貞操逆転世界に転生する→ハーレムができる→しかし身体は闘争を求める。   作:よろしい、ならば闘争だ。

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貞操逆転世界の治安の悪さよ。

 俺の名前はアマト・クギミヤ。漢字表記だと釘宮天飛。この世界にいつの間にか転移していた転生者って奴だ。

 

 前世の事は、この世界に飛ばされる直前までのことは覚えている。だが、飛ばさる直前の事はなぜだか全く思い出せないでいるんだ。

 

 

 俺に何が起こったのか。俺は死んだのか?転移なのか?俺は俺がここに来た理由と、元の世界に帰る方法を探して今まで旅を続けていた。

 

 しかし、1年掛けて旅をしてもそれらしい手がかり一つ掴むことは出来なかった。仲間達は諦めずに探そうとしてくれているし、俺も諦めるつもりも毛頭なかったが、この世界で腰を下ろして暮らす道も真剣に考えていた。

 

 何せ、俺には『力』があった。俺が転移した時に俺と一緒にいた謎のゴーレム……ゴーレムと言っても、10m代のほぼ巨大ロボットだ、見た目も性能も。

 

 この世界ではゴーレムといえばこう言うロボットを指すらしい。所謂土と岩石で出来たゴーレムはかなり昔の遺物なそうな……そこから発展したのが今のゴーレムではあるそうだが。

 

 ともかく、そのゴーレムはこの世界では特別な物で、性能も頭一つ抜けているらしい。α-BET(アルファ-ベット)シリーズとか言うゴーレム製作の過渡期で活躍したオーパーツの一つなんだそうな。

 

 α-BET(アルファ-ベット)ってのは異世界から流れ着いた言語らしい――因みに調べてみたら完全に俺の世界のアルファベットだった、なんか怖い。――

 

 

 俺と一緒にいたゴーレムもそのα-BET(アルファ-ベット)シリーズ。その15番目で『O』を象った機体。……名前は『オー(O)ガル』、接近戦に強く調整された機体だ(とんだ欠陥機でもあるのだがこの話は追々。)

 

 その機体に乗り込み、機体性能と……こんな事を言ったら驕りになるが、才能と練習を積み重ねて、どんどん強くなっていった。

 

 まさに負け知らず……気分はなろう小説の主人公だ。だが、それは俺の思い上がりだった。

 

 この世界には、俺たちを追い詰めたあのドラゴンを始めにして、もっと強い奴がわんさか居るんだ。俺は所詮、井の中の蛙だった。

 

 俺はその事実に打ちのめされ……絶望するよりも先に、何とも言えない高揚が勝っていた。

 

 まだ、この世界には強い魔物や敵がいるんだと。きっと、俺の身体はいつだって地獄の様な闘争を求めていたんだ、女の子に囲まれて侍らず状態では決して手に入れられない渇望だった。

 

 俺は、闘争が好きなんだ。

 俺は、闘争って奴が大好きなんだ。ずっと、惹かれていたんだ。

 

 俺はまた旅を続ける事にした。元の世界に戻る……それも目的の一つではある、だがなによりも俺が求める戦場を探す為に。

 

 だが、その戦場に、俺の事を思ってついてきてくれた彼女達は巻き込めない。

 

 俺は置き手紙1枚を残して彼女達の前から姿を消す事にした。勝手なのは分かってる、だがこれ以上俺みたいなやつに付きまとって貴重な人生を無駄にして欲しくないんだ。

 

 

 

 そんなこんなで深夜に病院から抜け出した俺は、深夜の道をひたすら歩いて街から抜け出そうとした……そうすれば、オーガルを呼び出して移動する事ができる。街中で出してどっかに飛ぶのはさすがにリスキーだ。

 

 っと平然と語ってしまったが、オーガル、基α-BETシリーズは使用者の意思に応じて何処からとも無く呼び出すことが出来る。

 

 オーパーツと呼ばれるだけあってかなり高度で既に失われた大昔の魔術が使われているらしい。まぁ、それは追々話そう。

 

 それよりも今問題なのは……

 

「よぉ兄ちゃん、結構いい顔してんじゃん。」

「ちょっとお姉さん達と遊ばなぁい?」

「ほらほら、天国見させてあげるよ?」

 

 チンピラに絡まれてケツを狙われている事だ。狙ってきているのは少しチャラい見た目をした女性達。っぱ全く興味ない、知らないやつにこんな風に絡まれんのは気色が悪いな。

 

 以前も話した通り、この世界は貞操逆転世界。男は慎ましやかに生きて、女性が勇猛に生きる。

 

 前世の世界じゃそう言う性別の壁も薄くなってしまっていたが、この世界ではまだまだ壁は厚く、俺みたいな若い男が旅とか傭兵まがいなことをしていると「男の癖に」とか「男の子なのに……」とか言われたもんだ。

 

 まぁ、そんな世界だから若い男が一人夜道を歩いているとこういう事も起こる。なんやかんや言いつつ日本の治安は偉大だったんだな。

 

 つか、襲われるの早すぎるんだよ。まだ外に出て十分も経ってないぞ?……考えてみれば俺をオーガルごと見つけてくれたシグルイとずっと一緒に行動してたからなぁ……やっぱあいつらにはかなり助けられてたよ。

