願いが叶った私は心のままに飛び続けたい。   作:如月雪見

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続き

ハウラの次のTargetは?




タイムリミット

 

 

「…っぷはぁ~…んぁ?何?藍染」

 

ハウラが牛乳を全て飲み干したのとほぼ同時に、藍染から連絡が来た。

現状がどうなっているのかが知りたいからと、聞かれるままに答えた。

 

「…ってとこ。ん~…もぅちょいで副隊長全滅かな?うん。…え?イイの?ん~…でもさぁ、この後やりたい事あるんだよね~。その結果?う~ん…まぁ上手くいけば離脱者が2人出ると思うし、更なる揺さぶりもかけられると思うんだよね?うん。じゃ、また後で」

 

藍染と話している間に、射場と乱菊がついに限界を迎えたらしく、その場に倒れた。

 

「…ぅ…隊…ちょ…すん…ま…」

 

ドサッ…

 

「鉄左衛門!」

「くそっ!」

 

あの大怪我で良くここまで粘ったものだ。

敵ながら天晴れである。

意識を失った彼を庇いながらの防衛は、状況を更に厳しいものにした。

 

 

 

「手子摺らせやがって…!」

「だがこれで…!」

「終わりですわ!」

 

ドガッ!ザシュッ!ゴッ!

 

「…っあ…」

 

ドサッ…

 

「松本!くそっ!」

「次はテメェだ!」

 

乱菊を倒したアパッチ達がハリベルに加勢して、日番谷を包囲するべく動き出した。

 

 

 

「…やるじゃん。無事に向こう戻ったら、ご褒美に何か作ったげようかなぁ~」

 

機嫌が上向いたハウラは、2人を倒した者達の好物を作る算段を立てた。

 

「…さてと、アレも漸く〈馴染んだ〉し…真面目にやりますか」

 

頭上の渦に左手を掲げ、ちゃんと〈馴染んだ〉事を確認して不適な笑みを浮かべた。

 

「先ずは成功率を上げる為に…コンディシオン《エル・オトロ・ジョ/もう1人の私(分身体)》…取り敢えず小っちゃいの3つずつ送るかな」

 

 

 

ハウラが仲間へのサポートやフォローの合間、ついでとばかりに、小石や砂、泥、更にはこの戦闘で出来た瓦礫が送られるという、嫌がらせを受けていたローズの所に帰刃前のハウラが、少し大きめのヌイグルミサイズで3体転送された。

 

「なっ!?」

「「「やっほ~!」」」

 

完全な不意打ちに動揺しつつも、始解した得物で何とか対応するも、そのサイズ故にヒラリヒラリと躱されて更にイライラが募った。

 

「くっ!このぉ!」

「「「当ったらないよぉ~!」」」

 

ただひたすら目の前を飛び交うだけで、何もして来ない不気味さはあるものの、どうにかしなければならない事に変わりは無いと、始解を解いて普通に斬る事にした。

ら、

 

「「「ねぇねぇ、ドコ行くのぉ~?」」」

「うわっ!?何だコレ!?…って、こっち来んな!邪魔だっての!このっ!…っだぁー!鬱陶しい!!」

「「「待ってよぉ~!」」」

「拳西!?」

 

拳西の怒鳴り声が聞こえて思わず其方を見ると、斑目を肩に担ぎ、綾瀬川を脇に抱えて移動中の彼(仮面付き)の所にも小さなハウラが3体、目の前や足元でひたすらウロチョロしては、邪魔をしに来た。

 

この上なくストレスが溜まるこの行為は、ただの足止めでは無いのは理解しているのだが、肝心の本命が何なのかが解らない以上、下手に移動は出来ない。

もし目的がハッチの結界ならば尚更である。

 

最も、ハウラの狙いはソレでは無いのだが。

 

 

 

「さてさて、そろそろかなぁ…」

 

しつこく付き纏うハウラ達をどうにか斬ろうと躍起になるローズと、遂にブチ切れて拳西が蹴飛ばそうとしたハウラ達がほぼ同時に消えた。

 

「なっ…!?」

「何処に…!?」

 

思わず周囲を見回す2人の足元には、空にあるのと全く同じ渦があった。

 

「これはっ…」

「しまっ…」

「コンディシオン《スヘクシオン/拘束》」

 

ギュルギュルギュル…ガシィッ!!!

 

その渦から勢い良く黒い手が飛び出て、2人の脚に絡み付き、その場に固定した。

 

「なっ!?」

「くっ…くそぉっ!外れねえ!」

 

どうにか千切ろうと藻掻くが、手はビクともしない。

 

「ヨシヨシ、上手く行ったね」

「っ何やあれは!?」

「見ての通りだよ。さっきも言ったけどさ、折角無力化したのに治療されたら困るんだよね。藍染との〈約束〉破る事になるからさぁ」

「「「「「なっ…!?」」」」」

「あのさ、〈約束〉ってのは破るモノじゃない、守るモノでしょ?私は守りたいの。守れなかったら〈アイツ〉みたいに嘘吐きになるもの」

 

…アイツ?

