未来分岐 IF   作:タク-F

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千佳ちゃんのIFは

【大規模侵攻編後から修を意識したら?】

です。


雨取千佳
未来分岐と恋心 (雨取千佳)


※雨取千佳の場合

 

 私が彼を気にし始めたのはいつなんだろう。最初は幼馴染の修君の家庭教師を兄さんが引き受けた事が始まりだったのかな? 今となっては答えが分からない。

 

「修君……私のせいで……」

 

 今回の大規模侵攻についてのBORDERの発表で民間人の死亡者や行方不明者は確認されなかったけど街の被害は深刻だった。見知った場所が壊れている。思い出の公園や秘密基地にしていた場所も様変わりした。そして何よりも……

 

「目を覚ましてよ……修くん……」

 

 声が思うように出ない。辛いのに……悲しいのに()()()()()()()()

 

「千佳ちゃん……貴女も大変だったでしょ? 怖かった筈なのに頑張って……」

 

「香澄さん……」

 

 香澄さんが私に声をかけて抱きしめてくれた。息子の修くんが目を覚ましていない今1番辛い筈の人が私に寄り添ってくれている。だから私が泣く訳にはいかない。そう思うから涙が出ないだけかもしれないけど。

 

「香澄さんの方が大変な筈です。家族が寝たきりになっているんですよ? 私にばかり構ってると息子さんに悪いですよ……」

 

「それを言うなら千佳ちゃんの方が辛いわ。自分が近界民に狙われてお兄さんやお友達が行方不明、挙句自身も近界民に攫われそうになって辛くない訳が無いわ。私はまだ修が目を覚ます可能性がある以上違うじゃない」

 

 そう告げて香澄さんは私を抱きしめてくれる。暖かいけど申し訳ない。

 

「ご家族のお邪魔になっては悪いので失礼しますね」

 

「入り口まで送るわよ千佳ちゃん」

 

「大丈夫です。もう私もBORDER隊員なので1人で帰れます」

 

 香澄さんのご厚意は嬉しいけど断った。これ以上迷惑をかける訳にも、泣き顔を見せる訳にもいかない。修君にだって見せる訳にはいかない。

 

「また私のせいで……」

 

 近界民に狙われている事を打ち明けた人を私は例外無く不幸にしてしまう。当時友達だった青葉ちゃんは打ち明けた後で行方不明になった。相談した兄さんも行方不明になった。幼馴染の修君は私に秘密でBORDERに入ってて、今までに何度も危ない目にあった事を知ってしまった。

 

「修くんがお人好しなのは知ってるけど、その要因に私が含まれているのはきっと事実だと思う。だから修君には危険な事をしないでと言っても聞いてくれないよね……」

 

 修君の通う中学校に近界民が出て修君が戦って負けた事を遊真君が教えてくれた。その時は自転車の練習がてら

 

「色々教えてくれた親切なニンゲンがいたけどそいつが近界民に挑んで死にかけてた」

 

 って言ってっけ。でも不思議と修くんならそうすると思ったし、その事を話した事に文句を言ってたっけ。

 

「どうしてだろう? 修くんが自分を犠牲にしてでも何かの行動をするって話を聞くとギュッと胸が痛くなる」

 

 胸の前で構えた拳に力が入る。きっとドラマで握り拳で血が流す人はこういう気持ちだったのかもしれない。

 

「私……どうしてこんなにも苦しいんだろう?」

 

 私の呟きは誰にも届かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大規模侵攻の後日迅さんが修君の眠る病室へ私と香澄さんに謝罪の為にやって来て頭を下げた。

 

「…………おれの判断です。その行動によって被害を受けた人に謝るのは当然です。もう「謝らないでください。貴方のその判断を責める事を息子は求め無いでしょう」しかし……」

 

「迅さん……」

 

 迅さんは謝ろうとしてくれたけど、香澄さんは強く責めなかった。私も自分が危険な目にあったけど迅さんを責めようと思えなかった。ここで目を覚まさない修くんもきっと迅さんを責めないだろう。

 

「いえ、おれのケジメです。申し訳ありませんでした。BORDERの組織としても、個人としても皆様への謝罪をするのは当然です」

 

 それでも迅さんは私達へ謝罪をした。私達も罪悪感を感じるけど先の言葉が続かない

 

「あれ……?」

 

「どうしたんだい千佳ちゃん?」

 

 そんな中で修くんの表情が少し変わった気がした。

 

「いえ……不思議ですが修くんならきっとこの怪我を迅さんの所為とは考えないだろうなっ……て」

 

「そうね。修ならきっとそう言うのでしようね」

 

ズキリ

 

 胸の奥から痛みを感じる。その痛みは罪悪感から来るのだろうか? 

 

「すみません……今日は失礼します。これ以上皆さんの心情を荒らすのは筋違いでしょう。ですが何かありましたら教えてください。必ず筋は通します」

 

 迅さんは重めの足取りで部屋を後にした。

 

「千佳ちゃん……「すみません。私も帰ります。これ以上は……良くないと思うので……」そう…………。じゃあ……気を付けて」

 

 香澄さんといるのが気まずくなりすぐに部屋を後にした。

 

ズキリ

 

 病室を後にしても私の胸の痛みは消えなかった。その痛みの正体が私には()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日から私は気持ちを紛らわす為に狙撃訓練に参加した。学校は大規模侵攻の爪痕から休校になってた私が今打ち込めるのはBORDERでの訓練以外無かった。

 

「ねぇチカ子……今日のチカ子表情が怖いよ? やっぱアレが相当堪えたの? 近界民にやられて攫われかけたから……的な?」

 

