町の掃除屋(文字通り)   作:花咲爺

2 / 2
書きだめ無かったのに書けちゃったので投稿します。
こういうのはパッションが続いているうちに投稿するのが吉なので。


この町は汚すぎる

「この町は汚すぎるっ!!!」

 

ここへ来て2日目だが、もう駄目だ。

ずっと胃から喉へ中身が上下している状態が続いている。

ゴミが全然片付かない!!!使い終わった注射器に生ごみに…語りたくない諸々が!近藤さんを街中に捨てるかね!?トイレ以外で岡山の県北をするんじゃないよ!

汚物汚物汚物、狂人狂人狂人…

俺はノンケで尻好きな健全お兄ちゃんだというのに、昨日の肉屋と言い最悪だ。

 

死体を片付ける奴は時々見るが、こうして僕たちの食卓に届けられる、を人間でやるんじゃない!

いや、悪魔か…あぁもうそんなのどうでもいい!この臭いで鼻がもげそうだ。俺の鼻ほぼ穴状態だけど!というかむしろそのせいで臭いがダイレクトに来ている説も全然ある。

上に来れば問題ないかなと家々の屋根を伝う生活をしていてもぶわっと臭いが昇ってきやがった!

お陰で最悪の目覚めだわ!雨が降らなかったことだけが最大の幸福、そもそもあの五芒星が浮かぶ空にそんな機能があるのか甚だ疑問が残るけど。

なんか酸の雨でも降るのではないだろうか…やっぱ屋根のあるところで寝るのは急務だな…

まあそんなことはどうでもいい、まず臭いがキツイ!言葉にすればこれだけだが、マジで清掃業やるの良いかもしれないと思うレベルだ。

 

しかし、こういう仕事はどこで手に入れられるのやら…大体町の清掃とかは政府やらの自治体が担当しているのが常だ。

公共の掃除、いったいどこでやってくれるんだ?

一度頑張って上の人へ聞いてみるのも良いかもしれない。例えば…この町一番ネオンが輝いているVVVって書かれているあの建物とか!

バカと偉い人、金持ちは高いところが好きってよく言うもんね。

 

今思えば俺はこの町に当てられて結構頭がイカれていたのかもしれない。

ボルダリング経験は、こういうところで役に立つ。いや、立ってしまったと言うべきか…

思い立ったが吉日だと、俺は即座に行動する。いつものことだった。

 

「WHAT!!?SECURITY!!」

「ウェイト!プリーズウェイト!アイアムノットアサシン!!」

 

足のバネをギリリと縮めては跳んでビルの最上階で夜風の入る窓からするりと中へ。

いやー案外簡単なもんだなぁ、とかのんきに考えていたらコーヒーブレイクしていた様子の薄型テレビマンに一瞬で警備を呼ばれそうになった。

それはアカンので全力で武装を解除する。

パンツだけ残して体に纏った諸々を脱いで、敵意を持ってないことを理解してもらう。

めっちゃポカンとされたが、むしろその方が良い。足元のナイフだけはいつでも拾えるようにしておく。

 

「アイムセールスマン、あー、ブリングザセールストーク?ぷふっ」

 

たどたどしくて思わず自分でも笑ってしまう。

自分で鼻栓を作って詰めているのもまた、なんか今の俺バカっぽいんだろうなぁと実感してしまった。

 

「ワハハハハ!いやぁー、ごめん、申し訳ない。フフッ、あ、ソーリーソーリー」

 

「…WAIT A MINUTE」

 

ツボに入った俺に対して、テレビ悪魔がそう告げる。

ちょっと待て、か…取り合えず話は聞けるっぽい?社長でも連れて来てくれるのだろうか?この前の赤肌悪魔に比べるとなんか大丈夫そうな気がする。

一応最悪の場合を想定しいつでも逃げられるように窓はチェック、足のバネを縮めておく。服は勿論着た。

数分そうしているとテレビ悪魔と一緒にウナギっぽい悪魔に加えていかにも悪魔悪魔している青肌悪魔がやってきた。

 

「あー、君がボスのいるフロアに不法侵入した悪魔くんであってる?」

「うぇっ!?日本語!日本語だこれ!!」

 

青肌悪魔から放たれたのは、俺のよく知る日本語だった!!!