…アイツって誰の事だ?

 

困惑を深める彼等を無視して、ハウラは虚ろな目で語った。

 

        ーそ うー

 

 ー 〈私〉 は ね 嘘 吐 き に は な り た く な い のー

 

      ーだ か ら ねー

 

 ー誰 だ ろ う と 邪 魔 は さ せ な い よー

 

「コンディシオン《フラクトゥーラ/骨折》」

 

ボギィィィィィッッ!!!!

 

「「…ぐぅぅっ…ぁぁぁぁっ!!」」

 

ドサドサドサァァッ!!!!

 

それぞれの脚に絡み付いた手はそのまま締め上げ続け…握り潰した。

2人はどうする事も出来ず、そのまま倒れ込んだ。

 

「ローズ!拳西!」

 

「…僕の推測は当たってたって訳だ…〈天と地は押さえた〉…って言ってたものねぇ」

 

京楽は読唇術も修得しているらしい。

仲間達に連絡した時、しっかり読み取られていたようだ。

 

「…この距離で目イイねぇ、黒ヒゲ。やっぱり1番の厄介者だなぁ…白髪よりも先にやっとけば良かったかなぁ…」

「いやぁ~、君みたいな可愛い子にそこまで言われるなんて、光栄だなぁ」

 

ハウラは目を細めて京楽と睨み合った。

が、直ぐに視線を外した。

そして、

 

「…まぁそれはさておき、続けてコンディシオン《デサクティバール/解除》」

 

フッ…バシュゥゥゥゥ…

 

ハッチの張った結界が消滅した。

 

「「「「「なっ…!?」」」」」

「そんナ…」

「嘘…」

「うん、上手くいった。で、様子はどうかなぁ~?」

 

オペラグラスで患者達を見たハウラの眉間にシワが寄った。

 

「…う~わ、縦3本の腕がもう繋がってる~。内臓と骨は流石にまだっぽいかな?白タイツの子は首の治療中かな?足も完全にはくっ付いてないっぽいし…白髪の切り傷も塞がってるなぁ…でも縦3本と同じで内臓はまだみたいだね…ジャージの子はまだ耳が見付かってないかぁ…ふむ。よし、もっかいコンディシオン《エンペオラ/悪化》」

 

「ごふっ…」

「っ…げほっ」

「いっ…」

「うっ…」

 

治療を受けていた檜佐木と浮竹の腹部が不自然に動き、堪らず2人は吐血、白の繋がり始めていた足から血が溢れ出し、ひよ里の両耳があった箇所も再び出血し始めた。

 

「せ、先輩!浮竹隊長!」

「くっ…!?け、結界が張れナイ!?」

「コンディシオン《インペディメント/妨害》ってね…あはは!上手くいった!久し振りにやったけど、こんなにキレイに決まるとはね!あ~、気持ちイイ~!」

「「「「「っ…!」」」」」

 

上機嫌で銅鑼焼きを頬張るハウラを、平子達は憎々しげに見上げた。

 

「…やっぱ、元から〈結界〉の場所は解っとったっんかい、お嬢ちゃん」

「そだよぉ~。空座町の空は前に飛んだ事あるからね~。何処に何があるかは大体覚えてたし~、複数人を治療出来る場所って、それなりのスペースが必要でしょ?そこで候補地は幾つかピックアップしたんだけどぉ…その中にさぁ、何故かみんなして攻撃しない空間が1ヶ所だけあったんだよね~。しかも、アフロとセーラーが犬とグラサン連れてそこに向かって行くのも確認したし…まぁ、その〈結界〉に干渉出来るようになるまで結構羽根と時間がかかったけどねぇ~。いやぁ、中々大変だったなぁ~」

「「「「「っ…!」」」」」

 

シレッと種明かしをしたハウラに踊らされていた事に気付き、死神達と平子は歯噛みした。

 

「あ~、でも気分イイから、ちょっとだけ君達に塩をあげちゃおっかなぁ…」

「「「「「「…はぁ?」」」」」」

 

何言ってんだお前?なセリフを吐いたのを訝しむ面々を無視して、ハウラはコンディシオン《トランスフェリー/転移》で、まだ回収されていない死神達と仮面の軍勢をハッチの所に送った。

 

「「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」」

 

この場に居るほぼ全員(バラガン、スターク、ハリベル以外)が困惑の極みに落とされた。

 

「ちょ、おま、はぁぁ!?」

「お前、本当に何がしたいんだよ!?」

「治療させたくないとか言って、連中回収してどうすんだよ!?」

「あ~もう、五月蝿いなぁ…藍染からの指示だもん。絶対に死なすな、あくまでも戦闘不能、或いは無力化に留めろってさぁ。因みに、そこの…えっと…あ、名前何だっけ?兎に角、最初にヤッた根暗そうなのちょっとヤバいからさ、優先的にどうにかした方がイイよ」

