願いが叶った私は心のままに飛び続けたい。   作:如月雪見

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前回、本物の空座町に到着。
王鍵創生の準備に取り掛かった。



今回、王鍵創生の準備中に…



市丸ギン

 

 

 

…今しか無い

…今を逃せばもう機会は永遠に来なくなるんや

…あの子達も居らん

…奴が1人きりの今が絶好の機会なんよ

…せやから

…ホンマにごめんなぁ

…乱菊

 

目の前で力無く仰向けに倒れた彼女をそのままに立ち去った。

 

 

 

 

 

 

「…地図によるとこの辺…ココだね」

 

地図と現場を照らし合わせて場所を特定、説明書の通りに渡された錫杖を地面に刺して暫く待った。

すると、地の底からジワジワと地脈の中に紛れている霊脈が錫杖の先端へと集まって来たのが感じられた。

 

「…う~ん、こりゃ時間のかかる作業だね」

「霊脈と錫杖が一体化するまでこのまま押さえとかないと、錫杖が弾き出されちゃうっぽいよ」

「…ならさ、もう1本の場所は解ってるから、そっちの方、私行っとくね」

「「ん、頼んだ」」

 

護衛の1人がもうひとつの霊脈へと飛んで行った。

 

「…あ、市丸があの金髪巨乳を無力化したっぽい」

「え、本当?」

「うん、市丸の霊圧しか感じられなくなったもん」

「…そのまま、藍染の所に戻ったっぽいね」

「…霊脈との一体化、まだかなぁ」

「飽きるの早過ぎだから」

「そこのお嬢さん達」

「「んぁ?」」

「え?」

 

バーコード頭のオジサンが困惑顔で声をかけて来た。

 

「…ねぇ、眠らせてるって言ってなかった?あの…卯ノ花って死神…」

(ヒソヒソ)

「…個体差ってヤツじゃない?麻酔とかへの耐性が高いとか」

(コソコソ)

「…どの道、このまま放っといたら、めんどくさい事になるよね?」

(ボソボソ)

「…取り敢えず、もっかい寝て貰おうか」

(ヒソヒソ)

「少し尋ねたい事があるんだ。私は怪しい者ではなくてね、これ、私の名刺「《スエニョ・プロフンド/熟睡》」で…あ?」

 

ドサッ…

 

「ぐぅ~…ぐぉ~…ぐかぁ~…」

「「良し」」

「念の為、《オルビド/忘却》もかけとこうか」

 

バーコードオジサンへの処置を終えて直ぐに、錫杖と霊脈の一体化も完了した。

 

「…あ、漸く固定出来たっぽい」

「じゃあ先行した私の所へ行こっか」

「「うん」」

 

 

 

その頃、完コピ3人はというと…。

 

「…ココの霊脈、とんだ暴れ馬だね」

「「ね」」

「2人がかりじゃないと抑えられないなんて…」

「もうひとつのも暴れ馬だったらどうしようも無いから、そっちに行って貰う訳にもいかないし…」

「ならさ、固定出来るまでの間、《エル・オトロ・ジョ/もう1人の私(分身体)》と一緒にこの辺の様子と目的の人間達が居ないか見て来るね」

「「任せた」」

 

2人で錫杖を押さえ込んでいる間に、もう1人が周辺の見回りに行った。

が、

 

『…あ、ありょ?』

「「どしたん?」」

『…何か、あっちこっちで寝てた筈の人間が起きて動いてるよ』

「「…はぁ?」」

『…あ、〈本体〉のとこにもバーコードオジサンが行って…あ、寝かせた。…って、う~わ、こっちにも何人か近付いて来てるよ』

「え~…どうする?」

「ん~…〈本体〉と同じく資料にあった人間以外は寝かせた方がイイ気がする」

「…だね」

『じゃあ、そうするね。あと、藍染達にも情報共有しとくね』

「「任せた」」

 

寝かし付けをしつつ、藍染達に空座町内の人間が起き出して近辺をウロウロしてる事を報告した。

 

