勝利の女神NIKKE いばら姫 アウロラ   作:麻糸

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まだ、操作に慣れておりません。変なところがあったらすみません。

オリジナルNIKKE 増えないかな!!


いばら姫①

・駐屯地01

 

タイラント級のラプチャーグラトニーの戦闘の後。

 

指揮官とラピ、メティスの三名は駐屯地01にて、身体を休めていた。

 

地上の探索とヘレティック・フォービーストを名乗る者達との出会いと戦闘。

 

その後のタイラント級ラプチャーのグラトニーとの戦闘。

 

 

 

「お疲れさまでした」

 

 

 

ソファに座り、今後についてどう行動するべきかと悩んでいた指揮官に声をかけてきたのはM.M.R所属のマナだった。

 

 

 

「こちらをどうぞ」

 

『ありがとう、マナ』

 

「中央政府から、連絡がありました。しばらく休むようにと」

 

『それは……?』

 

「指揮官が提案したグラトニーへの討伐作戦は却下されました。グラトニーの特性と現在の中央政府には、その余裕が無いのが理由でしょう」

 

『そうか』

 

「更に地上で発見された物の解析などもあります。少しの間だけですがお休みください。それと中央政府にも指揮官のファンがおります」

 

『そんな奇特な人がいるのか?』

 

「はい、指揮官が今まで上げてきた功績は表ざたに出来ない事が多いですが、それでも影響を与えております。そこから、調べれば指揮官の影響だと分かる方は居ります」

 

『そうか。なら、少しの間は休ませてもらおう』

 

 

指揮官がそう言って、マナが入れてくれたコーヒーを一口飲んだ直後だった。

 

 

微かにだが、ズドンというような地響きと建物がカタカタと微かに揺れて収まった。

 

 

 

「『…………』」

 

 

 

マナと指揮官の目が合い、どちらからとなく、溜息を吐いた。

 

 

 

・空から落ちてきた物

 

 

 

ブリーフィングルームとなった部屋で、ラピとメティスの三名が座り。

 

モニターの前には指揮官とマナが立っていた。

 

 

 

『これより、ブリーフィングを開始する。マナ説明を』

 

「はい、指揮官。今からお見せするのは、偵察ドローンのリアルタイム映像です」

 

 

 

指揮官はマナに視線を送るとマナは頷き、モニターに映像が表示される。

 

 

 

「指揮官、これは?」

 

「うわ、なにこれ、グラトニーよりもデカくない?」

 

「おお! まさにヴィランの城だな!」

 

「囚われの姫が居そうな城だな。ヒーローの出番か!?」

 

 

 

『先ほどの振動の理由はこれだ。どうやら、空から落ちて来たみたいだな』

 

「はい?」

 

 

 

ラピの疑問にマナが答える。

 

 

 

「先ほどの振動が起こってから、すぐに周囲にメッセージがばら撒かれています」

 

「メッセージですか?」

 

「どんな?」

 

『簡単に言えば、人類へ。彼女をいばら姫を助けてくれ』

 

「え、ええっと??」

 

 

 

首を傾げるマクスウェルにマナが答える。

 

 

 

「発信されている信号やメッセージなどを調べた結果。この発信者は人類連合軍所属のようで、発信されているメッセージ内容から推察するに。人類統合軍に合流予定だった最新鋭のNIKKEが合流できずに、当時のスタッフ達が苦肉の策として、貨物シャトルに詰め込んで宇宙に逃がしたようですね」

 

「ええ!? 百年近くも宇宙空間を漂って、今落ちてきたの?」

 

「はい、恐らく打ち上げた後に何かトラブルがあり、目標地点に降下せずに、ちょうど今落ちてきたと推察されます」

 

 

 

ラピの言葉にマナは説明をつづけた。

 

 

 

『我々はこれより、あの城を探索し、内部に居る筈のニケを救出する』

 

「その、指揮官。落下してきた衝撃で内部に居るニケは無事では済まないのでは?」

 

「はい、その可能性もあるのですが、メッセージの一つに一定時間経過しても救助が行われなかった場合、機密保持の為に自爆するとありました。本当にその威力があるのかはわかりませんが、駐屯地01にどれだけの被害が出るか不透明です」

 

「な、なんて迷惑な。何を考えてそんなことを? いや、よっぽど鹵獲されたくないんだろうね。この城、もしかしなくても内部に居るニケの武装だろうしね」

 

