アカデミー後期編もこれまでと同じぐらいの話数かけていこうと思いますのでよろしくお願いします。
評価バー伸びてました!
入れてくださった皆さん本当にありがとうございます!
あと15人でバー埋められるので、がんばります!
それにしても冬優子がいる場合のガンダムSEED DESTINY
OPで冬優子の裸体が晒されてしまう可能性が非常に高いが、それはどうなんだろう。
第3OPなんてイントロから画面のほぼ全てが裸体だ。
それが冬優子が羽ばたきたい空なのだろうか————。
そんなこんなでシンを家に招くこととなった。
リビングのソファに座らされたシンは落ち着かない様子で家の中を見回していた。
「何よ、そんな珍しいものを見るみたいな目。普通の家でしょ」
「いや、なんていうか可愛い家だなって」
……それは確かに。元のふゆの家とほとんど同じ内装。インテリアに関しては完全にお母さんの趣味だし、ふゆ自身も気に入っている。完全に遺伝というか、こういう環境で育ってきたから好きになったのかは分からない。
「オレの家は、なんていうかシンプルな家だったからさ」
「シン……」
初めて、シンの口から家の話を聞いた。
そもそも触れないように、踏み込まないようにしようと。その方がシンのためにもなるからと、単身でプラントにやって来た難民という情報だけである意味全てを物語っていたから、そっとしておいたシンの傷痕。
そこに、触れるということは————。
「……シンの家族は、どんな感じ?」
だった、とは付けなかった。
過去形にしてしまう意味を考えて、酷く残酷だと思ったから。
「オレの家族は……父さんも母さんも優しくて、妹のマユは明るい奴だよ」
優しく微笑むシンに、素顔を見た気がした。
ふゆ達やヨウラン達といる時とも違う、優しくて柔らかな笑みだ。
こんな風に笑う子だったのね……。
「そう。いい家族じゃない」
「フユのとこはどうなんだよ」
「そうね……お母さんはあんな感じだし……。お父さんも、まあ似たような感じよ。今は単身赴任中で、家にいないけどね」
正直な話、この両親と共に過ごした時間なんてふゆからしたらシン以下なんだけど、それでもふゆの両親とフユコの両親は変わらずにいてくれた。
本当に、それだけは感謝しなければならない。最初にこの世界で出会えたのが、知らない知ってる人だったというのは大きかった。
……もしかしたら、この世界のプロデューサーや愛依、あさひもいるかもしれないなんて考えたこともあるけれど、もしもいたとしても、あいつらはふゆの世界の人間だからと考えてしまう。
「は〜い。お茶とお菓子ですよ〜」
お母さんがテーブルの上に二人分の紅茶とクッキー……。
「お母さん……なに? この山盛りは」
「男の子ならいっぱい食べると思って〜」
「だとしても多すぎでしょ!」
それにさっき激辛ラーメン食べてきたばっかりだし!
いくらシンとはいえ……。
「ありがとうございます! いただきます!」
「食べるの!?」
「あら〜。遠慮しなくていいからね〜」
さっき激辛ラーメンを食べたくせに、よく食べるわね……。
お母さんも笑顔で見守ってるし!
「ふふ〜。お母さん、男の子も欲しかったからふゆちゃんに弟が出来たみたいで嬉しいわ〜」
「初耳なんだけどそれ」
「はじめて言ったもの〜。結構頑張ったんだけどね……。あ、そうそうふゆちゃん」
「なに?」
「お見合いの話なんだけど〜」
危うく紅茶を噴き出しそうになった。
何がどうしてそんな話に繋がったわけ!?
今の発言でシンも手が止まってるし!
「は、はあ!? なんで急にそんな話になるわけ!?」
「だって、ふゆちゃんがザフト入っちゃってしかもパイロットになるんでしょう? 戦争は終わったけどまだまだ怖いし……。早いうちに結婚しておいた方がいいわよ? ほら、ふゆちゃんと相性のいい遺伝子の人を選んできたから……」
待って本当に。
お母さんいつの間にこんな!
