわりはどうなんだ?

…だよな?腹が立つぜ

…まぁ、体力温存だと考えれば

…確かに、可能なら戦闘は避けたい

 

茶渡達は、ネリエルの案内で彼女の自宮へと招かれた。

 

 

 

場面は空座町(レプリカ)へ。

 

「…どうやら間に合ったようじゃのう」

「…間に合った?一体、何を以てその言葉を口にしている?」

 

護廷十三隊総隊長、山本元柳斎重國の言葉に表情ひとつ変えずに藍染は淡々と返す。

 

「そこにあるのが空座町では無い事は解っている…だが、それは何の妨げにもなりはしない…其方の準備は出来ているかい?…そうか、なら良い。スターク、バラガン、ハリベル来るんだ」

 

藍染のインカム越しの呼びかけに応え、3つの黒腔が開き、其処から新たな戦力として破面達が現れた。

 

「空座町が尸魂界に在るのなら、君達を殲滅し、尸魂界で王鍵を創る…それだけの事だ」

 

藍染は不敵な笑みを浮かべながら空座町のレプリカに降り立つと、目の前に並び立つ十三隊隊長達を見遣り、わざとらしく首を傾げた。

 

「…おや?2番隊隊長の姿が見えないが…?」

「…ほざけ」

「…あぁ、そう言えばハウラが「ちょっと、はしゃぎすぎたかも」と言っていたね。なら尸魂界に行くついでに彼女に伝えねばいけないね…ハウラの暇潰しの相手は骨が折れただろう?ご苦労だった…と」

「あの野郎…!」

「落ち着け、奴の軽口に乗るな」

「それよりも…」

「…どうやらハウラは連れて来なかったみてぇだな」

「…えぇ」

「う~ん、ひと目で良いから会ってみたかったけどねぇ…それはさておき、あの破面達の中で1番強いのは誰だろうねぇ?」

「う~ん…見た目だけでは解らないな…」

「…皆下がっておれ…万象一切灰塵と為せ《流刃若火》」

 

始界すると同時に藍染、市丸、東仙を炎の壁に閉じ込めた。

 

「城郭炎上…さて、これで暫くは出て来れまい…先に彼奴等を始末するぞ」

 

 





グリムジョーは相変わらず、黒崎達に興味はありません。
この後迷路をクリアした隊長格に挑むまで大人しくしています。



因みに立体迷路では…

白哉はルキアが通ったコースを〈彼女の行動を真似してゴールに辿り着け〉という指示に従い、順調に進んでる。
その後を卯の花からの命令で、花太郎は必死で付いてっている。
何気に花太郎がいるおかげで、〈2人居るからチャンスは2回〉のルールが採用され、白哉の失敗を緊張しながらもフォローしている。
多分、1番乗りでゴールするだろう。

剣八はやちるが別部屋で、〈リアル【お菓子の家】と珍しい玩具、公園がある箱庭〉を思う存分堪能している間に、〈某脱出ゲーム【○番出口】&アスレチック超マシマシver、時々処分予定だった謀反者達の奇襲を返り討ちにしろ〉を只管やらされている。
彼の本能から来る回避能力と記憶力はかなりのモノなので、此方も比較的早くゴールするだろう。

涅マユリとネムは監視用の虫を付けていた雨竜の選んだ道に入り、面倒だが彼の完コピをすれば良いと予想していたのだが、問題は全てリセットされていて、少なくとも彼にとって興味も無ければ何の役にも立たない雑学クイズばかりやらされて、何度目か解らない怒鳴り声を上げている。
しかも途中でネムを取り上げられ、一時は冷静さを失った。
しかし、休憩所で出されるお菓子に注文を付けたら、リクエスト通りのモノが出て来るので、それについては何の文句も言わない。
何にせよ、ゴールまで時間がかかりそうだ。

卯の花と勇音は黒崎達が出来なかった課題を出された。
此方も〈2人居るからどちらかがクリアしたらOK〉ルールが採用された。
恋次が答えられなかった〈なめ猫〉を勇音が無事クリアしたものの、中々手放せずにいるのを見たハウラのコピーの「欲しいならあげますよ」発言に逡巡しつつ、「では、お言葉に甘えて」と免許証とステッカーをゲット。
この調子で、確実に前進中。



砕蜂はどうにか出ようとしましたが、卯の花隊長によるドクターストップが入りました。
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