たくさんお気に入り、評価ありがとうございます!
あともうちょっとでバーも埋まりそうです!
今まで毎日投稿出来てましたが、以降は不定期気味になるかなぁと思います。
ちょっとオフを入れつつ&他の作品書く時間も欲しいといった理由で、全然元気なのでご心配なく!
プラント最高評議会、アイリーン・カナーバ臨時政権はユニウス条約を締結し、その後の処理を終えて先日解散。
そして、ギルバート・デュランダルが最高評議会議長に就任し、デュランダル政権が発足。
それからというもの、ザフト軍内は色々と慌ただしいらしいけれどアカデミーの学生達にはまだその慌ただしさを味わうほど軍のことを分かっている者はいない。
と、思っていたのだけれど……。
「なあ聞いたか! 新型量産機の話!」
カフェテリアでいつもの四人+メイリン・ホークの計五人で休憩中、ヨウラン・ケントとヴィーノ・デュプレが興奮気味にふゆ達の席に近づいてきて、目を輝かせながらそんな話題を切り出してきた。
メカニック志望らしく、そういう話題には目がないのだろう。
……一応、パイロット課程のふゆも興味を示しておいた方がいいか。
「へぇ、どんな機体なんだ?」
「ジンとかゲイツの新モデル?」
「それがまったくの新型でさ、たしかザクって言ったかな?」
「ザク? 変な名前」
ルナマリアがそう言うのも無理はない。
ふゆは一瞬、ザコかと思ってしまったけれど流石に国防のための兵器にそんなあんまりな名前はつけないだろう。
「でさ、このザクのすごいところがバックパックを換装していろんな場面に対応出来るようになるんだって!」
ヴィーノ・デュプレが説明し、頭の中で連想する。
そうは言いつつも、ジンも確か拠点攻撃用とかあったはずだけれど……。メカニック志望の二人が興奮気味で語るのだ。きっと、それ以上に画期的なものに違いない。
「バックパックを換装して、装備オプションを変更してあらゆる戦況に対応……」
「それって……連合のストライク……? だっけ?」
ホーク姉妹がそう言うと、メカニック志望の二人がどこか冷めた目でホーク姉妹を見つめた。恐らく、言われたくない言葉だったのだろう。
なんせ、連合の機体のパクリと言われたも同然なのだから。
まあ、ふゆもそう思ったけど。
「ストライクって……なんだっけ?」
シンの発言に、メカニック志望二人のヘイトがシンに向く。
ルナマリアはやれやれと頭を振り、メイリンの方はあり得ないものを見るような瞳でポテトチップを頬張り続けるシンを見つめている。
レイはいつも通りの澄まし顔でコーヒーを飲んでいる。仕方なく、教えてやることにする。
「もうシンくん。教官が前に話してたでしょ? 前の戦争の中盤、最強と言われた連合のモビルスーツのことだよ」
「あー。なんか、聞いたような……」
「フユコ、もっと詳しく説明してやれ」
なんであんたに指示されなきゃいけないのよレイ……!
あんたが説明しなさいよあんたが!
「連合が最初に開発した5機のモビルスーツのうちのひとつで、バックパックを換装することでいろんな状況に対応出来るって機体だったみたい。実際、それですごい被害をザフトも受けたんだよ」
「へぇ……。すごい被害って、どんな?」
相変わらずシンはポテトチップを食べ続けている。
……シンがたまにあさひに見える時があるのよね。
「まず大きいところだと、砂漠の虎って呼ばれていたアンドリュー・バルトフェルドの部隊、バルトフェルド隊を壊滅。紅海の鯱、マルコ・モラシム率いるモラシム隊も壊滅。あとは……クルーゼ隊が奪取したストライク以外の4機を投入したけど仕留められなかったとか、奪取したブリッツが撃墜されたとか……。最終的にはクルーゼ隊のアスラン・ザラが撃墜したって……。これでいいかな、レイくん?」
「ああ。問題ない」
はあ……。なんでわざわざこんな説明をふゆがしなくちゃいけないわけ……。
これでシンがまったく覚えてなかったら骨折り損よ!
