なんでふゆがザフトになんか!   作:大ちゃんネオ

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台本通りの茶番劇

 モビルスーツのコックピットを模した筐体に腰を下ろす。ゲーセンにこんなのもあったなぁなんて思いながら、手順に従い起動。画面に映し出された宇宙と対面のモビルスーツはとてもCGとは思えない。

 ひとつ目で、大きなトサカを持ったグレーの機体。

 ZGMF-1017「ジン」が搭乗機として設定されている。いずれ、実機を用いた訓練でもジンが使用されるという。

 ハインライン局が開発した世界初の汎用的量産型モビルスーツ「ジン」は前大戦において圧倒的物量、戦力を誇る地球連合軍に対して、ザフトが序盤圧倒的優位に戦局を進めることが出来た大きな理由のひとつだ。

 まさに名機。

 それでいて、実態は既存技術の応用の塊。

 源流を辿るとファーストコーディネイター、ジョージ・グレンの木星探査船に搭載されていた宇宙服になるという。と言っても、ふゆの時代の宇宙服とはわけが違うんだけど。

 ……そういえば、ノクチルの浅倉透が仕事で宇宙服着てたわね。どんな仕事取ってきてんのよあいつ(プロデューサー)は。

 閑話休題。

 

 その後、足場の整っていないような環境で作業するために二足の脚部と作業用のマニピュレーターを持つ作業重機パワーローダーが開発される。

 これを前身に多様な武器を持つ手と様々な足場に対応する足を持った兵器の開発が始まることになる。

 やがてその兵器は「戦艦に匹敵する火力」、「戦車に匹敵する装甲」、「戦闘機に匹敵する機動性」という全てを兼ね備えた兵器を目指し、コズミック・イラ65年に試作型がロールアウト。2年後には正式量産が開始される。ここまでは座学で習ったところ。

 

 まあつまり、生まれてからまだ10年も経っていない技術なのだモビルスーツというものは。

 この通り、既存技術の応用なので作ろうと思えばどこの勢力でも作れたんでしょうけど、操縦系統はコーディネイターの基準で作られている。

 高い反射神経、運動能力、認識力、判断力が求められ、そのためにナチュラルからすれば非常に扱いが難しい代物であった。それがモビルスーツを戦場で優位に立たせていた理由のひとつなのだろう。

 けれど、想定された敵は地球連合軍のメビウスというモビルアーマーだったために連合もモビルスーツを保有するようになってからは対モビルスーツ戦を余儀なくされ、徐々にモデルチェンジされていくこととなった。

 より強いモビルスーツが望まれたのだ。

 強敵を打ち倒すために。

 

 ザフトの兵士達に未だに恐れられている連合の伝説的モビルスーツが存在する。

 その名はストライク。

 ジンなどのモビルスーツに対抗するため、連合が最初に開発したモビルスーツのうちのひとつであるストライクはザフトに大きな損害、そして影響を与えたのだ。

 ストライク及びストライクを運用した戦艦アークエンジェルは宇宙でクルーゼ隊の追撃を躱し、地球降下後には「砂漠の虎」の異名を誇ったアンドリュー・バルトフェルド率いるバルトフェルド隊を撃破。その後、「紅海の鯱」と呼ばれたマルコ・モラシムの部隊もストライクとアークエンジェルにより壊滅。

 

 宇宙では無数のジンが撃墜された。

 砂漠では陸戦用のバクゥ部隊とラゴゥを撃破。

 海では水中戦用モビルスーツ部隊を壊滅。

 数、地形、様々な面においてザフトは圧倒的優位な状態であったが、尽くストライクによって討ち取られていったのだ。

 ストライクは多くのザフト兵を恐怖させた。

 更にはザフトが連合から奪取したストライクの兄弟とも言えるブリッツまでもが墜とされる。

 そして、ストライクはザフトのトップガンとして名が挙げられるアスラン・ザラが搭乗機イージスを自爆させ、相討ちでようやく撃墜されたのだ。

 これを理由にアスラン・ザラはネビュラ勲章を授与され、特務隊に任命されたほど。正にストライクはザフト最大の脅威だったのだ。

 こうした強敵に対抗すべく、更に強い兵器、モビルスーツの開発が急がれた。

 連合から奪取した4機のG兵器のデータを元に、様々なモビルスーツが戦場に現れては消えていった……のだという。

 

 どこか、そんな兵器に対して芸能界に似ているとも思った。

 新陳代謝の激しい業界は、常に売れるものを求めている。売れないと判断されてしまえば、容赦なく新世代という荒波に飲み込まれてしまう。

 まあ、そんな新世代に飲み込まれるほど活動歴が長いわけではなかったけれど。それでもいつ、どんなアイドルが生まれてくるかは分からない。

 だから、どんなアイドルが現れても戦えるようにStraylightは完璧を追い求めて戦ってきた。

 ……大丈夫でしょうね、あいつら。ふゆが戻る前にStraylightはその後鳴かず飛ばずで解散しましたなんて許さないんだから。

 

