願いが叶った私は心のままに飛び続けたい。   作:如月雪見

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当時十刃だった彼等との初対面を考えてみた結果。



ツインドリルとオレンジアフロ、そして黒髭ダンサー

 

 

その日、朝から私の機嫌は最悪だった。

 

「…夜中だけって言ったのに…藍染のウソつき〜!」

「仕方ないよ、予定がずれちゃったんだから。昼には止むらしいし。ね?」

「むぅ〜…」

 

此処、虚夜宮にも天気を導入出来るかどうかの実験を昨夜行うという通達があった。

しかし、雨を降らす装置の予約時間の設定を間違えて早朝から昼にかけての実験になってしまった。

その所為で日課の早朝飛行が出来なかったのである。

 

…藍染のバカ!ウソつき!

 

脳内で罵倒しまくりながら(しっかり声に出てる)ヤケ食いする私を宥めるメノリの前に、ツインドリルの派手な娘がやって来た。

 

「アンタがハウラ=リベラシオン?」

「んあ?」

 

パクッ、モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ

 

「…さっさと飲みなさいよ」

「…ゴクン…咀嚼はしっかりしないとノド詰まるじゃんか。で、何か用?てか誰さ?」

「…っ…はぁ〜…チルッチ=サンダーウィッチよ」

「チルチルね、了解」

「ハウラ!」

「変なあだ名、勝手に付けないでくれない?」

「ごめんなさい!この子今凄く機嫌が悪くて、八つ当たりしているんです!」(ハウラの頭を押さえつけながら)

「痛い痛い痛い!」

「…メノリだっけ?アンタも大変ねぇ。こんなののお守りしなきゃだなんて」

「あ、あはは…」

「で?何の用なのさ」

「あぁ、この雨ね、今日1日中らしいわよ」

「…は?」(物凄い低音)

「え…?」

「装置の配線に異常があったらしくて緊急停止ボタン?ってのが押せなくて、用意してた雨用の水全部使い切らないと止まらない…って、何処行くのよ?」

「藍染達をシバキに行って来る(藍染達にどういう事か聞いて来る)」

「本音出てるわよ」

「お願いだから待ってハウラ!」

「ヤダ!いくらメノリのお願いでも聞けない!」

「…毎日毎日空ばっかり飛んで、飽きないの?」

「全然!」

「即答…ねぇハウラ」

「何さ?」

「藍染様方をシバいたら本当に1日中降るわよ雨が」

「うー…」

「高さに上限はあるけど、飛行テクを鍛えられるアスレ体験してみない?」

「…アスレ?」

 

空が飛べない以上、ヒマだからとチルッチの誘いにのる事にした。

 

「…はー…色違うけどメノスの森みたい」

「…部屋の全景が良く解らない…」

「どう?此処で飛ぶのも中々スリリングだと思うけど?」

 

案内されたのはチルッチ愛用の鍛錬場で、高さも太さも違う赤い丸太が不規則に設置されているらしい。

時々、その位置もランダムで変更するから、下級破面ならただ歩くだけでも苦労するシロモノなのだとか。

 

「…折角来たし、試してみるか」

 

早速飛んでみた。

 

 

 

 

 

「ヤッフゥー!」

 

結果、中々楽しい場所だと認識した。

動く丸太はゲームに出て来るトレントみたいで面白い。

突然変わる丸太間の幅をやり過ごすのも、良い運動になる。

 

 

 

チルッチSide

 

「…ねぇ、何でアイツ初見であそこまで飛べるのよ?」

「…え、何でと言われても…出来るからとしか答えようがないです」

「…あぁそう…まぁ、これで藍染様からの命令は完遂出来そうね」

「藍染様から?」

「そ、ハウラは絶対不機嫌だから、何か気を紛らわせて襲撃させないようにしてくれって。まぁ、早い話が時間稼ぎね」

「な、成程…」

「2人して何の話してんのさ」

「「キャァッ!?」」

 

たった今、かなりのスピードで空中旋回しまくってた筈のハウラが目の前に立っていた。

ジト目で。

 

