財団Tale:≪財団神拳≫創設秘話 「君のその顔が見たくて」 作:深夜に食べるラーメンの味
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「よーし今回の業務内容の確認するぞ。
やることはウチらのいつもの担当、初期調査だ。
異常存在の疑いがある本を回収する。標的は一冊の演劇の台本。
まだ異常存在であるかどうかは確定していない。ウチらの島で見つかった。だからウチらが真っ先に動く。
そんで情報を持ち帰るまでがお仕事だ。
続けるぞ。
どうも小さいが歴史のある劇団の、台本帳の本棚の中に紛れ込んでいたらしい。
堆積したホコリから計算して、ざっと百年レベルだとよ。今まで見つからなかった理由がそれだ。
近年になって、演目を決める会議中に机の上に手持ちの台本をずらっ、と並べた際に監視カメラに写り込んだんだと。
さて、これをウチらが速やかに回収することが本日のお仕事だ。
回収現場を劇団員たちに目撃されたら、クラスB記憶処理薬を処置することが許可されている。
あとはほっとけ。
先に桜木を清掃員として潜り込ませてある。
以上、質問は?」
「台本の外見と内容は? 最終段階になっても情報共有されていませんが」
「よせ、睨むな立花、悪かったって。
外見は各自の通信媒体に送信したので見ておくこと。
外見も内容も、今のところは情報汚染ミームは確認されていない。でもギリギリまで見ないほうがいいってアナウンスがね。
ハムレットに酷似した内容のものだが、上演されると暴力的な内容に改変されていくらしい。
実ににくにくしいものにな」
「では、敵対組織の襲撃の可能性がありますね」
「あってほしくはないが、カルト相手だと無いとは言えないのがな。
まあ、監視カメラの映像も不鮮明だったし、疑いがあるってだけだから気楽に気を引き締めてしっかりやれよ」
「本音は?」
「嫌な予感がビンビンしてやがる。
事が起きそうになったら戦おうとするな。さっさと逃げるんだ、と言いたい所だが。
お仕事だからね、仕方ない。うまくやれ。やれるだけやったら引いていい。ウチが責任とる。
初動は我々が先だ。こういう事案に対しては、ウチは即動く。だから、たぶん、接敵はない、と思う!」
「と思うって」
「今回のオブジェクトはうちのマスコット兼エージェントが最初に発見した。AIエージェントよりも先にだ!
お手柄だぞ、新入り!」
「はい、主任。ええとなんででしょうか? 俺は何もしていません。褒められるなら闇子さんでは?」
「アレに仕事をする気にさせたのはお前が初めてだからさ。どんな魔法を使ったんだか」
「魔法ですか? いえ、話していただけですが」
「それだよ。いいか、よく聞いておきなよ新入り。雛倉、お前もだ」
「……はい」
「相変わらず暗いね。でも、ま、しょうがないか。
これから年長者として説教するからね。聞いておきな。
お前たちの世界は嘘だった。お前たちにとって真実だったものは、みんなハリボテだった。
今日の現場はそんな場所だよ。ハリボテだらけのウソの世界を、真実だって思い込ませるための場所だ。見るのはキツイだろうね。
でもね、そこに悪意はない。ないんだよ。
たとえそれがウソの世界だったとしても、皆で協力して、一つの世界を作り上げたんだとしたら。
それを壊す権利は誰にもないんだ。
誰かと一緒に作った世界は、きっとウソでも、本当のものだ」
「誰かと一緒に、作った世界なら……」
「ウチらはそのくだらないウソの、みんなの世界を守るのが仕事だ。
だからちゃんと話しておけ。隣の奴がいつ消えるかわからないぞ。私の耳にはもう、ピアスを付ける場所なんて残ってないんだからな。
クソみたいな異常存在の現実改変がなんだ。
肉になって溶けあわなきゃ繋がれないってか? ふざけんな。
人は、人の言葉で通じ合える。変わっていける。
それが本当の魔法だよ。
この作戦が終わったら、特に新入り同士、よく話をしときな。
はい、以上、行動開始! 行った行った!」
「あの、待って」
「はい、なんでしょう雛倉さん」
「あの、私、あなたのことがとても羨ましいなと、そう思っています」
「雛倉さん? えっと、俺のことを羨ましいって、何を?」
「あなたの世界は壊れずに、あなたは世界から飛び出した。夢の続きを新しい世界で見ているから」
「ごめん、どういう意味なのかよくわからなくて。俺は学校に行ったことがないから」
「そんなの私もですよ。
魔法の世界がウソだと言われて、でも魔法とか異常とかは世界中でありふれたものだと知って、もう何がなんだか。
でも、うん、いいんです。あなたには一緒に踊ってくれる人がいたんですね。それがとても羨ましかった。それだけですから」
「よくわからないけど、でもさっきの主任の話のことなら」
「あっ……」
「これから一緒にがんばろう。君の力を貸して欲しい。そうしたら、みんなの世界を守れるはずだから。
財団職員になったらもう、表舞台には立てないだろうけど。
でも、財団の理念を守り抜くことができたらきっと、そこが俺たちの世界になるよ。きっと!」
「……不思議。あなたと話していると、なんだかとっても」
「頑張ろうって気持ちになる?」
「はい、とても」
「じゃあ、行こう。確保・収容・保護だ!」
「はい!」
「私もいれておくれよお……おててぇ……」
「アイ、立花先輩!?」
「なぜ見てるんです?」
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