「うわぁ!?」

 

 シン・アスカの叫びで思考を揺り戻される。いけない、今はこっちに集中してやらないと。

 

「シン、フユに落とされるの何度目?」

「5回目だ」

「くそぉ……フユ! もう一回だ!」

 

 シン・アスカの熱量は凄まじく、やる気に満ち溢れている。

 まだまだふゆには敵わないけれど、確実に動きは良くなっている。14秒で撃墜されることは無くなってきた。

 

「それじゃあ、もう一回」

 

 ふう……。さて、動きは良くなってきたけれど、まだまだアグネス・ギーベンラートには及ばないわね。どうしたものか。

 絶対にあいつに目にもの見せてやるんだから。……シンが!

 ふゆ自身はあの女よりもまだ成績はいいし。ただ気を抜いたら成績を追い抜かされそうなのも事実。それぐらいにはアグネス・ギーベンラートとの差はない。

 もしもあの女に負けたら色々言われるんでしょうね。それだけは絶対に嫌。

 あんな奴に一度だって負けてはいけないのだ。

 

 ……思えば、283プロの人間達は嘘みたいに人格者ばかりだったと思う。アグネス・ギーベンラートみたいなのを見ると余計にそう思う。

 そりゃ、仕事先で同業者に陰口言われたりとかはあったけど、283プロの人間にはそういうものがなかった。

 なんというか、裏で何か言われてるんだろうな。みたいに思ったこともない。

 問題児こそ何人かいるけれど、性格が悪いとかではないし。悪戯好きの田中摩美々も可愛らしい悪戯というか、意地が悪くてそういうことをするんじゃなくて、構ってほしさに悪戯してるような感じだったし。

 ノクチルの面々も思えば結構な問題児寄りよね。最初は本当に面食らったし、共演するとなった時はプロデューサーに詰め寄ったぐらいだ。今はまあ、認識を改めてはいるけれど。それでもアウトロー寄りではあるだろう。

 それに、斑鳩ルカ。いろいろと訳ありって感じで、コメティックの鈴木羽那と郁田はるきは新人ながらによくやってるわ……。

 それより問題児といえばあさひよあさひ!

 ふゆがどんだけあいつに振り回されてきたことか。愛依も全然止めないし!

 勝手に自由にちょこまかと動き回るし、自由に喋りまくるし。今はまだあのキャラが許されているからなんとかなっているけど、いつデカめの雷を落とされるか分かったもんじゃない。

 そのせいで芸能界干されるなんて夢を一体どれだけ見てきたことか……。

 けど、まあ……あいつがあいつのままでいられたら、どれだけ幸運なんだろう。

 ありのまま愛されるあいつのことが本当に眩しかった。いいえ、今でも眩しい。

 あのバカバカしい世界(芸能界)の中で、太陽みたいに輝いているあいつのことが嫌い。

 絶対に追い抜いてやる。Straylightのセンターの座を奪ってやるんだから。

 

 少し話が逸れた。

 とにかく、本当に根っからああいう傲岸不遜な人間が間近にいる環境は久しぶりって感じがするわね。

 ああ思い出しただけで腹が立ってくる。 

 

 化粧は濃すぎるし、取り巻きどもにふゆのあることないこと吹き込んでるみたいな噂もあるし、教官とか成績上位の男にはいい顔して。どっちが猫被りよどっちが! ああもうムカつく奴ね本当! 墜ちなさい! しゃぁッ! 撃墜!」

「……フユ?」

「え……?」

 

 驚いたような顔でルナマリアがこっちを見ていた。

 レイ・ザ・バレルは何も見てないし聞いてないみたいな風にそっぽを向いていた。

 シンのジンは撃墜されている。が、シンは画面を見ずにこちらを唖然とした顔で見つめていた。

 戦闘終了の表示がなされるも、ふゆの周りの空気は何も変わらなかった。




ふゆ 終わった。マジで終わった。自分自身が思っていたよりアグネスに対してストレスが溜まっていた。運転すると性格変わる人いるわよねと現実逃避を始めた。

シン フユ……?どうしちゃったんだよフユ!
この頃はまだまだ落ちこぼれ。シンが覚醒するのは運命本編入ってから。

ルナ ああ……いよいよ我慢ならなくなったか。

レイ ……人間誰しも、そういう時はある。

P  一人で28人のアイドル、8つのユニットのプロデュースを手掛けるブラック労働の擬人化。スーツを折り目正しく美しく着こなす好青年。そのスーツ(概念)をぐちゃぐちゃに引き裂きたいというアイドルがいるらしい。

芹沢 冬優子ちゃん、モビルスーツの操縦ってどんな感じっすか?宇宙って自由っすか?

浅倉 あー、うん。多分。

愛依 冬優子ちゃんならモビルスーツも似合うっしょ〜!
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