…あのスピードに機動力、そして響転

…ついでにこの細い身体からは想像出来ない怪力に霊圧の精密な制御

…今、この時も私だけに威圧の霊圧を掛けてる

…藍染様が十刃に入れたがる気持ちも解らなくもないわ

 

「い、いきなり降りて来ないでよハウラ!驚いたわよ」

「メノリが困ってるっぽいから助けに来た」

「えぇ?困ってないよ?ハウラの飛行技術が凄いって話してただけだから」

「…本当に?なら良いけど」

 

グゥーキュルルルルグルグルグルグゥーキュルルルル

 

「…随分五月蝿いお腹ね」

「…ちょっと早いけど、ご飯行こうか?」

「行く!パンケーキ食べる!」

 

私に掛けていた霊圧は一瞬で霧散した。

 

チルッチSide終了

 

 

 

台所に行ったら、オレンジアフロのオッサンが焦げ臭いフライパンを握りしめて項垂れていた。

 

「何故だ…何故上手くいかないんだ…?」

 

オッサンの独り言をスルーしてパンケーキの材料を引っ張り出して計量して、先ずは小麦粉その他をふるいにかける。

 

…今回はチルッチの分も含めて作るからちょっと多目にしよっと

 

粉の準備が終わったら残りの材料を別のボウルで混ぜて粉と合わせる。

 

「…パンケーキにヨーグルト?」

「コレ入れるとフワモチ食感のが出来るからね」

「ふ〜ん?」

「…パンケーキだと?」

「んあ?」

 

振り向いたらオレンジのオッサンが超至近距離に迫っていた。

 

「…っ!?」

 

パァァァァン!!「ぐはぁっ!?」(平手打ちかました)

ギュルルルル…ドンガラガッシャーン!!ゴッ!!ドサッ

(勢い良く吹っ飛んで色んな物にぶつかりながら壁に激突して気絶)

 

シーーーーン…

 

「え?…何コイツ?」

「ちょ、ハウラ!」

「幾ら驚いたからって、平手打ちはないんじゃない?ってか、ただの平手打ちであんな吹っ飛び方する?白目剥いて気絶してるし」

「あ、あぅ…」

 

取り敢えず、オレンジアフロを楽な姿勢に直した。

平手打ちで腫れた頬は濡れタオルで冷やして。

 

 

 

 

 

 

「…はっ!…っ痛!俺は一体…?」

「あ、起きた」

「だ、大丈夫ですか?」

「…此処は…そうだ、俺はパンケーキを作ろうとして…それで…」

「そうそう、私が同じの作ってるの知って、思いっ切り詰め寄って来たから、驚いて引っ叩いたら物凄い勢いですっ飛んでった結果、そのまま気絶しちゃったんだよ」

「何、あっけらかんと言ってるのハウラ!」

「じ、事実じゃんか…」

「…本当に何でアンタは十刃にならないんだ…」

「…何か言った?」

「…何でもねぇ…っと、俺のパンケーキは?」

「真っ黒焦げでどうしようもなかったから捨てたよ。んで、引っ叩いちゃったお詫びにはい、あげる」

「い、良いのか?」

「いらないなら私が食べるだけだし」

「もぐもぐ…う、美味い!フワフワだけど食感はモチッとしてて食い甲斐がある!」

「気に入ったみたいで何より…モグモグ…う〜ん…もちょっと甘くしても良かったかなぁ…」

「そう?私はこのくらいが丁度良いけど」

「うん、蜂蜜かけたら丁度良いよ」

「そぅ?なら良いや」

 

オレンジアフロことガンテンバイン・モスケーダが食べ終わったところで、また詰め寄られたくないからと、基本のパンケーキレシピとフワモチバージョンの両方を渡した。

 

 

 

 

 

 

お昼を過ぎても、外は変わらず雨のまま。

やっぱり、藍染達に抗議しに行こうと実験室へと向かっていたら、袖と袴にフリンジが付いてて、特徴的な髭面のオッサンが話しかけて来た。

 