『…その中に、資料の人間達は居るかい?』

「ん~…あ、居るね。転移させられた時は登校中だったのかな?取り敢えず《エル・オトロ・ジョ/もう1人の私(分身体)》を追加でそれぞれの所に向かわせるね…んぁ?何アレ…?」

『如何したんだい?』

「…何か、ヘンな格好のオジサンが藍染の所に向かってるっぽい。「危険な何かがこの先に居る!この町を守らねば!」…だってさ」

『…ほぅ?』

 

どうやら、藍染の好奇心が刺激されたらしい。

 

「あ、藍染から見て右の方の道路の先を資料にあった女の子…有沢竜貴…だっけ?と、えっとぉ…何かスケベ顔のウザそうな男の子…名前は…何だっけ?忘れたけど、それぞれ女の子を背負って歩いてるね」

『…ふむ…ハウラ』

「資料の人間達とヘンな格好のオジサン以外の人間達を私達でもっかい寝かせろ?」 

『理解が早くて助かるよ。どれだけ居るか解らないけど、宜しく頼むよ』

「了~解」

「「「「「錫杖終わったらね」」」」」

 

漸く錫杖と霊脈を一体化させた完コピ2人は次の霊脈へと移動した。

 

 

 

 

 

 

「「っはぁ~…」」

「疲れたぁ~」

「懸念した通り、こっちも暴れ馬だったねぇ~」

「スタークにハリベル達、〈本体〉の方ももう終わったから、起きた人間達の寝かし付けやるって連絡来たけど…この辺の人間達は既に寝かし付け終わってるんだよね…どうする?」

「ん~…ってか、錫杖まだ終わってなくない?」

「え?えっと…〈私達〉に〈本体〉が2つずつ、あとはスタークとリリネットが1つハリベル達も1つ…残り2つは…どうだろう?」

「とりあえず、藍染とこ行って確認して来る?」

「そだね。どうやら、あのオジサンと目的の人間達を1箇所に集められたみたいだけど…場所が場所だからなぁ…サポートに行ってもイイかも?」

「んじゃ、そうしよっか」

 

ノルマを熟した完コピ2人は藍染の所へと直行した。

 

 

 

 

 

完コピ2人が向かった先では、戻って来た市丸ギンが、自らの斬魄刀の卍解で藍染の胸を貫いていた。

 

「「…は?」」

 

市丸ギンが藍染に自身の卍解の真の能力を語った直後、貫かれた箇所から大きな孔が開いて、そのまま仰向けに倒れた藍染。

 

藍染の胸にあった崩玉を手に、その場から逃走した市丸ギン。

 

今イチ何を考えているのか解らなかった市丸ギンの目的が、藍染の崩玉だった事だけは理解出来た完コピ2人は他のメンツに市丸ギンの裏切りを伝えて、彼を追いかけた。

 

このまま彼を逃せば、絶対に藍染の願いを叶えられなくなるから。

 

「…その必要は無いよ、ハウラ」

「「…へ?」」

 

胸に孔が開いたまま空中に佇む藍染の背中には、虫のような翅が3対生えていた。

 

「…なっ…!?」

「…わ~ぉ」

「…第2進化…ってヤツ?」

 

更なる異形へと変化した藍染は笑みを浮かべながら市丸ギンへと語りかけた。

 

「…私の勝ちだ、ギン…お前の奪った崩玉は既に、私の中に無くとも、私のものなのだから」

 

そう告げたと同時に、市丸ギンを袈裟懸けに斬った。

そして、彼が奪った崩玉は藍染の胸へと戻った。

それでも尚、崩玉に手を伸ばした彼の右腕も藍染によって斬り落とされ、腹を貫かれた。

 

「…っ…」

「…進化には恐怖が必要だ…今のままでは、直ぐにでも滅び、消え失せてしまうという恐怖が…ありがとう、ギン」

「…かはっ…」

「君のお陰で私は終に、死神も虚も超越した存在となったのだ」

 

伝えたい事を伝えられて満足した藍染は、市丸ギンを突き飛ばした。

 