「はい、ロストテクノロジーです。自爆されて失うわけにはいかないと中央政府も判断しました。ただ、救出作戦には問題が一つありまして」

 

 

 

マナが言いづらそうにマクスウェル達を見る。

 

 

 

「えっと、私達がどうかしたの?」

 

「なんでも言ってみろ!! このヴィランに!!」

 

「そうだ。言ってみろ!! このヒーローに!!」

 

 

 

小さく溜息をついて、マナはメティスたちにこう告げた。

 

 

 

「メッセージの一つに、ミシリスの人間やニケは近寄るな。と言うものがありました。何故? と思ったのですが直ぐにそこから約十分近くミシリスへの殺意の籠ったメッセージが入っておりました。……聞きますか?」

 

「そ、それは……」

 

「い、いい、聞かない」

 

「そ、そんなことよりも助けに行かないとな!」

 

 

 

マクスウェルが苦笑いを浮かべ、ラピと指揮官は内心、大昔からミシリスって何かしてたんだな。と思った。

 

 

 

「メッセージの最後にはミシリスのニケが近づいたら自爆させるようにセットされている。ともありました」

 

「そ、それは本当なの? 確かにあの巨体なら色々な機会やセンサーが入ってそうだけど、近づくニケをミシリス製か判別できるかな?」

 

「私も初めはそう思ったのですが、研究者の中には変わった方は居りますし、あの恨み言の内容から、作っていてもおかしくない内容ですから」

 

 

 

ラピが思わずマクスウェルを見たが。

 

 

 

「ラピ、流石にそんな大昔のミシリスのやらかしについては知らないよ」

 

「ごめんなさい。そうね」

 

 

 

と、言われてしまった。

 

 

 

『今回の作戦はメティスは待機だ』

 

「分かったよ。でも、そうなるとラピだけで行くことになるけど、大丈夫なの?」

 

 

 

マクスウェルが指揮官に問いかけると、指揮官は頷いた。

 

 

 

『人間が近づくとセンサーが反応して、あの城は救助を受け入れるとメッセージにはあった。そうだな、マナ』

 

「はい、メッセージではそう言っておりましたが」

 

「それなら、問題なく救助できそうだね。本当に機能するなら。あ、それとあの大きな城、移動できるの? たぶん、内部に居るニケの専用の武装だよね? いばら姫って言ってたし」

 

「それについては問題ないようです。メッセージからいばらの城はいばら姫が自由自在に動かせる。ともありましたから」

 

「随分と丁寧なメッセージだね」

 

「はい、分かりやすくて有難いです。ただ、助けてほしいではなく。何をすればいいのか、何をしては駄目なのかが分かれば救出の難易度は大きく変わりますから」

 

 

 

その言葉にマクスウェルとラピは頷いた。

 

その時だった、モニターから爆音が響き渡った。

 

 

 

その場にいる全員の視線はモニターに注がれた。

 

 

 

「まあ、近づけば受け入れてくれるって話だけど。これ、そもそも近寄れるものなの?」

 

 

 

モニターに映し出された城は、城に近寄ってきたラプチャーを迎撃していた。

 

 

 

その姿はタイラント級を遥かに上回る暴れっぷりだった。

 

 

 

いばらまみれの城っぽい外観だったが、今は九割近くが見えず。城の下の方から大木のような大量のいばらがタコの触手のようにうねうね動き回り城を持ち上げ、移動しながら大量のいばらでラプチャーの群れを物理的に薙ぎ払っている。

 

「どうやら、自動で戦闘が可能なようですね。興味深い」

 

 

更に城の上の方からの伸びている大量のいばらの先端からはビームが放たれ。

 

遠距離から城を攻撃していたラプチャーを的確に撃ち抜いていく。

 

 

単発では倒せない大きさのラプチャーには複数のいばらが集中砲火を浴びせており、一方的にラプチャー蹂躙している姿はどうみても悪役に見える。

 

 

「あれ、気のせいかな? いばらがラプチャーを食べてない?」

 

 

 

「『「「「…………」」」』」

 

 

 

マナ、指揮官、ラピ、ラプラスとドレイクは黙り込んだ。 

 

破壊したラプチャーをいばらが捕らえるとそのまま城の近くまでもっていく。

 