「そこのお嬢さん方、藍染殿から連絡だ。装置の修理が先程終わったから、あと1時間もしないうちに雨は止むそうだ」

「え…」

「チッ…命拾いしたなあの野郎共」(ボソッ)

「良かったじゃない。これで空飛べるんだし」

「むぅ…」

 

ただ私達に連絡して来ただけらしいオッサンは、そのまま踵を返して元来た道を歩いて行くのを何となく追いかけてみた。

 

 

 

「………」スタスタスタ

「………」スタスタスタ

「…ハ、ハウラ?」スタスタスタ(困惑)

 

「………………」スタスタスタ(後ろが気になる)

「………………」スタスタスタ(表情に変化なし)

「ちょっと、ねぇ…」スタスタスタ(無反応に困ってる)

 

「……………………」スタスタスタ(眉間にシワ)

「……………………」スタスタスタ(変化なし)

「……………………」スタスタスタ(凄く気まずそう)

 

「………………………っ!」スタスタスタ(限界)

ダッ!(逃走開始)

「あ!」ヒョイッ(メノリを担ぎ上げる)

「きゃぁっ!?」(行動の変化について行けない)

ダッ!

 

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダドカッ!「ぐぁっ!?」ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダドンッ!「うぉあっ!?」ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!

 

「えぇい!君は何時まで付いて来るつもりなんだね!?」

「え?えっとぉ…オッサンが止まるまで?」

「〜〜〜〜〜っ」(ハウラに抱き着いて涙目)

「…ならば!」ピタァッ!

「おっと!」ピタァッ!

「…ぷはぁっ、「はぁっ、はぁっ、はぁ〜…」」

(揃って息切れ&汗だく)

「大丈夫?メノリ」

(かなりの距離を全力疾走した筈なのにケロッとしてる)

「…誰の所為だと思ってるのよ!?」

「ごめん、つい…」

「ついじゃないでしょ!?大体、あんたは鳥でしょ!?何で犬みたいにこの人追いかけたのよ!?」

「いや、雨止むまで中途半端な時間だから、何か暇つぶし出来ないかなぁって思って…」

「こ、この吾輩をそんな理由で追いかけ回すとは…!」

「あれ?…そう言えば、途中で何かと2回くらいぶつかったような…?」

「え?そうなの?途中から目を瞑っていたから気付かなかったわ」

「全く!…ん?どうやら雨が止んだようだぞ。これでもう吾輩に用は「イィヤッホーーーイ!!」台詞を遮るなぁーーー!!最後まで聞けーーー!!」

「本当にすみませんでした!!後でしっかり叱っておくので!!」

「…はぁ、はぁ、はぁ…苦労しているな、君も」

「…昔からですから」

 

困ったような、でも何処か嬉しげな表情で一礼してメノリはハウラの後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

この後、思う存分空を堪能した私に待っていたのは、メノリによる私の今日1日の行動に対する(正座での)長〜いお説教だった。

 






ハウラから見た3人
チルッチ→それなりに楽しい場所を教えてくれた。メノリに何もしなければ仲良く出来そう。
ガンテンバイン→初対面で顔面ドアップはダメだと思う。あげたレシピで美味しいの作れたかな?
ドルドーニ→何となく追いかけちゃったオッサン。そう言えば、名前聞いてなかったな。黒髭の…ダンサーっぽい服着てたから黒髭ダンサーで良いか。

3人から見たハウラ
チルッチ→あの細身からは想像出来ない実力の高さに慄いている。メノリは彼女の弱点ではなく逆鱗と確信。危険の及ばない範囲で付き合うべきと判断してる。
ガンテンバイン→パンケーキ(平手打ち)で知り合い、台所仲間兼スイーツ仲間の一員に加わる。出会いがどうあれ、そこそこ仲は良い方だと思っている。
ドルドーニ→藍染からの連絡を告げただけなのに、何故か追いかけ回された。しかも、うっかり名前を名乗らなかった為、黒髭ダンサーと呼ばれてそこで漸く名乗った。が、フルネームが長いと文句を言われた。余り関わりたくないと思っている。




ドルドーニとの追いかけっこ中にぶつかったのは…?
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