「「「…っ」」」

「市丸…っ」

「…馬鹿な事を…」

「「「「「「…あ~ぁ」」」」」」

「「…っひっ…」」

「…うわぁ…」

「な…何なんだよ…こいつ等…」

「何と非道な…!」

「…あ、まだ居たんだっけ…取り敢えず、《ポルタテ・ビエン/大人しくしてて》」

 

ギシッ…

 

「「「「うっ…!?」」」」

「「あ…!?」」

「「え…!?」」

 

藍染がどうするつもりだったかは知らないが、目的の人間達にはこれ以上逃げないように、その場で待機しているよう言い聞かせた。

 

「ギンっ!!」

 

そこへ金髪巨乳こと松本乱菊が文字通り飛んで来た。

 

「「あの女…!」」

「しぶと過ぎじゃありませんの…?」

「あの2人はもう放っておけ…それよりも…」

「「「え…?」」」

 

倒れて動かない市丸ギンに縋って泣く乱菊とは全く違う方角を睨むハリベル、スターク、ハウラ達を訝しむアパッチ達は、気配無く降りて来た男に漸く気付いた。

 

「アイツは…」

「確か、黒崎一護とかいうガキ…」

「…あんな風貌でしたっけ…?」

 

空座町(レプリカ)で見た時よりも明らかに大人びた容姿、何よりもその霊圧の変化が顕著過ぎた。

 

 

 

        だって、

 

 

 

  確かに其処に居るのは解るのに

 

 

 

        彼からは

 

 

         何

         も

         感

         じ

         な

         い

 

 

  のだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※市丸と乱菊、先行した完コピ2人のお話。

 

…乱菊

…あかんかった

…結局、乱菊の盗られたモン取り返されへんかった

…あぁ、やっぱり

…あの時、謝っといて良かった

…来たんやな、黒崎一護

…あぁ、強い眼になった

…良かった

…今のキミになら

…任せて殂

 

  ー 殂 カ セ ナ イ ヨ ? ー

 ー ド ン ナ 理 由 ガ ア ロ ウ ト 女 ノ 子 ヲ 泣 カ セ ル 最 低 野 郎 ヲ 見 逃 ス ワ ケ ナ イ デ シ ョ ? ー

ー コ ノ 件 ニ 関 シ テ 例 外 ハ 一 切 存 在 シ ナ イ ヨ 絶 対 ニ ー

 

…な、なんや、このこえ、は

 

「《エル・エスタトゥ・クオ/現状維持》…松本っていったっけ?ちょっと質問イイ?」

「…っ…何…よ…」

 

涙でボロボロの顔で睨み付ける乱菊に、肩を竦めながら言い放った。

 

「ソイツさ、そのまま死なす?それとも生かす?どっちがイイ?」

「…え?」

「…5…4…3…2…い「死なせないわよ!」おおっとぉ?」

「私の質問に答えないで逃げたのよこいつは!ちゃんと答えるまで死ぬなんて許さない!」

「…OK。なら、やりますか」

「ん~」

「え…」

「「取り敢えず《アネステシア・ヘネラル/全身麻酔》」」

「「で《トランスフォルマシオン/形状変化》《アビタスィオン・エステリル/無菌室》」」

(四方に羽根を放り投げながら)

「「…さて、《スィルヒア/手術》を始めようか」」

(2人とも髪が勝手に纏め上げられ、マスクとゴム手袋が装着された状態になった)

「え…!?」

「「《エモスタシア/止血》《エクストラシオン・デ・クエルポス・エクストラーニョス/異物除去》《デシンフェクシオン/消毒》《プリメロス・アウシリオス/応急処置》《エマトポジェシス/造血》《フォルマシオン・デ・サングレ/増血》…」」