「……そんなすごいことなのか?」
骨折り損決定。
あとで格闘訓練と模擬戦でシンに制裁を加えることを決定。
「フユが言ったとおり、ストライクは連合が最初に開発したモビルスーツ5機のうちの1機なのよ。1機で全部なんとかしてたの!」
「1機で!?」
「正確には、モビルアーマーと地上に降りてからは支援戦闘機がいたらしいがな」
「だとしてもすごい戦果よ! あり得ないわ」
たしかに、話に聞くだけでは眉唾物もいいところだ。
それだけの戦力でザフトの名だたる部隊と戦い、勝利するなんていうのは。
「宇宙でも砂漠でも海でも戦ってるわけだもんな。いるか? そんなモビルスーツとパイロットが?」
「けど、実際に記録が残ってるわけだし、アスラン・ザラもストライクを撃墜したからネビュラ勲章貰ってるんだから。事実は小説より奇なりってやつ?」
「そのアスラン・ザラも機体を自爆させて討ち取ったほどだからな」
未だにザフトのトップガンとして名を挙げられるアスラン・ザラが自爆という最終手段を用いたほど、というのもまたストライクを伝説たらしめているのだろう。
当時のアスラン・ザラはストライクの兄弟機「イージス」に搭乗していたという。
当時最新鋭、最高峰のモビルスーツ、そしてパイロットの戦闘はどれほどの激戦だったのだろうか。考えるだけでも恐ろしい。
「ストライクもだけど、ヤキン・ドゥーエのフリーダムもすごいわよね。どんなパイロットが乗ってたんだろう」
「フリーダムって、ほとんど記録残ってないんだろ? 急に現れてその後も消息不明だっていうし」
ZGMF-X10Aフリーダムは大戦終盤に現れ、アークエンジェル、エターナルらと共に戦った機体。
歌姫の騎士。
正に伝説、英雄的。
こっちも噂に尾鰭がつきまくってもいるし、果たしてどこまで本当なんだか分かりゃしないけど。
みんなが口々にフリーダムの話をしている中、シンはポテチを貪っている。花より団子というか、なんというか……。
そんな風に思っていると、話題はフリーダムからストライクに戻っていた。
「でもさ、ストライクのパイロットってナチュラルだったのかな」
「ナチュラルじゃないの? 連合なんだし」
「噂だと、コーディネイターなんじゃないかって話もあってさ」
また変な尾鰭がついてるわね。
……けど、少し気になるかもしれない。
ストライクのパイロットがどんな人物だったのか。
コーディネイターとナチュラル。一般的にコーディネイターの方が優れているとされるが、正確に言えば総合力で優れると言った方が良いのだろう。
例えば、ファースト・コーディネイターのジョージ・グレン。
彼は17歳にしてMIT博士課程を卒業。アメリカンフットボールのスター選手であり、海軍に入隊し、空軍に移ってからはエースパイロットとして名を馳せ、オリンピックでは陸上競技で銀メダルを獲得している。そう、銀メダル。彼に勝った人物がいる。
まさか、狙って銀メダルを獲ったわけではあるまい。
ジョージ・グレンを下したのは当然ナチュラルである。
充分、銀メダルでも大したものではあるけれど、コーディネイターを上回る身体能力を持つナチュラルとて存在する。
モビルスーツのパイロットの中にコーディネイターを上回るようなナチュラルが存在してもおかしくはない。実際、前の大戦では連合にもエースパイロットが存在していたわけだし。
仮にストライクのパイロットが噂通りのコーディネイターだったとして、当時のクルーゼ隊で活躍していたアスラン・ザラ、イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマンなどの名だたるエースパイロット達が苦戦させられたのだ。コーディネイターだとしても恐ろしく優秀だ。
「そういえば前に教官から聞いたんだけどさ、連合から奪取した4機はOSが滅茶苦茶でナチュラルが動かせるようなものじゃなかったって。教官、そん時はクルーゼ隊の整備士だったから嘘じゃないって」
「うっそ。じゃあ本当にストライクのパイロットってコーディネイターかも!」
「ストライクだけOS完成してたとか?」
「それなら全部の機体そうだろ」
それもそうね……。
ほんと、なんていうかここまで来ると伝説というより都市伝説ね。
下手に実像があるから、却って実情が掴めない。特に戦時中なんていう混乱だらけの状況では。
やがて時が経つにつれて、よりその実像は偶像を纏っていくのだろう。
偶像、アイドル。
アイドルというには、厳ついわよねぇモビルスーツは。
もっと可愛らしい機体があれば……いや、ないか。モビルスーツに可愛さなんて求められるはずもない。
「なに笑ってるのフユ?」
「え? わ、笑ってた……?」
「ええ。微笑んでるって感じだったけど」
「ストライクと戦ってみたいとか考えてたのか?」
そんなわけないでしょバカシン!
「フユちゃん……勇ましくてカッコいい……」
「メイリンちゃん、違うからね?」
「フユコならきっといい勝負が出来る」
「レイくんの方が成績いいよね?」
メイリンはともかく、レイは完全にふゆのことイジったわよね?
イジったわよね?
こいつ、普段は無口で無愛想なくせにちゃっかりイジったわね?
「ザフトの将来のエースだもの。ストライクが何体現れても倒してやる! ぐらいの気持ちを持たなきゃダメってことね。さすがフユ」
「ルナちゃん〜?」
ルナマリアには伝わったらしい。ふゆの怒りが。
今度の模擬戦、見てなさいよ……!
演習場では勝ち残り式で模擬戦が行われていた。
ジンの突撃機銃のマガジンを交換。
赤いマガジンは模擬戦用の模擬弾がこめられている。
「フユ! 待ってくれ!」
「ふふ❤️ 戦いに待ったは無しだよ〜?」
「うわぁ!?」
まず一人。
シンの機体、胸部中央に模擬弾が命中。
「フユ! この前はごめんって!」
「ふゆ、何のことか分からないな〜」
ルナマリア機の頭部に模擬弾命中。そこからコックピットへと向けて銃口を下げていく。
二人目、完了。
「レイくん……!」
「チィッ!」
模擬戦用サーベルでレイ機と打ち合う。
レイ機が振るったサーベルをバックステップで避けて、着地と同時に地面を蹴って間合を詰める。
向こうはサーベルを振り切っている。最高のタイミングで踏み込めた。
「やあっ!」
レイ機の首筋でサーベルを寸止め。
教官がブザーを鳴らし、ふゆの勝ちが確定。
これであの時の仕返し完了っと。
今日はレイにまで勝っちゃったし、調子がいいわね。
「……パイロットになるつもりがなかった奴とは思えないな」
「え!?」
言われてみると確かに……。
訓練終了後、教官から「やはりマユズミはパイロット課程に来て良かったな!」などと調子良く言われてしまった。
これじゃあ余計に前線に送り付けられてしまいそう。程々に、程々の成績をキープするつもりだったのに……!
ああもう、ふゆのバカ!
ふゆ 可愛いMSの想像してたらなんか勘違いされたので全員処罰した。
シン 模擬戦だけでなくナイフ戦、格闘などで冬優子に散々やられた。何をそんな怒ってるのかは分かっていない。
ルナ フユは絶対にエースパイロットになると確信した。
レイ はじめてフユコに負けたが、これまでも危ない場面は結構あった。ギルに見られてないだけまだいいと思っている。