すると城の中からいばらが触手のように出てきて、バリバリとラプチャーを食べ始めた。

 

 

「指揮官、近づくのは危険なのでは?」

 

『……放置する方が危険だから』

 

 

 

・いばらの城

 

 

≪指揮官、通信感度はどうですか?≫

 

『問題ない、マナの方は?』

 

≪こちらも問題ありません≫

 

『そろそろ、目標を確認できるはずだ』

 

≪はい、お気をつけて。それといばらの城は既にラプチャー達を撃破。しばらくはラプチャーは来ないでしょう。とは言え、あまり長い時間ではないでしょうが≫

 

「結構な数のラプチャーが襲い掛かっていましたが、もう全てを撃破したのですか」

 

≪はい、一方的でしたが。大型のラプチャーが居りませんでしたから≫

 

『そうだな。迅速にいばら姫を救助しよう』 

 

「目標を肉眼で確認」

 

『このまま進もう』

 

 

 

指揮官がラピにそう告げた直後。

 

 

 

≪指揮官、いばらの城が指揮官の方へ!≫

 

「指揮官、こっちへ来ます!!」

 

 

 

いばらの城は、城の下に生えているいばらを使い、生き物のようにすさまじい勢いで指揮官に近づいてきた。

 

 

『な、何故こっちに?』

 

≪人間を認識したからかもしれません≫

 

「し、指揮官。どうしますか!?」

 

 

 

武器を構えるラピに指揮官は武器を下ろすように叫ぶ。

 

 

 

そして、次の瞬間。

 

いばらの城から、二本のロープのような蔓が飛び出してきた。

 

 

 

指揮官とラピが何だ? と身構えるとその蔓は一気に指揮官へと向かってきた。

 

 

 

ラピが咄嗟に指揮官の前に立ちはだかると、『ラピ、大丈夫だ!』と指揮官が言ったのと同時に指揮官たちの目の前で、蔓は止まった。

 

 

 

そして、蔓は指揮官の方へゆっくりと延ばされ。

 

 

 

《簡易調査を行います》と触手の先端がレンズが現れ。じっと指揮官を頭の先からつま先まで数回行ったり来たりを繰り返し。

 

《調査完了。合格です》

 

 

 

合格? と指揮官とラピが思った瞬間、目にも止まらぬ速さで、指揮官が蔓に捕まって城へ誘拐された。

 

 

 

「し、指揮官!? 指揮官!!」

 

≪お、落ち着いてくださいラピ。ラピ! 武器構えないでください!! 撃っては敵だと認識されます!!≫

 

「くぅっ」

 

 

 

ラピは悔しそうに呟いた。

 

 

 

「アニスとネオンが居てくれたら」

 

 

 

 

 

・いばら姫の寝室

 

 

 

 

 

 

 

遠くから、声が聞こえた。

 

何度も、何度も聞こえ、それが自分を呼んでいると気づき、指揮官はゆっくりと意識を取り戻した。

 

そこは王侯貴族が使うようなベッドルームだった。

 

 

 

『こ、ここは?』

 

≪良かった、通信は繋がるみたいですね≫

 

≪指揮官、無事ですか?!≫

 

 

 

指揮官は周囲を見渡しながら、マナとラピに声をかける。

 

 

 

『ああ、無事だ。それと恐らく救助対象を発見した』

 

 

 

指揮官が体を起こすと一本の蔓がするりと指揮官の前に垂れ下がってきた。

 

 

 

「これは録音です。声はいばら姫を作った製作責任者です」

 

『録音?』

 

「これを聞いていると言うことはいばら姫。いいえ、アウロラを助けに来てくれた方の筈です」

 

 

 

指揮官と通信で繋がっているラピとマナは黙って録音音声を聞く。

 

 

 

「既にチェックが行われ合格したと言うことです。ですので、親友のアウロラを目覚めさせる為に貴方には重要なことをお願いします」

 

≪重要な事?≫

 

『なんだろう?』

 

≪私は嫌な予感がします≫

 

 

 

マナと指揮官はなんだろう? と首を傾げ、ラピは眉を顰めた。

 

 

 

「センサーがチェックしてここへ連れてきたと言うことは、イケメンな筈です。さぁ、アウロラの唇にキスして起こしてあげてください。それでいばら姫は目が覚めますから」

 

