アクアがミヤコさんの事をお母さんと呼ぶお話もあるので良かったらみてね。
それは学校での会話の事。
現在は授業終わりの休み時間。
有馬かなは本日の午後から行われるダンスレッスンの為動画を見て予習していると、クラスメイトの他愛もない会話に耳が傾いてしまった。
「そいやさ、最近話題になってる惚れ薬ってのをカレシに試したのよ」
「それでそれで!?」
(惚れ薬…?そんなものまだ信じてるのね。どーせプラシーボ効果に決まってるわ)
「うん…私のカレシって普段好きとか可愛いとか言わないのよ。でもねでもね!すっごい好きって言ってくれて…!」
「キャ〜!!なにそれ最高!」
(色恋沙汰に耳を傾けるとは、私も集中力切れたわね)
休み時間は全てレッスンの予習に使っている。息抜きがてらに盗み聞こうかしらとかなは休憩する事にする。
「で、それってどこで買ったの?」
「それがね〜」
どうやら最近出来た異国のコンビニのような店で買えるものを混ぜるだけらしい。どうにも胡散臭いわね、と思いつつ同時に思った事があった。
(
単なる好奇心だったが、アクアがガチ惚れするとは誰も思わなかった。
「よし、出来たわ。これが噂の…」
ダンスレッスンが終わり、帰りに噂の店にて材料を購入。
翌日起きたかなは、アクアに学校以外の予定がないのを確認し、「お昼ご飯付き合いなさい」とアクアに送る。
そして制作開始。
外国の知育菓子のようなパッケージに、プラスチック容器とインスタント麺の粉末スープのような袋が二つ。
作り方も簡単。ね○○る○○ねのように、規定された水を加えて混ぜるだけである。
「本当にこんなの効くのかしら?」
見た目は…なんというか。
青汁?スムージー?まいっか。これを水筒へ入れていく。
「ま、効かなかったら私も飲んでみましょ」
そして有馬かなは玄関のドアを開けた。
星野アクアは有馬かなとの待ち合わせ場所へ向かう。
学校外にある公園が指定されていた。
(いきなり飯食おうって…何かありそうだな。それに弁当も作ってくるから持ってこなくてもいいとか)
作らなくてもいいのは楽だが、それを気にしたルビーには「先輩の事だから餌付けしてやるーとか考えてるんじゃない?」と言われた。
俺はペットか、と心の中で突っ込みつつも少し楽しみにしている自分に驚いた。
(まあ、アイツと話してると楽しいしな。)
自然と自分は笑っている気がする。表情なんて芝居の時にしか動かさないのに。
と、考え事をしていると待ち合わせの公園に着く。
駐車場はそんなに広くないが、場所はそこそこ広い所だった。
ブランコや滑り台、ターザンロープにスイングボールなど、子供が遊ぶ遊具にしては至れり尽くせりだ。
中心にはその公園のシンボルのような小さめの石像があり、それを囲むように石製のベンチが並んでいた。
アクアに気づいた有馬はそのベンチから立ち上がって声を上げる。
「遅いじゃない!女の子を待たせるなんてアンタもまだまだね!」
わざわざ大声で言わなくてもいいだろ、とアクアは心の中で思いつつ足を運んだ。
「はい、これ」
アクアは渡されたお弁当を見て驚く。
ずっしりと重く、男子高校生の好みそうなおかずと白飯が入っていた。
焼かれたお肉にレンチンのハンバーグ、手作りのだし巻き卵にもやし炒めなど、アクアは低いハードルを高跳びしたような感覚に襲われた。
「すごいな」
「当たり前じゃない。一人暮らし舐めんじゃないわよ」
有馬のお弁当はそんなに品数が入っている訳では無かった。
しかし、彩りのよいサラダや果物、サンドイッチなどカラフルなお弁当だった。
「そんなんで足りるのか?」
「お腹いっぱい食べたら太っちゃうでしょ」
ダンスのレッスンでも脂肪は燃やせないのか、というツッコミをアクアは喉で止めた。
「にしても、いきなり一緒に飯食おうとか目的はなんなんだ?それに有馬が作るって」
「あら、食べたくない事情でもあるのかしら?」
と、言われて特に事情はないな。と思いつつもコイツ距離の詰め方ヤバくね、と思う。
「特にないけど」
「なら別にいいじゃない。今日あま、二人だけの打ち上げよ。それじゃあ食べましょうか」
「ああ、いただきます」
二人は会話をしながら昼食を楽しむ。
ダンスって想像よりずっと大変。今ガチって一体なんなのよ。ルビーとMEMは歌が微妙。でも良くなってるから楽しみね。
アンタもアイドルやったらどうなのよ。顔だけはすこぶるいいんだから。
などと会話を続けていると有馬はとある事に気づく。
(ヤバい…薬飲ませないまま終わっちゃう…)
アクアはもう食べ終わりそうだ。残しておいただし巻き卵を口に運ぶ。
(どうせなんの感想もないんでしょうね。私何のため早起きしてぇ…!)
