ゲーミング用語でデレる台湾女子フアンちゃんと僕の初めてのPC自作   作:メソポ・たみあ

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第1話 ゲーミングPC欲しいけど、PC全然わからん

『最新グラフィックボード、RTX5090搭載! ――次世代のゲーミング体験をあなたに! ガレリアン!』

 

「……ゲーミングPC、欲しいなぁ」

 

 YouTubeのCMを眺めていた男子高校生、黄坂(こうさか)(れん)はため息を漏らす。

 彼はネットサーフィン中に流れてくるゲーミングPCの広告を眺める度に、憂鬱な気分になっていた。

 

「やっぱりさ、ゲームやるならもうPC(パソコン)の時代なんだよ」

 

 現在高校二年生の蓮は、ゲーマーだった。

 学校では部活に所属していない帰宅部で、暇さえあれば部屋にこもってゲームばかり。

 それどころか平日の深夜に徹夜でゲームをプレイし、それを親に見つかって呆れられたことさえあった。

 

 そんな蓮はこれまではずっと家庭用据え置き機であるPS4やSWITCH(スイッチ)でゲームを楽しんできており、PS5は欲しくとも高額すぎて親が買ってくれないという状況。

 

 しかし蓮は新型ゲーム機が欲しかった。

 とにかく欲しかった。

 どうしても欲しかった。

 

 なので仕方なくバイトを始め、コツコツお金を貯め始めていたのだが――ある程度の金額が溜まった頃、彼はふと気付いたである。

「あれ? これだけのお金があるなら、もう少し貯めたらゲーミングPC買えるじゃん」ということに。

 

 PS5は蓮にとって確かに魅力的だったが、より多くの、より多種多様なゲームをプレイするならば、やはり理想的なのはゲーミングPC――。

 その事実に蓮は気付いていたのだ。

 

「今時、PC専売ってタイトルも多いし……。それにPCも買えるって考えたら、絶対お得なんだよね」

 

 椅子にもたれかかり、そんなことをぼやく蓮。

 

 しかし一つ、彼には懸念(・・)があった。

 

「ただ……僕、PCのことって全然わからないからなぁ」

 

 蓮はこれまで据え置き機でしかゲームをしたことがなく、オマケに自前のPCも未所持だったので、PCに関する知識が皆無だったのだ。

 ネットサーフィンするならスマホがあれば充分なので、これまでPCがなくて困るという状況に陥ったことがなかったのである。

 

 だからとりあえず、最初に買うゲーミングPCはBTO(ビルド・トゥ・オーダー)――つまりPCショップが初めから組み上げてくれた完成品にしようと蓮は思っていた。

 それならばすぐにハイスペックなPCでゲームができるし、PCを自分で組む手間もかからない。

 事実、ゲーミングPC初心者はBTOを買った方がいいとオススメするネット記事や実況者も多い。

 

 とはいえ、蓮がネットでゲーミングPCに関する情報を集めていく内に「PCが不調になったら自分で治せないと大変」「どうせ将来的にPCが性能不足になるから自分で組めるほうがお得」という意見も目に付くように。

 

 色んなネットの意見に惑わされ、結局どうしたらいいのか蓮にはわからなくなりつつあった。

 

「あーあ……こんな時、身近に〝PCに詳しい友達〟がいてくれたらな――」

 

 

 

 ▲ ▲ ▲

 

 

 

「お疲れ様でしたー。お先失礼しまーす」

 

 時刻はだいたい夜の七時。

 平日は概ねいつも、蓮はこの時間にバイトを終える。

 この日もシフトを終え、バイト先を後にする。

 

「はぁ、疲れた……。でもシフト多めに入れてもらってるお陰で、結構お金貯まってきたな」

 

 蓮には貯金の目標金額があった。

 その額、十五万円。

 現在その九割近くが貯まっており、既に目標達成は目前となっていた。

 

 十五万円となれば、高校生にとっては相当な大金。

 これくらいあれば、そこそこいい性能のゲーミングPCが買えるだろう――蓮はそう思っていたのだ。

 

「さて、今日もあそこ(・・・)に立ち寄ってみるか」

 

 町の中を歩いていた蓮は、その足先をとある店舗へと向ける。

 数分ほど歩いて到着したのは、二階建てのPCショップだった。

 入り口の上には『ボスパラ』と書かれた看板が掲げられている。

 

 蓮が店の中に入ると、一階にはBTOのPCが幾つもたくさん並んでいた。

 大きな長方形の箱の隣にモニター、キーボード、マウスという配置は、まさしくPC(パソコン)

 モニターには美麗で高解像度のモノが使われており、ゲームのPVが映っている。

 

 何台も並んでいるBTOのPCはそれぞれなにがどう違うのか、蓮にはさっぱりであったが――何度見ても、この景色は蓮にとって夢のようだった。

 

「やっぱりいいなぁ……! 僕も再来月……いや来月には……!」

 

 バイト代を貯めて絶対にゲーミングPCを買うんだ! と意気込む蓮。

 すると――店の奥にあった階段から、一人の制服姿の少女が下りてくる。

 しかも手には物が入ったビニール袋を持っている。どうやら、なにか商品を購入したらしい。

 

「……ん? あれって――」

 

 店の二階から降りて来たと思しき少女に、蓮は見覚えがあった。

 何故なら彼女が着ている制服は、蓮が通っている『秋葉(あきは)高等学校』の女子生徒の制服だったから。

 いや、制服だけではない。

 その少女自身にも蓮は見覚えがある。

 

 ――ユンシア・フアン。

 漢字は〝(フアン) 映夏(ユンシア)〟と書く。

 

『秋葉高等学校』に通う台湾出身の少女で、なんと蓮のクラスメイトでもある。

 艶のある長い黒髪で目元を隠しており、一見すると地味な印象を受けるが、その顔立ちは整っていてかなりの美人。

 それでいてスタイルもいいため密かに男子人気が高いのだが、本人があまり日本語を喋れないらしく口数が少ないため、クラスの中では少し浮いた存在となっている。

 

 実際、蓮も同じクラスであるはずの彼女と会話したことは一度もない。

 とはいえ接点がなかっただけで、別に仲が悪いというワケでもないので――

 

「フアンさん? こんな所で会うなんて奇遇だね」

 

 何気なく、蓮はフアンに声をかけた。

 

「――! コ、コーサカ、くん……?」

「そうそう、同じクラスの黄坂蓮! 僕の名前覚えててくれたんだ」

 

 蓮はフアンに歩み寄り、

 

「フアンさんもPC見にきたの? 実は僕も――」

「……っ!」

 

 普通に会話しようとしたのだが――何故かフアンは蓮から目を逸らし、逃げるように店から出て行ってしまった。

 店の中には、蓮だけがポツンと残される。

 

「……あれ? 僕、なにかマズいことした……?」

 




結構直球のメーカー名とか商品名とか出しますが、もし怒られたら改めます。
ちなみにヒロインの名前(姓)はフアンですが、革ジャンと夜市が大好きな世界一の半導体メーカーの某CEOとはなんの関係もないです()

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