魔法つかいプリキュア‼︎短篇集   作:ヨザリイコイ

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好きなおかずを自分で作ってみる事に挑戦するひーちゃんのお話です。

PIXIVでも同じタイトルで投稿しております。


トロッとしたお肉

 トロッとしたお肉

 

 

 ひーちゃんが大好きなおかずだ。

 甘辛くてご飯に乗せて食べると美味しい。お菓子と違って食べ過ぎても叱られない。

 いつでも出して欲しいんだけど、滅多に出てこない。

 それで自分でも作ってみようとしたんだけど……。

 

「なんか違う……」

 

 お肉が違うし、しょっぱい。それに硬い。あのお肉はふにゃふにゃしていてとっても柔らかい。

 

「どうしたら良いの?」

 

「何か作りたいの?」

 

 台所で悩んでいると、後ろからみらいに声をかけられた。そういえばあれを作っているのはみらいだったっけ。

 それなら聞いたほうが早いや。

 

「みらい、『トロッとしたお肉』の作り方教えて!」

 

 

 

 

「2日も掛かるの?!」

 

 みらいが教えてくれた作り方は、簡単だった。でもとっても大変でもあった。

 2日間もお肉を煮ないといけないなんて思わなかった。

 

「焦げちゃうといけないからお鍋をずっと見てなきゃいけないよ?」

 

「それでもやる!」

 

 美味しいもの食べられるなら頑張れる。それにそういうもの作ってたら、皆んなお家に帰りたくなるでしょ? ひーちゃんもご飯が楽しみでいつもお家に帰ってるもの。

 

 

 

 

「それでコンロの前に陣取ってるのね」

 

「うん。とびっきり美味しい物にしたいんだって」

 

 おにぎりを頬張りながら鍋と睨めっこするひーちゃんをリビングからみんなで見守る。

 晩御飯どころか、できるまで飲まず食わずで火の番をするつもりだったらしいけど、流石にそれはやめさせた。そんなことしたらお肉を放り込んだら最後、お腹が裂けちゃうからね。

 

「さっき覗いたら物凄い量を煮込んでたわね」

 

「私たちの分も煮てるって言ってたよ。美味しい物を作ってたらお家に絶対帰りたくなるからって」

 

「なるほど、美味しい物食べられないのは確かに嫌モフ」

 

「はー、じゃあ皆んなで這ってでも帰んなきゃね」

 

「そうね」

 

 

 

 

 トロッとするまでお鍋の前から動かない。そう決めたんだけど、やっぱりお星様が出ると眠たくなっちゃう。

 それでもしゃもじでほっぺたを引っ叩いて目を覚まして、お鍋の中を掻き回す。焦がしちゃったら美味しくないもの。

 

「ひーちゃん、代わるわよ」

 

 それでもまた寝そうになった時、リコに声をかけられて目が覚めた。残ってたお仕事は終わったのかな。

 

「もうちょっと頑張る」

 

「あら、そう? でも眠くなったら声を掛けてね。私だって楽しみだからお手伝いしたいの」

 

「楽しみ?」

 

「もちろん」

 

 そう思ってもらえるのはうれしい。はーちゃんのクッキーみたいなことが、ひーちゃんでもできているからうれしい。

 

「ひーちゃんと一緒に美味しく食べたいもの」

 

「そうなんだ、えへへ……。じ、じゃあ、ちょっと代わっててくれない?」

 

 このままだと居眠りして、焦がしちゃうかもしれない。リコにやってもらおう。

 

「良いわよ。しばらく休んでいて」

 

「うん。ああそれと」

 

「何かしら?」

 

「つまみ食いしちゃダメだよ」

 

 絶対しないとは思うけど、念のためクギを刺しておく。

 そう言われたリコは、一瞬ぽかんとしてたけど、すぐに笑顔で「分かってるわよ」と答えてくれた。

 

 

 

 

「は〜、良い匂い」

 

「ホントだね。そろそろかなぁ」

 

 みらいとリコが出かけてる間は、はーちゃんと交代で煮込み続けた。

 

「そろそろみらいたちも帰って……。あっ」

 

 はーちゃんのスマホが震えてる。何かあったらしい。困った顔からして怪獣が暴れてるのかも。

 

「はーちゃん、お鍋は見ておくから行ってきてよ」

 

「えっ、でも」

 

「早く! お鍋が潰されちゃうでしょ!」

 

 無理やり背中を押してベランダに追い出す。ここから飛んでいってもらったほうが早いもの。

 

「分かった。なるべく早く戻るから」

 

「お願い」

 

 はーちゃんが飛んでいくのを見送ってから、ひーちゃんはお鍋の様子を見に戻る。みんなが帰ってくる頃には食べごろになるかな。

 

 

 

 

「ただいまー!!」

 

「えっ!」

 

 窓から4人が入ってきて、思わず目をまんまるにしちゃった。だってはーちゃんが出て行ってから3分も経ってないもん。お肉どころかカップヌードルもまだ食べられないよ。

 しかもはーちゃんどころか、乙姫さまみたいな格好をしているみらいとリコ、モフルンまでいる。もしかして怪獣倒した後、すぐに飛んできたの? 

 

「まだ煮込んでる最中?」

 

「う、うん」

 

「良かったぁ。間に合ったぁ」

 

 所々ボロボロなのに、みらいはお肉の心配をしてる。食いしん坊め。

 でも本当に楽しみにしてもらえたんだ。うれしいなぁ。

 

 

 

 

「いただきます」

 

 みんなで揃ってトロッとしたお肉を食べる。

 今度は作り方が合っていたから食べたかった味にちゃんとなっていた。

 美味しくて美味しくてご飯が止まらない。

 それにそれはみんなも同じ。大食い大会みたいになってるもん。

 

「ひーちゃん、ありがとうモフ。ちょっと甘めの味だから嬉しいモフ」

 

 ちょっとお砂糖を入れたのが良かったのかな。お酒だけだと甘くなるのか分からなかったから。

 

「良い事聞いた。ひーちゃん、味付け教えてよ」

 

「ふふん、ナイショ」

 

「え〜、ケチ〜」

 

 ひーちゃんのお肉は、ひーちゃんだけのものにしたい。みらいの作ったお肉も食べたいから。

 

「また何か作ってみようかなぁ」

 

「その時はまた手伝ってあげるわよ」

 

「ほんと?! やったぁ!!」

 

 

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