なんでふゆがザフトになんか!   作:大ちゃんネオ

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そういえば、この作品読んでる人はシャニマスもSEEDシリーズも見た人ばっかなんすかね?
片方しか知らないみたいな人もいるんすかね?って心の中のあさひが言ってる。


1と3の境界

 休暇も一瞬で終わり、いよいよアカデミーの後期が始まる。

 初日ということもあり座学で終わった比較的楽な一日ではあったけれど、ふゆだけは少々やることが出来てしまった。

 

「それじゃあ笑顔くださ〜い」

「は〜い❤️」

「あ! いいね〜! ちょっとポーズもつけてみて!」

「こう、ですか〜?」

「すごい! すごくいいね〜!」

 

 訓練機のジンの足元で広報の腕章をつけた緑服の方からカメラを向けられていた。

 アカデミーの広報誌用の写真撮影で、現役の訓練生が表紙を飾るということでふゆが抜擢されてしまったのだ。

 広報官の方々、それにアカデミーの同期達が遠目からふゆの撮影風景を眺めていて、久しぶりに仕事をしているような気分。

 

「それじゃあ次は……カッコいい顔は出来るかな?」

「えーと……こうですか?」

「っ! いいね〜!」

 

 ふふっ。ふゆはどちらかというと、こういう顔の方が得意なのよね。

 こうして、滞りなく撮影は終了。

 

「すごいねマユズミさん。本当のモデルとかアイドルの撮影してるかと思ってしまったよ」

「えっ!? いえ、そんなことないです〜」

 

 いけない……つい、いつもの撮影と同じ感じで素人感が足りなかったかもしれない。

 これでふゆがアイドルだったなんてバレることはないでしょうけど、不自然に思われるのもそれはそれで面倒。

 

「いやー良い写真いっぱい撮れたよ。どれを使うか、会議が白熱しそうだ」

「ありがとうございます❤️ 完成が今から楽しみです!」

 

 なんにせよ撮影は終了し、あとは日々の訓練だとかアカデミーでの生活だとかに関するインタビューが行われた。

 これがアカデミーの宣伝にも使われ、志願者を増やそうという計画の一端でもあるという。

 女性志願者も年々増えてきてはいるけれど、更なる増加を目指すためにとふゆに白羽の矢が立ったのだ。

 

「1、2、3、4……」

 

 久しぶりにアイドルらしいことをしたせいか、自主練も気合が入っていた。

 絶対にアイドルとして返り咲く。この場合、帰り咲くとでも言った方がいいかしら、なんて。

 

「ミーア……。ミーア・キャンベル……」

 

 否応なく、意識せざるを得なかった。

 フユコ・マユズミと幼馴染の彼女は、フユが素を見せることが出来た数少ない友人の一人だったことはメールでのやり取りなどから把握していた。

 動画も残されていて、ミーアの歌の練習風景を録画したものだ。たしかに、歌は上手い。ただ……歌声が、ラクス・クラインに似ていた。そのことは本人も自覚していて、「ラクス様のモノマネ芸人とかになるしかないかな?」なんて弱音を吐いているメールも見られた。

 現状、最後のメールでは「わたし、次のオーディション絶対合格してみせるから! フユもザフトで頑張って!」とある。

 それにフユも気安い返事をしていた。以降、特に連絡もなし。

 ふゆからすることもなく、連絡がないのが良い報せということもあるだろう。

 けれど、何か妙な胸騒ぎがする。

 どうしてこんな胸騒ぎが……?

 

 しかし、そんなことを気にする暇もなくなっていった。

 パイロット課程は前期教育の比でないほどに厳しく、辛い訓練であったためだ。

 あっという間に時間が過ぎて、一ヶ月が過ぎていた。

 訓練機を用いた模擬戦闘、ナイフ戦、情報処理、射撃・爆薬処理……サバイバル訓練まで。流石に少しキツい。

 そう思い始めた頃のこと。

 訓練終わりでベッドに突っ伏していると、ルナマリアがやたら機嫌良く部屋に入ってきた。

 

「フユ! この前広報誌の撮影したやつ出たわよ!」

「えぇ……?」

 

 胸の前で広報誌を抱えてテンション高くルナマリアが声を弾ませている。

 広報誌の表紙には、敬礼しているふゆがいた。

 

「なんかすごいわよ。フユのグラビアかってぐらい写真載ってる」

「ふぅん……」

 

 起き上がり、ルナマリアから広報誌を受け取ってページをぱらぱらと捲る。

 たしかに、聞いていた以上にふゆの写真が使われていた。

 ……まあ、久しぶりにしては上出来ね。

 

「……フユ、なんかプロみたい」

「え?」

「なんていうの? 自分の仕事の出来栄えを確認をしてる、みたいな? そんな顔してたわよ」

「そ、そう? 別に、普通のことじゃない。変な顔を載せてないか〜とか、気になるでしょ?」

「それはそうだけど……。あ、そうそう。メイリンがすごい写真気に入ってたわよ。3冊も持ってちゃって」

 

 鑑賞用と保存用と実用用ってとこかしら。

 それにしても……。

 

「メイリンねぇ……」

 

 赤髪のツインテールが頭に浮かぶ。

 メイリン・ホークはその姓のとおり、ルナマリアの妹。管制官を目指して、そちらの道へ進んだためあまり関わりがないのだけれど……。

 

「すっかりフユのファンだものねぇ」

「だからやりづらいのよ……」

 

 メイリン曰く。

 

「ファッションが可愛い」

「笑顔が素敵」

「成績も優秀」

「こんなお姉ちゃんが欲しかった」

 

 などなど。

 ただ頑張るだけでこんなファンを作るなんて、ふゆも罪な女ね。なんて、冗談はさておき。

 

