願いが叶った私は心のままに飛び続けたい。   作:如月雪見

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ぶつかったもう1人は…



*まだ彼は十刃になっていないし、藍染達も離反していません。




空色ヤンキー+αと鬼ごっこ

 

 

今の私は超ご機嫌である。

何せ、今夜から使用可能の大浴場(女用)で、思いっ切り身体を伸ばして久し振りの湯船に身を預けているのだから。

 

「いや〜、やっぱり湯船にしっかり浸かってこそだよね〜。シャワーじゃ味気なかったからなぁ…はぁ〜…生き返る〜」

「年寄りくさいよ、ハウラ」

「ってか、虚がその台詞言うってどうなの?」

「うるさいなぁ…お風呂ってのは心の洗濯の場って言うでしょ〜?」

「どさくさ紛れに胸つつかないでよ。圧し折るわよ?」

(ギリギリギリ)

「痛い痛い痛い!」

「セクハラするハウラが悪い」

「えぅ〜…私の触ってもイイよ?」

「いらないわよ…ふぅ〜、これ以上入ってたら逆上せるからもう行くわ。じゃあね」

「バイバ〜イ」

「お疲れ様」

 

チルッチが出て行ったのを見送った後、うっかり寝そうになり、メノリに言われてお風呂を出た。

欠伸をしながら部屋に戻ろうと、角を曲がったところで誰かに声をかけられた。

 

「おい」

「んぁ?…っ!」

「コイツが世話「空色だあ!」…あ?」

「メノリ、空色だよ!しかも染めてない地毛だぁ!初めて見た!凄〜い!」

(一瞬で超至近距離に来て頭めっちゃ触ってる)

「テメッ!何しやがっ!…離せ!」

(身長差約30センチ、無理矢理お辞儀させられてる上に頭グシャグシャ)

「おっと」

「ちょ、ハウラ!お願いだから落ち着いて!」

「あ、ごめん…えっと…誰?」

「…グリムジョー・ジャガージャックだ」

(グシャグシャにされた髪を直しながら)

「シャウロン・クーファン」

「イールフォルト・グランツ」

「エドラド・リオネス」

「…ナキーム・グリンディーナ」

「ディ・ロイ・リンカーだ、よくもやってくれたな鳥女!」

「ほぇ?」

「忘れたとは言わせねぇぜ!この間オレを跳ね飛ばしやがって!」

「…何の事?」

「しらばっくれんじゃねぇぞ!」

「…多分、ドルドーニを追いかけた時にぶつかったもう1人の方じゃない?」

「…あー、あの時のかぁ…誰にぶつかったのか解らなかったからなぁ…わざわざ名乗り上げて来るなんて、執念深いなぁ」

「ッテメ「ハウラ!加害者のクセに何て事言うの!被害者が謝罪を要求して来たんだからちゃんと謝りなさい!故意じゃなかったとしても迷惑かけたなら謝るものでしょ!」…お、おぉ」

「あ、あぅ…ごめんなさい」

 

メノリの剣幕に怒られたハウラだけでなく、ディ・ロイも狼狽えてる。

 

「私に謝ってどうするのよ!うちのハウラがご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありませんでした!」

「ごめんなさい」

 

ここまでの遣り取りで、グリムジョー達も多分に漏れず、2人の力関係を理解した。

 

「…で?用件は?謝罪だけじゃなくてお詫びの品でも要求に来たの?」

「いや」

「シュー生地は焼けてるだろうけど、しっかり冷まさなきゃたがら完成は明日まで待たなきゃだよ」

「何の話だ。違ぇ」

「じゃ何?」

「お前、あのガンテンバインを平手打ち一発で気絶させたってな。シャウロンから聞いたぜ」

「え?あの時いたの?」

「あぁ、この目でしっかりと見た」

「え〜っと、それで?…まさか、平手打ちくらいたいとかじゃないよね?」(後退り)

「違え!テメェの実力を見せろっつってんだ!」

「ヤダ」

「あぁ!?」

「お風呂入ってスッキリしたから後は寝るだけなの。汚れる事はしたくない!」(キリッ!)

「…チッ!なら明日の昼前ならどうだ?」

「…ん〜、まぁその時間なら…どうだっけ?」

「午前中は特に予定は無いよ。お昼からネリエル達とミートパイ作る約束してるけど」

「ならイイかな?場所は?」

「時間になったら迎えに行く。ウロチョロしねぇで部屋に居ろ」

「む〜…うん、解った」

 

とりあえずその場は解散、部屋に戻ってさっさと寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、シュークリームの仕上げをして、朝ご飯食べた後は言われた通り部屋でゴロゴロしていた。

彼等は言った通りの時間に迎えに来た。

 

連れてかれた場所は、一度も行った事のない第3鍛錬所?とかいう所だった。

 

「…で、私の実力が見たいとか言ってたけど…どうすればイイの?」

「簡単だ…俺と戦えば良いんだよ!」

 