 

 

その音声に指揮官とマナが固まり、ラピは即座に指揮官に進言した。

 

 

 

≪指揮官、帰りましょう≫

 

≪ラピ、そういうわけにも≫

 

≪キスで目が覚めるって、何を言っているんですか? それと指揮官は眠っているニケとキスがしたいんですか?≫

 

『いや、ラピそう言うわけではないよ』

 

≪キスがしたいなら、今夜寝る時に私にしていいですから、早く帰ってきてください。帰りましょう≫

 

≪ラピ、落ち着いてください!≫

 

『…………』

 

 

 

指揮官は正面にある天蓋付きの精緻な細工がされたベッドを見た。

 

そして、そこに横たわるやや幼い顔立ちのネグリジェのようなドレスのような姿の少女を見詰めた。

 

 

 

『どうしよう』

 

≪指揮官、帰りましょう≫

 

≪ラピ、少し黙っててください。指揮官、彼女をここに置いておくのは危険です。ラプチャーに鹵獲される危険があります。その場合、彼女とこの専用武装が人類の敵になるのです。どれだけの被害が出るか想像もできません≫

 

≪私なら勝てます。メティスでも勝てます≫

 

≪そういう問題ではありません。指揮官、さっさとキスをして起こしてください≫

 

 

 

指揮官は溜息をついたが、直ぐに気を取り直して。ベッドに近づき、透き通った絹のようなカーテンをどけて眠っているいばら姫と思われるニケに近づいた。

 

 

 

じーっと通信越しに自身を見詰めるラピの視線が痛かったが。

 

 

 

ラピの視線を無視して、指揮官はいばら姫に目覚めの口づけをしようとして、いばら姫に少し覆いかぶさるように、顔を近づけた。

 

 

 

キスをしようか迷ったのは一瞬。

 

 

 

何時までもこうしているわけにはいかない。

 

指揮官は意を決して、いばら姫の唇にキスを落とそうとした直後。

 

 

 

「んん、えっ?!」

 

『え?!』

 

≪≪あっ……≫≫

 

 

 

目を覚ましたいばら姫と目が合い、指揮官は慌てて、いばら姫から自身の身体を離そうとしたが、足元が床に這っていた、いばらを踏んで変な風に足のふんばる力が身体に伝わり指揮官はバランスを崩した。

 

 

 

そのままいばら姫を抱きしめるように、いばら姫にのしかかった形となった。

 

 

 

突然、見知らぬ男に覆いかぶさられたいばら姫は。

 

 

 

「ぃっ、いやああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

 

ドンッ! っという車に突っ込まれたかのような衝撃に指揮官は襲われ、指揮官はベッドの天蓋に叩きつけられた。

 

背中を強く打って、指揮官は「がはっ」と肺の空気が一気に吐き出してしまう。

 

 

 

そして、重力によって再びいばら姫の上に落ちてくる。

 

 

 

「ひっ、ひいいいいいいっ!!!!!」

 

 

 

男に押しつぶされる前に、いばら姫は床にダイブした。

 

 

 

ぐえっと指揮官が潰れたカエルのような声を上げた。

 

 

 

「へ、変質者!!!」

 

 

 

その叫びがいばらの城に響き渡った。

 

 

 

 

 

・いばら姫 アウロラ

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、そういうことですか」

 

『分かってくれて良かった』

 

≪はい、指揮官がいばらで締め上げた時はどうなるかと思いましたが。ラピさん、ドリルを仕舞ってください≫

 

「まず、わたくしを助けに来てくれてありがとうございます。心より感謝を」

 

 

 

目を覚ましたいばら姫に指揮官とマナの二人で必死に説得した結果、なんとか変質者の誤解は解くことに成功した。

 

 

 

「えっと、改めて。私、いばら姫・アウロラはこれより、貴方様の地上奪還に協力いたします」

 

『初対面なのに、その、いいのか?』

 

「はい、もちろん。ですが忘れないで欲しいのは、貴方の指揮能力や人格に問題があれば、私は離脱します。私の目的はあくまでも地上奪還ですので、能力の低い、または志の低い方の元にずっといるつもりはありません」

 

『ああ、それで構わない』

 

≪指揮官、それだと≫

 

「あの、一つお聞きしたいのですが、マナさん」

 

≪はい、なんでしょうか?≫

 

