魔法つかいプリキュア‼︎短篇集   作:ヨザリイコイ

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チョコレートをチップにインディアンポーカーをするみらいとリコです。
やや性的な表現がございますのでご注意ください。


PIXIVにも同じタイトルで投稿しております。


インディアンポーカーシリーズ
インディアンポーカー


「あんなにハマっちゃうものなのかしら?」

 

 画面の中で賭け事にのめり込み、破滅していくキャラクターを冷ややかな目で見送る。

 そういう遊びはした事がないからどうにも分からない。魔法界にもないしね。

 

「ハマる人はハマるらしいよ。それで奨学金を使い込んだ人がいたっけ」

 

「嘘でしょ」

 

 何で将来の為の軍資金をそんなことに使うのよ。しかもナシマホウ界だと大抵は借り物だそうじゃない。

 

「ホントだよ。それで卒業間近で大学を辞めちゃったんだって」

 

「うわぁ……」

 

 4年掛けて大金をドブに捨てただけって。本人も親御さんも泣いていたでしょうね。

 

「まぁ、そういうお金を賭けるのは怖いけどね」

 

 そう言いつつ、お茶受けに食べていたチョコレートの袋をみらいがもう一袋持ってきた。

 

「こういうものの取り合い程度なら面白いよ?」

 

「まさか」

 

「そのまさか」

 

 おまけにニヤリと笑いながらトランプを引っ張り出してきた。長い間、私がいなかったからあんなことにのめり込ませてしまったのかしら。

 

「あのねぇ、私、これでも先生なんだけど」

 

「先生でもギャンブラーなんてよくいるよ」

 

「そういうものかしら」

 

 

 

 

 おでこにトランプをくっつけて、みらいのトランプの数を見る。

 インディアンポーカーという遊びらしい。自分の札の数が相手より上なら勝ち。

 

 なんだ簡単じゃないと思ってやってみると……、まぁ、これが難しいこと難しいこと。

 自分の札が分からないから勝負に乗るか降りるかの判断がし難いし、みらいの顔からもそれが読めない。それに……。

 

「ふふっ」

 

 小さく彼女の口から漏れた笑い声にどきりとする。

 まさか、私のカードが弱過ぎた?! 

 みらいのカードを見るとクイーン。勝負に乗っていいようには思えない。

 

「お、降りるわ!」

 

「良いよ」

 

 それで降りて自分の札を見て愕然とする。

 

「嘘、エースじゃない!」

 

「リコ、引っかかりすぎだよ〜」

 

「ひ、引っかかってないし!」

 

 こういう罠に掛けることが、みらいは意外と上手い。表情や仕草で嘘を不規則に混ぜ込んでくる。

 

「この分だと、チョコレートを丸儲けできそう」

 

「なんですって! もう一勝負いくわよ!」

 

 そして私を煽り立てるものだからついつい乗せられてしまう。いや、これは私が悪いか。

 

 

 

 

「ごちそうさまでした」

 

「そ、そんな」

 

 20分もしないうちに、持分のチョコレートを丸々奪われてしまった。

 

「はーちゃん達も帰ってくるから、このくらいにしようか」

 

「ま、待ちなさいよ! 勝ち逃げなんてさせないから!」

 

 チョコレートを片付けようとしたみらいを呼び止める。

 

「いや、でも皆んな戻ってくるんだし……」

 

「最後に1回だけ! 1回だけだから!」

 

「1回だけかぁ……、それじゃあこうしない?」

 

 さっきの番組の登場人物のように縋りつく私をみらいは妖しい色を湛えた目で見下ろす。そしてこんな提案をした。

 

「負けた方が今晩なんでもお願いを聞くってのはどう?」

 

 そんな条件を出されたにも関わらず、否応なく飛びついてしまった。そしてその結果は……。

 

「えっ……」

 

 みらいの手札を見て愕然とする。

 

「ねぇ、リコ……」

 

「な、何かしら?」

 

「私がなんのカードを持ってるか当ててあげようか?」

 

「み、みらいに分かるわけないじゃない」

 

「ジョーカー」

 

 そう言って笑う彼女の額には、確かにおどけた様子の道化師がいた。

 

「なんでそれを……」

 

「リコの顔に書いてあるから」

 

「書いてないし!」

 

「そういう正直な所、大好きだよ」

 

 

 

 

「さてと、何をしてもらおっかなぁ」

 

 トランプを放り出し、まるで特上のご馳走でも見るかのような目で舌舐めずりをして私を見下ろすみらい。その様子に思わず後退りしようとするも身体が動かない。蛇に睨まれた蛙の気分がよく分かる。

 

「リコって美味しそうだから迷っちゃう」

 

「お、美味しそうってなによ……」

 

「言葉通り。それに本当に美味しいんだもの」

 

 私の左耳から頬をしゃぶって、恍惚とした表情をみらいは浮かべる。

 

「袋一杯のチョコレートよりも甘いや」

 

「それならここでやめておかないと太るわよ」

 

「大丈夫。一晩で痩せるから」

 

 本当にこのままだとみらいに食べられる。全く嫌じゃないけど、流石に今はまずい。でも蝮のような今のみらいからは、とても逃げられそうにもない。

 

「ただいまー!」

 

 ここで救世主が登場した。はーちゃん達が帰ってきたんだ。

 流石にこんなところをあの子達に見せられないのは、私もみらいも同じだ。

 これで一息つけると胸を撫で下ろしたのも束の間。

 

「はーちゃん、そろそろ出なきゃ良い場所を取られちゃうモフ」

 

「はー! すぐに出かけなきゃ!」

 

「へっ? こんな時間にどこ行くの?」

 

「夜釣りだよー! たくさん釣ってリコたちにお腹いっぱい食べさせてあげるからねー!」

 

 そういって魔法で作ったらしい竿とクーラーボックスを担いで、モフルン共々すぐに出かけてしまった。

 

「そういう訳だから……」

 

 呆然としていると後ろにいた大蛇に巻きつかれた。

 

「はーちゃんとモフルンが帰ってくるまでに、お腹を空かせておかないとね? リコ」

 

 

 その後のことはあまり覚えてない。

 

 

 覚えてないけど、ただ1つ言えることがある。

 

 

 

 もう2度と賭け事なんかしません。

 

 

 

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