ヒュッ、パシッ、ギュッ

(受け止めた拳をしっかり掴んで離さない)

 

「なっ」

「…あのさぁ、いきなり激しい運動は良くないからさ、まずはラジオ体操して、身体温める為に鬼ごっこしない?」

「「「「「「はぁ?」」」」」」

「ホラホラ、ぶつからないように広がって広がって」

「「「「「「えぇ…」」」」」」

 

彼等は思わず何なんだよコイツ…と言う視線をメノリに向けた。

 

「…もうこの子の中では決定事項なんで、諦めて付き合ってあげて下さい…お願いします」

 

彼等も確信した。

噂通り、彼女は苦労人だと。

 

腹立たしいが、機嫌を損ねて折角の機会を逃さない為にも、今はハウラの言う通りにした。

 

 

 

「…んー!やっぱりラジオ体操はイイねー!身体がスッキリして気持ちイイー!」

「「「「「「………」」」」」」

 

確かに身体が良い感じに解れたが、当然ながら感情は別である。

 

「んじゃ、鬼ごっこしよっか。面白いモノ手に入れたんだよね〜」

 

そう言ってショルダーバッグから取り出したのは『九番隊隊長・東仙要』としっかり名前の書かれた箱で、(多分、生真面目な彼は此処でも仕事をしようと持参したのだろう)中は筆記用具以外にも恐らく重要書類とかに使うだろう判子がたくさんインクと共に入っていた。

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

「どれ使おうかなぁ〜?」

「ハウラーーー!!」

「今すぐ元の場所に戻して来い!!」

「えー?」

 

全員で説得する事十数分、ブーブー文句を言いながらハウラは戻しに行った。

 

「「「「「…はぁ〜…」」」」」

「…自由過ぎんだろアイツ…」

「…本当にすみません…にしても、いつの間に東仙統括官の部屋に行ったのよあの子…」

「ただいま〜!戻して来たよ〜!代わりに藍染からコレ貰ったー!」

 

戻って来たハウラの手にはタイマー2つと紐が10本程。

東仙の執務室に行こうとして藍染と遭遇、勝手に部屋に入って勝手に私有物を持って行ったのを黙っている代わりに、今夜揚げ出汁豆腐(紅葉おろし付き)を作る約束をして来たと意気揚々と話すハウラに更に頭を抱えた。

 

…どさくさ紛れにテメェの食いてえモン注文してんじゃねぇぞ藍染

…ってか藍染、コイツ好き勝手させ過ぎじゃね?ちょっとは諌めろよな

…そろそろ東仙が憤死してもおかしくないのでは?

…ってか、よく一緒にいられるな?逆に尊敬するわ

…昔からこういう子なんでもう慣れました

…マジ?やっぱすげぇわアンタ

 

思わず目と目で会話してしまったグリムジョー達とメノリに首を傾げるハウラ。

 

「どしたの?」

「何でもねぇ…さっさと鬼ごっこ始めんぞ」

「うん!ルール決めよっか!」

 

鬼はハウラから。

見学のメノリが持つタイマーが鳴り次第、鬼ごっこはスタート。

藍染から貰った紐をそれぞれ頭や腕に巻いて、ソレを取られたら負け。

ハウラも同じ紐を巻いての鬼役だから、全員が紐を取られる前に、ハウラのを取ったら再びハウラが鬼役となる。

逆に全員から紐を取ったらハウラの勝ちで最初に紐を取られたのが鬼役となる。

 

タイマーが鳴り響いた。

 

…ピピピピピピッ

 

「んじゃ、行っくよー!」

 

シュボッ!

 

そんな音が聞こえた瞬間には、グリムジョー以外の紐がハウラの手にあった。

 

「「「「「なっ…」」」」」

「チッ!」(元の位置から半歩下がってる)

「おりょ?全員のを取ったつもりだったけど…避けられちゃったかぁ」

(右手に5人分の紐、左手をワキワキさせてる)

「っ!」(咄嗟に右にズレた)

「わぁ〜お!中々勘がイイねぇ!」(空を切った左手)

「クソがっ!」(ひたすら回避に専念)

 

身動きひとつ取れずに紐を奪われた事実に呆然としているシャウロン達の目の前で繰り広げられる光景。

 

グリムジョーが紙一重でハウラの手を避けるので精一杯の状況を信じられない…いや、信じたくない思いの中、見せ付けられた明らかな力量差。

 

だが、そんな時間もついに終わりを迎えた。

 

「はい、お〜わり!」

(左手の人差し指で取った紐をクルクル回してる)

「…はぁっ、はぁっ、はぁっ…クソがっ」

 

ケロッとしているハウラに対して悪態を吐くグリムジョーは、滝のような汗を流して息も絶え絶え、そして手足が子鹿のように震えて、立っているのがやっとなのが解る。

 