「出穂ちゃん……」

 

 出穂ちゃんは私により添ってくれる。すごくありがたい。今まで近界民の話の話をした人は離れて行くし、信じてくれた人は行方不明になった。

 

「ありがとうね。今までこんな話をしても信じてくれる人はいなかったし……」

 

 言葉が続かない。それこそ唯一修くんが……

 

ズキリ

 

「ッ……!」

 

「チカ子! ちょっとチカ子大丈夫なの!?」

 

 また胸が痛い。どうして? どうして私の胸が痛いの? わからない……わからないよ修くん

 

「ちょっと休もう千佳子。すみませーん! 私達ちょっと休憩いきまーす! ほら行くよ千佳子!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は出穂ちゃんに連れられて休憩スペースに移動した。

 

「なんか飲む? あたしが奢るから言ってみ?」

 

「じゃあお茶でも良い?」

 

「オッケ」

 

 出穂ちゃんはすぐに自販機で飲み物を買って渡してくれた。

 

「ほい」

 

「ありがとう」

 

「………………」

 

「聞いても良い?」

 

 お互いしばらくの沈黙が流れたけど出穂ちゃんが口を開いた。

 

「チカ子さ? 悩んで無い? 前の訓練と今日の訓練明らかに様子が違うよ?」

 

「やっぱりわかる?」

 

「いやいやチカ子がわかりやすいだけ。内容まではわからないけど多分近界民に攫われかけた事じゃないの?」

 

「う〜ん………………多分違うと思う。玉狛の人がトリオンを測ってくれた時凄い量って言ってたし、遊真くんがトリオンの多い人は近界民に狙われるって言ってたから……狙われた事は……多分……」

 

「おお〜〜ぅ……ふぅ〜む……チカ子がトリオンいっぱいなのはわかってたし、狙われる事を理解してたとなると………………他になんか心当たり無い?」

 

ズキリ

 

「あとは……修くんかな。今回修くんが助けてくれた……から……」

 

 また胸が痛い。わからない……誰に聞いたら良いんだろう。

 

「いやいやまさか…………ねぇチカ子? もしかして胸が痛い時ってメガネ先輩の事を考えて無い?」

 

「えぇっとぉ〜〜………………」

 

ズキリ

 

 出穂ちゃんの言葉で私の頭は真っ白になった。でも胸の痛みを感じるのは修くんの事を考えている時だ。

 

「ねぇ出穂ちゃん……大切な人がいなくなるかもって思ったら……どうする?」

 

「戦うよ。少なくともあたしは戦う。BORDERならその為の手段がある。その質問の答えならあたしには戦わない理由は無いかな」

 

 出穂ちゃんの真剣な瞳は私を射抜いた。でもそれを聞いて玉狛に入隊した頃の話が浮かんだ。

 

「そうだね……うん。私もそう思ったからBORDERに入ったんだ!」

 

「じゃあさ……チカ子がメガネ先輩を守ったげたら? そのバカみたいなトリオンがあればチカ子ならなんか出来ない? あたしはまだ訓練生だから出来ないけどチカ子ならすぐ昇格出来るでしょ?」

 

 出穂ちゃんが私の拳を力強く握ってくれた。そしてその言葉で私の胸の痛みが……()()()()()()()()()()()

 

「そっか。私が修くんを守ってあげたら良いんだ。今まで守ってくれた修くんを今度は私が守ってあげるんだ……」

 

ドクン

 

「ありがとう出穂ちゃん。今日はもう上がるけど必ずお礼するね」

 

「最後に1つ聞くけどさ……チカ子ってメガネ先輩の事どう思ってるの?」

 

「大切な人。私がもう失いたくないと思う程に強く思える程の」

 

「おっ? チカ子なんか変わったな? よくわからんがメガネ先輩に恩返しすんでしょ? 頑張れ!」

 

 出穂ちゃんは私の背を叩き送り出してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから少し私は修くんの病室を訪れられなかった。ずっと訓練を繰り返した。今の私に出来るのは訓練を繰り返してはやく昇格する事。だからがむしゃらに繰り返した。だけど修くんの様子も気になって仕方無かったから私は数日振りに修くんの病室へと足を運んだ。

 

「千佳ちゃん……大丈夫? 少し雰囲気変わったかしら?」

 

「ありがとうございます香澄さん。その……おつた…………え?」

 

「千佳ちゃん?」

 

 私の言葉は続かなかった。私の視線は修くんの周りに置かれた多数のお見舞いの品が目に入ったから。

 

「……たくさんの人が修くんのお見舞いに来られたんですね」

 

「そうね。どういう訳かほとんどがBORDERの関係者らしいわね。千佳ちゃんも知っいる人達なんでしょ?」

 

ドクンドクンドクンドクンドクン

 

 香澄さんの挙げた人達は私達と近い年齢の人からTVでも有名な嵐山隊までたくさんの人達だった。そして嵐山隊の木虎さんの話が出て今までよりも強い痛みを感じた。でもその理由が今ならわかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう修くんの事を傷つけさせない為に私が強くなれば良いんだ。私にはその為の力がある」

 

 胸の奥からの鼓動が今までと違う気がした。もう痛く無い。近界民から怯えて逃げるだけだった無力な私も、修くんの事を考えて胸の痛みに苦しむ事ももう無い。だって………………

 

私が修くんを守ってあげるんだから

 

 

 




千佳ちゃんは人が撃てる。ランク戦初回から人が撃てる状態で修の為に戦う決意をしたらとんでもない激重案件になってしまった………だが作者は後悔も反省もしていない!

よろしければ感想等お待ちしています。

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  • 雨取千佳②(続編)
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