深淵歩きが異世界に召喚されるそうですよ?   作:(( ´・ω・))

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これはまだ箱庭へ行く前の話

すべては此処から始まった。




プロローグ

ザクッ!

 

朦朧とした意識の中、目の前には深々と自分の体に剣が刺さっている。流れる深淵と混じらず残った自分の血が刃を伝い柄から滴り落ちてゆくのが見える。深淵に侵されていた意識や精神が解放されたのか、自分の意識で手を少し動かせる様になった。

だが、どうにも利き手が動かない、力は込められるが曲がらない、鈍痛もするので折れているようだ。

すると、自分を貫いていた剣の持ち主が、

 

「戻ったのか…」

 

彼は息をあげながら自分の巨体を自分よりも小さなその体と剣で支えていた。

しかし、俺には自分より小さいとは思えなかった。

何かが彼をそう見せているのかは分からない。言葉にするなら、魂と言うべきか。

ただ言えることは英雄と呼ばれるのは彼の様な者なのだろう。

そんなこと考えていると剣を抜くためか、俺の体をゆっくり寝かす。

彼に支えられながら腰をおろして、刺さっている剣をゆっくり抜く。

激痛が走った気がするがもう大丈夫だ。感じるものも少なくなってきているから。

―――さぁて…

 

「頼まれてくれるかい…」

 

「応」

 

即答をしてくれてよかったと思う。ここで断られたらどうしようかというのは暢気なものだとも。

しかし、もうそんなことを考えている時間も無さそうだ、眠い、と言うよりは、体からみるみる力が抜けて行く。

―――あと少しなんだ、あと少し…

後一言言うだけだ。一言思いを託し言おう。

 

「友を頼む」

 

まったく情けないものだ、友を守りきれなく救いに行ったはずが逆に堕とされた。

そして最後は他人任せ、四騎士の名が聞いて呆れてくる。

そんな俺の言葉すら目の前の彼は紳士に聞き、

 

「任された」

 

何の躊躇もなく肯いてくれた。

―――頼もしい限りだ…

そういった彼は俺の胸に手を当て、何やら呪文を唱えだした。

彼が呪詞を挙げるたびに魂が鼓舞されて燃える様に心が熱い、だが、眠い。

そんな時、彼は口を開き言った。

 

「力を貸してくれ」

 

兜の下から覗くその力強い眼差しがこちらを射抜く、何度も死線を潜り抜けてきた者だとすぐに分かった。だが同時に、優しくもあった。そんな彼だからこそ託そうと思ったのかもしれない、魂を。

 

「是非もなし」

 

と、すぐに応えた。彼は大きく肯く。すると自分の体が燃えて行くのを感じた。

熱いというわけではない、うれしかったのだ。最期に英雄の力になれたのだから。

―――ありがとう、友を…頼んだぞ、不死の英雄。

 

 

 

 

 

 

                *

 

 

 

 

 

「!」

古びた塔の上、独りの巨人が木彫りの面を作る手を止め、

空を仰いだ。

すると、兜の下から大粒の涙が首筋を伝り落ちてゆく。

そして俯き、男泣いた。

 

 

 

 

                *

 

 

 

 

「アルトリウス…逝ったか」

王城の屋根上獅子の兜をかぶった騎士が太陽に向かい、静かに礼拝した。

そして、体を翻し槍の石突を三度鳴らした。

 

 

 

                *

 

 

 

意識が消えかけた時だった。

「アルトリウス!」

名を呼ばれた気がする。懐かしい友の声だ。

この期に及んで気残りなんておかしな話だ。

ほら、そんなこと考えてるから出てきてしまったじゃないか。

自慢の仮面が台無しだなぁ…、涙を拭けよ…、逝けないだろが…

最期だ格好つけて逝こうか…

 

「愛している…キアラン」

 

 




はい、短かったですね。

もっとがんばっていきますので、皆様どうぞよしなに…
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