「貴女はミシリスの関係者ですか?」

 

≪……はい≫

 

「素直に答えてくれて、ありがとうございます。わたくし個人はミシリスに思うことはありませんが。私を作ってくれた人が特にミシリスには近寄るなとかなり念を押していたので、指揮官、貴方様の指揮下には入りますが。アークには行きません」

 

≪それは……≫

 

「ですので貴方様、わたくしのことは限られた人にだけお伝えください。人類と争っても面倒なので」

 

『分かった。アークには行きたくないんだな?』

 

「はい、その代わりと言っては何ですが。私はかなり強いですよ。この専用武装、いばらの城ともう一つの武装があれば。ゴッデス部隊とだって戦えます。もちろん、単純なスペック上の話なので実際は難しいでしょうが」

 

≪貴女は、本当にゴッデス部隊と戦えるほど高いスペックを持っているの?≫

 

「貴女はラピさんでしたね。はい、そもそも……」

 

 

 

そこで、アウロラは画面に映るラピをじっと見つめる。

 

 

 

「あのラピさん、その髪の色は、もしかして貴女はレッドフードさんの後継機体なのですか?」

 

≪後継機ではないわ。でも、受け継いだの≫

 

「そうですか、そうですね。そもそも、私達はニケであり、人間です。後継機体なんて言い方変で――」

 

 

 

――ドンッ! という爆発音と衝撃がいばらの城を揺らし、アウロラの言葉を遮った。

 

 

 

≪遠距離砲撃?! 指揮官、敵です!≫

 

「ちょうどいいですね。指揮官、貴方の指揮能力を見せてください」

 

『ああ、任せろ』

 

≪指揮官、行きます! エンカウンター!≫

 

「えっ、なにそれ、カッコいいですね!!」

 

 

 

 

 

・駐屯地01へ

 

 

 

 

 

「貴方様は凄い指揮能力ですね。ここまで戦いやすいのは初めてです。私は初陣からずっと専門の指揮を担当する方が居なかったので余計にそう感じます」

 

≪そうなの?≫

 

「はい、わたくしが目覚めた時、ラプチャーの群れに襲われて奇襲で士官の大半が戦死したんです。それからは生き残った兵士の方達と非戦闘員達と協力して戦いました」

 

『そうか……』

 

「はい、今回のように素早く、何をすればいいのか指示が来てくれればわたくしも動きやすいです」

 

 

 

城のバルコニーで話し合う二人に通信が入る。

 

 

 

≪指揮官。いつまでもそこに居るのは危険です。移動を開始しましょう≫

 

『ああ、分かったよ。マナ』

 

「えっと、貴方様。いばらの城はいかがいたしましょうか?」

 

『いかがとは?』

 

「わたくしのいばらの森は、アークを建造した技術の一部が使われていて、限界はありますがいばらを小さく収納できるのです」

 

『収納……』

 

≪その城はかなりの大きさよ。タイラント級くらいはあるわ≫

 

「タイラント級というのが何かは分かりませんが。この大きさくらいなら問題ないです。それに、本来のわたくしの役割はゴッデス部隊などのエース部隊の移動拠点だったのです。拠点の代わりとなるいばらの城の展開と収納は必須の能力でした」

 

『それは色々と戦略や戦術の幅が広がっていただろうな』

 

「はい、では行きましょうか。ああ、まずは貴方様を城の外に出してからですね」

 

 

 

二人は足早に移動を開始して、城の外にいるラピと合流した。

 

 

 

「それではいばらの城を仕舞いますね」

 

 

 

ラピと合流した後、アウロラが五色のネイルがされた右手を軽く振るうと、いばらの城はまるで糸がほどける様に小さくなっていった。

 

最終的には馬車のような形となった。

 

 

 

事前にAピラーの基礎構造を展開する光景を見ていなかったら、信じられない光景だっただろう。

 

 

 

『凄いな』

 

「ええ、わたくしも初めて使用した時は驚きました。わたくしを作った人たちは胸を張って凄いだろう! って自慢してましたが』

 

 

 

懐かしそうに微笑むアウロラ。だが、どこか寂しげにも見えた。

 

 

 

「でも、あまり驚いておりませんね。もしかして、似たようなモノを見たことが?」

 

「少し前に」

 