 

「おいおい、黙ってないで行こうよぉ?」

「ほらほら肩の力抜けって……」

「いや、俺は……」

「ちっ……俺はじゃねぇんだよ、早く来いよ……!!」

 

 あぁ……どうしようか、一応この世界に来てから身の危険を感じたり、オーガルを操縦する為だったり、身の危険を感じたりしたから鍛えてはいるけど、流石に三対一はキツイな。そもそも生身で戦った事自体殆ど無いしな。

 

 トルクとかは肉弾戦得意でボディガードとかもしてくれてたな。お陰で変な奴もあんまり寄ってこなかったし、居なくなって分かるありがたみってのはこの事か。

 

 まぁ、全員倒さなくても最悪逃げ応せればいい。肉弾戦は生身ならともかくゴーレム戦で()()()()()何よりこのまま黙ってヤられるのにも腹が立ってくる。

 

「上等だ、舐め腐りやがって……!!」

「あっ?何つった?」

 

 俺は挑発半分、怒りの出力半分で思いっきり中指を立てる。チンピラは、そのハンドサインの意味が分かっていないようだった。だから、俺はご丁寧に解説してやる。

 

「このハンドサインが分かるか……?俺が暮らしてた場所じゃあこう言う意味なんだ……『くたばりやがれ。』」

「あぁっ!?テメェ男の癖にこの野郎――」

 

 そう叫びチンピラは拳を振り上げる……だが、ドラゴンの尻尾と比べたらそれはそれはスローな動きだ。いなせる。

 

 俺は咄嗟に受け身を取って拳を受け流そうとする……が、それよりも早く、目の前のチンピラに何者かの飛び膝蹴りがぶちかまされる。

 

 チンピラは派手に吹っ飛び地面を転がっていく。

 

 俺は一瞬、仲間の誰かかっ!?と身構えるが……違う。その人物は整った身なりに、丁寧に手入れされ短く整えられた髪を持つ青年――いや、女性だった。

 

「全く、目当ての品が無くて隣町に来てみれば、こんな場面に出くわすとは、運が良いのか悪いのか。」

「てめぇ!よくもぉ!!」

 

 正に麗人とよべる彼女は、逆上し襲いかかってくるチンピラの攻撃を軽く避けて、カウンターを撃ち込む。チンピラの一人は声にならない声を上げてから、唾液を吐いて倒れてしまう。

 

「ひっ……ひぃ!?」

「君も、どうだい?寝かしつけてあげようか?」

「くっ、くそっ!覚えときやがれ!!」

 

 彼女はそう叫び、倒れたチンピラを担いで何処かへと走り去っていく……ド定番すぎて逆に真新しいな。そのセリフ。

 

「ふぅ、おっと。君、大丈夫かい?」

「あぁ、ありがとう。助かった。」

 

 随分と丁寧な所作をしている。いいところに生まれだろうか?すると、彼女は俺の目を見て真剣に語りかけてくる。

 

「駄目だろう?君みたいな子が夜道を歩いているなんて、狙ってくださいと言ってるようなものだ。」

「あぁ……そうだな、見通しが甘かったよ。」

 

 本当にな。この世界はやはり俺の元いた日本と比べても治安がひどいらしい。男が嬲られるのも日常的らしいしな。怖いわ。

 

 すると、彼女が小首を傾げて俺に問いかけてきた。

 

「こんな所で何をしているんだい?君みたいな男の子が。」

「あぁ……実は俺は旅をしていてな、早めに出発しようとしていたんだが……外に出る途中で襲われてこのザマだ。」

「気をつけてくれよ、この辺の治安はお世辞にもよくないらしいからな。」

 

 確かに、病院代もぼったくられたからな……あ、因みに入院代や諸々の費用は置いていった。おかげで財布はすっからかん、この身一つの再出発だ。

 

 ……そう言えば、こいつさっき気になることを言ってたな。

 

「そう言えば、アンタ。この街に住んでるんじゃなさそうだな?」

「あぁ、馬車で少し行った場所にね、村があるんだ。そこから来た。」

 

 村……か、丁度行く宛もないし底に足を運んでみるのもいいかもな。

 

「なぁ、少しいいか?俺はそろそろ他の場所に繰り出そうと思うんだが……アンタの村に行ってもいいかな?面倒は掛けない、場所だけ教えてくれれば良い。」

「成る程……あまり良い村じゃないが、良いのかい?」

「このままこの街に腰を据えるよりかはな。」

「ふふっ、中々面白い人だな。…………よしっ。紳士を夜道に放っておくのも気が引ける、エスコートしよう。」

 

 何処までも淑女な人だな、まぁ期待してなかったわけじゃないんだが……少しトントン拍子すぎて心配になるな。まぁ、好意はありがたく受け取っておこう、お返しはその後考えればよい。

 

「ありがとう、助かる。俺はアマトだ、アンタは?」

「私はハルジオ。ハルジオ・ハールンだ。よろしく、アマト。」

 

 そう言って彼女――ハルジオは、紳士的に俺に手を差し出して来るのだった。

 

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