当然だけれど、ふゆに結婚するつもりなんてない。
アイドルなわけだし、そもそも元のフユコの意思でもないふゆが決めていい話じゃない。
「なあフユ」
「なに!」
「プラントって遺伝子の相性で結婚する人を決めるのか?」
あー、そうか。シンが知らないのも無理はない。ふゆもプラントについてあれこれ調べている時に知って、ある意味一番驚いた制度。
婚姻統制。
読んで字の如く、結婚を国家が計画的に制限しているのだ、プラントは。
プラントは少子化に悩まされていて、ただでさえプラントにいるコーディネイターは6000万人ほど。ふゆの時代の日本の半分ほどの人口で、そのうえ少子化ともなれば焦るというものだろう。
そこでプラントは遺伝子調査によって子供が生まれる可能性が高い男女を結婚させるという政策を取っている。
そして、子供が生まれないとなれば不適合として婚姻が認められない。
結婚なんて、二人が愛しあっていれば問題ないでしょうに。
これも遺伝子を弄ってきたことのツケなのかもしれない。
前のプラント最高評議会議長パトリック・ザラは「科学技術の進歩でこの問題もいつか必ず解決するだろう」と主張していたようだけれど、100%そうだとは言えない。そんな技術が確立するまでの間にコーディネイターは絶滅するかもしれない。
それに抗おうというのが、この婚姻統制の制度。
「そんな感じで、プラントでは結婚出来るのは子供が出来る男女だけになってるわけ。それが嫌でプラントを出ていくコーディネイターも多いって話よ」
そう、コーディネイターだけで言えば世界で5億人はいるという。正確な数字ははっきりとは分からないのだけれど、おおよそそれぐらいという話。
婚姻統制や色々な理由でプラントを離れた、もしくは元からプラントに住んでいないコーディネイターの方が圧倒的に多い。
しかし、現在地球でのコーディネイターの出生は禁止されている。
ジョージ・グレンがコーディネイター技術を全世界に公開したのがおよそ60年前のCE15年。
その翌年には生まれる前の人間の遺伝子操作を禁止する「人類の遺伝子改変に関する議定書」が採択される。
しかし、現在の情勢を見れば分かるとおり密かにコーディネイターは生まれ続けた。コーディネイターを秘密裏に誕生させていた病院が、焼き討ちに合うなどの事件も起こっていたようだ。
その後、時代を経てCE55年にトリノ議定書が採択されると改めて地球でのコーディネイター出生が禁止されている。
なので年齢を考えるとシンとシンの妹は恐らくプラントで生まれて、幼い頃にオーブへと渡ったのだろう。
「そっか……。父さん達も何か思うところがあってオーブに行ったのかな……」
「……そうかもね。何か理由があったからオーブを選んだんでしょう」
「ふふっ、フユちゃん本当にお姉さんみたいね」
「別にそんなんじゃないから。ていうか、お見合いなんてしないからね!」
「え〜。それじゃあ、フユちゃんのアルバムを皆で見ましょう!」
「なんでそうなるわけ!?」
いや、別にふゆとフユは別人だから特に恥ずかしいというわけでは……。前言撤回。やはり、同じ顔と名前を持つのだ、むず痒い。
「あんたも興味津々になるんじゃない!」
「別にいいだろ。フユがどうしてこうなっていったか分かるかもしれないし」
どうしてこうなっていったってどういう意味よ。
「ふふ。親贔屓かもだけど、可愛い写真がいっぱいあるのよ。ほら、これとか……これは幼年学校の遠足の時で……これはお友達のミーアちゃんと一緒に遊んだ時」
お母さんがテーブルに広げたアルバムを、ふゆはソファにもたれて遠目に眺めていた。シンは身を乗り出して「へぇ」なんてリアクションを取りながらお母さんの話を聞いている。それでお母さんはすっかり調子を良くして更に饒舌になるし……。
「あ、そうそうミーアちゃん。最近見かけないんだけどフユちゃんは何か聞いてる?」
「え? 聞いてないけど……」
「あらそう……。歌手を目指してるって言ってたから、どこかで頑張ってるのかもしれないわねぇ。フユちゃんも一緒にオーディション受けてたらラクス様越えのアイドルに今頃なってたかもしれないわよ〜?」