「そうですか、わたくしを作った人たちは技術の継承が絶たれることを恐れておりました。大丈夫のようですね。あぁ、それと後で教えられる範囲で色々教えてください。どれくらい変わっているのか知っておいたほうがいいでしょうし」

 

「ええ、指揮官」

 

『ああ、許可が出れば』

 

 

 

頷く指揮官にアウロラはしっかりと頷き、馬車へと近づいてこう囁いた。

 

 

 

「よしよし、さ、行きましょうね」

 

 

 

アウロラは優しく馬車を撫で、指揮官とラピの元へ向かった。

 

 

 

 

 

『結構速度出るんだな』

 

「はい、少し大変ですが大型車両や船舶のような形にも変えられますよ。ただ、速度は出ません。重いですし」

 

「あの大きさのものが、大きめの馬車のサイズで走るなら、車輪に相当負担がかからない?」

 

「わたくしもそう思ったのですが、どうやら重さをかなり軽減しているそうです。技術的なことは機密もあったらしく教えてもらえませんでしたが、だからこのサイズでも走れるんだとか」

 

『機密、か』

 

「はい、恐らくですが。わたくしがそれを知ってしまうと、ゴッデス部隊と合流させてもらえないと思ったのかもしれません。わたくしがロールアウトするちょっと前に新型がゴッデス部隊に合流するまえにトラブルがあったらしいので」

 

「新型……」

 

「ええ、わたくしが守備型ならその新型は攻勢型と言えばいいのでしょうか。出来ることなら、一目お会いしたかったですね。ゴッデス部隊もですが。本物には一度だけお会いしたことかあったのです。あの時のお礼を言いたかった」

 

 

 

『「…………」』

 

 

 

黙り込む指揮官とラピを見て、アウロラはどうかしたのかと小首をかしげた。

 

 

 

「貴方様、どうかなさったのですか?」

 

『いや、何でもない。今度説明することになるだろうしな』

 

 

 

頭に? マークを浮かべるアウロラに、指揮官はシンデレラ達が戻ってきてから説明するかと考えていた。

 

 

 

 

 

・駐屯地01

 

 

 

 

 

駐屯地に戻り、指揮官とラピ、アウロラは駐屯地で待機していた。ラプラス、ドレイク、マクスウェルの出迎えを受けた。

 

 

 

「戻ったか!」

 

『ただいま』

 

「えっと、その方達は?」

 

 

 

アウロラがラピに問いかけるが、ラプラスとドレイクはアウロラに向かって名乗りを上げる。

 

 

 

「ラプラスだ! ヒーローをしている!!」

 

「ドレイクだ! ヴィランをしている!!」

 

「あ、私はマクスウェル。メカニックだよ」

 

 

 

『……控えめだな』

 

「うん、その、ミシリスに対してはあまりよく思ってないんでしょう?」

 

 

 

指揮官とマクスウェルの話を聞いたアウロラがすっと目を細めた。

 

 

 

「ああ、すみません。気を使わせましたね。えっと、ラプラスさん。ドレイクさん。マクスウェルさん」

 

「呼び捨てで構わないって、いいね。二人とも」

 

「もちろんだ!!」

 

「さんづけなんぞ、ヴィランにはふさわしくない!」

 

「は、はい。分かりました。それとわたくし個人はミスリスに対しては思うことはありません。ただ、私からは近寄らないようにするだけなので」

 

「いや、それは思い切り思うことあるじゃん」

 

 

 

マクスウェルの指摘にアウロラは苦笑いを浮かべながら、こう告げた。

 

 

 

「その、わたくしを作った製造者達が反ミシリス勢力でしたから」

 

「反ミシリス勢力?」

 

「悪の秘密結社か!?」

 

「お前、ヴィランだったのか!?」

 

 

 

マクスウェルの疑問に、ラプラス、ドレイクが反応して。アウロラはちょっと引いた。

 

 

 

テンションが高い二人が苦手なタイプだと理解したからだ。

 

 

 

「秘密結社ではなく、ただの派閥です。えっと、ここで話すのもアレですし、場所を変えませんか?」

 

『そうだな。話をするのは、色々と準備をしてからにしよう』

 

「はい、指揮官」

 

 

 

指揮官の言葉で、その場は一旦は解散となった。

 

 

 

 

 

・対話

 

 

 

 

 

これから生活する場所を案内してもらい。

 