「有馬、飲み物買ってくるんだけど欲しいのあるか?」
(チャンス!!!)
「それなら、水筒あるわよ。飲む?」
「ああ、助かる」
かなは水筒のフタ兼コップを外し、それに液体を注ぐ。
アクアはその液体を見てぎょっとしていたが、かなはそれに気づくことは無かった。
「はい、どうぞ」
「…なあ、これ何の飲み物なんだ?」
流石に色が変…というか青汁すぎる。
最近の女子高生ってのはこんなん飲むのか?健康ドリンクか?生前ですらこんなん飲まなかったぞ。とアクアは愚痴をこぼす。
「あら。最近流行りの漢方ドリンクよ。知らないの?」
「悪い。知らなかった」
「おいしいわよ。見た目はアレだけど、味は保証するわ。」
有馬かなの高い演技力と咄嗟のアドリブ性能は無駄な所で発揮されていく。
(飲んだことないけど、多分大丈夫よ〜)
マジかよ。でもせっかくだし、と思いアクアは液体を飲んでいく。
確かに味自体は少し苦めのお茶、という感じだ。普通に美味しく飲める。まるで濃いめのお茶のような。
「うん、お茶みたいで美味いな。それによく冷えてるから飲みやすい」
「この水筒、保温性能が抜群なのよ。二十時間たってもほとんど温度が変わらない、愛用のやつ」
喉が渇いていたのだろう。二杯目も飲み終えたアクアはお弁当の残りを食べて昼食を終える。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした」
食後の満足感と少しの眠気を噛み締め…
アクアに何の変化もない事に気づく。
(ほら!やっぱり嘘っぱちだったじゃない!)
有馬は肩を落としつつも、一緒にご飯食べるのは楽しかったと思った。
そして有馬が食器を片付ようとすると、アクアはその食器を取り上げる。
「食わせてもらったお礼って訳じゃないけど、洗って返すよ」
(…これは…ひょっとして…ひょっとすると…効果が来たのかしら)
アクアがこんなに優しいなんてあり得ない。君はアイドルになれる。と手を差し出してきた時くらいしか褒めない。お礼も特にないアクアが。
わずかな期待に身を任せ、かなは頼み事をする。
「あら、お礼じゃないの?それなら次はアンタがお弁当作るかご飯奢りなさい」
「そうだな…悪い、弁当はこんなにいいもの作れないから、奢るのでいいか?いつにする」
(…マジかよ。これは効いてきてるかも…いや…確かな物にしたい…!)
いっそ引かれる覚悟!私は信じるわ!名も知らないクラスメイト!と振り切ることにする。ええいままよ!
「そうね。空いてる日があったら一日空けてて欲しいわ。…二人だけで」
「ああ、好きな食べ物あるか。店とか予約しておく」
(来たコレ確定!)
今の所3話くらいで終わらせようと思ってます。
やっぱりかなちゃんかわいい。