「「「「「「なっ…」」」」」」

「…ったく、本当にお前は…」(呆れてる)

「…なら…仕方ない…のか?」

「えっ…と…そう…なる…よな?」

「う、うん」

「藍染様からの指示を、ハウラがOKしたなら問題は無いだろう」

「ふん、ハウラと奴の契約に口を出すのは儂でもそう簡単には出来ぬ…ハウラに理不尽を強いておらぬなら構わん」

「…揃いも揃って、相変わらずだなお前等」

「ふん!」

 

藍染の指示だからとあれ程妨害や攻撃をしておいて、勝手に回収して、死なせるなと命じて来るその神経が理解出来ない死神達だったが、平子と京楽は気付いた。

 

…何処が敵に塩を送ったん?

…あの子にとって都合が良いように、1ヶ所に集めただけじゃないかな?

 

と。

確かに、回収する手間は無くなった。

しかし、これだけの人数を回復の専門職でもない、しかもたった2人でどうにかするのはキツいどころの話じゃない。

しかも、ハッチも雛森も結界は妨害されて張れない状態だ。

つまり、ハウラから丸見えの中で彼等を治療しても、その治し具合でそれも妨害或いは元の木阿弥にされる。

そして、ハウラにとってそれらの行為は、片手間で出来る作業のひとつに過ぎない。

 

これでは何時まで経っても、誰1人戦線には復帰出来ない。

 

…最悪だ、最悪過ぎる。

…これで藍染達が解放されたりでもしたらもう

 

 

ピピピ、ピピピ、ピピピピピピ…カチッ

 

 

彼等の思考を裂くように響き渡る音は、ハウラから聞こえた。

その音を聞いた破面達はバラガン以外全員、攻撃を止めた。

※流石に山本元柳斎相手に攻撃を止めるのは愚の骨頂に過ぎる。

 

「…どういうつもりだ?」

「直に解るさ」

「あ~ぁ、間に合わなかったかぁ…」

「…今のは…」

「…何の合図や?」

「焦らなくても、直ぐ解るよ…ねえ、ワンダー?」

「「「「「…わんだー?」」」」」

「…って、何や?」

「あぁ…」

「もうそんなに時間が経っていたのか」

「…何の事だい?」

「…ティエンポ・リミテ…時間切れだ」

 

誰も居ない筈の真横に話しかけるハウラを訝る死神達に応えるように、そのワンダーと呼ばれた者…ソバカス顔で、前髪に凄い寝癖が付いた少年が現れた。

 

「あぅー?…あ~…あーぁ!」

「おはよ~ワンダー。ん?東仙はドコって?アレ、あの炎の中に居るよ」

「あー!」

 

ワンダーと呼ばれた少年は、ハウラが親指で指した山本元柳斎の放った炎の壁へと突っ込んで行った。

 

「「「「「「なっ!?」」」」」」

「行ってらっしゃ~い」

 

どう見ても自殺志願者或いは破滅願望者としか思えない行動を取った少年を、誰1人として止めようとすらしない。

 

次の瞬間、それすら頭から吹き飛ぶ光景を目の当たりにした。

 

フッ…

 

「…なっ…」

「「「「「…は?」」」」」

 

炎の壁が跡形も無く消滅した。

 

「あー!」

「ご苦労、ワンダーワイス」

「って、どない寝方しとったん?凄い寝癖やわ」

「あぅー…」

「目を覚ましたか…ハウラの傍で良く眠れたな、お前は」

「あぅ~?」

「相変わらず失礼だね、DJ」

「貴様に言われたくは無い」

「じゃれ合いは其処までだよ、2人とも」

「はっ」

「フンッ!」

 

嬉々として東仙に抱き付いたワンダーワイスと呼ばれた少年を労う彼等とハウラの遣り取りに、愕然とする死神達と平子に向き直った。

 

「…流石はハウラだ。予想以上の働きぶりだよ」

「そりゃどぉも。んで?この後はどうするの?」

 

残り5人しか居ない死神達を前に藍染は暫し思考し、口を開いた。

 

 






取り敢えず此処まで。



さて、藍染はこの後ハウラに何をさせるのか…





ハウラが居る事による変更点
兎に角、死神達と仮面の軍勢が大ピンチ。
ハウラは帰刃後、コッソリと隠れていたワンダーとメノリ(お揃いの装備済み)を隣に転移して子守りをしながら、サポートやフォローをしていた。
その為、フーラーが来ない。
フーラーが来たら、オーバーキルも良いところになるのは間違い無いので、お留守番です。




戦闘可能な面子
山本元柳斎、京楽、狛村、日番谷、平子
以外に居ない…よね?多分。

…死神達にとって最悪も良いところじゃないかな?
減らし過ぎ…でも無いな。
藍染の手間がだいぶ省けたから良しとしよう。
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