なんでふゆがザフトになんか!   作:大ちゃんネオ

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一話だけだと冬優子のことあんま書けてないなと思い反省し、ちょっとだけ続きました
これ以上はきっと不可能です


ふゆはフユコ・マユズミって言います

 プラントでは成人年齢は15歳となっている。

 コーディネイターはナチュラルより5歳は上の能力を持つという(雑な認識)。

 簡単に言えば、7歳で12歳程度の学力を持つ……みたいなことだろう。まあ、そんな単純な話じゃないんでしょうけど。

 けど、ナチュラルよりも習得が早いのは確かでこちらの世界の黛冬優子も16歳(ふゆは19歳)にして様々な知識を叩き込まれたらしく、部屋にあった教科書や参考書の類をパラパラと捲るとこちらのふゆが記憶した知識が呼び起こされでもしたのか、ふゆでも理解することが出来た。

 頭の出来はこちらのふゆの方が良いということを痛感させられたのが少し悔しいが、そこは宇宙時代。覚えることも色々と多いのだろう。

 とにかく、そんなこんなで15歳にして社会に叩き込まれるのがプラントという場所だ。こちらの冬優子は16歳で、成人してから1年はどうやらアパレルショップで働いていたようだ。知能、体力に優れたコーディネイターといえど、みんながみんな特別な職に就くというわけでもない。生活を支える人間は当然必要だ。

 しかし、何を思ったのかこちらのふゆは軍隊……ザフトに志願した。

 

 そんなこんなで現在。入隊? 入学? の手続きを終えてまずはこれから暮らす寮での顔合わせとなった。

 共同生活……ボロを出さないようにしないといけない。

 これまでの人生において、ふゆは度々ふゆの仮面が外れてしまう時があった。

 たとえば、小学生の頃。

 ふゆのことを気に入らない同級生から色々と言われてビンタされたことがあった。

 その頃は特別意識してふゆを演じていたというわけではない。

 最初はなんにも考えてなかったのよ。

 ふゆがいい子だと、両親も、先生も、みんな喜んでくれた。だから、いい子であるように努めていた。

 そうすればみんな、ちやほやしてくれると味を占めてもいたのだろう。

 それをよく思わない同級生の女子と口喧嘩になった。

 

「黛さんって人によって態度変えるよね」

 

 そんなことを言われて。

 

「……それはあんたたちも一緒なんじゃないの?」

 

 なんて、反論したりして。

 調子に乗るなとビンタされた。

 それで、やり返した。

 その結果、ふゆだけが教師から怒られた形となった。少なくとも、ふゆの目にはそう見えた。

 やり返したら、向こうが泣き出して。先に手を出したのは向こうなのに。

 ふゆと「ふゆ」が違ってしまうのはよくないことだと気付いた。

 中学ではもっと上手くやろう。

 高校でもっと上手くなった。けど、たまにボロを出しては人間関係をリセットしたりなんかして。

 専門学校に入って、あいつにスカウトされて283プロに所属することになってからも上手くやれていると思っていたけれど、あいつとあさひ、愛依の三人には早々にバレてしまった。これはこの際いいだろう。

 ともかくそういうこともあって、283プロの事務所近くにある寮に入ることはしなかった。わざわざ茨城から東京に通うのは大変だったけれど、共同生活の中でふゆが出てしまうのを避けたのだ。せめて家でぐらいは素でいたい。

 それが今、人生史上恐らく最長の時間「ふゆ」として振る舞わなければならない。

 出来る? そんなことが。

 

「ふゆなら出来る……」

 

 そう自分に言い聞かせて、これから約1年を過ごすことになる部屋へと足を踏み入れた。

 一番最初に目についたのは、赤い髪。紅紫といったぐらいの色合いのショートヘア。そして、アホ毛。

 見事なアホ毛。ブーメランのようなアホ毛だ。

 八宮めぐる、小宮果穂、有栖川夏葉、桑山千雪、浅倉透、緋田美琴といった283プロのアホ毛アイドル達が脳裏を過ぎる。

 多くない?

 うちの事務所、アホ毛持ち。

 いや、それよりも今は目の前の人物を相手にしなければ。

 

「はじめまして〜。まゆずっ……フユコ・マユズミって言います❤️ よろしくお願いしますね」

 

 未だに慣れない。フユコ・マユズミというのは。宇宙時代は多国籍で、英語のようにファーストネーム、ファミリーネームの順に名乗ることになっていた。

 違和感あるったらありゃしない。

 そして同室の相手もまた異国の人間。

 

「ルナマリア・ホークよ。よろしく」

 

 差し出された手を取った。

 背丈はふゆと変わらないくらい。

 青紫の瞳が綺麗な子だと思った。やはり容姿が整っている。

 

「ルナマリアちゃん、かわいい名前〜」

「そう? フユコもいい名前じゃない」

「そうかな〜。あ、そうだ。ふゆのことは、ふゆって呼んでほしいな……」

「フユ? いいけど……」

 

 っしゃぁ!!!!!