協力していく上で必要なルールを指揮官に教えてもらったアウロラ。

 

 

 

それから、苦手なのと話が進まないとして、マクスウェルからラプラスとドレイクには駐屯地の警備を頼むことにした。

 

 

 

指揮官とラピ、マクスウェルとアウロラの四人での対話が始まった。

 

 

 

 

 

「まず、改めて、わたくしアウロラは、貴方様にご協力いたします」

 

『ありがとう』

 

「いえ、指揮能力の高さ。それとラプラス、ドレイク、マクスウェルの三名の強力な能力を持つニケを指揮できる権限を持つほどの有能な指揮官ならば、わたくしも指揮下に入るのは問題はないと思っております」

 

「ええ、指揮官は優秀な方よ」

 

「実績もあるしね」

 

 

 

その言葉にアウロラは頷いた。

 

 

 

「それで、アウロラは今までどれくらいラプチャーと戦ったの?」

 

「わたくしですか? そうですね。小型のラプチャーは数えられないですが。大型のラプチャーなら、それなりの数を」

 

「それなり?」

 

 

 

ラピの言葉に、アウロラが申し訳なさそうに告げた。

 

 

 

「わたくしがニケとして目覚めてから、宇宙に打ち上げられるまで、非戦闘員と護衛部隊や避難民との撤退戦の連続で撃破数を数える余裕が無かったんです」

 

「撤退戦……」

 

 

 

ラピの呟きに頷くアウロラ。

 

 

 

「わたくしが目覚めてすぐに、ラプチャーの群れを撃退し。空母と輸送艦と共にアークを目指す直前で大型のラプチャーに襲われ、海路での移動が不可能になりました。その後は南下して、既に民間に払い下げられた旧式の宇宙センターまで、わたくし達は戦い抜きました」

 

 

 

アウロラの言葉に指揮官達は何も言えなかった。

 

苦しい戦いの連続だったのだろう。

 

 

 

「それで、その。皆さんは今までどのような戦いを?」

 

『ああ、それは……』

 

 

 

言える範囲で、指揮官達は自分達の戦いを教えた。

 

機密もあるので、全てではないが。

 

 

 

それでも、話し終えた後、アウロラは頷き。

 

 

 

「改めて、これからよろしくお願いしますね。優秀な指揮官殿」

 

 

 

と、アウロラから、一定の信頼を感じる表情でそう言われた。

 

 

 

 

 

・アウロラの二つの武装

 

 

 

 

 

「ええっ! アウロラって武装が二つもあるの?」

 

「ええ、専用装備が二つですね」

 

 

 

マクスウェルの言葉に頷くアウロラ。

 

それのお陰でわたくし以外の計画していたニケの生産が出来なくなりましたが。あの状況を考えると正解でしたね。と告げた。

 

 

 

「正解って?」

 

「港で大型のラプチャーとの戦闘時。幸運にもいばらの城と半分になった空母の残骸が仲間たちの盾になったんです。空母は吹き飛んでましたから、いばらの城が無かったら、わたくしは兎も角、他が全滅していましたから」

 

『なるほど』

 

「わたくし一人では宇宙センターに辿り着いてもシャトル打ち上げも出来なかったでしょうし。その前に精神的に駄目になっていたと思います。そもそも、どこへ行けばいいのかもわかりませんでしたから」

 

 

 

アウロラの言葉に指揮官は同意した。

 

 

 

アウロラはニケになる前の記憶がそれなりにあったが、一般人だ。サバイバル知識があるわけではないし。

 

軍人としての教育を受けたわけでもない。

 

 

 

武装のお陰で、生き残った部分は大きいのだろう。

 

 

 

「いばらの城ともう一つの専用武装は何?」

 

「十三人の妖精達ですね」

 

『十三人の妖精?』

 

「はい、切り札なので普段は使ってないですね。危険ですし」

 

「どう危険なの?」

 

「えっと、内緒です」

 

「ええー、いいじゃん! 教えてよ」

 

「その、ミシリスの方だから教えないって訳ではなく。単純に簡単には使えないものでして。使ったら、確実に危ない言いますし、実際に一度使って二度と使わないほうがいいとなりましたし」

 

『具体的には?』

 

「制御に失敗した場合、敵も味方も全滅するくらいには」

 

「それなら、余計に教えてよ。知らないのはマズイでしょ」

 