「いやぁ、中々やるねぇ。えっと…ストップウォッチは…お〜!5分ジャストだ!私と鬼ごっこしてこんなに保つのはそうそういないよ!」

「…うる…せぇ…」

ドサッ(限界が来てそのまま倒れた)

「「「「「グリムジョー!」」」」」

「ありゃ、ギブアップかな?それとも休憩?」

「…休憩だ。今度は我々が鬼となる」

「あ、そう?…ん?あれ?今、我々って…」

「力の差は既に把握している。我々が束になろうとも決して埋められぬのも…それでも!」

「おっと」ヒョイッ

「くそっ!」

「このっ…ふぎゃっ!?」ゴッ!「うおっ!?」

(ディ・ロイとエドラドが激突した)

「馬鹿が!何をやっている!」

「うっせぇ!」

「えぇい、ちょこまかと…!」

「………っ」

「ホイホイホイッと」

 

ハウラはイールフォルト、シャウロン、ナキームの腕を軽やかなステップを踏んで避けた。

既に彼等の息は上がっている。

それでも、闘志は衰えていないらしい。

 

そんな彼等を前にハウラの腹は空気を読まなかった。

 

グゥーキュルルルルググーキュルキュルグゥー

 

「…お腹空いたから、今日はここまでね」

「「「「「はぁ!?」」」」」

「メノリ、ご飯行こう!」

「え、でも」

「グリムジョーはまだ動けないみたいだし、このままここにいても私のお腹が鳴り止まないだけだよ。だから行こ!」

「ちょ、ちょっと待って!今の時間は食堂掃除中だからご飯食べれないよ!」

「え…そう…だっけ…?」

 

絶望したと言わんばかりのハウラに、メノリは持ってたバスケットを見せた。

 

「どれだけ時間かかるか解らないから、一応持って来たんだけど…」

「今朝のシュークリームと昨日のクッキーだぁ!さっすがメノリ!いっただきま〜す!」

 

呆気に取られるシャウロン達を尻目にシュークリームを頬張るハウラと、カフェラテを淹れるメノリ。

どう見ても、世話の焼ける娘と母親の構図である。

 

「「「「「「…」」」」」」

 

グゥーキュルルル

 

誰かの腹が鳴った。

 

「んぁ?あ、グリムジョー起きたの?回復も早いねー。食べる?」

「「「「「「…」」」」」」

 

…モグモグ、サクサク、ゴクゴク…

 

「「「…美味ぇ」」」

「少し甘いが…ふむ」

「甘ぇな…」

「兄弟が気に入る訳か…」

「兄弟?…あ、そういえばグランツって」

「ザエルアポロは弟だ」

「あー…確かに似てるっちゃ似てるかも…シュークリームどう?」

「美味いな。カフェラテとよく合う」

「味の好みは同じかな?同じ事言ってた」

「…そうか」(何か複雑そうな表情)

 

 

 

結局、みんなでバスケットの中をカラにした。

(内訳、ハウラが6割、他のメンツで残り4割)

 

「ん〜、腹4分目かな…あ、そうだ。私の実力がどうとかって言ってたけど…やる?」

「…あー、もう良い…話にならねぇってのが良く解ったからな」

「そう?ねぇ、私の気が向いたらだけど、また鬼ごっこしてくれる?」

「…さぁな」

 

ハウラに気に入られたらしいが、凄く複雑なグリムジョーだった。

 





ハウラから見たグリムジョー御一行

グリムジョー→空色ヘアと瞳が羨ましい。ちょっと面倒くさいタイプのヤンキー?かと思いきや、ちゃんと話を聞いてくれるし融通も利くみたい。結構お気に入り。
シャウロン→細長いなぁ。メンバーの纏め役っぽい?台所仲間の一員。
ディ・ロイ→ギザ歯凄っ。帽子?がデカいなぁ。
イールフォルト→ザエルアポロの兄らしい。良く見れば確かに似てるね。
エドラド→変わったヘアスタイルだな。
ナキーム→ぽっちゃり体型の割に素早いなぁ。



グリムジョー御一行から見たハウラ

グリムジョー→何もかもが滅茶苦茶な女。だが強い。コイツを超えない限り、王は名乗れない。いつか絶対に倒す。
シャウロン→やっている事は滅茶苦茶だが兎に角強い女。グリムジョーの壁。
ディ・ロイ→色々とヤベェ女。
イールフォルト→ザエルアポロのお気に入りらしい。実際、貰った菓子は美味かった。
エドラド→黙って立ってりゃ大人しい女に見えるのに、動き出すと残念すぎる。外見詐欺ってのは、この女の為にあるんじゃねぇか?
ナキーム→何もかもが出鱈目な存在。頑張れグリムジョー。



6人全員共通の認識

メノリはハウラのストッパー。
彼女に何かあったら、色々な意味で終わる。








因みに、グリムジョーはハウラの突然始まる気紛れ鬼ごっこに散々付き合わされた結果、瞬発力と機動力、持久力が爆上がりした。

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