 ルナマリア、なんていい子なの。

 思い起こせばふゆのことをふゆと呼んでくれない奴等が多すぎた。あいつも、あさひも愛依も!

 出会ってから冬優子ちゃん冬優子ちゃんとばかり……。

 他のユニットのアイドル達からもなかなか呼んでもらえず、28人いるアイドル(ふゆを抜いて27人)とプロデューサー、事務員のはづきさん、社長といる中でふゆと呼んでくれているのは10人程度だ。

 事務所の人間の半数以下。由々しき事態よ。

 とにかくルナマリア・ホークの第一印象は悪くない。この聞き分けの良さをあいつらに見習ってほしいものね。

 

「それなら、アタシのこともルナって呼んで。ルナマリアって長いでしょ?」

「え〜いいの〜? ありがとう❤️ これからルナちゃんって呼ぶね」

「ちゃん付けはちょっと……」

「えっ」

 

 それから、ルナマリア・ホーク……ルナとは互いの身の上話をした。

 なんで軍に志願したのか〜とか、家族はどうの〜とか。ルナはふゆと同じ16歳で年子の妹も一緒に志願したという。

 どうせなら妹と同部屋にすればいいのにと思ったけれど、軍隊の教育的に協調性がどうのみたいな理由で離されたりしたのだろう。

 同い年ということもあり、想像以上に良好な関係を築くことが出来た。まずは一日目。この調子であれば問題なく過ごすことが出来るだろう。

 

 なんて、甘い考えは捨てるべきなんだろうけど。

 

 

 それから本格的に訓練がスタートした。

 訓練というと匍匐前進したり、銃を撃ったりそんなものばかりを連想していたけれど、意外と座学も多いカリキュラムのようで、現在も広い教室で教官が来るのを待っているところ。

 アカデミーには15歳から入学が出来る。なので、年齢的にも成人したばかりの子達が多い。そのため、傍目には軍の学校というよりも高校といった雰囲気の方が近いように感じる。

 しかし、学校ほど甘くはない環境だ。

 身体を動かしての訓練は当然厳しいし、座学もレベルが高く、テストが頻繁に行われる。

 訓練で体力を消耗したあとの座学や自習は睡魔との戦いだ。

 モビルスーツ工学に情報処理。他にもたくさん。

 このふゆの身体がコーディネイターではない、元の身体であったら絶対についていけていなかっただろう。

 ふゆの想像以上にフユは優秀だったらしい。それも、コーディネイターの中でもだ。

 わけ分かんないことばかりだと思っていたけれど、すんなりと知識が頭の中に入っていく。スポンジのようにとはこのことかと感動したぐらいだ。

 おかげで最初の小テストの成績も、上位に入っていたし、この調子ならなんとかなりそう。

 成績の良さもあってか、ふゆの周囲には男女問わず人が集まり始めていた。

 

「フユ、ノートありがとう! すごい丁寧で見やすかった!」

「本当? よかった❤️ これで次のテストの点数が低かったら、罰ゲームしちゃおうかな〜」

「ええ!?」

 

 ルナとは良好な関係を構築し、継続している。

 相部屋という環境に最初こそ緊張があったけれど、早くもすっかり慣れたもので今のところ問題はない。

 

「フユ! 今日のモビルスーツ工学で分からないとこあったんだけど……」

「今度の休みさ、みんなで遊びに行かね?」

「フユ〜聞いて〜」

 

 ふふふ、いいわ。

 ちゃんと出来ている。

 それに、まわりも「ふゆ」って呼んでくれている。

 軍隊ってのもあって結構身構えてたところあったけど、案外みんな純粋な子が多いというか、子どもっぽいと言うと少し悪意があるようね。

 ともかく、上手くやれている。

 ふゆはふゆをちゃんと、やれている。

 

 

 

 

 一日の終わり。この日は座学で終わり、ルナと一緒に教室から出ようとしていた時のことだった。

 まだ教室に残り、頭をかきながら教本と向き合っている黒髪の少年がいた。

 彼はたしか……。

 

「まーたやってる。シンってば、本当についてこれるの?」

 

 ルナが少年の名前を口にした。

 そう、彼の名前はシン。シン・アスカだ。

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