「アタシなんて、フユと距離が近いなんて言われたりするのよ」

「あらあら。それは強火ね」

「もう、すっかりアイドル扱いよ」

 

 アイドル扱い、ね。

 

「だから面倒なんでしょ……。素なんて晒そうものなら幻滅されるわ」

「そうとは限らないと思うけど……。ま、ショックで数日寝込むかもだけど」

 

 そうなるレベルなら余計に素なんて晒せない。ルナマリアの妹というのもあってタイミングを見て種明かし……というわけではないけれど、気安い仲になるのも良いかと思っていた。

 休みの日とか、ルナマリアとメイリンで結構遊びに行ったりもするし。

 

「人気者は辛いわね〜」

「うっさい」

 

 ともかく、広報誌の撮影は上手くいってなにより。

 ふゆもまだまだ衰えてはいないということ。

 

「そういえば、最近アグネスがおとなしいわね。シンにやられて懲りたのかしら」

「そうだといいけどねー。嵐の前の静けさ、かもしれないわよ」

「怖いこと言わないでよ……」

 

 予想は悪い方にしておくもの。何もないならないでラッキーと思えば、より得したような気がしてくる。

 さて……いつまでもベッドの上にいるわけにはいかない。

 いつも通り、自主練に励みましょうか。

 

「じゃ、ちょっと出てくるから」

「あ、うん。……でも、気を付けた方がいいわよ」

「え? 気を付けるって何に?」

「まあ、いいからいいから。いってらっしゃいフユ」

 

 やたら眩しい笑顔で送り出された。

 一体なんだって言うのよ……。

 そうして寮を出ようとして……なかなか外に出ることが難しかった。

 

「フユ! サインちょうだい!」

「マユズミさん! いいえフユちゃん!」

「私にも!」

「ええっ!?」

 

 出待ちされていた!?

 しかも、出待ちしていた奴等の声に釣られて寮の各部屋からぞろぞろと人が出てきてサインを求められた。

 今のふゆはアイドルでもない、ただのアカデミーの学生なのに!?

 

「ええっと……ふゆ、サインなんて……」

「名前、名前書いてくれるだけでもいいの!」

「良ければ、写真一緒に撮らせてもらってもいいかな?」

「なにそれ狡い!」

 

 何よこの状況……。

 混雑なんて状況じゃないでしょ!

 あー、もう!!!

 

「ええっと……。皆さん、一列に並んでくださ〜い❤️」

 

 誘導はスタッフの仕事でしょうに。とはいえ、そんな人材がいるわけもなく……ルナマリアを駆り出してやろうか。

 

「はーい。サインと写真撮影も一人ずつ順番に行いますので、慌てずに待っていてくださいね〜」

 

 こうして突然のサイン会、撮影会が始まってしまった。

 流石に進行が大変だったのでルナマリアを誘導に立たせて、なんとか捌き切るしかない。

 というわけで一旦、部屋に戻る。

 

「ルナ、あんた手伝いなさい」

「えっ、ちょっと!」

「それじゃあルナには列の整理とカメラ、お願いするね❤️」

「ちょっとフユ! あーもう!」

 

 サインは流石にふゆのものを使うわけにはいかない。こいつ、サインなんて準備してやがったのかなんて思われないためと、素早く終わらせるために「フユ」とだけ書いて、サクッと写真撮影に応じる。

 

「あぁ……! 無理……!」

「何に対する無理なの」

 

 ルナマリア、オタクにそんなこと言わない。

 オタクは軽率に無理とか死とか言う生き物なんだから。

 

「メカニック課程のルイスちゃん、だよね? ふゆの写真、気に入ってくれてありがとう❤️」

「はうっ!? 推しに認知されてる!?」

 

 まあ、同期だし。アイドルとファンの関係のそれではないので名前ぐらいは覚えていてもおかしくはない。

 それにしても、推しなんて久しぶりに言われたわ。

 

「あ、あの! このカッコいいフユちゃんのお顔でお願いします……!」

「はーい❤️ ……こう?」

「きゃっ! 顔が良い〜……!」

「撮るからこっちに顔向けて〜」

「どうしようツーショットなんて……! 推しの魅力が私のせいで損なわれたりしない?」

「フユちゃんの魅力はそんなんで損なわれないって」

 

 まさか広報誌一冊でここまでになるなんて。

 ラクス・クラインにもどハマりするし、案外プラントのコーディネイターはこういうものに弱いのかもしれない。

 

「あ、メイリン! あんたも並んでたわけ?」

「当然。フユちゃんのサインが貰えて、そのうえ写真まで一緒に撮れるんだよ!」

「あんたねぇ……」

「わ〜メイリンちゃんもありがとう❤️」

「フユちゃん〜!」

 

 ささっとサインを書いて、写真撮影。

 あー、流石に立ちっぱなしは辛い。

 けれど、立って座ってを繰り返すよりは体力的にはマシ。このままやるしかない。

 これまでサイン会も握手会も撮影会も何回もやってきたんだから、この程度でへこたれるわけにはいかないんだから!

 

 行列を捌き切る頃には外はもう暗くなっていた。

 一旦部屋に戻り、ベッドに飛び込む。ルナマリアもまったく同じように俯せになって疲れ果てている。

 

「フユ……あんたアイドル向いてるわよ……」

「そういうルナはイベントスタッフ向きよ……」

 

 重なるため息に部屋が沈む。

 鉛のような身体にベッドは危険。いつの間にか、二人して眠りについていた。

 




ふゆ この程度のサイン会と撮影会で疲れるなんて衰えたものね……!(訓練終わりということを考慮してない)

ルナ デスティニープランやったらイベントスタッフになるかもしれない。

広報 広報官。フユに心奪われてしまった男。
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