前回、藍染敗北。
浦原喜助に捕まる前に、空座町(レプリカ)でされた妨害行為への報復と時間稼ぎをした上でトンズラかましたハウラと藍染達。
今回、虚夜宮に帰って来たハウラ達は?
「「「「「「たっだいまぁ~!!」」」」」」
「「「お帰りなさい(でヤンス)」」」
ハウラ達は、姫達と死神達をおもてなししているネリエルの自宮に直通で帰って来た。
「…さっきの連絡、本当なの?」
「あの藍染様があの少年に敗北したと聞いたが…」
「ホントだよ~」
ハウラはあっけらかんと答えた。
「いやぁ~…私達の予想を遥かに上回る進化を見せ付けられちゃってさぁ~…ね?メノリ」
「う、うん…」
「超越者になった藍染を真っ二つだよ?真っ二つ!」
「「「なっ…」」」
「「何…だと…」」
「「あ、あの藍染を…!?」」
「…へぇ?」
「…って事は…?」
「もう私達がお宅等と戦う理由は無くなったって事だね!で、私達が通って来たこの黒腔を使えば尸魂界に帰れるよ」
ハウラ達の遣り取りを見ていた茶渡達と死神達は、藍染が黒崎一護によって倒され、戦う理由を無くしたハウラ達は撤退して来たと判断した。
グゥ~キュルルルル、グコグコグゥ~×6
「「「「「「…ヤバい…そろそろ限界来そう…」」」」」」
「…取り敢えず、あの迷路の余った料理とお菓子、持って来て貰ったからそれ食べてて。追加で何か作るから」
「「「「「さっすがネリエル!ありがとぉ~!!」」」」」
「私はメノリを部屋で休ませてから食べるから残しといてちょ…(クラッ)…とと」
「ちょ、私は良いから何か食べなってば」
「でもムグッ!?」
(バナナクレープを口に突っ込まれた)
「お腹空き過ぎてフラフラなんだから、自宮に戻る前に何処かで倒れちゃうかもでしょ!?だから食べるのが先!良いわね!?」
「ムグムグ…ゴクッ…は~い」
「解ったなら良し。はい、クロワッサン」
「あ~ん…モグモグ」
「「「「「あ、ズルイ!私にもあ~んして!」」」」」
「アンタ達は自分で食べられるでしょ?」
「「「「「ちぇ~」」」」」
「ふふ~ん」
「アンタは挑発しないの!」
「ぶ~」
本当に限界だったらしいハウラ(完コピ)達は競い合うように料理とお菓子を食べ始めた。
本体もメノリに言われて食べる事にした。
「…ど、どうするんすか?朽木隊長、更木隊長」
「…藍染は斃れ、此奴等は既に戦意を喪失していると判断し、我等も尸魂界に戻るとする」
「…しゃあねぇな…ったく、ようやくウルキオラと対等以上に遣り合える連中が戻って来たと思ったのによぉ…」
グリムジョーよりも強く、ウルキオラと対等以上に戦える彼等と戦いたかった更木剣八だったが、目の前で料理とお菓子を貪るハウラ達にやる気を殺がれ、明らかに消耗している他の破面達とでは満足のいく戦いは無理と判断したらしく、大人しく帰る事にしたらしい。
「これ、本当に貰っちゃっても良いの?」
「い~のい~の!色々不便な思いさせちゃったお詫びと、ウルキオラの手当てをしてくれたお礼なんだからさ!」
「そうそう!」
「そっちで有効活用しちゃって!」
「あ、ありがとうハウラちゃん達」
「「………」」
虚夜宮に連れて来られた時に来ていた制服は兎も角、ハウラの自宮で使用したパジャマやお風呂セット、そして、ハウラに作って貰った料理やお菓子のレシピ集を護衛をしていた劣化コピー3体から受け取った織姫。
要警戒対象であるハウラが6体も増えて戦慄したものの、織姫が本当に予想以上の好待遇を受けていたのを改めて目の当たりにして、とても複雑な心境の茶渡達。
「…マユリ様のお口に合えば良いのですが…」
「大丈夫大丈夫!あの迷路で素直に食べてたんだからさ!」
ザエルアポロのジャンク部屋から回収され、簀巻きで謎の液体着けにされている涅マユリ(斬魄刀取り上げられて十数種類の麻痺毒でおねんね中)を救出しようとしたが、液体の効果を教えられ、その液体の原液を渡されて断念したネム(手にはサンマのレシピ集と、実際に教えて貰いながら作った料理のパックが詰まった段ボール箱が)。