 

 

マクスウェルの言葉にアウロラが指揮官を見た。

 

出来れば教えたくないが。

 

大丈夫だろうか? と。

 

 

 

『一緒に戦う上で、仲間の武装がどんなものか分からないと、味方にも危険が及ぶ。教えてくれないか?』

 

 

 

指揮官の言葉に十数秒、アウロラは黙り込み。

 

やがて小さく溜息をついて、こう答えた。

 

 

 

「まず、わたくしは、コアを複数連結型のニケです」

 

『「「!?」」』

 

 

 

その言葉に指揮官、ラピ、マクスウェルが驚きを露わにする。

 

 

 

「と言っても、身体に搭載しているのではなく。専用武装のいばらの城と十三人の妖精達の統括端末に搭載されています自身の身体も含めて三つのコアが使えます」

 

「そんなことが可能なの?」

 

 

ラピの質問に、アウロラが出来ると頷く。

 

 

「はい、わたくしは出来ますね。複数のコアを搭載する。言葉にするのは簡単ですが。当時は不可能と断じられることでした。そもそも、コア一つのゴッデス部隊ですら、最初にニケよりも性能を落としていると聞いています。当時の研究者は最初のニケよりも高性能なニケを作るのに、必死になっていたと聞きます。その一つの解決方法として複数のコアをニケに入れたらいいのでは? と考えるのはある意味では当たり前だったのかもしれません」

 

 

 

「うん、無理でしょう。二つのコアを一つの身体に入れれば間違いなく失敗するね。本来なら」

「はい、わたくしも拒絶反応や主導権の奪い合いが発生すると聞いています。ですから。武装の方にコアを入れたんです」

 

 

 

その言葉に、うーん、とマクスウェルが考え込む。

 

 

 

「仮に武装に搭載して、使えるとしても。武装のコアに接続したら、コア同士の反発が起こるはず」

 

「いえ、わたくしの場合は起こりません。そうならないように、特別なコアと武装なのです。それにリミッターもありますから」

 

「うーん、なんかおかしい」

 

「そうですか?」

 

「うん、それにその話が本当なら、アウロラは三つのコアが使えるニケだよね?」

 

「ええ、そうですね」

 

「ありえない。ボディも精神も耐えられるわけが無い」

 

『マクスウェル』

 

 

 

指揮官の言葉にマクスウェル。はいはい、分かってますよ。と言う風に肩をすくめた。

 

 

 

『その三つのコアが何故使えるのか、私達に言えることなのか?』

 

「言いたくはありません」

 

『その理由を聞いてもいいか?』

 

「ええ、それくらいなら」

 

 

 

アウロラが頷き、深呼吸をした後。静かにこう告げた。

 

 

 

「私自身、その時の記憶が無いのですが。ニケになると決めた時のわたくしは、人間として最低なことをしたからです」

 

 

 

心の底から自分の行いを嫌悪している声色に、指揮官とラピ、マクスウェルはそれ以上は、何も聞かなかった。

 

 

 

「すみません。これ以上は言いたくありません。余程のことが無い限りは普段通りの戦いをします。いざとなれば、2つのコアを連結することで使用できる十二体目の妖精も使い勝利します。危険な武装は使いませんので安心してください」

 

「十二体目と十三体目がリミッターが掛かってるんだね?」

 

「はい、妖精十一体は普段から使えます。破壊されると修復に時間がかかりますのであまり使いたくないですが」

 

『修復できるの?』

 

「はい、少なくても、十二体目まではわたくしでも修復できるようにされております」

 

「危険なのは十三体目なんだね」

 

「その通りです。マクスウェル。これくらいなら、教えられますので」

 

『分かった。それと妖精の戦い方を知りたいから、戦っているところを見せてくれるか?』

 

「はい、それは大丈夫ですよ。ところで、思ったのですが」

 

『なんだ?』

 

 

「その、随分ここはニケが少ないですね」

 

 

アウロラのその言葉に、指揮官はどう説明したモノかと頭を悩ませる事になった。




転生主人公にするか、悩んだんですが。
現地主人公となります。

最初はかぐや姫にしようと思ったのですが、武装などが思いつかず、シンデレラみたいになって。

気が付いたら、いばら姫になってました。

皆さんも、オリジナルNIKKE作りましょう!
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