何で!?いや、多分普通にハーフとか何かか、最近はダブルだったっけ?

 

「俺はオットマン・ミヤシタ、ここじゃオットーなんて呼ばれてるよ。ボスが呼ぶから何かと思えば、少し安心した」

「やっぱりハーフか!凄いね君、バイリンガルってやつ?あ、俺はジャック・フジタ!親父が日系アメリカ人でさ!親が基本日本語ばっかり使うから英語はからっきしなんだ~。」

 

勿論偽名だ、俺の本名は物部真央彦(もののべまおひこ)である。

 

こういう世界だ、なんか千と千尋の神隠し的な本名名乗ると危ない系かもしれない。

正直この身が生まれ変わった現在過去の名前なんてあんまり意味が薄い気もするが、心を保つためにも自分自身はちゃんと覚えておかなければ。

と、決意を新たにしたところで、結局ここに来てからの不安を全部ぶちまけるように俺は話した。

町が汚いこと、この町に清掃屋はいないのかということ、もしこの会社がそういうのを募集しているなら俺が清掃員になって町をきれいにして、金をもらうのはどうかということ。

それをオットーは時々ギザギザ金歯を露わに笑って聞いて翻訳してくれた。

 

で、採用という結果に終わったってわけ。

結構端折ったが、俺が話してオットーが翻訳して、ボスって呼ばれてたテレビマンがふむふむとうなずきながら俺の話を聞いて…ウナギ悪魔とちょこちょこ予定の確認とか、採算がどうとかリザルト云々色々だった。

結局、コングラチュレーション!とネイティブな発音で拍手され肩を組まれて採用だ!的なことを言われて終了した。

取り合えず、当初の目的達成である。

オットーやウナギくんがめっちゃひきつった笑いをしていたから、一層気を引き締めたけど。

 

「さて、となるとジャックくん。正規雇用にはもちろん契約が必要になる。わかるね?」

 

テレビマン悪魔の言葉をオットーが翻訳してくれた。

目の前の虚空から契約書がボワンと出て来たのが滅茶苦茶俺的には驚いたが、マジックでもないみたいだ。

わーお、空の五芒星から薄々思ってたけどこの世界魔法あるのねー。

 

「オーケーオーケー、で俺はどこに名前を書けばいいわけ?あ、勿論内容聞いた後でよ?」

 

こう見えて俺は用心深いんだ、と話すとオットーが苦笑しながら指差し指差し文章を読み上げてくれる。

甲乙はどこ、仕事内容は清掃活動で、就業時間は、給料はとそれなりにちゃんとした内容のようだ。

あ、でも最後でちょっと言い淀むタイミングあったから多分そう簡単にサインはしない方が良いっぽいね。

ちなみに、テレビマンは実はこのV社の社長で名前はヴォックスとのこと。ボックスではなく下唇を噛む必要があるヴォックスである。

どうにもとんとん拍子で進んでいたのでもしやと思ったら、俺の予想は間違っていなかったようだ。

ではではさっきの偽名をすらりと書いてと。おいバカにするなよ?JACKだろJACK、ちゃんと書けてるってば。

 

受け取ったヴォックスは一瞬悪い笑みを浮かべると、先ほどの営業スマイルに戻ってお祝いの言葉らしきことを述べた。

言い終わるとん?っとした表情を浮かべたが、また営業スマイルに戻って面接終了という感じで社長席っぽいところへと戻っていく。

 

終了ね、了解。

ほんじゃさいなら、と窓からぬるりと降りていく。

バネ足のおかげで足から落ちればダメージ無し、高いところ好きの俺にはピッタリな能力だ。

ひゃっほい!取り合えず、職業はゲットである!やったね。




オットマン・ミヤシタ
物語りを都合よく進めていくため、また読者の皆様に俺の英語力でクソみたいな文章を送らないために登場してくれた悪魔。二本角の日本語喋れる系悪魔くん。
V社の営業で、今回の働きによって取り合えずヴァルから的にされる役にはしばらくならないくらいの働きとされた。

オットマン:お高いソファーとかに付属で付いてる「足置き」。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。