「あ、あの…あの迷路からいただいたこの写真とかぬいぐるみなんですが…」
「んぁ?い~よい~よ持ってって。あ、でもその紙袋じゃ破れるかも…ハイ、トートバッグ」
「あ、ありがとうございます」
「白玉団子とキュウリの漬物をそれぞれ真空パックしたヤツなんだけど、良かったら食べてよ」
「あ、有難いが…良いのか?」
「本体と完コピ達の分はしっかり確保してあるから、遠慮なく貰ってよ!ね?」
「な、ならば有難く…ありがとう」
「ね~ね~、あのお菓子はもうないの~?」
「あのお菓子…えっと…どれの事?いっぱい食べてたから解んないよ…」
「え~っとねぇ~…ナシが丸ごと入ったケーキ!」
「…あぁ、あれね。残念だけど、もう無いよ」
「えぇ~!?」
「丸ごと梨のゼリーならあるけど」
「それでもいいよ!食べたい!」
「んじゃ、包むからちょっと待っててね」
「は~い!!」
「ねぇねぇ、そこの赤毛君」
「…阿散井恋次だっつってんだろ…何だよ?」
「ドルドーニの所で漉し餡入りの鯛焼き食べてたよね?粒餡とカスタードクリームのもあるけど良かったら持ってく?」
「え?あ、え~っと…?」
「2、3個ならイイよって本体からも許可出たし…どう?」
「…し、仕方ねぇな。そこまで言うなら…」
「んじゃ、はい」
「お、おぅ悪ぃな」
「「「「………」」」」(呆れ&困惑)
妙に羽振りの良いハウラ達から虎徹勇音とルキア、そしてやちるに恋次までもが迷路での戦利品やお土産を貰った。
「「「「「「「「「んじゃ、バイバ~イ!」」」」」」」」」
「井上織姫、今回の借りはあのトマトと茄子で必ず返す。その日まで待っていろ」
「うん!楽しみにしてるね!」
「「「「「え…?」」」」」
「い、井上さん…?」
「いつの間にそんな約束をしたんだ…?」
双方に更なる困惑を残しながら、死神達は織姫達を連れて尸魂界へと帰って行った。
「「「「「さてと…」」」」」
「もうい~よ惣右介」
「…ふぅ…1番厄介な更木剣八と草鹿やちるに勘付かれずに済んで何よりだ」
「だね~」
ハウラが所持していた〈破面と虚しか認識出来ない装置〉を全て外しながら藍染はひと息吐いた。
「ハウラの色々と端折ったあの説明で誤魔化せるとは思って無かったけどな」
「言った事に間違いは一切無いからね。何か言われる筋合いは無いもん」
「「「「「ね~?」」」」」
多少は持ち直したハウラ達の相槌を打ち合う姿は、真相を知っている面々の表情を複雑にさせるのに十分過ぎた。
「それはさておき、この後はどうすんの?惣右介」
「…そうだね。皆疲れているから一時解散としたいところだが…その前に今後の事を周知しておこうか。皆を何時もの会場に集めてくれないか、ルドボーン」
「はっ!」
1時間後、会場にて。
侵攻前とは明らかに変わった藍染を前に、困惑した様子の皆に藍染は何があったのかを説明した。
ハウラがコッソリ所持していた記録装置を使って。
「流石はハウラだね。おかげで皆の理解を深く得られたよ」
「惣右介が良く言ってるじゃんか。百聞は一見に如かずだって」
満足げに笑い合う2人に顔を引き攣らせる面々は、再生された映像に言葉を失った。
元々、この虚夜宮で誰も敵わない藍染が更なる力を得た事もだが、そんな彼をたかが十数年生きただけの少年が真っ二つにした挙げ句、目的のひとつである王鍵の創生を阻んだ事実に戦慄を覚えるのも仕方ない事だろう。
「あ、因みに黒崎一護はもう2度とこの超越者パワーは出せないってさ。何でも《使えるのは一度きり、その代わりに何者にも負けない、凄まじい威力を持つ一撃を放つ事が出来る》らしいよ。まぁ、見りゃ解るだろうけど」
「「「「「………っ」」」」」