「「続いて《トランスフォルマシオン/形状変化》」」

「《セールラ・ネルビオサ/神経細胞》」

「《セールラ・オセア/骨細胞》」

「《フィブラ・ムスクラール/筋繊維》」

「《テヒド・クタネオ/皮膚組織》」

「「《ストゥラ(ブラソ)/縫合(腕)》」」

「「《ストゥラ(アブドメン)/縫合(腹部)》」」

「「《ストゥラ(デスデ・エル・オンブロ・イスキエルド・アスタ・ラ・スィントゥラ・デレチャ)/縫合(左肩から右腰にかけて)》」」

「「《トタルメンテ・コネクタド/全結合》《レクペラシオン・トタル/完治》…」」

「「そして《トランスフォルマシオン/形状変化》」」

「《ゴテオ(スエロ・フィシオロヒコ)/点滴(生理食塩水)》」

「《ゴテオ(グルコサ)/点滴(ブドウ糖)》」

「「…ふ~っ…」」

 

完コピ2人がかりで市丸ギンの傷を治した。

 

「「…っあ~…疲れた」」

 

補給にと片方は巨大オムライスを、もう片方は鍋ごとパエリアを取り出して頬張り出した。

 

「…何で?何で貴女達が…」

「んぁ?…別に。ソイツは私達にとって裏切り者だけどさ」

「その結果、惣右介の更なる進化の一助になったからね」

「敢えて言えばそのご褒美?それと…」

「「アンタが大泣きしたから」」

「え…」

 

困惑を深めた乱菊に、今度はクラムチャウダーとミネストローネを取り出した2人は少し悩んでから再び口を開いた。

 

「う~ん…私達の判断基準の話なんだけどさ」

「私達は勿論、他の誰かからもどうでもイイって思われてる存在なら基本的にそのまま放置するよ。死のうが誰かに喰われようが知ったこっちゃナイ」

「…まぁ、ソイツが私達の嫌いな事をしたり、逆鱗に触れたりすれば話は別だけどね」

「とにかく、敵だろうが味方だろうが、誰からも必要とされないヤツはどうなろうと心底ドーデモイイ」

「…けど、誰かから…それこそたった1人からでも必要とされるヤツは出来る限り死なせない」

 

   ー ソ レ ダ ケ ダ ヨ ー

 

そう言い切って小首を傾げる2人から嘘は全く感じ取れない。

 

…だとしても

 

「…こんな事をしてアンタ達は」

「誰が怒るの?」

「もうココには誰も居ないのに?」

「え…」

 

2人に言われて漸く周囲を見渡したが、確かに誰も居ない。

破面達の霊圧が遠くに感じ取れただけ。

その方角から何かを破壊する音と震動が伝わって来たのを、何とか認識出来た。

恐らく、其処で藍染と一護が戦っているのだろう。

 

「市丸ギンがどうなろうと、もう誰も気にしないよ」

「だって、真の役者は既に揃ったから」

「最後の幕は既に上がってるよ」

「…まぁ、結末がどうなろうと」

「「惣右介の願いは必ず叶うから」」

 

自信満々の笑みを浮かべて2人は言い放った。

 






今度は市丸ギンと藍染の遣り取りをどうするかで悩みました。
一護の友人達とドン観音寺を確実に生かす以上、藍染の斬魄刀をどうやって出させようかなと。

※本文には書かなかった遣り取り↓
友人達とドン観音寺を一纏めにしてから、〈鏡花水月〉で自発的に外に出て貰う予定だったが、彼等を集めたところにギンは抜刀した状態で戻って来た。
斬魄刀を出している藍染に(表面上は慌てて)刀を掴んで何をするつもりか問い質した。
藍染の目論見を聞いて、早とちりだったとひと息吐いた。(勿論、演技)
その間に彼等は逃亡を図り、それを見たギンは謝りながら神殺鎗で藍染に攻撃。
完コピ2人が見たのはこの場面から。

それと、市丸を原作通りに死なせるかそれとも…と。
あれこれ悩んだ末、ワンダーワイスの為に予定には一切無かった東仙を孵化(蘇生)する事にしたのだから、市丸ギンも生かす方向に決定しました。



次回、いよいよ藍染惣右介VS黒崎一護…。
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