「……ないない。ふゆがアイドルなんて」
そんなことを言って誤魔化す。
ふゆはアイドル。
だけど、フユは違う。
フユコ・マユズミはザフトに志願した少女なのだから。
それから、あっという間に時間が過ぎて。夕飯はお母さん自慢のハンバーグ。明らかに多過ぎたけれど、シンはバクバクと食べて完食してしまった。
多分、お父さんが単身赴任してふゆもアカデミーの寮だからお母さんは寂しかったのだろう。
久しぶりに賑やかな食卓になるのが嬉しくて、あんなに張り切ったんだと思う。
「おばさん、ごちそうさまでした! すっごいウマ……美味しかったです!」
「ありがと〜。シンくん、ほんといつでも来ていいからね〜」
お母さんはすっかりシンのことを気に入ってしまった。
根が素直で食欲旺盛、元気なシンは息子が欲しかったというお母さんにとってしてみれば理想的なタイプだったのかもしれない。
「途中まで送ってく……というより、食後の運動のついでについていってあげる」
「あ、うん」
こうして、夜の散歩へ。休暇中にアカデミーに近寄りたくはないんだけど。今日は少しカロリー摂取量が多かったから少し歩いた方がいい。
「そういえば、おばさんが言ってたアイドルのことだけど、フユも友達と一緒にアイドル目指してたのか?」
「……なんでそう思うわけ」
「ほら、前に寮の裏でダンスの練習してたろ? あれって、そういうことなのかと思って」
「……だったらなに? 軍やめてアイドル目指せって言いたいわけ?」
「いや、そういうわけじゃ……」
まあ、ザフトは別に正規軍というわけではなく義勇軍というやつだから他の肩書を持っている人は多い。
たとえば砂漠の虎の異名で知られるアンドリュー・バルトフェルドは心理学者だったようだし、別にアイドルがいても問題はないのだろうけど。
「でも、フユならラクス・クライン……だっけ? よく分かんないけど、すごい人気のアイドルなんだろ? そいつだって超えられるってオレ……」
「バカね。そう単純な世界じゃないのよ、
この世界の芸能界のことなんて知らないけれど。それでも、いくら時代が経ても芸能界という世界の煌びやかさと、その分の濃い影は変わらないだろうことは容易に想像がつく。
それに……アイドルをやるなら、あいつらがいないとダメ。
なんてこと、シンに言ってもしょうがない。
「あんた、休暇中はずっと寮にいるわけ?」
「ああ。他に行くとこもないし、勉強とかトレーニングするよ」
「そ……。ま、暇になったら家に来てもいいけど」
「いいの?」
「すっかりお母さんもあんたのこと気に入っちゃったみたいだし、ずっと寮にいると息が詰まるでしょ。言っとくけど、毎日来いとは言ってないから節度を考えなさいよ、節度を」
「わ、わかった……。気が向いたら、行く」
そんなこんなで話をしながら歩くと、いつの間にかアカデミーの門の前だった。
「今日はありがとな。おばさんにも、料理全部美味かったって」
「はいはい。伝えとくから。それより、食べ過ぎの胃もたれと激辛ラーメンの代償に気をつけることね」
「なんだよそれ。フユこそ、夜道気をつけて帰れよ」
「格闘でふゆに勝ったことない奴に言われてもね〜」
「うるさい! 後期では絶対勝つからな!」
「はいはい、それじゃおやすみ」
まだ背後でワーワー喚いているようだけれど振り向かずに真っ直ぐ帰る。
ほどよく歩いたおかげか欠伸が出る。
今日はよく眠れそうね……。
次の日、シン、ヨウラン、ヴィーノは激辛ラーメンのバックファイアによりケツを痛めたという……。
「くぅ……! フユはなんともないのか……これ……?」
一方の冬優子は。
「プラント名物、海鮮ジョンゴル鍋……。休暇中に食べに行きたいわね……」
無傷!
呑気に雑誌のページを捲っているのであった。
ふゆ 海鮮ジョンゴル鍋……ジョンゴルってたしか鍋って意味じゃなかった?海鮮鍋鍋?
シン 二人よりたくさん食べた分もあってダメージ量が増加していた。
黛母 シンが可愛くて仕方がない。これからもたくさん遊びに来ていいからね?
黛父 単身赴任中。戦後の処理に奔走しているとかなんとか。
友達 フユコの友達。素朴な顔立ち。