ハウラの補足説明で黒崎一護が脅威では無くなった事にホッとする者が多い中、挑めなくて残念がる者や、超越者となった藍染への戦意を失わない、それどころか更なる対抗心を燃やす者も一定数居るのは流石と言うべきか。
「…今回、王鍵の創生を阻まれてしまったが、最低限の目的は達成した。崩玉との完全なる融合をね」
「「「「「…!!」」」」」
「王鍵の創生に関しては追々検討するとして…今後の方針を伝えておこう」
近い未来に確実に訪れる〈世界の終焉〉を阻止すべく、虚夜宮そのものは勿論の事、住人である破面達の超強化計画を。
「「「「「マジかよ…」」」」」
「「「「冗談じゃねぇぞ…」」」」
藍染の予言に顔を顰める破面達を満足げに見遣った藍染は言葉を続けた。
「…皆、思いはひとつになったようで何よりだ。今後、個体差を考慮しての強化計画を各々に与える予定を立てている。完璧に熟せとは言わないよ。あくまで参考にして、より良い強化を図ってくれればという話だからね」
「「「「「はっ!!」」」」」
今度こそ冗談抜きで己の命が掛かった壮大なプロジェクトに、皆気を引き締めた返事を返した。
「私からは以上だ。他に何か伝えたい事はあるかな?」
「あ、ハイハ~イ!」
元気良く手を上げたハウラに皆顔を引き攣らせた。
…今度は何を言い出すんだ?
と。
「メノリの体調が戻るのと、自宮の食材補充にかかる時間を考えると…大体1週間後くらい?に打ち上げ?お疲れ様会?しようと思うんだよね。で、食べたい料理やスイーツがある人はこのリクエスト表に名前と食べたいモノ書いてウチのポストに入れるか私に提出してちょ。当日それ作っておもてなしするからさ」
早い話がハウラ主催のお食事会への招待がしたいらしい。
その時の気分で突然言い出す無茶振りが脳裏を過ったものの、ハウラの手料理は彼女が十刃入りしてから殆ど口に出来ていないのも事実である。
散々迷った挙げ句、食欲を抑えられなかった者達は欲望のままにリクエスト表に記載、言われた通りポストに投函した。
「ふむふむ…」
「大丈夫なの?」
「うん。どれも作った事のあるモノばかりだし。…コレとコレは現世で見て興味が湧いたのかな?まだ作った事無いけど作り方は知ってるし道具もあるし…うん、イケるイケる」
数日後、無事に心身共に回復したメノリと共に、投函されたリクエスト表の束を見ながら当日のメニューを決めた。
取り敢えず此処まで。
藍染と死神達がエンカウントしない為に細工をして、空座町(レプリカ・本物両方)で何があったのかの報告会、そして近々打ち上げをする事をみんなにお知らせした。
胃袋を鷲掴みされている面々は、しっかりと網にかかったようだ。
次回、打ち上げの参加者達とハウラとその他。
※ウルキオラVS更木剣八について
ネリエル、ウルキオラ、ハリベル、バラガン、スタークそしてハウラは虚夜宮内で帰刃するのを固く禁じられている為、ウルキオラは再び虚夜宮の外へと更木剣八を連れ出し、そこで戦闘を開始。
感情と思考が読みにくいウルキオラの猛攻に順応し始めた剣八を見て直ぐさま帰刃したが、それも徐々に「慣れて来た」と防御、反撃された為、奥の手の《刀剣解放・第二階層》をして漸く有利になった。
それでも剣八の左腕を斬り落とそうとして失敗、左腕に深い切り傷を2、3負わせるだけに留まった。
危機感を感じた剣八、山本元柳斎から教わった剣道《両手持ちの一刀両断》でウルキオラの左腕と左翼を斬り落とす事に成功。
直ぐさま超速再生して反撃、両手持ちの斬撃でも倒れないウルキオラに大歓喜した剣八、その興奮に彼の斬魄刀が応え、《始界・野晒》を発現、流石のウルキオラも動揺し、この一撃には耐え切れず袈裟懸け斬りを受けて敗北。
画面越しに様子を窺っていたネリエル達、治療を申し出た織姫を連れて現場に直行、治療を受けた事でウルキオラは命拾いした。
やっぱり、更木剣八は最強である。